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ビルボードジャパンが始める新たなグローバル・チャートとは?



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Text: 礒崎誠二

Go Global

自らの目標を“世界”と口にするアーティストが増えています。レコード各社やマネジメントも多くが海外へ目を向けています。

今までになく世界は近くなり、リアルタイムで同じエンタテインメントを世界中で共有することも可能になりました。

では、世界では、日本の音楽がどう聴かれているのでしょうか。

USビルボードで公表される「Global 200」チャートでは日本の楽曲は数えるほどしかありません。

「海外で○○が人気」というニュースもまた報じられていますが、それは限られた国なのか、それとも全世界的なものなのか。

どのように聴かれているか、何が聴かれているのか、“世界”を目指すために、今、必要なことは何でしょうか。

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 USビルボードでは、2020年10月から「Global 200」というグローバルチャートを発表しています。これは、世界200の国と地域以上をカバーする主要デジタルプラットフォームにおける有償無償のオーディオ、ビデオストリーミング、ダウンロードにそれぞれ比重をつけて算出したポイントを合算、ランキングしています。国ごとには比重を掛けておらず、それぞれの国内で展開するローカルサービスの合算も成されない、今のところ世界で最も占有率が高く、整合性の高いワールドチャートであるといえます。また、「Global Excl. U.S.」も公表していて、同じデータから、世界で最も大きなUSマーケットを除外してランキングを生成しています。

 新たに開始する「Global Japan Songs Excl. Japan」は、 「Global 200」チャートデータから日本の市場を外し、日本の楽曲を抽出しています。

 私達が“世界”をイメージするとき、日本の市場を含んで考えることはありません。そして、グローバルチャートをみるとき、日本の楽曲がチャートインしているか探します。新チャートは、今までトピックとしてしか分からなかった、世界でヒットしている楽曲やトレンドを、まとめてみることができます。

 このチャートには、アニメやドラマタイアップなど、リアルタイムで国内でもヒットしている楽曲、TikTokやYouTubeでバズった楽曲、ボーカロイド界隈で流行った楽曲、シティポップと呼ばれる往年の名曲、ダンスポップやインストゥルメンタル曲が混在しています。今まで見たことのなかった“世界”がすぐそこにあります。

Global Japan Songs Excl. Japan
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グローバル ジャパン ソングス エクスクルーディング ジャパン(2023年9月14日公開)

1 アイドル/YOASOBI
2 NIGHT DANCER/imase
3 SPECIALZ/King Gnu
4 死ぬのがいいわ/藤井 風
5 青のすみか/キタニタツヤ
6 KICK BACK/米津玄師
7 夜に駆ける/YOASOBI
8 少女A/椎名もた
9 NEW DANCE/XG
10 真夜中のドア~stay with me/松原みき

当チャートとは: 日本の楽曲を対象に、Luminate Data LLCが集計した、日本を除く(excluding)世界200以上の国と地域における主要デジタル・プラットフォームの定額課金型(サブスクリプション)と広告支援型の公式ストリーミング、ダウンロードにそれぞれ比重をつけて算出し、ランク付けしたチャート。
提供開始時期:2023年9月14日(木)より公表
発表:毎週木曜日午後(一般向け各20位まで+デイリーニュース配信)
計測期間:金曜~木曜(計算メソッドはGlobal 200に準じる)

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Get What’s Real


 「Global Japan Songs Excl. Japan」は、上位25万曲前後のチャートデータから、バージョン違いなどを合算し、5万曲程度にまとめます。同時に、日本の楽曲を抽出します。すると、8月以降のデータでは各週250曲前後まで絞り込まれ、全体のポイントの0.4%ほどしか日本の楽曲は占めていないことが分かりました。参考までに、K-POPは全体の4%、USは53%ほどを占めています。

 「Japan Songs(国名)」生成のため、各国のランキングデータから同様の手順で日本の楽曲を抽出してみると、台湾やシンガポールや韓国では200位以内に日本の楽曲が複数見つかりますが、インドは700位、フランスは2,000位、ドイツやUSは2,900位、UKは3,300位、南アフリカは5,000位ほどまで、深く潜らないと見つけることができません。

 この事実をどう捉えるべきでしょうか。日本のシェアは非常に低いから海外では勝算が弱く、USに次いで大きい国内市場で勝負する? それとも、目の前に広がるフロンティアと考え、世界へ向けて挑戦する?

 今日の社会では、この二者択一をする必要は無くなりました。国内コンテンツ市場はストリーミングが牽引して拡大が続く一方、今までにないほどの速さでコンテンツが共有される世界はフロンティア以外の何物でもありません。日本には、多くの新曲はもちろん、長く蓄積されたカタログ楽曲があり、かつ実力あるアーティストがたくさんいます。ですから、日本の楽曲がシェアを拡大し、各国ランキングを上げていくのは時間の問題と考えるほうが自然ではないでしょうか。私たちに足りなかったのは、世界へ踏み出すための指針です。


250 Songs

日本の楽曲は25万曲中250曲

0.4%

日本の楽曲は全体の0.4%ほど


 USビルボードでは、22年2月より、「Hits of the World」というチャートも始めています。ビルボードをライセンスしている国はそのメインチャートを、そうではない国は前述のデータを用いて50か国以上のチャートを作っています。1958年より、シングルセールス、ラジオエアプレイ、ジュークボックスを合算して開始した「Hot 100」は、その計算メソッドに改良を重ね、整合性の高いヒットチャートを作り続けて今に至ります。その計算メソッドを応用してライセンシー各国のチャートは作られ、USビルボードの厳しいチェックをパスしなければ公表することができません(ちなみに「JAPAN Hot 100」は2008年に開始するまで1年半かかりました)。そして、ライセンシー以外の国々には、前述のデータを用いて、各国それぞれのローカルサービスのシェアといった市場バランスを調査し、それぞれに計算メソッドをカスタマイズして、脈々と続くビルボードのノウハウが生きる各国別のヒットチャートを生成しています。

 「Japan Songs(国名)」は、これら各国のチャートデータから日本の楽曲を抽出しています。まずは、韓国、シンガポール、インド、フランス、イギリスを皮切りに、米国、ブラジル、台湾、ドイツ、南アフリカなどを順次発表していきます。

 ご覧頂いてお分かりの通り、国ごとにヒットしている楽曲は異なります。映画で使用されたインストゥルメンタルが局地的にヒットする国もあれば、ネットでバズった楽曲が世界に広がっていく様子を追いかけることも可能になります。

 これらのチャートから、国ごとに異なる日本のヒット曲やトレンドを可視化するとともに、各国のヒットチャートにチャートインするための目標値を設定することができます。「どの程度の規模でヒットすれば海外でヒットすることになるか」を把握すれば、もっとたくさんの日本の楽曲が世界で聞かれるようになることでしょう。



Japan Songs (South Korea) Top 10
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1 NIGHT DANCER/imase
2 アイドル/YOASOBI
3 ベテルギウス /優里
4 愛を伝えたいだとか/あいみょん
5 Lemon/米津玄師
6 夜に駆ける/YOASOBI
7 LADY/米津玄師
8 SPECIALZ/King Gnu
9 KICK BACK/米津玄師
10 マリーゴールド/あいみょん

Japan Songs (Singapore) Top10
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1 アイドル/YOASOBI
2 SPECIALZ/King Gnu
3 NIGHT DANCER/imase
4 死ぬのがいいわ/藤井 風
5 青のすみか/キタニタツヤ
6 夜に駆ける/YOASOBI
7 NEW DANCE/XG
8 LEFT RIGHT/XG
9 怪物/YOASOBI
10 群青/YOASOBI

Japan Songs (India) Top 10
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1 死ぬのがいいわ/藤井 風
2 すずめ (feat. 十明)/RADWIMPS
3 NIGHT DANCER/imase
4 TOKYO DRIFT(FAST & FURIOUS)/TERIYAKI BOYZ
5 アイドル/YOASOBI
6 Baby you/有華
7 夜に駆ける/YOASOBI
8 SPECIALZ/King Gnu
9 少女A/椎名もた
10 真夜中のドア~stay with me/松原みき

Japan Songs (France) Top 10
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1 SPECIALZ/King Gnu
2 アイドル/YOASOBI
3 青のすみか/キタニタツヤ
4 KICK BACK/米津玄師
5 すずめ (feat. 十明)/RADWIMPS
6 真夜中のドア~stay with me/松原みき
7 少女A/椎名もた
8 死ぬのがいいわ/藤井 風
9 NIGHT DANCER/imase
10 夜に駆ける/YOASOBI

Japan Songs (UK) Top 10
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1 SPECIALZ/King Gnu
2 KICK BACK/米津玄師
3 アイドル/YOASOBI
4 青のすみか/キタニタツヤ
5 死ぬのがいいわ /藤井 風
6 少女A/椎名もた
7 NIGHT DANCER/imase
8 TOKYO DRIFT(FAST & FURIOUS)/TERIYAKI BOYZ
9 夜に駆ける/YOASOBI
10 真夜中のドア~stay with me/松原みき

当チャートとは: 日本の楽曲を対象に、Luminate Data LLCが集計した前述と同じデータに、各国と地域のシェアバランスを考慮し各々の比重をつけて算出し、ランク付けしたチャート。
提供開始時期:2023年9月14日(木)より公表
発表:毎週木曜日午後(一般向け各20位まで+デイリーニュース配信)
計測期間:金曜~木曜(計算メソッドはGlobal 200に準じる)

ヒットチャートは楽しい。

 「JAPAN Hot 100」などの国内チャートの元となるデータサービス「Chart Insight」は、各指標の順位や楽曲ごとの順位推移比較など、多くの機能でヒットチャートをもっと深く楽しむことができるサービスとして、たくさんの方々にご利用頂いています。改めて感謝申し上げます。

 今回の新チャート「Global Japan Songs Excl. Japan」と「Japan Songs(国名)」でも、新たなサービス「Chart insight Global」を立ち上げました。世界と各国の順位を確認でき、国別チャートには順次新しい国々が追加され、グラフ表示ができるなど、より深く知見を得ることができるサービスになることでしょう。

 法人様向けには、世界と各国の全順位、メーカーシェア、アーティストランキングなどをExcellやWebでご提供しています。

 ヒットチャートは楽しい。そう思って頂けるチャートをまたひとつ、公表することができました。

 さあ、世界へ向けて新しい旅を始めましょう。


available in December 2023.


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