Special
<インタビュー>angela×蒼井翔太、劇場版『はめふら』の世界を俯瞰して共作した「晴れのちハレルヤ!」の魅力とは
Interview & Text:成松哲
Photo:筒浦奨太
Hair & Make-up(angela):フリンジ(Fringe)
Hair & Make-up(蒼井翔太):小泉七穂
Styling:ヨシダミホ
衣装協力:atsuko/ワンピース ¥95,700(ADELLY/Office surprise)
12月6日、angela×蒼井翔太のシングル『晴れのちハレルヤ!』がリリースされた。
タイトル曲は12月8日から全国公開される劇場版『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(『はめふら』)の主題歌。これまでangelaは2020年にテレビ放送された『はめふら』第1期と、2021年放送の第2期にオープニング主題歌を提供しており、蒼井はアニメに出演するとともに、第1期、第2期のエンディング主題歌を担当していた。
そんな『はめふら』にゆかりの深い2組がコラボレートして生み出したのは、往年のミュージカル映画の劇伴を思わせるビッグバンドジャズ仕立て。angelaのギタリスト・KATSUの繰り出す、とにかくブライトなアレンジに乗せて、ボーカリスト・atsukoと蒼井は、恋することや世界や音楽をどこまでも祝福する言葉を紡いでいる。人気アニソンアーティストと人気声優アーティストはなぜタッグを組んだのか? この徹底的にハッピーな1曲はいかにして生まれたのか? atsuko、KATSU、蒼井に聞いた。
「angelaさんの『はめふら』楽曲の世界に飛び込みたい」
――今回のコラボレーションはどのようないきさつで?
KATSU:翔ちゃんがangelaのことが好きだから始まった企画だと聞いています(笑)。
蒼井翔太:もちろんもちろん! 声優・蒼井翔太になる前から楽曲は聴いていたし、カラオケでもたくさん歌わせてもらっていました。angelaさんは、本当に好き以外のなにものでもない僕の大先輩ですから。
――だからangelaとタッグを組みたい、と?
蒼井:そうですね。TVシリーズの『はめふら』のオープニングテーマをangelaさんがずっと担当していらっしゃって。僕はジオルド(・スティアート)という役で出演するのと同時にエンディングテーマを歌わせてもらっていたこともあって、毎週テレビから流れてくるangelaさんの曲を聴いては「いいな」と思っていたんです。そうしていたら「『はめふら』が劇場版になるかも」という話を耳にすることがあったから「音楽はどうなるんですか?」「angelaさんと一緒に歌ってみたいです」とお話しさせていただいた結果、夢が叶いました。
――ただ、蒼井さんがTVシリーズの『はめふら』に提供した楽曲は「BAD END」と「give me ♡ me」。どちらもシリアスで、対するangelaの『はめふら』楽曲は「乙女のルートはひとつじゃない!」と「アンダンテに恋をして!」。とにかく陽気でアッパーでした。蒼井さんはコラボすることでangela的な楽曲を目指したかった? それともまったく新しいものを生みたかった?
蒼井:前者ですね。angelaさんとの最初の会議のときにも「angelaさんの『はめふら』楽曲の世界に飛び込みたい」というお話をさせていただきましたし。
――一方、angelaのおふたりは蒼井さんの『はめふら』楽曲をどう聴いていました?
atsuko:翔太君は“蒼井翔太”として「BAD END」と「give me ♡ me」を作ったのかもしれないけど、私たちは勝手に楽曲にジオルドを重ね合わせていて。どちらもクールでカッコいい感じがすごく翔太君っぽくもあるし、ジオルドっぽくもあるな、と思っていました。
蒼井:確かに2曲ともジオルドとしての思いは乗せていました。『はめふら』のスタッフさんからは「エンディングテーマは基本的に自由に作ってください」と言われていたんですけど、ジオルドを演じていることだし、ジオルドと蒼井翔太、どちらの曲とも取れるようにしたいな、と思っていて。ジオルドの中にはカタリナ(・クラエス)という大切なヒロインを誰にも奪われたくない、独り占めしたいという思いや、ほかのキャラクターへの嫉妬心があるんだけど、それって普段の自分たちも共感できることなんじゃないか? ということで、まず「BAD END」を作らせてもらいました。
KATSU:そのタイトルもいいんですよね。僕の思うアニメのヒットの法則というものがあって、それはオープニング主題歌とエンディング主題歌のタイトルが結びついているというものなんですけど……。
「BAD END」
「give me ♡ me」
――あっ、僕、第一期を観て笑いました。アニメの冒頭で「乙女のルートはひとつじゃない!」って言っていたのに、25分後には「BAD END」って言い出したぞって(笑)。
KATSU:「結局破滅エンドじゃん」っていう(笑)。でもそれって2曲で1つのアニメ作品を支えているということだし、さらに我々が「アンダンテに恋をして!」を提供したテレビアニメ第2期のエンディングは「give me ♡ me」。恋や愛を歌うという意味でつながっていたんですよ。それってつまり翔ちゃんも我々と同じような思いを込めて『はめふら』楽曲を制作していたってことだと思っているし、だからこそ「BAD END」も「give me ♡ me」も半分自分たちの曲みたいな感覚すらあるんです。で「劇場版『はめふら』の主題歌はangelaと蒼井翔太で共作しましょう」という話になったので、僕としては来るべくして来たものという感じでしたね。
――じゃあ蒼井さんのラブコールがプレッシャーになったりはしなかった?
atsuko:翔太君が最初から「絶対楽しいに違いない!」という姿勢で話をしてくれていたので、逆にその前向きさに勇気づけられました。それに「晴れのちハレルヤ!」のアレンジのアイデアみたいなものは「乙女のルートはひとつじゃない!」を制作する時点からあったんですよ。KATSUさんはそのころから「アメリカンなビッグバンドみたいな楽曲にしたい」と言っていましたし。ただ『はめふら』は中世ヨーロッパの貴族社会をモチーフにした作品だったので、ビッグバンドというアイデアはいったんナシにしていたんです。
――そのビッグバンド構想が『はめふら』劇場版の制作を期に花開くことに?
atsuko:「TVシリーズ第1期、第2期があった上での劇場版だからちょっと毛色を変えてもいいんじゃない?」「大団円だから今まで以上にハッピーな曲にしたい」、そして「せっかくだから翔太君と一緒に歌詞を書いたら面白いものができると思う」という提案をすべて全部形にさせてもらった結果が今回の「晴れのちハレルヤ!」なんです。
KATSU:しかもatsukoはatsukoで「アンダンテに恋をして!」を作っているときに「ハレルヤ」というフレーズを使いたかったけど、メロディやアレンジの都合もあって入れられなくて。だから「晴れのちハレルヤ!」はangelaにとって『はめふら』楽曲の集大成的な意味もあるんです。実際、今回はatsukoの「ハレルヤ」スタートで曲を作り始めてますから。
【12.8(金)公開】【はめふら】劇場版『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』特報映像
――「『ハレルヤ』スタート」?
KATSU:「曲を作ろうぜ」ということで一緒にスタジオに入った時点でatsukoが「ハレルヤ」という言葉とそのフレーズが出てくるメロディラインを持ってきていて、そこからアイデアを膨らませて作曲していきました。
atsuko:ビッグバンドジャズなら跳ねるリズムだろう、ということでまず鍵盤でそういうメロディを弾いて、そこに肉付けする作り方をしていて。たとえば劇場版『はめふら』には少しオリエンタルなテイストがちりばめられていたので、ちょっとアジアっぽいテイストを入れてみよう、とか、そういう半分思いつきのようなアイデアを箇条書きみたいに並べて、それをひとつのメロディにまとめあげた感じですね。
![](http://www.billboard-japan.com/common/special/interview/231130_AA/img/1103_7998.jpg)
- < Prev
- 「“ジオルド”だから書ける歌詞」
- Next >
リリース情報
シングル『晴れのちハレルヤ!』
- 2023/12/6 RELEASE
<アーティスト盤(CD+Blu-ray)>
KIZM-785〜786 2,200円(tax in.)
<アニメ盤(CD only)>
KICM-2146 1,430円(tax in.)
250