Special
moumoon 『Chu Chu』インタビュー
moumoon初登場! Do As Infinityとの関係性や『Sunshine Girl』ヒットまでの物語と今示したいmoumoonの在り方について。理想の『Chu Chu』シーンを聞いたりして(赤面)YUKAがどんな女の子なのかも調査しました。これを読まずしてmoumoonは語れないっ!
Do As Infinityとの関係性~YUKAとMASAKIの出逢い
--当サイトはDo As Infinityの追っ掛けサイトとして有名なんですが、moumoonって2008年あたりにDo Asとライブしまくってましたよね? あれは何か理由があったんですか?
YUKA(vo):Do Asさんのご厚意です。私たちはその頃、カフェでのライブ活動を中心にしていたんですよ。満月の夜とか。それを観てくれたDo As Infinityのスタッフさんが多分お話ししてくれて、伴(都美子)さんと大渡(亮)さんが「いいよ」って言って下さったんですよね。私は学生の頃からDo Asさんを聴いていて、CDを買ったり、カラオケで歌ったりしていたから、すごく嬉しくて。あと、デビューする前に2人で武道館の【Do As Infinity -Final-】を観に行っていたんですよ。だから夢のようで。Do Asさんとライブさせて頂くまで大きな舞台に立ったことがなかったし、ガクガクガク……ってなりましたけど(笑)本当に良い経験をさせて頂きました。
--ちなみにYUKAさんとMASAKIさんはそれぞれどんなミュージックヒストリーを歩んで、このmoumoonに辿り着いたんでしょう?
YUKA:母親がピアノの先生だったのでクラシックから始まって、バイオリンから音楽をやるようになったんです。ただ「ポップな曲を歌いたい」と思うようになったのは、中学の文化祭の後夜祭で「コピーバンドをやろう」って言われたのがきっかけで。あと、聴いていた音楽は洋楽が多くて、一番最初に「うわぁ、格好良い」って聴いたのはオアシス。その他にもR&Bとかヒップホップとか、声がとても気持ち良い女性ボーカルも聴いてました。デズリーとか、アラニス・モリセットとか。初めてライブを観たのは、夏フェスのミシェル・ブランチ。ギターを掻き鳴らしながら歌う姿がキュートで、今も好きですね。
--自らもプロを目指したのは?
YUKA:高校2年生のとき、留学でアメリカへ行ってチアリーディングをやっていて。それから日本に帰ってきたら、本気で打ち込めるようなことがなくて、しばらくボーっとしていたんです。でも“大きいステージで歌っている”イメージがなんとなく浮かんできて、次の日にすぐ家から近いボーカルスクールを探して、そこのオーディションを受けに行ったんですよ。で、そこからの人の繋がりでMASAKIくんにも出逢ったんですよね。そこで出逢ったバンドをやっている人の先輩だったんです。
--では、MASAKIさんはその出逢いまでのストーリーを。
MASAKI:YUKAちゃんと似てるんですけど、母親がピアノを教えていたので、ピアノをよく好きで聴いていたんです。自分は「やりたくない」って全然弾かなかったんですけど。で、中学ぐらいに友達がギター弾いているのを見て「カッコイー!」と思い、親に半年ぐらい粘って買ってもらって(笑)それからずーっとギター弾いていましたね。当時はBOΦWYとかJUN SKY WALKER(S)とかをみんなコピーしていたんですけど、自分はなぜかPERSONZが好きで。なぜかって言うのも変なんですけど(笑)当時も女性ボーカルが好きだったんですよね。それからハードロックがだんだん流行り出して、ボン・ジョヴィとか、MR.BIGとか、エクスストリームとか、そういうバンドばっかり聴いてました。でも世の中がハードロックじゃない方へ行き出しちゃって。そこで音楽を好きじゃなくなっちゃったんだよね。
--(笑)。
MASAKI:ニルヴァーナとか、パール・ジャムとか、後になって聴いたら「格好良いな」ってなったんですけど、当時は全然嫌いで。だからオアシスから始まったYUKAちゃんとは完全に世代が隔てられてるんだよね(笑)。で、アメリカに1年行っていたことがあったんですけど、そのときにアラニス・モリセットがすごく売れてて。最初はすごく嫌いだったんですけど、聴いているうちに「かっこいいかもしれないな」って思って、そこからまたギターを弾くようになった。で、大学卒業してから「やっぱり音楽をやりたい」って曲をいっぱい作り始めて、いろんな人に歌ってもらったりしていたんですけど、全然上手くいかなくて。でもその中で出会ったYUKAちゃんが1曲歌詞を書いてくれて、録音してみたらピタッと合ったんです。自分のメロディを人が歌って初めてしっくり来た瞬間。それは最終的にインディーズで発表した『Flowers』になるんですけど。で、今に至る。
--YUKAさんもその最初に録音したとき、ピンと来るものはあったんですか?
YUKA:先輩が「MASAKIくんの曲が良い。好きだと思うから聴いてごらん」ってCDかMDをくれたんですよ。そこにはMASAKIくんの仮歌が入ってて、すごくポップなアレンジバージョンとディストーションが入ってる切ないバージョンがあったんです。それに「あー!来た!」と思って、学校から帰って聴いても「すげぇ!」って仁王立ちしてて。お姉ちゃんとかにも「凄い人がいたよ」って言って(笑)。それで「一緒にやりたいんですけど」って言ったら、歌詞を書いて歌入れさせてもらうことになったんですけど、それを聴いて「良い!」って。
MASAKI:そのときに詞を初めて書いたらしいんですけど、7,8割ぐらいはそのまま『Flowers』の歌詞になってるんですよね。それだけ良かったんです。
--デビュー当時はどんな心境の中で音楽活動やこうした取材などの仕事に向かっていました?
YUKA:デビュー当時は二十歳だったんですけど、とにかく慣れないことばかりでずっと緊張していて「胃が痛い」みたいな(笑)。
MASAKI:今でもお腹痛くなるけどね。
YUKA:君はお腹弱いからね。いつもヨーグルト飲んでる(笑)。当時はライブとかも難しいと思っていたし、インタビューして頂いても上手く曲の説明が出来なかったりとか、いろいろありました。でも曲を作っているときが楽しいっていうのは、その頃から変わらない。かっこいい曲が出来たら「良いよ!良いよ!」ってずっと褒めてる。そのテンションは変わらないですね。
Interviewer:平賀哲雄
ヒット曲『Sunshine Girl』以降に示したい姿勢
--自分は2007年12月リリースの1stシングル『Do you remember?』からmoumoonを知って、ライブも観させてもらっているんですけど、初期はUKロック寄りの音を奏でていましたよね。あれは2人の意向だったの?
MASAKI:そこは特に意識していなかったですね。そのとき「良いな」って思うものを作ってきただけで。
--なるほど。moumoonは曲を出す度にいろんな方向を向いていたから、自分はそれをいわゆる“模索”だと思っていたんですね。でもそもそも“ジャンルに拘らない”ユニットだったと?
MASAKI:何とも言えないですね。でもインディーズで最初にミニアルバムを出したときって、今の感じに近かったんですよ。だから去年出した『Sunshine Girl』も自分たちの中ではインディーズの頃に戻ったような感覚だったんです。「変わっちゃったね」って言われることもたまにあるんですけど、僕らからすると「1周まわったんだな」ぐらいの感じで。確かにメジャー1stフルアルバム『moumoon』でメインになっていた曲とは違うと思うんですけど。
YUKA:そのときに「聴いてもらいたい」と思った曲を出しているから、いろんな方向に行っているように見えるんだろうけど、やっぱりいろいろ試してみないと新しいものには出逢えないんですよね。だから私はそういう作業がすごく好きです。
--そこが結果としてmoumoonの面白さになっていると思うんですけど、昨年は『Sunshine Girl』のヒットがあって。故に今年3月にリリースした『15 Doors』を聴いて驚いた人も多かったと思います。
YUKA:なるほど。
--前半は『Sunshine Girl』的ウィスパーボイスが大半を占めますけど、突如『青い月とアンビバレンスな愛』の悲しみを背負ったエモーショナルな声や『ハレルヤ』の開放的なハイトーンボイスが響き出すじゃないですか。
MASAKI:確かに『青い月とアンビバレンスな愛』でビックリした人はいたと思う。
YUKA:「刺激的」と思ってもらえると嬉しいですね。『Sunshine Girl』を好きになって入ってきてくれた人たちに向けて「こんな世界もあるんだよ」っていうのを見せたいから、アルバムタイトルを『15 Doors』にしたぐらいなので。すごく明るくてポップで聴き易いと思って入ってきてくれた人たちに『ハレルヤ』とか『青い月とアンビバレンスな愛』とか、そういう苦しくて切なくてキュンキュンする曲を聴いてほしいと思うんですよね。スウィートだけじゃない部分も。
--僕もあのアルバムからは「いやいや、僕ら、ソレだけじゃないですよ」的なアティチュードを感じました。
YUKA:「もっといろいろあるんです」っていう気持ちが一番大きい。曲の作り方は変わらないから、これからもいろんな曲が出来てくると思いますし、次のアルバムを出すときも「こういうmoumoonも見てほしい」と思いながら作るんだろうなぁって。
MASAKI:moumoonにとって『Sunshine Girl』がメインの曲かと言ったら、僕らからするとちょっと違うんですよね。入り口としてはすごく良い曲だなって思うんですけど。
--古い例えですけど『ティアーズ・イン・ヘブン』でエリック・クラプトンを好きになった人が、ライブに行ったら『レイラ』が鳴り出してビックリした。そういう面白さとして感じてもらえると良いですよね。
MASAKI:良い例えだと思います(笑)。
YUKA:でも『Sunshine Girl』を「アネッサ」のCMに使って頂いたのは、本当に大きいチャンスだったし、そこでいっぱいの人が聴いてくれたので、嬉しかったです。あと、楽器の音とか、ボーカルの入れ方とか、いろんなことを研究して作った曲だったから、それは今にも生きてると思う。心地良い感じの作り方とか。それは今までも試してきたんですけど、あれだけ音がスカスカで、その間にボーカルがコン!って聞こえてくるようなミックスだったから「こうすれば、ちゃんと気持ち良く聞こえるんだ」とか、そういう勉強になりました。
MASAKI:あと「アネッサ」のCMってそれまですごく“夏!”っていう感じの映像だったんですけど、去年は涼しい印象の内容になっていて。だから前までの流れだったらmoumoonとは多分あんまり合わなかったと思うんですよね。そこは運というか、不思議な流れがあったんだなって。実際に『Sunshine Girl』を差し込んだCMの映像を観たとき「すごく良い」って自分たちでも思うぐらいマッチしていたので。
--そうしてヒット曲も生んだ今、moumoonが音楽を発信していく理由や目的って、どんなものになってるんでしょう?
YUKA:日常にあって一番楽しいものだし、作っているときが楽しいから、それをずっと続けたいですね。曲を作って、歌を入れて「あ、かっこよくなったぁ!」って感じたものを「聴いてほしいね~」って思う。その一連の作業が苦しいときもあるんだけどすごく好きだから。更に、ライブで曲がまた新たに生まれ変わったり、曲によってお客さんにはCDよりもっと強い印象を与えるものになったりもするから、より楽しいと思うし。それを続けていきたい。
MASAKI:ライブをいっぱいやらせてもらうようになって、観てくれている人の表情が変わる瞬間とかたくさん目にするんですよね。感極まってる表情とか笑顔を見ると、これは凄いことだなって。夢中になっている訳ですからね。だからこれからもそうなってもらえる楽曲を作っていきたいなって思います。と言いつつも、僕はそんなに客席は見てない方なんですけど、YUKAちゃんはお客さんの顔を覚えちゃうぐらい見てるんですよ。
YUKA:お姉ちゃんがいるんですよ(笑)。パパとかママとか見つけちゃう。
--他にも分かり易い夢や目標ってあったりしますか?
YUKA:武道館でライブがしたい。でも武道館のライブはちゃんと準備が出来て「さぁ、満を持してやろう!」って思ってやっても緊張するらしいから。だからじっくりと、たっぷりと準備して、武道館でガッツポーズできるようなライブが作れたら……っていうことを想像しています。いつも。
--それを目指していく中で、どんな音楽ユニットだと思われていきたいですか? 今はやっぱり『Sunshine Girl』のイメージが強いとは思うんですけど。
YUKA:女の子の目線で考えると、洋服着たり、メイクしたりってすごくテンションが上がる行為なんですよ。例えば、アイラインをピッて引くだけで1日が違うんです。そういう音楽ユニットになりたい。moumoonを聴いたら少し元気になってきて、いろんなことが楽しめるように切り替えられる。そういう魔法として聴いてもらえたら嬉しいなって思います。朝出かけるときに聴くとか。で、そういう感じを「良いな」って思ってくれた人が、すごく激しかったり、エモーショナルな曲を聴いて「あ、こんなところもあるんだ。好きだ!」って思ってくれたら、もう最高。
Interviewer:平賀哲雄
YUKAにとっての理想の『Chu Chu』シーン
--そこに向けての一歩になると思われるニューシングル『Chu Chu』(チュッチュ)、こちらの仕上がりにはどんな印象や感想を?
YUKA:今回はミックスしているときから、聴きながらずっと踊っていたんですけど(笑)。曲も演奏も聴いててすっごく元気が出て、歌詞を書いててもずっと楽しい気持ちでいれたので、そういうところに振り切って歌ったっていう感じですかね。不安なんてない、みたいな。
--そもそもどういう経緯で誕生した楽曲だったんでしょう。CMありきで生まれたんですか?
YUKA:『Chu Chu』は資生堂「マキアージュ」CMソングのお話を頂いてから作り始めた曲です。資生堂さんには何曲か聴いてもらったんですけど「この曲が良い」って言ってくれたので、それを広げていくことにして「キスの歌にしよう」と。楽しい、ウキウキする曲になりましたね。
--ある意味『Sunshine Girl』以上に振り切れてますよね。もうタイトルからして「マキアージュ」的だし、女の子だし、可愛いいっ!っていう。題材に対して迷いがない作品になっているなと感じたんですが、自身ではどう思われますか?
MASAKI:あんまり迷わずストレートな感じにしようと思っていたので、それは出来たかなと。今までの中ではかなりシンプルですね。その分、勢いは出たなって思っているんですけど。シングルにしては結構攻めた感じがしますね、自分たち的には。こういう曲も今まで1曲もなかった気がして「また違うことをやっているのかな」って思うんですけど(笑)。
--そもそも『Sunshine Girl』も王道ではなかったじゃないですか。日本のヒット曲の歴史に多分ないんですよ。確かに『Chu Chu』も日本ではあまり聴いたことのないタイプの曲ですけど、それが資生堂「マキアージュ」CMソングに選ばれちゃう。やりたいことをやってしっかり評価されるのは、今のmoumoonの面白さだし、強さですよね。
MASAKI:そうですね。自分の好きな感じの曲を作れてるんですよ。始まりは「こういうテーマだったから」なんですけど、結局はやりたいことをやってる(笑)。ただ、元々僕らは明るい楽曲が苦手だったんですよ。ミディアムテンポの曲ばっかりで。なのに『Sunshine Girl』も『Chu Chu』も今は楽しく作れている。
YUKA:私が初めて「こんな明るい曲でもゾクゾクするんだ?」って思ったのは、去年リリースしたミニアルバムの表題曲『SPARK』で。この曲を作ったときは「うわぁ!新しいぞ」ってドキドキしました。切なくてキュンとした曲が今でも好きなんですけど、そことはまた違うアプローチも楽しめるようになったのは新しい発見で。この曲『Chu Chu』もすごくそういう要素があるなって思います。
--そうした楽曲たちが今、YUKAという女の子のキャラクターの確立にも繋がっていますよね。今作のアートワークだったりのイメージにもしっかりとリンクしているし。実際、こういう世界観は好きなんですか?
YUKA:そうですね。憧れます。「こういうものに囲まれてみたい」とか。いつも歌詞に書いているのは「自分が思い浮かべたこんな世界は素敵だ」みたいなことだから。それはきっと自分にとっても理想で。例えば『Chu Chu』の主人公の女の子は楽しむ気持ちがいっぱいあって、世界中にキスしている感じ。本当に愛に溢れている女の子だから、自分で聴いたり歌ったりしているときも同じ気持ちになれる。
--そこが面白いですよね。CMに対して100%イメージの合った楽曲を生み出しておきながら、そのイメージはYUKAさんのキャラクターだったり、理想だったりもするっていう。
YUKA:そうですよね~。何ででしょう(笑)?
--という訳で、YUKAさんのキャラクターについてもう少し掘り下げたいんですが、実際のところはどんな女の子だったりするんでしょう?
YUKA:どんな女の子なんだろうなぁ。最近、思ったんですけど、自分が書いている歌詞の感じに入っちゃうから、感情の起伏が激しいものを書いているときはそういうモードだし、脳内物質から気持ち良いものがどんどん出てきちゃう曲を作っているときは“ふわぁ~”ってなってる。
--じゃあ『青い月とアンビバレンスな愛』のときにインタビューしてたら、こんな感じじゃなかったんですね?
YUKA:そうです。「アンビバレンスっていうのは!」みたいな。
--口調も変わるんですね(笑)。
YUKA:でもそういう意味では、今は太陽の下で“ふわぁ~”って気持ち良くなっている感じなんです。きっと曲に合わせて自分を吐き出しているから、曲の主人公と自分が統一できる。だからその度にいろんな人が自分の中から出てくるなぁって思います。
--では、最後に。YUKAさんにとっての理想の『Chu Chu』シーンは?
一同:(笑)
--これを聞かないことには帰れないです。
YUKA:うーん……。なんか、チュッっていうのが、可愛らしくて一番良いですよね。
--では、MASAKIさんは?
一同:(爆笑)
MASAKI:うーん……、難しい質問ですね。普段考えないことですよね?
--普段考えないです。自分、この質問されたら嫌ですもん。
MASAKI:(笑)。でも爽やかなのがいいですよね、確かに。朝とか。
YUKA:朝とか!?
--ありがとうございました!
Interviewer:平賀哲雄
関連商品