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<インタビュー>EXILE TAKAHIRO “聖地”日本武道館での記念すべき一夜【EXPLORE】を振り返る

インタビューバナー

Interview & Text:高橋梓


 2023年9月21日に、東京・日本武道館にて【EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 "EXPLORE"】を開催したEXILE TAKAHIRO。17年前、彼のEXILE加入が決定したのもまた日本武道館で、彼にとっては特別な場所での公演となった。そんな同公演がLIVE DVD/Blu-rayとして2月14日にリリースされた。そこで改めてあの夜のことと、それまでの道のりについて本人に話を聞いた。

“聖地”日本武道館への思い

――昨年開催された【EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 "EXPLORE"】、振り返ってみていかがですか?

TAKAHIRO:武道館は“EXILE TAKAHIRO”が生まれた、僕にとっての聖地。度々武道館のステージに立つことはありましたが、ソロとして立ちたいという夢を持っていたので「ようやく叶った」という思いが強いです。しかも、ソロ10周年という区切りの年に叶ったことはすごく光栄。ファンの方々が、僕と同じ温度感で楽しみにしてくれていたのも嬉しかったです。


――感情としては、やはり感慨深さが大きかったのでしょうか。

TAKAHIRO:実際にやるまでは感慨深いものになると思っていましたし、「感極まって泣いちゃったらどうしよう!?」と考えていました。ですが、いざ公演をやってみると「新しいスタート地点に立った」という気持ちになったんです。これがゴールではなくて、スタートとして“EXILE TAKAHIRO”というブランドをよりブラッシュアップしていきたいと思ったというか。矢印が自分を向くのではなく、未来に向いた感覚がありました。


――てっきり、達成感のようなものが大きいのかと思っていました。

TAKAHIRO:そうなんですよね。振り返ってみると、コロナ禍や空白期間があったので濃密に駆け抜けた10年ではなくて。この先はもっと全力でファンのみなさんと一緒に、時間を過ごしていきたいです。


――そんな思いがあるからこそ、4月からのツアータイトルが「FULL THROTTLE」なのですか?

TAKAHIRO:それもありますね。実はこのタイトル、2年前くらいに思いついていて。やっと発表することが出来ました。武道館公演のタイトル「EXPLORE」もそうなのですが、僕は嘘がつけない性格なので、思いついたことをつい口にしてしまうタイプなんです。だから“EXPLORE”の時も、コロナ禍に入ってすぐくらいに、楽曲を制作しながら同時にTシャツを作って。ファンの方にしてみたら、「何なんだ、これは?」ですよね(笑)。それでも、みんなそのTシャツを着てくれて、武道館でやっと伏線回収ができました。そんなことばかりしているので、皆さんに飽きられないように“FULL THROTTLE”はギリギリまで自分の中で暖めておきました(笑)。


――そんな経緯があったのですね(笑)。そして、2月14日にはライブDVD/Blu-ray がリリースされます。バンドと一緒に音作りをしているドキュメンタリーの中で、度々「いいっすね」「いい感じ」という言葉が出てきていましたが、どんな音ができあがった時にそう感じられるのでしょうか。

TAKAHIRO:「こういうもの」と決まっているわけではないのですが、僕の頭の中にあるものがぴったり再現できた時ですかね。バンドの皆さんは一流の方ばかりなので、リハ初日には僕の好きそうなアレンジで作り込んでくれているんです。でも、欲が出てしまうというか。リハーサルを通して足りないと感じる部分を埋めたり、逆に差し引いたりしています。僕は書や絵をかくのが好きなのですが、「余白の美学」ってあると思うんですね。音楽も同じで、余白を感じられることを大切にしています。たとえば、音がいきなり止まるとか、急にアカペラで歌ってみるとか。そういったことをバンドのみんなも一緒に楽しんでくれるので、全員でワクワクしながら「いい感じ」の音を作り込んでいます。



EXILE TAKAHIRO / EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023“EXPLORE” Documentary(TEASER)


――「余白」が音作りのモットーだったりも?

TAKAHIRO:そうかもしれません。ただ、余白を意識すると音源とは違うアレンジになりがち。でも、時には「音源のままライブでも聴きたかった」と思うこともありますよね。そのバランスが大切だと思っていて。僕は、ライブに来たお客さんに「帰って音源を聞いてみよう」と思ってもらいたいんです。なのでライブでは、音源もちゃんと引き立てるような余白がある音作りを心掛けています。


――TAKAHIROさんのライブに行くことで、新たな発見もできそうです。

TAKAHIRO:ライブに通ってくれているファンの皆さんの耳も、どんどん良くなっている気がします。僕も徐々に耳が良くなっていったんですよ。EXILEはパフォーマーも多いので、細かな音がすごく大切。細かな音を取って踊っているので、あまり引き算はできません。ですがソロであれば色々試せる。「この音が無いとどうなるだろう」「この曲だとこの音が効いているんだ」とわかっていくことで、面白いという感覚を持てるようになりました。ファンの方にもその面白さを楽しんでもらいたいですね。


――こだわりと思いがあるからこそ、当日リハーサルで変更したこともあったのではないでしょうか。

TAKAHIRO:実際に武道館でリハをすることで見えることがたくさんありました。たとえば、フィル(=ドラムの音の一種)や曲の締め方などで同じパターンが続いてしまっている、スクリーンの映像と音をもっと合わせたい……といった細かな部分なのですが、ギリギリまでアイデアを出して変更しましたね。大きなところでいうと、曲間。EXILEは曲間をすごく大切にしていて、反省会ではほぼ曲間の話をしているくらい。ライブ全体のテンポ感に繋がりますし、パフォーマーは特にこだわりを持っています。なのでソロライブでも、はじめの頃はテンポをすごく大切にしていました。ただ、ロックバンドの先輩方のライブを見に行くと、曲間をとても楽しんでいて、お客さんの拍手があろうがなかろうが、演りたくなったら演るという「媚びなさ」がかっこよくて。お客さんを自分たちのペースに持ってくることも魅力のひとつだと思って、曲間のテンポに囚われすぎないような構成を意識しました。なので、もしかするとファンの方は戸惑ったかも。


――ですが、それがバンドのライブの醍醐味でもありますよね。

TAKAHIRO:そうそう。バンドメンバーたちも楽しんでくれるんです。曲間のテンポにこだわりすぎてしまうと、楽器の持ち替えも急がなければいけなくなりますから。「ゆっくりやってもらっていいですよ。そのあいだ、持ち替えがないキーボードで繋いでほしいです」というようなことも話しました。これも「余白」のひとつですよね。


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みんなで一緒に緊張して、
みんなで一緒にリラックスできた

――ライブ本編では1曲目から絶好調という印象を受けましたが、ご自身ではいかがでしたか?

TAKAHIRO:実は、結構緊張していました。他の会場だと抜けを感じられるのですが、武道館は“圧”がすごいんです。会場がすり鉢型なので、上から下までお客さんがいらっしゃって、圧がくる。一瞬日和ってしまっていたのですが、「日和っている場合じゃない!」と気合いを入れてステージに上がったんです。そうしたら、ステージの上をカメムシがゆっくり歩いていて。それを見た瞬間、ふっと力が抜けて冷静になれました(笑)。本当にカメムシ様々。多分カメムシがいなかったら、気合いを入れすぎて力んでいたと思います。ただ、その後踏み潰してしまわないか心配でした(笑)。


――神の使いかもしれませんね(笑)。当日のご自身の歌に点数を付けるとしたら何点くらいになりますか?

TAKAHIRO:それは「神のみぞ知る」ですね。ただ、神の使いのカメムシのお陰で73点くらいはいけたのかな。それに、ファンの皆さんの力も大きかったと思います。僕の緊張はファンの皆さんに伝わるし、ファンの皆さんの緊張も僕に伝わってきていて。みんなで一緒に緊張して、みんなで一緒にリラックスできたので、「俺だけが緊張しているわけじゃない」と思えました。


――セットリストもスペシャルなものでしたよね。どういう流れを想定して組んだのでしょうか。

TAKAHIRO:第一に考えたのは、ファンの皆さんの心理です。どの曲を聴きたいかという視点でピックアップして、物理的にできない曲や次回のライブに取っておきたい曲を外して作っていきました。


――意地悪な質問になってしまうのですが、先程おっしゃっていた「媚びなさ」と「ファン心理」は、一見すると両極端なものです。その両立はどうされたのでしょうか。

TAKAHIRO:たしかに(笑)。……「ツンデレ」ですね。ドキッとする流れの「ツン」コーナー、聴きたいであろう曲を披露する流れの「デレ」のコーナーを作ることは考えたかもしれません。最高に意地悪をしようと思ったら、武道館公演で「運命のヒト」はやらない(笑)。でも、それは流石にやらなきゃ、と。そう考えた先の精一杯の「ツン」は、本編ではなくアンコールでやること。「もう! 演るの遅い~」と思われるところに持っていきました(笑)。


――サプライズ感の強いツンデレです(笑)。楽曲もさることながら、素晴らしいと感じたのがMCです。変に感動的な話に終始していないところがいいな、と。

TAKAHIRO:それはあるかもしれないです。僕、MCは何も考えずに喋っているだけなんです。事前に考えたことを話すと緊張してしまって。自分のテンションがついていかないと中身がない話になってしまいますし、曲終わりの雰囲気を見て話さないとスベるんですよ。それも嫌で。今回は記念すべき武道館公演だったので、感謝を伝えたいと思ってはいたのですが、ファンの皆さんからすると「ありがとう」ばかり聞いてもなぁ、と。その感謝は音楽と演出で伝えることにしました。たとえば、料理を食べに行って、シェフの説明が長いと嫌じゃないですか。食べたら伝わるという方が僕は好き。なのでMCではライブにまつわることだけではなく、会えて嬉しいから生まれる会話をその時のテンションで話しました。お一人お一人と会話するような感覚と意識で、これからもノープランMCをお届けできればと思っています(笑)。


――そんなライブの様子が収録されている、このDVD/Blu-rayの見どころはどこだと思いますか?

TAKAHIRO:いちばんの魅力は、「あの夜のまんま」というところ。ほぼノーカットで収録されているので、先行上映会(1月に開催された特典イベント)でのファンの方のコメントも「あの夜のまんま」という内容が多くて。はじめは編集がされていたのですが、「結局ノーカットにした方がいちばん伝わるよね」ということになり、元に戻りました。あのステージをもう一度楽しめると思います。


――「いつでも見返せる見逃し配信」、ですね。

TAKAHIRO:まさに。アンコールもそのまま収録されているんですよ。LDHのみんなも観に来てくれていたのですが、「何よりもお客さんのアンコールに感動しました!」と言っていて。「いや、俺じゃないんかい!」と複雑でしたが(笑)、その反面すごく誇らしかったです。僕のライブの熱量を感じてもらえると思います。


――そんな武道館公演を経て、4月からは新しいツアー【EXILE TAKAHIRO LIVE TOUR 2024 "FULL THROTTLE"】も始まります。今年1年、ソロ活動はどうなっていくのでしょうか。

TAKAHIRO:今年はソロ活動メインの年。4月からのツアーも今まで見せたことがない内容にしていきたいと思いますし、いろんな解禁ごとにも期待してください。今年は昨年以上に集中して、まさに“FULL THROTTLE”、全開でやっていくつもりです。「今年がソロ活動最後になっても悔いはない!」くらいの気持ちで活動しますので、ファンのみなさんも一緒に楽しんでくれたら嬉しいです。


EXILE TAKAHIRO「EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”」

EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE”

2024/02/14 RELEASE
RZXD-77934 ¥ 9,900(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.≪Road to EXPLORE≫
  2. 02.EXPLORE
  3. 03.YOU are ROCK STAR
  4. 04.Choo Choo TRAIN
  5. 05.Everything
  6. 06.Love Story
  7. 07.一千一秒
  8. 08.Eternal Love
  9. 09.羽1/2
  10. 10.THIS IS LOVE
  11. 11.Lovers Again
  12. 12.Ti Amo
  13. 13.Beautiful
  14. 14.時の描片 ~トキノカケラ~
  15. 15.響 ~HIBIKI~
  16. 16.変わらないモノ
  17. 17.GLORIA
  18. 18.Irish Blue
  19. 19.Someday
  20. 20.Happy Birthday
  21. 21.Unconditional
  22. 22.運命のヒト [ENCORE]
  23. 23.もっと強く [ENCORE]
  24. 24.Spotlight ~光の先へ~ [ENCORE]
  25. 25.EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 “EXPLORE” Documentary

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