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<インタビュー>目標は「YOASOBIを楽しく続けていくこと」――「アイドル」とツアーを経て、新章の始まりを予感した2023年を振り返る
Interview:Takuto Ueda
Photo:辰巳隆二
2023年のビルボードジャパン各種年間チャートの結果が発表された。CDセールスやストリーミング、動画再生回数などを集計した総合ソング・チャート“HOT 100”で首位となったのは、YOASOBIが2023年4月にリリースした楽曲「アイドル」。
TVアニメ『【推しの子】』のオープニング・テーマとして書き下ろされた同曲は、ほかにも“HOT Animation”や“TOP User Generated Songs”などを含めて、計5種類のソング・チャートで首位を獲得した。さらに、ソングとアルバムを合算したアーティスト・チャート“Artist 100”ではYOASOBIとしてトップに立ち、史上最多となる6冠を達成している。
「アイドル」は日本国外でも多くのリスナーを獲得。これがきっかけとなり、8月には米LAでの海外公演も実現した。4月から6月にかけては全国7都市を巡るアリーナツアーも開催したYOASOBIにとって、2023年はまさしく舞台上が挑戦の場だった。数々のライブの経験を重ね、いよいよ“最強で無敵”のJ-POPユニットになりつつあるYOASOBI。激動の1年間をじっくり振り返ってもらった。
止まった歯車が動き出しそう
――「アイドル」が“Hot 100 of the Year 2023”を含む5部門で首位、さらに“Artist 100 of the Year 2023”ではYOASOBIが首位を獲得し、計6冠を達成されました。まずは率直な感想をお願いします。
Ayase:本当にうれしいです。これのために頑張ってきたと言っても過言じゃないので。もちろんチャートのために音楽を作っているわけではないけど、一昨年も去年も惜しくも2位で、敗北感みたいなものはすごく味わったし、いつの間にか「ここで1位を獲らなきゃ前に進めない」みたいな気持ちになっていて。ようやく僕の止まった歯車が動き出しそうです。
ikura:私も本当に同じ気持ちですし、3年目で1位になれたということは、YOASOBIが前に進み続けている、更新していることの結果でもあると思うので、それを実感できてうれしいです。

――ランキングの結果以外で、自分たちが前に進み続けていることを実感できたタイミングはありましたか?
Ayase:今年はアリーナツアーですね。あとはLAのフェスにも呼んでいただいたり、ライブは自分たちの成長を実感できる機会でした。それによって、僕らもちゃんとYOASOBIを楽しめるようになってきたというか。
ikura:うん、なってる。
Ayase:忙しい日々に食らいついていくような意識から、自分たちがYOASOBIをちゃんと操縦しているという気持ちになれて。今年はそれも大きかったと思いますね。
――YOASOBIとの向き合い方も変わった?
Ayase:昔は家で一人で曲を作って、スタジオに入って、ikuraに歌ってもらう、みたいな業務分担をしている感じがあって。それぞれがやるべきことを頑張って、いざ集めたときに「どうかな?」みたいな感覚が強かった。でも、ツアーを通して、みんなで一緒にいる時間も増えたし、僕らもチームの人間のことをより知ることができて、どれだけ大勢のスタッフさんたちと一緒にYOASOBIを動かしているかという実感につながりました。自分たちの中にあった感覚の差みたいなものが、ようやく最近になって埋まってきているような感じがあります。
ikura:たぶん二人とも、今年はYOASOBIとの向き合い方が一番変わった1年だったと思います。自分がYOASOBIのikuraであるということを感じられたし、ライブなどを通して、何百人、何千人という人たちと一緒にYOASOBIという大きな宇宙船に乗って、一緒に夢を目指しながら、その先頭に立って歌を届けていく。そういう自分の役割を理解したうえで活動を楽しめた1年でした。

――ツアーを振り返って、特に印象に残っている場所はありますか?
ikura:福岡はみんな激アツだったよね。
Ayase:そうだね。
ikura:Ayaseさんの地元も近かったし、バンドメンバーのふるさとっていうのもあったし。
Ayase:家族とか昔のバンド時代の先輩や友達が大勢来てくれたり。ちゃんとYOASOBIのライブを見せられたのはうれしかったです。
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