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<インタビュー>手越祐也、お互いを認め合った者同士でコラボした『絆 -KIZUNA-』と2024年の展望を語る



インタビューバナー

 手越祐也が、2024年初のリリースとなるニューミニアルバム『絆 -KIZUNA-』を1月24日に発売する。今作は、手越が番組MCを務めるレギュラー番組『スペプラ手越』などを通して出会った6組のアーティストからの提供曲を、手越が歌い上げたコラボ作品。参加しているのは、ロックバンドBLUE ENCOUNTの田邊駿一、シンガーソングライターの眉村ちあき等、いずれも音楽シーンで存在を確立した個性豊かな面々だ。そうしたアーティストたちによる様々なテイストの楽曲を、手越は見事に歌いこなし、自らハーモニーも重ねて、ボーカリストとしての魅力を存分に発揮している。まさにアーティスト同士の化学反応が起こった作品と言えるだろう。それぞれの楽曲について詳しく訊くと共に、2月からのツアーをはじめとする2024年の活動に向けて、今回も雄弁に語ってもらった。(INTERVIEW&TEXT:岡本貴之)

多彩な提供曲で魅せる「歌」へのこだわり

――ニューミニアルバム『絆 -KIZUNA-』は、同世代のアーティストとのこれまでの交流を形にしよう、というのがコンセプトになっているわけですか。

手越祐也:たまたま同世代だったっていうのもありますけどね。僕がスペースシャワーTVでやってる音楽番組『スペプラ手越 ~Music Connect~』のゲストに同世代が来ることが多くて、そういう人たちと一緒にアルバムを作りたいから参加して欲しいなって声をかけたら、結局同世代が多くなった感じです。

――それにしても、みなさん良い曲を提供してくれていますよね。

手越祐也:そうですね、本当にありがたいです。

――「こういうアルバムにしたいから、こういう曲を書いて欲しい」みたいなリクエストって伝えたんですか?

手越祐也:あんまり指定しすぎると、そのアーティストの持ってる良さや、そのアーティストが思っているメロディーとかを阻害しちゃう可能性があるので、それは嫌だったんです。ただ、一番の危惧がそれぞれに曲をお願いしますって言ったときに、曲のコンセプトとか雰囲気が似た曲が集まる可能性があるということでした。だからなんとなくは、「こんな曲だったらいいな」とか、こういうテンポ感とか歌詞の世界観ぐらいはお伝えした感じです。

▲『絆 -KIZUNA-』全曲試聴ティザー

――では、1曲ずつ詳しく訊かせてください。まずBLUE ENCOUNTの田邊駿一さん作詞作曲の「everlasting」。田邊さんとは同い年ですが、どんな関係ですか。

手越祐也:彼は、真面目ですね。すごく明るいし、僕とステージやプライベートで喋っても会話のテンポも速いし、しょうもない会話をしてるんですけど(笑)、根はめちゃくちゃ真面目なタイプです。ツーマンツアーをやったことで、誰よりも発声練習していたり、仕事場での田邊君の真面目さがわかりました。僕はもうこのまんま、常に明るくて「イエーイ!」っていうタイプで、「何とかなるっしょ!」みたいな感じですけど、田邊君はしっかり準備するタイプというか。ちゃんと石橋を叩くタイプだと思います。

――熊本出身で熱い人なイメージがありますけど、結構繊細なところもありますか?

手越祐也:かなりあると思います。本番直前までずっと声出ししてるから、「なんでそんなにやるの?」って訊いたら、「声が出るかどうか不安だから」って言うんですよ。僕はもう逆で、「どうせ出るだろう」って思っちゃってるんで、そんな声出しもしないんだけど(笑)。

――かなり対照的ですね(笑)。

手越祐也:そうなんですよ。キャラは明るくて似てるんだけど、根っこに持ったものは結構対照的な気がしますね。だから、自分にはないものがあるなってお互い感じてると思いますよ。

――「everlasting」はどんなテーマで作られた曲ですか。

手越祐也:BLUE ENCOUNTの曲にあるような田邊君の言い回しとかは絶対欲しくて、そこはお願いしました。あとはミディアムロックがいいなっていうことぐらいです。そこから仮歌を送ってきてくれて、それを聴いて彼に直接、「こういうイメージなんだよね」ってやり取りした感じです。歌詞の世界観について田邊君は、「てごちゃんとHONEYYY(ファンの総称)のお互い支え合う関係や、今後も支え合って一緒に歩んでいくっていう、てごちゃんにとって大切な人を歌詞に書いた」って言っていて、まさにそういう歌詞になっています。

――すごくサビで世界が開けてくるような感じもあって、熱い歌ですよね。

手越祐也:そうですね。僕の歌い方も、一番の1コーラス目2コーラス目はまだ心が決まりきってないっていうような歌詞で、落ちサビの〈「怖くない」って言ってしまうと 嘘になってしまうけど あなたの笑顔を見ていたら ちゃんと信じようと思えるから 離さないようにずっと〉っていうところで、「よし、これから行くぞ」っていう決心をして、最後の転調サビは、割と声も張ってファルセットも使わずに敢えて地声でバーンッていう歌い方にしました。

▲『絆 -KIZUNA-』ジャケット写真 TYPE-A

――曲ごとにいろんなボーカルが楽しめるのも、今作の聴きどころだと思います。2曲目のBIGMAMAの金井政人さんによる「face to face」は1曲目とはまったく違う歌いまわしですね。

手越祐也:これは金井君が、今回すごく積極的に参加をしてくれて。「アルバムで曲を書いて欲しいけど、いろんな方々に楽曲提供してるから難しいですよね」って、ダメもとで個人的に連絡したら、「いや、そんなの関係ないっしょ」って言ってくれて。「俺、才能ある人が好きだから、ちょっと待ってて」みたいな感じで受けてくれたんです。そしたら数日後にデモが送られてきて、「超素敵じゃん!」と思って。僕のステージでの輝き方とか、聴いてくれる人が自分に歌ってくれてるような語りかける歌い方とか、普段、僕のボーカルで活きる、高いキーで「パンッ」って出る声のレンジ(音域)の部分じゃなくて、「今まで手越君がまだ魅力を引き出しきれていない部分の声のレンジとかも、聴いてみたらすごく素敵になると思うんだよね」みたいなところから、こういう曲になったんです。すごく艶やかでキラキラしている妖艶な曲なので、僕の声の出し方も地声で突くというよりは、抜けを作るというかわざとブレスを多めに取って入れながら、そこで軽く柔らかめのビブラートをかけるとか、普段と歌い方を変えたりしています。

――そういう歌い方をしているということは、登場する人物をイメージしているということですか。

手越祐也:登場人物は男性にも女性にもとれるけど、やっぱりちょっと女性的なので、〈見た目の綺麗には流行りがあるけど 心の綺麗には流行りはないでしょう?〉という歌詞のところなんかは、オクターブ上のちょっと女性っぽい歌い方を敢えて入れて、男性がオクターブ上で歌ってるというよりは、「ここは女性が歌ってるんじゃないの?」って思わせられるような声の出し方で歌う工夫をしました。

――以前から、歌い方へのこだわりはすごいですよね。コーラスワークも印象的ですが、これもご自分で重ねているのでしょうか。

手越祐也:そうです。僕の曲は全部、コーラスは自分でやってます。昔の事務所にいた時代から、自由にコーラスを入れたりハモ入れたりフェイクを入れたりしてた方なので。なかなかアイドル出身でそういうことやる人いないと思いますけど、僕は昔から結構好きでやっていたので、結構得意分野ではありますね。

――カラオケに行くと勝手にハモってくるタイプ?

手越祐也:ははははは(笑)。僕はもう、上でも下でもミドルラインでも3度下でも5度上でも、いくらでもやりますよ。

――ソロになってから、ボイストレーナーをつけてトレーニングしたりしているんですか?

手越祐也:今はやってないです。ボイストレーナーをつけたのは16~17歳ぐらいまでの1、2年間ぐらいで、それ以降も全部自分でやってます。逆に、今は僕が歌を教えている子たちがいっぱいいます、実は(笑)。お金は1円ももらってないですけど。

――ええっそうなんですか!?どんな人に教えてるんですか。

手越祐也:アーティスト、アイドル含めて男女問わず、特に最近はめちゃくちゃ教えてます。僕はこういう性格なんで、人生相談を受けることが多くて。アーティスト、アイドルは、やっぱり敵(ライバル)が少ないところで勝負した方がいいと思うんですよ。「だから絶対歌をしっかり歌える方がいいよ」って言うと、「教えてください」ってなるんです。それで30分で効く“手越メソッド”をチャチャチャッてやったら、絶対歌が上手くなるので。ただそれを公にしてお金を取ったりするのは絶対嫌だし、僕を頼ってくれる人の芸能人生を助けられたらいいなと思ってやってるだけですけど。ただ、その子たちがステージに立ったときに、「マネージャーに褒められました」とか、「全然歌い方変わったけど何かやったの?って言われました」とか言ってくれると嬉しいですよね。「自分の努力で上手くなったって言いなよ」って言ってますけどね(笑)。

――いやカッコよすぎですよ(笑)。

手越祐也:教えるのが好きなんですよ。それに、教えながら自分の歌も再認識できますしね。

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手越祐也「絆 -KIZUNA-」

絆 -KIZUNA-

2024/01/24 RELEASE
FLCF-4535 ¥ 2,500(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.everlasting
  2. 02.face to face
  3. 03.Lover
  4. 04.Gluttony
  5. 05.アダルトブルー
  6. 06.My Own Beat
  7. 07.Just Right (2023.11.11 手越祐也 BIRTHDAY LIVE 2023) -Bonus Track-
  8. 08.サイダー (2023.11.11 手越祐也 BIRTHDAY LIVE 2023) -Bonus Track-

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