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<インタビュー>NOA、新曲「between」は新しいチャプターの序章



NOAインタビュー

Interview: Mariko Ikitake
Photos: Yuma Totsuka

 NOAの約5か月ぶりの新曲「between」が配信中だ。9月に有明アリーナで2日間にわたって開催された自身最大規模のライブ【NOA“NO.A”TOUR SPECIAL LIVE IN ARIAKE ARENA】で披露されていたこの曲は、大人のすれ違いを描いたラブソングで、彼の新しい一面を見せてくれる曲でもある。

 今年2月の1stアルバム『NO.A』リリース以降、2度のワンマンライブ、アジア4都市をまわる初の海外ツアー、米エレクトロ・デュオ=joanとのコラボ発表、写真集発売など、止まることなく走り続けるNOAの名前は、着々と知れ渡ってきている。彼の目が自信に満ち溢れているのは、異国でのライブ前に抱えていた不安が自信へと変わり、短期間の成長を自ら体感したことで、自分の可能性と未来図をしっかりと捉えられているからだろう。

――前回のインタビューで、『NO.A』はEX THEATER ROPPONGIで開催する自身初の単独ライブを想定して作ったとおっしゃっていました。ライブ演出まで手がけたそうで、本番に向けてどう準備を進めていきましたか?

NOA:ライブで表現したいことが、それこそアルバムを作っているときから、ある程度、頭の中にあったので、意外とそれを形作るのに時間はかからなかったです。あの会場で想定していたものは全部、再現できたかなと。後ろにヴィジョンもあったので、曲の世界観により入りやすかったと思いますし、逆にこういう世界観なんだって発見もあったと思うので、ライブならではの楽しみ方を届けられたと思います。

――1曲目は「It Ain't Over」で、雷のような映像とともに、ここから始めていくっていうNOAさんの気合いを感じられたパフォーマンスでした。

NOA:実はSEも作ったんです。皆さんが持っている僕のイメージを一回取っ払いたいというか、こういう面もあるっていう強気な部分を演出したかったので、音作りのときから自分の頭の中では「こういう音にしたい」って決まってました。「Step Back」の後の(ダンサーの)TEAM NOAだけのパートも急遽作りました。TEAM NOAをフィーチャーさせたかったので、あの場面を作ることができてよかったです。

――もちろんご自身にフォーカスしてもらいたいけど、自分だけじゃなくチーム全体にスポットライトが当たるように考えているんでしょうか?

NOA:そうですね。そもそもアーティストとバックダンサーっていう関係が好きじゃなくて……よく「ソロって大変ですよね?」って聞かれるんですけど、どちらかというと、チームとしてステージに立ってる感覚で。“僕とバックダンサー”ではなく、“僕たち”を見てほしいっていう気持ちが強いんです。NOANA(ファンの愛称)の中にはTEAM NOAのファンの子もいて、「イベントにNOANAが応援しにきてくれた」ってメンバーからも聞きます。僕もTEAM NOAのファンでもあるので、こういうものをライブで見てみたいっていう願望から「Step Back」のリミックスを作ったんです。

――「It Ain't Over」はダンスを見てもらいたい、ダンサーの人たちに踊ってもらいたいとおっしゃっていましたし、NOAさんを通じてダンスを楽しむ人が増えているのも確かですね。

NOA:有明で「Step Back」を一緒に踊るダンサーのオーディションもしたんです。そのオーディションで、もともと僕が願っていた「ダンサーに踊ってもらえる自分の音楽」が広がっていくのを実感できたし、それぞれ違う解釈で個性も違ったので、参加者全員がカッコよかったです。EX THEATERからレベルアップした場面を見せることができました。

――その後、念願の海外公演となるアジアツアーも開催されました。いかがでしたか?

NOA:(海外公演を)こんなにすぐにできると思ってなくて、嬉しかった反面、海外にもファンがいらっしゃることはデビュー当時から知っていて、待たせてしまった時間があまりにも長かったので、まだ待っていてくれてるのかなっていう不安と実際にうまくできるのかっていう不安がありました。でも、本当にファンの皆さんが盛り上がってくれて、緊張や迷いが一気になくなって本当に楽しめました。

――アジアツアーでどんなものを得ましたか?

NOA:会場ごとに作りや環境が違うのもいい刺激になったというか、本当に緊張感を持って毎公演できたので、学んで得たものが多かったです。アジアツアーから帰ってきて、リハ映像とツアーの映像を見比べても成長を感じたほどだったので、早くそれを有明で見せたいっていう気持ちが強まっていきました。実際、アジアツアーで学んだことを有明で100%活かせましたし、「めっちゃアップグレードしてた!」っていうメッセージをたくさんいただいたので、嬉しかったです。

――4か月の間に会場の大きさもキャパも倍以上になりましたよね。アジアツアーで掴んだものを有明で発揮できたとのことですが、それは演出面でしょうか? それとも内面の部分でしょうか?

NOA:どちらもです。(アジアツアーで)自信が付きましたし、だからこそ、パフォーマンスの面で「こういうことをやってみたい」っていう発想にもつながりました。言語が違うのに一体感を生み出せたので、どうやったら有明アリーナの規模で一体感を生み出せるかを考えながら、リハもしました。今年の頭にさいたまスーパーアリーナで開催されたイベントでライブをやった経験はあったんですけど、自分のライブではなかったし、数曲だけだったので、これを自分だけで、自分の曲だけで2時間もやるって考えたら、体力的にもどうなんだろうって。正直、ダンサーだけでやる曲だったら、何の心配もないんですけど、1人でアコースティックの曲をやるパートでは、1人であの大きいステージと空間を巻き込まなきゃいけないので、そんなことできるのかなって。でも、いざ本番を迎えたら、NOANAのおかげで一体感が生まれましたし、僕自身、逆に会場が大きくなったからか、自分の体の動きが無限になった気がして、いろんなアドリブも出てきて、すごく楽しかったっていう思い出が残っています。

――アコースティックのパートでも、いつもとは違う自分を見せることができたんですね。

NOA:今、自分ができることを全て見せたいっていう思いだったので、全部見せられたかなとは思ってます。

――有明のライブで持ち札は全て出し切っちゃいましたか?

NOA:いや、まだまだいっぱいあります。あの日見せたものをアップグレードさせて、またどこかでそれを見せたい気持ちもありますし、あれから気持ちは切り替わってて、次に向けて既にいろんなことを考えてます。

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――有明のライブで新曲「between」を初めて披露されたとのことで、曲を書いているときとレコーディング、ライブ当日は全く違う気持ちで歌うことになったのではないでしょうか?

NOA:この曲もパフォーマンスも含めて、すごく自信があったので、言い方はちょっと悪いですけど、「見せつけてやる!」っていう気持ちだったかもしれないですね。とにかくNOANAをキュンキュンさせたいって思ってましたし、今のところ満足してます。初披露という場でもあったので、皆さんの記憶に残るものにしたいというか、驚いてほしいっていう思いがあったので、そっちも重視して歌いました。


――この曲は『NO.A』でもご一緒していたSUNNY BOYさんと常楽寺澪さんと一緒に作られています。ベースはNOAさんが作って、それをSUNNYさんと常楽寺さんにブラッシュアップしてもらったんでしょうか?

NOA:そうですね、この曲のベースは2019年に作ったものなんです。有明アリーナで新曲を披露することはアジアツアー中に頭の片隅にあって、ライブでメンズだけで踊る曲が「Don't Waste My Time」しかなかったので、もう一曲、そういう曲を作りたいと思いついたところから手を付けました。初めの段階から大人っぽさとかラブソングっていうイメージがあって、もともと好きで作っていた2ステップとかディープトランスが最近はやってきているので、「そういえば、そんな曲もあったな」って思い出して、2019年に作ったこの曲をSUNNYさんと一緒にブラッシュアップして仕上げました。

――実際に取りかかりはじめたのはいつ頃でしょうか?

NOA:たぶん、7月ですね。ライブ直前に完パケしたくらい、すごいスピード感で作りました。歌詞の内容ができる前に“between”っていうタイトルができたので、駆け引きの要素を常楽寺さんに伝えて歌詞を書いていただいて、僕とSUNNYさんで英語に変えていきました。

――掴み切れない女性の心に戸惑う様子から、最後は別人のようにリードしていく姿が印象的でした。このラップの部分……NOAさんですよね?

NOA:そうです!

――別の人が歌ってるのかと思うぐらい、今まで聞いたことのないNOAさんの歌声だなと思いました。

NOA:featuring NOAになっちゃいますね(笑)。そう言ってくださって嬉しいです。そのラップのメロを作ったのがSUNNYさんで、SUNNYさんのフローをそのまま活かしてます。ガイドで歌ったのもSUNNYさんなんですけど、僕、SUNNYさんの歌い方を丸コピしたんですね。僕がしない歌い方なので、いい意味で僕っぽくないんだと思います。

――いつも実体験をもとに曲を書いているとおっしゃっていましたけど、今回も?

NOA:今回は、実体験というよりかは、今までの経験からすれ違いに似たものを探して、テーマに落とし込んだ感じですね。ただ「好きだ」って歌う曲じゃつまらないと思ったし、ちょっとした駆け引きだったり、気持ちのすれ違い、なにか問題があるからこそ強気になったり弱気になったりするみたいな、感情が行ったり来たりするほうが、すごく人間っぽいっていうか。そういう部分を書きたかったんです。大人っぽい歌詞にR&Bだと色っぽくなりすぎちゃうと思って、あえて2ステップにしたのは、乗りやすさ、さわやかさをイメージしてほしかったから。ビートはそのくらいにして、歌詞でちょっと攻めてみました。

――ダンスは、ご自身で考えられたんですか?

NOA:今回はDot.のおふたりに依頼しました。おふたりとは「Lonely Hearts」をEX THEATERで披露するための振り入れで初めてご一緒したんですけど、すごくカッコよかったんです。しなやかできれいな動きが今回の曲にぴったりだと思って、すぐご連絡しました。

――ライブや新曲制作の合間には、joanの「superglue」の日本語バージョンを発表されましたが、こちらはNOAさんのスタイルとは違うリズムですね。

NOA:自分からはなかなか生まれないものができて、すごく新鮮でしたし、とても光栄なことだったので、いろいろ勉強させてもらいました。(2022年に「so good」を)カバーしたときは、当然ご一緒できるなんて思ってもなかったし、(彼らの)アルバムの大事な曲を、こういうバージョンでリリースできるなんて、めちゃくちゃ光栄でした。しかも、二人が来日した際には一緒にステージで「superglue」を歌う機会に恵まれて……本当にいろいろな夢が叶った一年でした。

――将来の目標として挙げていた演技や海外ツアー、海外アーティストとのコラボが、現時点で全て実現していますね。

NOA:チャンスを逃したくないっていうのはもちろんあります。ただ、本当につくづく思うのは、NOANAの皆さんのおかげというか……joanとのコラボも、僕のカバー動画をNOANAがjoanに送ってくれたことで、ふたりが気付いてくれて実現したんです。決して僕一人で叶えているわけではなくて、NOANAのおかげなので、すごく感謝していますし、これからも一緒にいろんなことを叶えていきたいですね。

――意外にも、世界は遠そうで遠くないようですね。

NOA:SNSのおかげで、本当にいくらでもつながれるというか、自分がどれだけアピールできるかにかかってくると思うんです。2年前の自分に今の自分のことを話しても信じてもらえないと思うんですけど、本当に想像していなかったこと、夢とか目標がこの1年でこんなにも経験できたので、今後もそういうことがたくさん待ってると思うと、これからの自分が楽しみです。

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『NO.A』を超えるアルバムになる

――NOANAからの気持ちは直接SNSで届いていると思いますが、どれぐらい把握されてるんですか?

NOA:できる限りはチェックしてますし、それこそ少し前にU-NEXTで有明アリーナのライブ配信されたときは、配信スタートと同時にみんなからの反応を見ることができました。配信だと繰り返し見られるっていう点で、「こんなとこあったんだ」とか、「ここ、めっちゃ良かった」っていう感想をたくさん投稿してくれて、そういうものはできる限り、全部見ました。ライブ当日もいろいろレポしてくれているのも知っています。

――SNSは見たくないところも、いろいろあったりすると思いますが。

NOA:最近は良くも悪くも吹っ切れてるというか。それこそ「BURN」を書いた頃は、自分が見たくないものも全部見ちゃってたときだったので、ああいう曲ができたんです。今も(ネガティブな投稿を見ると)落ちつきはしないですけど、ある程度はシャットアウトできるようになりました。それに、ずっと応援してくださってる方たちは絶対に僕の姿を見てくれているので、そういった方たちを大切にしようっていう気持ちのほうが大きいですね。

――そこも確かな自信に変わったんですね。8LOOMの活動から、大きな会場での単独ライブの成功まで、ここ1年の自分の成長度合いにNOAさん自身は追いついていますか?

NOA:目の前で起きている出来事と自分自身がうまくかみ合っていない感覚は正直たまにあります。有明アリーナのライブは、本当にやりたいことが全てできたっていう満足感も達成感もあるんですけど、自分の実力やスキルの部分ではまだ足りないところがあるので、そこに対する不安はあります。去年の今頃はドラマ(『君の花になる』)を撮っていて、8LOOMの活動が始まってから、環境がいろいろ変わりました。今年の1月の自分は今の自分の姿を想像できていなかったです。『NO.A』をリリースしたときに、やっとデビューしたっていう気持ちだったので、その『NO.A』のチャプターが終わって、第2章がもう既に始まっているとしたら、来年に向けて、とにかく今は一生懸命走ろうって思っています。

――今は走り続けることが大事な時期なのかもしれないですね。

NOA:止まるのが逆に怖いっていうか。何かが止まったとしても、自分が走っていればどうにかなるのかなって。以前よりももっと練習しなきゃって思っているし、とにかく自分を磨かなきゃいけない時期なんだと思います。有明の配信を見ても、惜しい、まだまだ足りないって思ったので、どう変わっていくかは自分次第っていう気持ちで、それも考えるとこれからの自分が楽しみです。次のライブ、アルバムでどれだけ成長した姿を見せられるか。とにかくいろんなことが楽しみです。

――変わらず曲作りも続けているんですか?

NOA:もう次のアルバムに向けて、曲作りは進めています。その始まりに向けた作品として「between」を聴いていただけたら嬉しいです。着実に成長しましたし、『NO.A』を超えるアルバムになるっていう自信はあるので、ライブも前回を上回ることができると思います。

――自分で自分の成長を実感できているのはいいことですね。自分の可能性を把握できるという点でも。

NOA:アップグレードしなきゃっていう気持ちがずっとありますし、ライブや経験を通して、大事なものを着実に得ている感覚はあるので、それを大事に、次に活かせたらいいですね。

――来年1月にはファンミーティングを控えていますが、昨年3月のお誕生日にやったような、歌ありトークありのような内容でしょうか?

NOA:あのときのファンミは、正直ほぼライブみたいな感じだったので、今回はもうちょっとファンミならではの企画だったり、アリーナよりも距離感が近くなるので、ファンの皆さんとの距離がもっと縮まるようなことを考えています。FIELD TRIP(遠足)がテーマで、今回TEAM NOAのメンズ4人と一緒にまわるので、僕たちももはや遠足気分です。自分がメインのイベントで各地を回るのが初めてで、有明のライブとか、遠くから東京まで足を運んでくださった方が多くいたので、今回は僕が会いに行きます。

――着実に成長できたと断言するNOAさんが、今の自分を表現するのに最も近い曲を挙げるとすれば?

NOA:うーん……今の自分を一番表現してるのは「between」ですね! あまり自分の曲をリピートして聴くことってないんですけど、「between」は自分もよく聴くぐらい、すごく満足した出来に仕上がったというか、“今、自分が聴きたい音楽”が作れたので、「between」をオススメしたいです。

 あと最近は、季節的に秋風というか、涼しい感じが心地よくて好きなので、ジャンル関係なく、ギターが入ってる曲をよく聴いてますね。インディーポップとかR&Bとかでも、ちょっとギターっぽいものを優先して聴いたり。

――「between」もギターから始まりますね。

NOA:はい、なのでやっぱり「between」が一番オススメです(笑)。

――イントロのギターは生音ですか?

NOA:これはサンプルをたくさんカットしたり、音色を変えたりしたものを使っています。

――ちなみにNOAさんのギターの腕前は?

NOA:有明で僕、ピアノを弾いたんですけど、ギターを自分で弾けるようになったほうが絶対いい、弾けるように頑張ろうと思いました。ちょっとした音作りのときに、たまに使うんですけど、「between」を丸々弾けるようになれたら、ライブではまた少し違ったことができるんだろうなって。今年はダンサーだけだったんですけど、またバンドメンバーを入れたライブもしたいです。『NO.A』の中には、バンドサウンドが似合う曲が何曲かあるので、それを来年、叶えられたらいいなって。

――きっと叶えられるんでしょうね(笑)!

NOA:そうですね、叶えていきます!

――NOAさん推し曲の「between」を何度も聴いている方、まだ聴いていない方のために、この曲で注目してほしいところを教えてください。

NOA:時間も季節も問わない楽曲でダンサブルな曲でもあるので、気持ちが上がることは間違いないですし、そういった駆け引きをされてる方に聴いてもらいたいです。強気なふりをしていても本当はちょっと弱い自分がいたりする、そんな人間っぽい、正直な部分を書いてるので、そこに共感してもらえたら嬉しいです。ミュージック・ビデオでは内面の感情も表現しています。映像や衣装も含め、NOANAの皆さんにはキュンキュンしてもらえるところがたくさんあると思うので、何回でも繰り返し楽しんでもらいたいです。

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