Billboard JAPAN


Special

<CASIO×Billboard Live>野宮真貴が語る、尽きないアイディアとチャレンジ精神

インタビューバナー

 「すべての人に音楽を奏でる喜びを」という想いから、新しい生活スタイルに寄り添う電子楽器を展開するCASIOがBillboard Liveとコラボレーション。Billboard Liveの出演者にリレー形式で「音楽の楽しみ方」を語ってもらう。

 “渋谷系とそのルーツの名曲を歌い継ぐ”「野宮真貴、渋谷系を歌う。」シリーズが好評の野宮真貴。2月14日には昨年9月の【野宮真貴、渋谷系歌謡曲を歌う。】のステージでも競演した平山みき&野宮真貴で筒美京平の遺作に橋本淳が作詞した「アーティスト/ホットな地球よ」をリリース。また、この2月〜3月には3都市ビルボードライブ・ツアーを開催。2月14日の横浜公演のバレンタイン・デーは「Valentine's Day Live 2024 ~Be My Baby~」と称し、”東京モータウン・サウンド“を標榜するザ・スクーターズをゲストに招き、小山田圭吾がスペシャル・ゲストとして登場。3月9日の大阪公演と野宮真貴の誕生日当日である3月12日の東京公演には、ドレスコーズの志磨遼平をゲストボーカルに迎え、「Birthday Live 2024 ~Glamorous Night~」と称したステージが繰り広げられる。

 デビュー40周年を超えてアップデートを続ける野宮真貴に筒美京平×橋本淳の最新曲、多彩なゲストで注目を集めるビルボードライブ・ツアーへの意気込みとこのツアーでオマージュを捧げる渋谷系ムーブメントを支えたアート・ディレクター信藤三雄氏への想いを伺った。(Interview: 佐野郷子)

平山みきさんとデュエットできたのはとても光栄

――平山みき&野宮真貴として「アーティスト/ホットな地球よ」が2月14日にリリースされます。「アーティスト」は昨年の【野宮真貴、渋谷系歌謡曲を歌う。】のステージでも披露されましたね。

野宮真貴:筒美京平さんが遺された曲に筒美さんと数多くのヒット曲を生んだ橋本淳さんが作詞を手がけた2曲なんです。配信ではすでに発表しているのですが、やっぱりCDで欲しいという世代なので、この度リリースの運びとなりました。私が参加することになったのは、平山みきさんから声をかけていただいたことがきっかけです。橋本さんがデュエットを提案されて、「誰かいい人いない?」と聞かれて、みきさんが以前から交流があって、お互いに派手好きという共通点もある(笑)私が閃いたそうです。お話があってから1年がかりのプロジェクトでしたが、筒美京平さん×橋本淳さんのゴールデン・コンビの曲を子供の頃から憧れていた筒美さんに愛された歌声の平山みきさんとデュエットできたのはとても光栄でした。


――「アーティスト/ホットな地球よ」は10年ほど前に筒美さんが作曲し、橋本さんに託された2曲だそうですね。

野宮:そうなんです。だから橋本さんの想いが熱くて、何度も書き直しをされて。筒美さんと橋本さんは作曲家、作詞家の関係だけではなく、中学時代から生涯を通じても親友でもあったので、「アーティスト」の歌詞は橋本さんにしか書けないものだと思います。筒美さんと奥さまのストーリーと橋本さんとの親密なかけがえのない愛を描いていて、筒美さんへのオマージュになっているんです。橋本さんに筒美さんとバート・バカラックをラスベガスに一緒に観に行った思い出や昔の話をたくさん聞かせていただいたのも楽しかったし、私のことはあまり知らなかったと思うのですが、気に入っていただいたみたいで、もう1曲「ホットな地球よ」もみきさんと歌うことになったんです。


――筒美京平×橋本淳の粒ぞろいの名曲は、Disc2の【野宮真貴、渋谷系歌謡曲を歌う。】のビルボードライブ東京のライブ音源にも収録されました。

野宮:「くれないホテル」や「ダンシング・セブンティーン」、みきさんと「フレンズ」や「アーティスト」も一緒に歌って、「野宮真貴、渋谷系を歌う。」の10周年を記念したステージになりましたね。


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アート・ディレクターの信藤三雄さんに愛を込めておくるステージに

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――2月からはビルボードライブ横浜・大阪・東京でのステージが控えています。バレンタインデイとご自身のバースデイでのライブは、どのような内容になるのでしょうか?

野宮:今年最初のビルボードライブは、亡くなって1年になるアート・ディレクターの信藤三雄さんに愛を込めておくるステージにしたくて、バレンタインデイのビルボードライブ横浜には信藤さんが率いていたザ・スクーターズをゲストにお招きしました。東京・大阪のステージにお迎えするドレスコーズの志磨遼平くんも信藤さんが「野宮さんは志磨くんと一緒に音楽をやった方がいい。」と薦めてくださって、今回初めて共演することになったんです。横浜のスペシャル・ゲストの小山田圭吾くんもそうですが、ゲストは信藤さんが繋いでくれたアーティストばかりなんです。


――信藤三雄さんが率いていたザ・スクーターズは1982年に”東京モータウン・サウンド”をキャッチコピーに『娘ごころはスクーターズ』でデビューした伝説のバンドですね。

野宮:そう。2012年に再結成して以降も活動を続けていて、2022年のU.F.O. CLUBでライブでは小西康陽さんとカジヒデキくんがDJを務め、病床にあった信藤さんも大阪から駆け付けたんです。そのときに小西さんがステージで、信藤さんにお願いがあると。「ピチカート・ファイヴの『東京は夜の七時』をぜひザ・スクーターズにカヴァーしてほしい」と言って、信藤さんも快諾。それが実現して、ザ・スクーターズ・バージョンの「東京は夜の七時」が去年の7月にアナログ7インチシングルと短冊CDでリリースされ、私もコーラスで参加しました。


――小西康陽さんはザ・スクーターズの大ファンであることを公言されていますよね。

野宮:小西さんが80年代にピチカート・ファイヴのジャケットを信藤さんにお願いすることになったのも、元々ザ・スクーターズの大ファンだったからだそうですし、その後の渋谷系に続いてゆく流れにアート・ディレクターの信藤さんがいたことはとても大きかった。


――ザ・スクーターズに始まり、ピチカート・ファイヴ、フリッパーズ・ギター、Cornelius、そしてドレスコーズまで。信藤さんがアートワークを手がけたアーティストが野宮さんのステージに集まるわけですね。

野宮:そうなんです。昨年の【渋谷系歌謡曲を歌う。】でも橋本淳×筒美京平コンビがザ・スクーターズに書き下ろした「Hey Girl」を歌いましたし、ザ・スクーターズとビルボードライブのステージで一緒に歌いたいという想いが強くなっていきました。


――野宮さんからみたザ・スクーターズの魅力とは?

野宮:小泉今日子さんがカヴァーした「東京ディスコナイト」でご存じの人もいると思いますが、60年代のモータウン・サウンド、シュープリームスやロネッツのようなガールズ・グループのキュートさ、楽しさ、ルックスを東京らしく体現している唯一無二のグループだと思うんです。小西さんが「一番好きな声」だというロニーさんの歌声、パーティー・バンドとしての楽しさをぜひ、一夜限りのビルボードライブ横浜で体験してほしいですね。


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――スペシャル・ゲストのCorneliusの小山田圭吾さんも気になります。

野宮:小山田くんはピチカート・ファイヴの『ボサ・ノヴァ2001』(1993年)のプロデュースを手がけてくれて、プライベートなパーティや信藤さんの追悼ライブでピチカート・ファイヴの曲を一緒に歌ったこともあるんですが、小山田くんとライブで披露する曲も楽しみにしてほしいですね。今回のライブは、Corneliusのメンバーでもある堀江博久さんをバンマスに、ギターにTESTSETやQUBITで活躍中の永井聖一さんが参加、新しいバンド編成でお届けします。


――大阪・東京のゲスト、ドレスコーズの志磨遼平さんとは初共演ですね。

野宮:志磨くんも毛皮のマリーズ、ドレスコーズで信藤さんとお付き合いがあって、去年の追悼ライブのときにも「いつか一緒に」というお話をして、今回は私の誕生日の東京公演と大阪公演にゲストボーカルでお招きすることに。志摩くんは今の日本では数少ないロックスター感があるし、久しぶりに“ロック”寄りのセットリストを考えているんです。


――“ロック”な野宮真貴さんを期待できる?

野宮:「渋谷系を歌う。」シリーズはポップ寄りの曲が中心だったので、“ロック”な曲を歌うのも新鮮だし、志摩くんとならグラマラスなひと味違う“ロック”テイストを醸し出すことができる気がするんです。私も十代の頃はグラム・ロックやKissに夢中になったし、“ロック”ごころは今も健在ですから。志摩くんとのデュエットやカヴァーなども入れて、衣装も含めて私もお誕生日に思いきり楽しみたいと思います。


――「野宮真貴、渋谷系を歌う。」も10周年を超えて、新しいチャプターに入る予感がしますね。

野宮:そうですね。これからは自分がやりたいことをどんどんやっていこうという心境になっていますね。毎回テーマを決めて「渋谷系を歌う。」で新しい曲にチャレンジしたことは歌い手としてやり甲斐を感じたし、アイディアはまだまだ尽きることはないんですが、私のステージを楽しみにしてくださるお客さまがいることは何より励みになっています。今回のビルボードライブ・ツアーは「渋谷系を歌う。」とは違いますが、渋谷系を牽引した信藤三雄さんがつないだアーティストたちが集うスペシャルなステージになるので、この貴重なチャンスをお見逃しなく!


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