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<CASIO×Billboard Live>ermhoiが語る、想像したことを自由に書き出していくこと

インタビューバナー

 「すべての人に音楽を奏でる喜びを」という想いから、新しい生活スタイルに寄り添う電子楽器を展開するCASIOがBillboard Liveとコラボレーション。Billboard Liveの出演者にリレー形式で「音楽の楽しみ方」を語ってもらう。

 millennium paradeやBlack Boboiのメンバーとしての活動はもちろん、石橋英子やHana Hopeらのライブサポート、さらに最近は石若駿や夫のマーティ・ホロベックらを率いて自身のバンド「ermhoi with the Attention Please」を結成するなど、多忙な日々を送るアーティストermhoi。彼女がBlack BoboiのJulia Shortreedと共に参加する音楽イベント『Temple of Sound』が9月26日@Billboard Live OSAKA、 9月27日@Billboard Live YOKOHAMAで開催される。『Temple of Sound』は、英国ロンドンの教会で行われているUKジャズシーンの人気イベント『Church of Sound』の日本版。ロンドン在住のラッパー兼トラックメイカー深谷玄周と、M.A BEAT!のメンバーSammy Abboudによるユニットゴースト・イン・ザ・テープスや、〈FUJI ROCK FESTIVAL'19〉にも出演したザ・コメット・イズ・カミング の基盤となるユニット、サッカー96が出演する予定だ。さまざまなジャンルやカルチャーを融合しながら、独自の表現を模索し続けているermhoiに話を聞いた。(Interview: 黒田隆憲)

オリジナル曲を作ることで、自分の好きなジャンルを深めていく

――ermhoiさんが、音楽に目覚めたのはどんなきっかけだったのですか?

ermhoi:父親はジャズやボサノバ、クラシックなどをよく聴いていて、母親は1960年代のロックや日本の民族音楽っぽいロック、たとえばソウル・フラワー・ユニオンなどが好きだったので、家の中はもちろん車の移動中もずっと音楽が流れているような環境で。音楽は、「目覚める」以前に当たり前のようにそこにあったんです。ちなみに姉は最先端のロックやポップスが好きで、クラスメートから得た情報を家に持ち帰ってくれていました。


――楽器を始めたのも自然な流れで?

ermhoi:そうですね、かなり早い段階で興味を持ち始め、3歳か4歳の頃にはピアノ教室に通っていました。演奏そのものは嫌いじゃなかったのですが、クラスでピアノの伴奏を任されるほど上手だったわけでもなくて。それでも辞めずに続けてはいました。

 でも、ピアノよりも実はトランペットの方に興味が移っていたんですよ。小学校にブラスバンド部があって、部活に入れる4年生になったらトランペットを始めようと決めていました。理由は覚えていないのですが、トランペット一択でしたね。オールドスクールなジャズとか自分で選んで演奏していました。部活ではもっとポップな、例えば「サザエさんのテーマ」とかやっていたんですけど(笑)。


――以前のインタビューで、好きな音楽を主体的に選ぶようになったのは中学生になった頃で、ユッスー・ンドゥールに出会ったのがきっかけでアフリカ音楽に傾倒したとおっしゃっていましたよね。高校生の頃はロックミュージックの歴史を調べ、大学生になって本格的に音楽活動を始めたと。

ermhoi:でも、当時は「演奏すること」と「聴くこと」がまったくつながっていなくて。演奏するのは課題として出されたクラシックの有名曲などで、自分が好きで聴いている音楽を演奏する発想がなかったんです。むしろ、それができるようになったのはここ最近……コロナ禍になるかならないかの頃なんですよ。それより先に、「曲作り」に興味がいってしまったというか。好きな曲をコピーするのではなく、オリジナル曲を作ることで自分の好きなジャンルを深めていく感じでした。


――現在は、石橋英子やAnswer To Remember、Hana Hopeなどのサポートミュージシャンとしても活躍しています。

ermhoi:私の場合は取り立てて演奏が上手いわけでもないし(笑)、「鍵盤楽器をプレイしている」というよりは「その人の音楽の一部になる」みたいな感じで参加させてもらっています。もちろん、これまで楽器を演奏してきた経験は生かされていると思います。最近になってようやくサポートという立場での活動の楽しさを味わえるようになってきたし、誰かのクリエイティブに貢献できているのは光栄なことだなと。


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音楽表現はコミュニケーションの一つだと再確認


――コロナ禍の影響により家で過ごす時間が増えたことを受け、少しでも有意義な時間を過ごせるよう家の中の環境を整えたり、意識的に家族とのコミュニケーションをはかったりする人が増えました。ermhoiさんは、ご家族で一緒に音楽を作るなど何かクリエイティブなことをされていますか?

ermhoi:夫(マーティ・ホロベック)がベーシストなので、自宅のスタジオで彼が演奏しているところにちょっかいを出したり(笑)、逆に夫が私にちょっかいを出してきたりみたいなことはしていますね。家でジャムセッションまではしなくても、聴いている音楽に合わせて一緒にちょっと歌ったり演奏したり、みたいなことはしています。やはり音楽表現はコミュニケーションの一つなのだなと再確認しますね。

 それと、コロナ禍になってからは自分の想像力みたいなものに、リミッターをかけないようになりました。以前だったら、「こんなことをやったら他の人はどう思うだろう?」「これをやったら誰かに負担をかけてしまうかな」みたいなことを考えてしまいがちだったのですが、それは一旦脇に置いて。自分が想像したことを、とにかく自由に書き出してみるようにしています。そのアイデアを信頼できる人に伝えて実行していくようにしたところ、自分のバンド(石若駿、マーティ・ホロベック、小林うてな、Taikimenからなる“ermhoi with the Attention Please”)を作ることができたんですよ。メンバーはみな忙しい人たちですし、常に一緒にできるわけじゃないんですけど、何か特別な時に集まれたらいいなと思っています。


――英国ロンドンの教会で行われているUKジャズシーンの人気イベント『Church of Sound』が日本に初上陸、『Temple of Sound』と名前を改め東京と神奈川、大阪で開催されます。ermhoiさんは9月26日@Billboard Live OSAKA、9月27日@Billboard Live YOKOHAMAでのライブに参加されますが、その見どころと意気込みを聞かせてもらえますか?

ermhoi:Ghost In The Tapesは、ロンドン在住のラッパー兼トラックメイカー深谷玄周と、M.A BEAT!のメンバーSammy Abboudによるユニットです。玄周とは、彼が日本に住んでいた頃よくイベントなどで会っていて。私たちBlack Boboiがやっているレーベル〈BINDIVIDUAL〉で、リリースのお手伝いをさせてもらったこともあるんです。10月ごろリリース予定の新作に、実はボーカルで参加させてもらっていて。そのお披露目もこのイベントでできそうなので楽しみです。本当にかっこいいんですよ。ヒップホップにカテゴライズされるのかな、でももっといろんな音が入っていて多国籍でもあるし、メンバー2人ともフランスにルーツがあって、どこかフランスのポップスの匂いもある。早くみなさんに聴いてもらいたいです。

 サッカー96は今回初めて知ったのですが、生楽器とエレクトロのバランス感覚が絶妙でおすすめです。クラークやエイフェックス・ツイン、それこそサッカーの母体であるコメット・イズ・カミングもそうですが、古くからあるさまざまなジャンルを絶妙なバランスでクロスオーバーさせていくUKアーティスト独特の感覚がすごく好きなんですよね。こういう素敵なイベントに参加できるのを光栄に思っています。


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