ジェンダーギャップに関するアンケート調査
続いて、2つ目の調査はジェンダーギャップをテーマにしたアンケート結果だ。ビルボードライブの来場者721人に対し、アンケートを行った。まず、回答者の性年代および職業は以下の通り。なお、以下の通り回答者の各性年代の人数は異なるため、アンケート結果を分析する際に、カイ2乗検定など統計学的な手法を使用し各質問項目の相関関係を検証した。
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Q1.普段の生活で、ジェンダーギャップを感じることはありますか?
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年代別に見ると60代以上より、20代や30代の方がギャップを感じているという結果になった。なお、性別によって感じ方に大きな違いは見られなかった。
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また職業別に比較すると、専門職が最もギャップを感じており、無職および会社役員は最もギャップを感じていないという結果になった。ただ、いずれも68%~80%がギャップを感じていることから、職業によって感じ方に大きな差は見られなかった。
Q2.どのような場面でジェンダーギャップ(男女格差)を感じますか?(複数回答可)
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ジェンダーギャップを感じる場面について、男性が最も感じるのは「仕事の内容」であり、次いで「昇進や給料など、仕事における待遇面」だったのに対し、女性は「家事の分担」が最も多く、2番目は男性と同じく「仕事における待遇面」、3番目は「子育て」という結果に。比較的、男性は仕事について、女性は家庭と仕事の両方でギャップを感じていることが分かった。
Q3.「男性(女性)だから」「女性(男性)らしさ」という固定概念やプレッシャーにより、生きづらいと感じることはありますか?
「男性だから」「男性らしさ」という固定概念やプレッシャーにより、生きづらいと感じることはありますか?
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「女性だから」「女性らしさ」という固定概念やプレッシャーにより、生きづらいと感じることはありますか?
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「男性だから」「男性らしさ」という固定概念やプレッシャーにより、生きづらいと感じることはありますか?(年代別)
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「女性だから」「女性らしさ」という固定概念やプレッシャーにより、生きづらいと感じることはありますか?(年代別)
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生きづらさに関する質問については、男性は「いいえ」が多い一方、女性は「はい」が多いという異なる結果に。
さらに年代別にみると、男性は年齢を重ねるにつれて、生きづらさを感じる人が減少し、女性は30代、40代が生きづらさを最も感じていることが分かった。
「男性だから」「男性らしさ」という固定概念やプレッシャーにより、生きづらいと感じることはありますか?(職業別)
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「女性だから」「女性らしさ」という固定概念やプレッシャーにより、生きづらいと感じることはありますか?(職業別)
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また、職業で見てみると会社員・会社役員は、男性より女性の方が生きづらさを感じており、他の職業は生きづらさについて性差は見られなかった。Q2とQ3の回答を照らし合わせると、男性より女性の方が生きづらさを感じており、30~40代の家庭と仕事の両面におけるジェンダーギャップが要因となっているようにみえる。
Q4.日常生活において「女性(男性)であること」が、どう影響すると感じていますか?
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日常生活において「男性であること」が、どう影響すると感じていますか?(年代別)
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日常生活において「女性であること」が、どう影響すると感じていますか?(年代別)
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男性よりも、女性の方が、自身の性別を不利だと感じていることが分かった。また年代別に見てみると、男性は30代と40代は「やや有利になる」と「とても有利になる」と感じている人が半々だったが、50代、60代と年齢が上がると「やや有利になる」と「とても有利になる」の方が多い結果になった。一方、女性は、20代は「やや有利になる」と「やや不利になる」が半々だったが、30代になると、「やや不利になる」と「とても不利になる」の合計が78%という結果に。それ以降も、不利になると感じている人が半数以上を占める結果になっている。
「男性(女性)だから」「女性(男性)らしさ」という固定概念やプレッシャーにより、生きづらいと感じることはありますか?
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最後に、これまでの3つの質問の相関関係を見てみると、ジェンダーギャップを感じている人は、感じていない人に比べて、生きづらさを感じている人が多かった。そして、男女ともに生きづらさを感じている人は自分の性別を不利だと感じている人が多いことから、生きづらさと、ジェンダーギャップには相関性があることも分かった。
これまでの調査結果から、ライフステージの変化が起きやすい30代の女性のうち70%、男性の64%が生きづらさを感じていたこと、1つ目のアンケートに回答した企業に所属する30代は女性が57%、男性は43%を占めていたことから、レコード会社に所属する30代の約67%が生きづらさを感じている可能性があると、推測できる。
また世界の音楽市場では、デジタルの売上が全体の7割を占める一方、日本はストリーミング売上が増加しているとはいえ、いまだCDが過半数を占めている。そしてCDセールスの多くはボーイズグループの作品が占めており、彼らを支えるファンダムの中心は女性だ。ビルボードでは、女性アーティストのライブやメッセージを通じて、この【Billboard Women In Music】に取り組んできたが、女性をエンパワーする方向と実態に、ねじれが生じているかもしれない。女性であることに生きづらさを感じているのであれば、それは大きな社会的損失だ。そして、それを解決することに対しては、男性にとっても女性にとっても異論はないのではないだろうか。そのためのアクションは、どうあるべきだろうか。
ビルボードジャパンでは、このような調査の発信も含めて、この問題に向き合い、様々な取り組みを行っていく。
ビルボード・ジャパン・ウィメン・イン・ミュージック イベント情報
【Billboard JAPAN Women In Music vol.2】
2024年2月8日(木) 東京・TOKYO DOME CITY HALL
18:00開場/19:00開演
出演:家入レオ、加藤ミリヤ(※五十音順)
指揮:齋藤友香理
管楽器:東京フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ
チケット:S席10,500円、A席9,000円(ともに税込)
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