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<対談>THE BEAT GARDEN×福士蒼汰 歌や演技に人間性が滲み出る2組が語るドラマ『アイのない恋人たち』と夢



THE BEAT GARDENインタビュー

Interview & Text: Mariko Ikitake
Photos: 森好弘

 仕事・家族・自分自身に悩み、思うような恋ができないアラサー男女7人の恋愛劇を、遊川和彦の脚本で、リアルに、そしてちょっぴり切なく描くドラマ『アイのない恋人たち』が現在放送中だ。

 本ドラマでアイ(愛)がない男・久米真和を演じる福士蒼汰と、その主題歌「present」を担当するTHE BEAT GARDENが初対談。福士が演じるのは、3回会った女性とは連絡を絶つ売れない脚本家で、マッチングアプリを通して出会った絵里加(岡崎紗絵)のおかげで執筆活動も軌道に乗るのだが、高校時代の恋人・愛(佐々木希)も気にかけており、なかなか絵里加との恋を実らせないでいる。

 一筋縄ではいかない恋愛模様の裏側で優しく奏でられる主題歌「present」は、もともと真和と絵里加を対象にして書かれていたとUは言う。7人の気持ちに寄り添う現在の形に変わるまでに、どういった経緯があったのだろうか。全員が傷付いて終わった第5話放送の翌日に集まった4人のクロストークから、今後のドラマの展開が見えるかも!?

左から:MASATO、REI、U、福士蒼汰

――衝撃的なエンディングでしたが、今後はどんな部分に注目でしょうか?

福士蒼汰:第4話でいい感じになったかと思ったら、第5話で全員が崩壊してしまいましたよね。6話でもなかなかうまく進まないのですが……こじらせている男女7人が、今後どう修復していくのかが気になるところだと思います。回復するかもという兆しが見えたら、また叩きのめされることになるので、ちょっと覚悟して見ていただければと思います(笑)。確か、事前に台本を読んで曲を作られたんですよね?

U:いただいていたのは第5話までだったので、僕らもこれからが本当に楽しみなんです。リアタイで第1話からずっと見ていて、第4話がハッピーな展開だったので「遊川さんもこういう作品を書かれるんだ」って少し驚いていたのですが、第5話の展開で「なるほどね」って。遊川さんの作風もそうですし、今回の福士さんの役柄的にも、きれいにまとまるよりかは、どこかのカップルは崩壊してほしいなと思ってます。

REI:それぞれがハッピーエンドで終わるよりかは、遊川さん節じゃないですけど、何か一癖というか、裏切られたような感じ、はっとさせられる部分を僕はちょっと期待しています。

MASATO:僕は7人っていうのが気になっていて。誰か3人で一つになるのかなって。

全員:ハハハ(笑)!


――福士さんはこの数か月間、真和を演じてきて、このキャラクターをどう分析していますか?

福士:ダメ男な部分と人として憎めない部分があるキャラクターだと思っていて……ひどいことも言ってしまう反面、家族に対する愛がすごく深かったり、人を気遣う部分を持ち合わせていたりするので、そのバランスを考えながら演じています。最終回までに真和がどう変わっていくのかは僕も気になるところです。真和は仕事がうまくいっていないときに、絵里加という無垢な存在に背中を押されて書けるようになっていく。でも、絵里加が離れてしまえば、書けなくなる。これこそ真和に足りない部分で、真和に必要なのは、本当は人間を愛することだと思うんです。真和は人と距離を取ることで仕事に集中できて(脚本が)書けると思っているのですが、本当は人と関わっていくほうが仕事もうまくいくということに、まだ気付けていなくて。これからそれに気付いていくと思うので、真和が成長する部分を最終話までに描けていけたらいいなと、個人的には思っています。

――ところで、皆さんは以前にもお会いする機会があったとか。

福士:はい、昨年10月に開催された【Bells.TOUR】のファイナル公演に誘っていただいて、そのときに少しだけお話しました。

U:本当に嬉しかったです。「今日、福士さんが来るの?」って、僕たちずっとソワソワしてて。ステージからめちゃくちゃ目に入る、二階席のど真ん中に福士さんがいて。

福士:あ、バレちゃいました?

U:やっぱりオーラがもう……オーラを縮こませようとしてくださっているんですけど、全然隠せてなかった!

MASATO:くっきり見えました!

福士:そうだったんですね(笑)!

REI:すぐ目の前にいる感覚で、福士さんにも全力で思いを届けました。

――3人のライブはいかがでしたか?

福士:3ボーカルというのも珍しいなと思いましたし、男性的でもありつつ、あまり熱すぎないというか。押し付けがましい感じが全くなくて、3人の性格が出ているライブだなと思いました。曲調からもパーソナリティーからもわかるように、柔和な感じもあって、それがすごく音楽にもライブにも出ている気がしました。

――福士さんはこれまでにもライブに行った経験があると思うんですが、好きな音楽のジャンルは?

福士:僕、実はあんまり聴かなくて……どちらかというと歌うほうが好きなんです。

THE BEAT GARDEN:えー!!

福士:カラオケによく行くのですが、履歴に入っている曲を歌って、だんだん覚えていく感じです。趣味で歌と曲を一緒に作ることもしています。誰かに思いついた言葉を言ってもらったり、自分でイメージを考えたりして、それにメロディーや歌詞をつけるという。

U:歌う専門なんですね! ちょっと意外な一面。

福士:よく物静かそうに見られるんですよね。

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――「present」は、ドラマの中では福士さんのナレーションとともに終盤で流れることが多いですよね。演じる側として、「present」をどう受け取りましたか?

福士:映像にぴったりだなと毎回感じています。(3人を見て)どう思われますか?

THE BEAT GARDEN:僕たちもぴったりハマっていると思いました!

福士:イントロの1音目からグッと引き込まれるというか。映像に花を添えてくれるような、きれいな器を作ってくれるような感覚です。その器自体も、色がすごく綺麗で、可憐なお皿という感覚です。


U:ありがとうございます。今回のメロディーは、僕らが“まさやん”って呼んでいる事務所の先輩の上村昌弥さんが作ったものです。遊川さんから「中二病なぐらい、ストレートなラブソングをお願いします」と依頼されて、台本を読んでいくなかで、中二病=7人の極端な心の癖という意味だと思ったんです。最初は真和から絵里加へのラブソングを書いていたんですけど、ワンコーラスを書いた段階で、遊川さんに聴いていただいたところ、「一人称を使わないで書くことはできますか?」と言われて。1番ができたときに、僕らが脚本を読んで思い浮かべた映像と合わせてみて、ちょっと腑に落ちない部分があったんです。7人に向けて書けばいいんだと思ったら、すごく腑に落ちたというか。“僕”っていう言葉を使わないラブソングをほとんど書いてこなかったのですが、7人に寄り添いたいっていう思いもあってか、そこからはスラスラと言葉が出てきました。〈一人で足りてた〉から始まる歌で、足りないことに気付いていない人の歌なんです。その感情を表現するには、なかなか自分一人では難しくて。今回は脚本に書かれていたそれぞれのキャラクターに助けられました。

福士:台本を読んで詩を書くのと、何もない状態から詩を書くのと、どちらが書きやすいんですか?

U:僕は脚本があったほうがやりやすいです。そのキャラクターが絶対に言わないだろうっていうものを、どんどん引き算していけるんですよね。

福士:なるほど。ある種の制限によって、むしろやり作りやすくなるんですね。確かに自分自身のこととなると膨らんでしまうけど、他人のことになれば、その人の人生はこうだろうなと思えますよね。

――真和の足りない部分は、他にどんなところがあると思いますか?

福士:足りない部分しかないくらい、たくさんありますよね。僕は何かを作る立場であるのならば、人と関わらないと何も生まれないと思うんです。なので、言うなら“人”です。特に恋愛は人を成長させるものでもあると思うので、真和はどんどんしていかないといけないんだろうなと。真和はそれをシャットアウトしているから、うまくいっていないんだということを、まだ気付けていないというか、そこが欠点なんだと思います。あと、「周りに迷惑をかけてないから、いいじゃん」と逃げているような気もするんです。人に迷惑をかけるということは、かけた責任を負わなきゃいけないし、プレッシャーもあるから嫌だけど、環境を変えないと人は変われないし、逆にやりきるモチベーションにもなる。誰かを巻き込んだ責任はちゃんと持って、ステップアップしたら、次は自分一人で頑張ってみる、の繰り返しをしていくといいのかなと。全部人に任せているとダメ人間になってしまうと思うのですが、人がブレイクスルーする瞬間は、誰かに頼ったときでもあると思います。その責任を持った瞬間というか。

U:僕は真和派なんです。僕も仕事ってなったら、プライベートを完全に切るタイプ。それがダメだってこともわかっているんですけど……例えば友達とカフェに行って、そこでヒントとなる言葉がもらえるかもしれないけど、“何ももらえない”かもしれない。そっちに一票入れちゃう派なので、結局家にこもって一人で作業するタイプです。

――REIさんとMASATOさんはどうですか?

REI:僕はメンバーだったり、周りのトラックメーカーだったり、人と触れ合うことによって得られるエッセンスはだいぶ大きいことに、年数を重ねれば重ねるほど実感しています。個人的には一人の時間より、もう少し視野を広げて、周りの意見も取り入れていこうっていうマインドになっています。

U:彼はなってます!

MASATO:僕も制作期間中はあまり人と会わないです。良くも悪くも吸収しやすいタイプというか、「いいね」にも「それ良くないよね」にも流されやすいんです。自分が出したいものを準備してきたのに、やりたいことがブレてしまう節があって。そうなると出来上がったときに後悔しちゃうので、制作期間中は自分一人でやりきりたい部分までやろうとしています。ただ、それまでのインプットはすごく意識しているので、自分がやりたいことに目掛けて、人と会ってます。

U:確かにMASATOはインプットする友達は多い。いろんな業種の人と知り合いだよね。僕は仕事の話を一切しない友達しかいないので、意見や新しい情報を持ってきてくれるのはMASATOですね。

福士:MASATOさんが一番社交的なんですか?

U:友達の数が一番多いのはMASATO、その次がREIですね。意外ですか?

福士:意外かもしれないです!

THE BEAT GARDEN:ハハハ(笑)!

U:でも、元はそうだったよね? 上京して変わったよね。

MASATO:逆に福士さんは僕らの中で誰が一番社交的だと思いましたか?

福士:(Uを指して)話し方も姿勢も積極的だから、友達も多そうだと思ったのですが……(笑)。

U:そうっすよね~、でも僕が一番少ないんです(笑)。

福士:お話してみないと分からないこともありますね。

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――真和は、脚本家としての夢を叶えたい、そして父親の応援に応えたいという思いを抱えています。皆さんもトライ&エラーを繰り返しながら、成長を続けていると思いますが、夢との向き合い方や夢を叶えるために必要なことを改めて言葉にするとすれば、どんなことでしょうか?

U:“失敗は、また失敗しないための方法を学ぶための成功術”というような言葉を本か何かで読んで、その言葉を僕はすごく大事にしてます。それに、自分が定めた順序通りに行ったためしがないから、そもそもその選択が合っているのかもわからない。自分を過信してないから、失敗したら、「OK、このやり方は間違っていたとわかってよかった」って、失敗として捉えることもない。失敗して当たり前、みたいな。とは言いながら、心の中は傷だらけなんですけど……(笑)

福士:サイヤ人だって、傷付いて強くなりますから(笑)。僕は夢を追い続けるタイプで、ひとつ夢が叶ったら、別の夢を叶えたくなってしまうので、一生満足することはないんだろうなと思いながら生きています。でもそれが自分のモチベーションにもなっているんです。僕は長期的な夢と、中期的な夢、短期的な夢というものを、ちゃんとそろえて考えたほうがいいなと思ってて。俳優として海外に挑戦するのが長期的な夢だったら、そのために英語を勉強するとか、日本でも結果を出すとか。でも、その前にお芝居を磨くのも必要です。短期、中期、長期というものを、ちゃんと1本の筋で描けていると、日々の努力もしやすいと思います。長期的な夢だけ持っていると、今、何をしたらいいのかわからないですよね。短期的な夢だけ追っていると、「あなたはどこに行きたいの?」となってしまうので、その道筋がうまくイメージできていると、今日は何をすべきか、1年後にどういるべきか、10年後にどうありたいかが明確になると思います。そうすることで、夢を叶えるための自分の行動やモチベーション、すべきことがわかってくると思いますし、僕はそういうふうにしています。

――実現的であり、本当に効率的な考え方だと思います。

REI:僕の場合、月末までにやりたいことやミッションを具現化して、紙に書いています。それが達成できているかどうかの確認は常にしていて、何をすべきかが明確なので、いい方法だと思っています。あと、音楽ってそれこそ答えがない世界で、例えば歌が上手に歌えるとか、カッコいいサウンドを作れるとか、そういう部分はもちろん大事なんですけど、人間性も大事だと僕は思っているんです。音楽をやっていない時間も大切にしないといけないなって、年を重ねるたびに思っています。自分の心から出たエッセンスが結局、音楽に反映されるので、そういったことを意識しながら、僕は生きてるつもりです。

福士:それも大事ですよね!

MASATO:僕が自分の人生で失敗したことは、人と比較してきたところです。誰かに勝っても、それがゴールじゃないし、結局は自分との戦いなので、続ける努力が物を言うというか。福士さんがおっしゃったように、近い将来を描いて動くことで、たくさんの成功体験が増えるじゃないですか。そうすると次の夢に向けた目標が見えやすくなる。それを10年も繰り返すこと自体、簡単でもないと思うので、続けるための努力は落としてもいけないですよね。単純なことだけど、それが一番難しいことだとも思います。

――THE BEAT GARDENはたくさんの実行を積み重ねてきて、4月に過去最大規模のワンマンライブが控えていますね。

U:【good error】っていうタイトルで、MASATOが言ったように、僕たちは本当に失敗が多いグループでした。今の事務所も、オーディションではなく、直接ピンポンして、社長に会い、そこから1年間、手紙と電話とテープを送り続けてやっと入れました。合理的な方法を取っていれば、他の事務所に入ってもっと早くデビューできていたかもしれません。でも、今の事務所の人に出会えてよかったし、すごく遠回りをしたからこそ出会えた人やファンがたくさんいます。失敗やミスも笑ってきたし、たくさんのエラーがあったからこそ立てる1日という意味で、このタイトルにしました。当日は飾るつもりもないですし、福士さんが僕たちのライブを「運動量が多い」と言ってくださったように、本当に汗だくになるので、最後列の方まで熱くさせる1日にできたらと思ってます。

――歌手と比べて、俳優はファンの方と会う機会はあまり多くないですよね? 応援してくださる方にご自身の思いはどうやって伝えていこうと考えていますか?

福士:僕の場合、たしかにファンの方々と直接お会いできる機会は多くないのですが……だからこそ作品を通して伝えていけたらと思っています。俳優のお仕事は、自分のメッセージを発信するというより、スタッフの方々が企画してくださった作品を表現することのほうが多いので、その世界にきちんと向き合う、生きるということが、すべてだと思うんです。作品を通して皆さんが受け取ってくださったメッセージに、意味があるのだと思います。

U:福士さんのファンは本当にまめで、Instagramで僕らをタグ付けしてくれたり、丁寧に「present」を付けて投稿してくださったりする方が多いです。福士さんは、作品を表現するだけとおっしゃられていましたが、福士さんのだしは人間性としてしっかり出ていると思います。ファンとの絆が深いんだろうなって。

福士:確かに、皆さんのファンと同じようにずっと応援してくれている方が多くて、絆は深いと思っています。

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