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<インタビュー>REIRIE(黒宮れい&金子理江)5年ぶりの再集結からのストーリー、愛と希望の革命について語る
2023年元旦。黒宮れい&金子理江が5年ぶりに再集結し、REIRIEとして活動していくことが発表された。あれから8ヶ月。ふたりは初ワンマンライブ~全国ツアー~TIFと駆け抜けてきた。
今回のインタビューでは、その日々を振り返りながらふたりの関係性を改めて深堀り。そこで浮き上がってきた“正真正銘のソウルメイト”と想わせる由縁、愛と希望の革命とも言える活動の本質をふたりからのメッセージとして記録する。
また、9月10日に恵比寿LIQUIDROOMにて行われる初バンドセットライブ【Re:dog】と、それぞれの誕生日に開催される11月と12月のワンマンライブについても語ってくれているので、ぜひご覧頂きたい。
Interviewer:平賀哲雄
6年ぶりのTIFでトラウマ解消「すべて自然体だったよね!」
--最新トピックから話を伺いたいのですが、6年ぶりにふたり揃って【TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL 2023)】へ出演。1発目は最大規模の野外ステージ・HOT STAGEのライブでしたが……
金子理江:6年前はあそこでチューした。--そのときはケンカしてなかったの?
黒宮れい:仲良かったよ(笑)。 金子理江:でも、基本、りえが無理やりしてたよね? 黒宮れい:いつも無理やり(笑)。--今年もチューしようとして照れてませんでした?
金子理江:え、今年はチューしようとしてないよ! 黒宮れい:あれは犬への愛情表現みたいなもの。みんな、先入観で勝手に「またチューするんじゃないか」と思いすぎ(笑)。ウチらの距離感が近すぎるからそう見えただけだと思うよ。--久々のTIFはどうでした?
金子理江:気持ちが凄かった。最初にれいとTIFに出たときはTIFの凄さも知らなかったし、他のアイドルの子たちにとってTIFがどれだけ大きいものなのかも分からなくて。でも、あれから私たちはいろんな経験をしてどん底も見てきた中で、6年ぶりにまたTIFのステージに立つことになったら、いろんな想いが溢れてきて。「あ、こういう気持ちを持ってステージに立つ子たちが多いんだな」ってようやく分かったし、今まで出たTIFの中でいちばん感情移入してステージに立っていたんじゃないかな。それを露骨に見せないようにはしていたけど。--それゆえにライブ後に熱中症で倒れてしまった?
金子理江:熱中症じゃないよ! 整ってたの!--サウナ的なこと(笑)?
金子理江:みんな心配してくれて申し訳なかったけど、いつも夏にライブすると、熱いライブをすればするほどああなっちゃう。ほわ~ん……みたいな感じで整っちゃうの! サウナと水風呂に繰り返して入るとぐわんぐわんするじゃん? 真っ白になるじゃん? あの感じが後半の2曲にかけて来ちゃって、何も考えられなくなって。でも、客席観たら誰も整ってなくて「おかしいだろ! なんで私だけぐわんぐわんしてるんだよ?」みたいな(笑)。そこはイチ怒りポイント。整わなきゃまだまだだぞ!って。--観客が次々倒れても困っちゃうけどね(笑)。とは言え、めちゃくちゃ盛り上がってくれていましたよね。
金子理江:それが嬉しくて! 私、アイドルに対してちょっとコンプレックスがあったんですよ。今までの活動に対していろいろ言われることが多かったから。それで、前にれいとりえでTIFへ出たとき事件があったんだよ! りえの中でずっとソレが呪いみたいな感じだったの。何があったかと言うと、TIFでエゴサしたら「こいつらアイドルじゃないじゃん。なんでアイドルとしてTIFに出てるんだ?」みたいなことが書いてあって。それを見てれいも「はぁ?」って尖ってたけど(笑)、その記憶が私の中ですごくデカくて……--トラウマみたいになっていたんですね。
金子理江:だから、今回のTIFも受け入れてもらえるのかどうか。アイドルをずっと観てきている人たちにウチらがどう映るのか。別に怯えている感じではないんだけど、今のREIRIEがどういう風に感じ取られるのか分からなくて。でも、いざステージに立ったら、すっごい笑顔の人たちが多かったの。ウチらも楽しかったけど、何よりも観てくれている人たちが「あ、楽しんでる!」と感じられたことがすごく嬉しかった!--6年越しにモヤモヤが解消された日になったと。
金子理江:大したことじゃなかったんだなって。当時はふたりとも10代だったから心ない言葉を呪いみたいに感じていたけど、アイドルかどうかみたいな概念に縛られるなんてしょうもないなって、自分の中で腑に落ちた。そんなこと気にする必要はないし、お客さんがあそこで楽しい表情を見せてくれたことがすべてだし、それより正しいものはないと思うから。りえほど整っている人はいなかったけど(笑)、みんなの楽しんでいる姿が見れてよかったなって。--じゃあ、出れてよかったね。
金子理江:うん。すごく楽しいって初めてTIFで思えた! それでテンションがアガっちゃってアガっちゃって。炎天下だったこともあって、れいもスタッフのみんなも最後は疲れ果ててた(笑)。 黒宮れい:私、TIFのあとに旅行する予定だったけど、キャンセルしたもん。--それだけ完全燃焼したということは、れいちゃんも楽しめたの?
黒宮れい:うん。TIFにそこまで思い入れがあるわけじゃないし、れいはアイドルを超知っているわけじゃないし、そのシーンをずっと見てきているわけでもないから、気持ち的には……他の一生懸命アイドルをやっている子たちとはちょっと違うというか、蚊帳の外みたいな。自分の熱量が低いということではないんだけど、そこまで思い入れがなかった。でも、いざ出演してみたらそんなこと関係なしに楽しかったし、とにかくステージが楽しかった! 夏の良い思い出みたいな感じ。--それは良いライブが出来たってことだね。余計なことを考えるヒマもなく楽しめたということは。
黒宮れい:そうそう!「楽しいからそれで良いじゃん!」と思えた1日。--それがステージにもよく表れていたと思います。いろんなアイドルのライブを観させてもらいましたけど、REIRIEがいちばんナチュラルだった。
黒宮れい:すべて自然体だったよね! いろんなステージにこれまでも立ってきたし、これからも立つし、その度にいろんなマイナスな気持ちも沸き上がったりすると思うの。でも、れいからしたらそんなの関係ないし、どこでやろうがウチらが立てばREIRIEのステージだし、大きさとかも関係ない。そうずっと思ってきたから、TIFでもいつも通りステージに立ったし、何ならそれでいつも以上に良いパフォーマンスが出来たし、それはTIFとの相乗効果もあったと思うけど、やっぱり余計な気持ちに振り回される必要はないんだよね。--だからこそ、パフォーマンスもそうだし、MCで揃ってしゃがみ込んで話している感じもそうだし、ライブなのにふたりがプライベートで遊んでいる姿を観ているような感覚になったんだろうな。あれはREIRIEだからこそ生み出せる魅力的な世界だなと感じました。
黒宮れい:以前はそれが許されなかったんだよね。やっちゃいけないことを最初に言われて、ウチらはソレを怒らせたいからやっちゃうっていう(笑)。でも、今のスタッフたちは「なんでもしていいよ」ってふたりを自由にしてくれるから、ナチュラルにああいうライブができるし、それをウチらも楽しんでやれているのかなって。--炎天下のFESTIVAL STAGEでの叫びながら煽るライブも楽しかったし、TIFでREIRIEの強みを改めて体感させてもらったんですが、どんな大人数のアイドルグループにも負けない熱量をたったふたりで生み出せるのは、本当に凄いことだと思いますよ。
金子理江:人数とか気にしたことないです。りえはれいとステージに立ったら「これ以上、最高のものはないでしょ」と思うから。それが滲み出ちゃっているんじゃないかな。どんなに広いステージでもれいとりえがふたりで立っていれば、広さなんかどうでもよくなるし。--このふたりが揃えば最強。以前のインタビューでも「ふたりはソウルメイト」と話されていましたが、それをREIRIEとして復活してからずっと体現し続けていますよね。という訳で、ここまでのストーリーを振り返りたいのですが、今年の元旦、REIRIE名義で5年ぶりにふたり揃って活動することを発表しました。あの瞬間はどんな気持ちになりました?
黒宮れい:想像以上の反響だったよね。- REIRIE再会&始動後の物語「ウチらは『週刊少年ジャンプ』」
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REIRIE再会&始動後の物語「ウチらは『週刊少年ジャンプ』」
--本当に有意義な復活になりましたね。
金子理江:でも「そりゃそうだよね!」と思うところもあって。とあるファンの人は「永遠に続くと思っていたモノもいつか壊れてしまう。それはもう元には戻らないと教えてくれたのがれいりえだった」みたいなことを言っていたけど、りえはれいとまたいつか一緒になると分かっていたから。ただ、それはお互いのタイミングが合ったときだろうなと思っていて、それがたまたま5年後だった。で、REIRIEの始動を発表したら、今度は「永遠なんてないって教えてくれたふたりが、永遠はあると教えてくれた」みたいなことを言っていて。そりゃそうなんですよ。私たちは永遠なんて言葉にも捕らわれていないぐらい、そもそも一緒になるべくしてなっている存在だから。--なるほど。
金子理江:その「れいとりえは絶対またどこかで繋がる」希望みたいなものが漏れていたのかなって。この5年間ずっと。ゆえのあの反響だったのかなと個人的には解釈しています。知らんけど。--知らんけど(笑)。
金子理江:なので、さっき「おまえ、誰?」とか言いましたけど(笑)、それを感じ取ってくれていた人がたくさんいたのなら、それはすごく嬉しいなって思いました。--そして、REIRIEの最初の楽曲として「Rabbits」が発表されました。今話していたふたりのストーリーがダイレクトに反映されていましたが、最初に聴いたときはどんな印象を持たれました?
金子理江:こんなにもダイレクトにふたりそれぞれの気持ちが音楽に乗っている。これまで音楽活動をしてきた中であんまりそういう経験をしたことがなくて。私にとって感情がいちばん昂って、生きていていちばんリアルを感じるのは、れいと一緒にいるとき。それを表現する分かりやすい曲がこれまでなかったし、あんなに希望に満ち溢れた歌詞もなかったんですよ。今までのふたりのストーリーがたった3分の曲に余すことなく詰め込まれているし、凄いなって。ぶっ込み丼じゃん!って思いました(笑)。--ふたりの人生そのものですよね。れいちゃんは「Rabbits」にどんなことを想ったり感じたりしました?
黒宮れい:REIRIEの始動が決まってから「これからどんな曲を歌っていくのかな?」って想像していて。LADYBABYの楽曲みたいな感じになるのか。ILIEみたいな感じになるのか。私のバンドみたいな感じになるのか。いろいろ想像していたから、そのどれとも違う曲が出てきたなってまず思った。で、これまでの良いところは残しつつも、まったく違う着眼点で“本当のれいりえ”に対する曲をつくってくれたんだなって。みんな、誰もが経験するようなことを共感してもらう為の歌をつくったりするじゃん。でも「Rabbits」はウチらだけの、ウチらの話がまんま歌になっているから、本当にウチらしか歌えないし、ウチらが歌うからこそ意味のある曲なんだなと思った。--超個人的な歌ですよね。めちゃくちゃパーソナル。
黒宮れい:そうそうそう! 寄り添わない(笑)。--万人ウケを狙うなら、もっと誰にでも当てはまる抽象的な歌詞にしたりしますからね。
黒宮れい:そうじゃなくて、本当にウチらだけの曲なんだよね。--でも、それを聴いてみんな泣いたり笑ったりしているじゃないですか。ちゃんと突き刺さっている。いちばん理想的ですよ。
黒宮れい:理想的だよね! 最初に「Rabbits」みたいな曲があったからこそ、そのあとの「ウチらはこういうイメージです」っていう方向性を定めることができたし、それは私たちも望むイメージだったし。最初が適当だったら、そのあとも適当になっちゃうじゃん。はじまりって1回しかないからさ、それがこの曲で良かったなってすごく思う。--れいちゃんが「ずっと二人でいようよ」と歌う姿を観る度に毎回グッと来ます。自分では歌っていてどう?
黒宮れい:私もそれこそTIFで「ずっと二人でいようよ」って歌っていたときがアレだった。--グッと来た?
黒宮れい:「えーんえーん」ってなった。一同:(笑)
金子理江:かわいい。泣いてたの、知らなかった。 黒宮れい:「そう言えたらいいよなぁ」と思って……エモかった。--3月25日のREIRIE初ワンマンライブ【REIRIE 1st LIVE「~R~」】の1曲目も「Rabbits」でしたが、序盤の「ずっと二人でいようよ」で自分も早々に泣かされた記憶があります。
黒宮れい:分かる! 良い歌だよねぇ。--REIRIE初ワンマンはふたりにとってどんなライブになりましたか?
黒宮れい:れいのメンタル的に言うとドタバタ。REIRIEになって最初のライブだったからステージに出るまで結構焦ってました。落ち着かなくて廊下とか走ってたし、何かしら食べて気を紛らしたりして。それでステージに出てみたら想像していたよりお客さんがいっぱいいて、それこそ「ウチらのファン、こんなにいたっけ? 前もこんな感じだったっけ?」みたいな。だから感覚を取り戻すのに結構必死だったかな。感無量でアガっちゃってたし(笑)。感情に身を委ねちゃったら何にも出来なくなっちゃうから、それを抑え込むのにも必死だった。 金子理江:れいがREIRIEとしてステージに戻る。それに対する思い入れが凄いことになっていたんだと思うよ。ワンマン当日までの1週間ぐらいずっと隣にいたときもソレは感じていたし、恐怖心もあれば、挑戦していかなきゃいけないプレッシャーもあって、重荷みたいなモノを人一倍背負っていたんだと思う。だから、初ワンマンのときは「りえがれいを支えなきゃ!」っていう気持ちだった。りえもれいのことをずっと待っていたし、それと同じような気持ちで待ってくれていた人たちがいることも分かっているけど、れいからしたら途中で辞めてしまったことに対してとか、ネガティブな感情も含めていろんな想いがあるじゃん。だから「そんなことないよ」みたいな。--れいちゃんの重荷を取っ払おうとしていたと。
金子理江:でも、それは言葉で言っても伝わらないからステージで分からせるしかないと思って(笑)。「れいが思っている以上に、れいはみんなにとって希望なんだよ」ということをライブを通して伝えようとしていたし、れいもソレを感じ取ってくれていることが伝わってきたし、そういう意味でも良いライブになったなって。れいのずっと抱えていた気持ちを成仏できたことがいちばん嬉しかったです。待ってくれていたファンの人たちもそうだし、あの日あの場所にいた全員の気持ちが一斉に天に召されたなと実感できたから、よかったなって。--ふたりの関係性は再会した時点でポジティブなものになっていたわけだけど、れいちゃんはファンと再会することに対してネガティブな感情も抱えていたんですね。
黒宮れい:それはずっとある。復活してからも申し訳なさのほうが勝っていて。REIRIEで全国ツアーもまわったけど、れいはLADYBABY時代にそれをまわらずに辞めちゃったから。だから「れいがステージに立つことを望んでいるファンが多い」と自分に言い聞かせながらやってはいるけど、葛藤はあった。「あー、たのしい!最高!」みたいな気持ちだけではなくて「あのとき、これが出来ていれば」という想いもあって。--初ワンマンから全国ツアー、TIFに至るまで。れいちゃんからしたらどれも過去の自分と対峙しなきゃいけない時間で、それをどう乗り越えていくかのストーリーでもあったわけですね。
黒宮れい:そう! だから、今話したようなネガティブなことをどれだけ考えないようにするかの戦いだった。でも、5年前の自分を恨んではいけないと思うし、あの頃のことをもう悪い思い出にはしたくないし、この8ヶ月間ぐらいは本当にいろんな感情が駆け巡っていて。なので、れいにとってはひとつひとつのライブが挑戦でもあるし……これはもう業だよね。--でも、その業があるから、それを熱量にして「あの頃より良い世界をつくらなきゃ。良い人生にしなきゃ」と思える。
黒宮れい:そうなんだよね。今は新しくREIRIEとして活動しているけど、それは過去から繋がっているものだから。あの頃のようにりえとふたりでステージに立てば立つほど、そういう風に思う。--今の話を聞くと、あの初ワンマンで読んだ手紙の内容がなおさらウルっと来ますね。
黒宮れい:れいの2023年の目標は、マイナスなことはファンの前で発信しない。出来るだけそういうことは仕事場では言わない。言っても、みんなが笑えるような誰かの悪口とか下ネタとか(笑)。あともうひとつは、りえを支えること。だから、あの日の手紙もああいう内容になったんだと思う。れいも書きながら泣きそうになっちゃった。関連リンク
愛している人の痛みを知ったときこそ、絶対に泣かない
--今読み上げると照れくさいかもしれないけど……
黒宮れい:じゃあ、読み上げないでよ!一同:(笑)
--では、一文だけ。「りえが“愛してる”を教えてくれたから“愛してる”を伝えたいと思います。心から愛しています!」と書いていたじゃないですか。あのメッセージからREIRIEを始められたことが良かったと思ったんですよね。あんなにも真っ直ぐな言葉は、あのタイミングでしか伝えられなかったと思うし。
黒宮れい:たぶん、恥ずかしくて一生言えない(と言いながらサングラスをかけ始める)。https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/123367
--りえちゃんは、あの手紙の内容を聞いていかがでした?
金子理江:「泣いちゃダメ」と思いました。私にとって泣くって相手の感情を殺すことだと思っているんですよ。私はね、れいが今まで5年間抱えてきた気持ちを……ダメだ、泣きそう。 黒宮れい:やだ! りえが泣いたら、れいも泣いちゃう。 金子理江:……あの手紙をもらって、この5年間のれいの孤独で寂しかった気持ちとか抱えてきたものをたくさん感じて、それに対して自分が泣いたら「忘れちゃう」と思ったんですよ。私はすごく大事で愛している人の痛みを知ったときこそ、絶対に泣かないって決めているんです。絶対にそれを忘れたくないから。れいの抱えてきた寂しさや痛みを絶対に忘れたくないから。--りえちゃんはりえちゃんで、それだけ強い気持ちを持ってあの手紙を受け取ったんですね。
金子理江:私、ILIEのライブのときはずっと泣いていたんですよ。それは自分のことだから。自分が抱えている気持ちをすべて忘れたいから、涙で全部流して痛みを半減させていたんですけど、そういう行為をれいに対しては絶対したくなくて。私なりの最大の愛なんです。だから、れいと一緒にステージに立っているときは、れいのことを想って泣くんじゃなくて「れいが誰にも理解してもらえなかった気持ちを理解してあげられるような存在でいたいな」と思って。なので、REIRIEが始まってからの目標は、れいがりえを支えることだったら、りえはれいに対して泣かない。りえが泣いちゃったら、れいが弱くなれる瞬間がなくなっちゃうし、れいがれいらしくいられるようにサポートすることがりえの愛なのかなって。--愛以外のなにものでもないですね。
金子理江:だから、あの日「意外とりえちゃん泣かなかったね」って言われたんですけど、りえからしたら「どんだけの気持ちで泣かなかったと思ってんだ!」みたいな。それでもぽろぽろ流れてしまうものはあったけど、れいの前で泣きじゃくるようなことは絶対にしなかった。今はそういう十字架を背負っています(笑)。--てか、れいちゃん。いつまでサングラスかけてるの(笑)?
黒宮れい:…………(笑) 金子理江:たぶん、れいも分かっていなかった。りえがれいに対してどれだけ愛があるか。でも、今知って「気持ち悪い、コイツ」みたいに思ってるはず(笑)。いつも言われるの!「りえってれいのこと、なんでそんなに好きなの?」って。でも、こういう想いをちょっとずつ漏らしていくことによって、れいが自分のことを認められるようになったらいいなって。れいってこう見えて人にすごく尽くすタイプで、普段は人に尽くして自分の弱さを見せないで頑張っているから、それをりえが支えられる存在でありたいなって。そういう次元の関係性なんですよ。このあいだ、れいがウチらのことを「お揃い」って言ってくれてすごく嬉しくて。「お揃い」って良い言葉だなって。--ふたりを言い表すのにピッタリな言葉。
金子理江:ウチらは心の奥底で想い合っていて、お互いにしか分からない部分がある。それをみんなにはまだ断片的にしか見せられてないから、そこまでの深い繋がりであることはまだ理解しづらいんだろうなって。そりゃそうなんですけど。--でも、今の話を聞いて純粋に凄いなと思いました。そこまでの関係値で活動できているユニットやグループを他で見たことはないかもしれない。あと、小説を書いたほうが良いんじゃないかと思うぐらい、良い話だらけだった。
金子理江:ウチらには目次がいっぱいあるんで。それをひとつひとつ永遠に描いていくんだろうなって。れいとりえの小説を。ずっと自分の中に一冊の本があって、そこには自分の人生が書かれているんだけど、必ずれいが一緒にいるんです。それだけ大きな存在だからこそ、離れていた5年間なんて大したもんじゃない。でも、れいにとってりえは……トラ(笑)? れいにとって分かられることがどれだけ痛いものなのか、あの当時は知らなかったから、中途半端にりえがれいの心にズカズカ入っていっちゃったんです。それでふたりは離れてしまったところもあると思うんですけど、この5年間でれいの気持ちをすごく勉強したんですよ。--それはまた凄い話だなぁ。
金子理江:私、ちょっとキモくない(笑)? 黒宮れい:キモい!一同:(爆笑)
スタッフ:YouTubeの生配信とかでも、りえちゃんはたまにこのモードになるんですよ(笑)。
金子理江:なっちゃうの! だから気をつけなきゃと思っているんですけど、れいのことに触れちゃうとどうしてもこうなっちゃう。--れいちゃん、ここまでのりえちゃんの話を聞いてどう?
黒宮れい:キモい(笑)。--キモい以外の感想をください(笑)。
黒宮れい:もちろん嬉しいんですよ。でも、キャラ的に「キモい」って言っちゃうんです。たしかに、分かられたくない気持ちはあるんですけど、でもりえは分かろうとするじゃん? 今やりえはれいよりれいを知っているから(笑)。でも、れいからしたら「同じだよ」って思う。れいもりえのことをりえより知っているし。だからこそ、5年経っても変わらない関係でいられるのかなって。でも、そういう関係だからこそ、れいはその5年を永遠のように感じていたし、絶対に再会すると分かってはいたけど、次会ったときに「また壊れちゃうんじゃないか」みたいな不安はあったし。もうバイバイはしたくないと思うからこそ、簡単に会えなかったんだよね。--ケンカしないでよ(笑)?
金子理江:ケンカはしない(笑)。私はどん底に落ちて、何も失うものがなくなった人って怖いと思っているんですよ。敵も味方も関係なくなっちゃうから。ただ、私の場合は、れいと離れてから自分なりのどん底を見て、そのときに初めて「何も怖くないな」と感じたんですけど、そのおかげで「れいに嫌われてていい」と思ったんです。ケンカみたいになって終わっちゃったけど、私は最後にれいを「ごめんね」って抱きしめているんです。それでも「許せない」ってなるのも黒宮れいなんですよ。でも、れいは興味がない人には「何の感情も絶対に渡さない」というスタンスの子で。ということは、こんなにも感情的に「おまえのことを絶対に許さない。キライ!」と、りえを拒絶しているのって“れいなりの逆さまの愛”なのかなと。勝手にそう思えたんです。「だったら、れいに嫌われてていいや」みたいな。 黒宮れい:ね、キモいでしょ?一同:(笑)
--でも、なんか泣きそうになった。
金子理江:どうでもいい相手には何の感情も抱かないし、キライという感情は優しさだと思うんですよ。相手のことを想い上げているから。だから、れいが昔「殺意が原動力」ってよく言っていたんですけど、その殺意を向けられている相手は凄いなって。ご褒美だなと思っていて(笑)。だから、れいがりえのことをキライになって、結果的に5年間離れ離れになりましたけど、それすらも私にとっては愛おしかったんです。--怒りや嫌悪感を露骨に向けられたら、そこで終わってしまう関係性がほとんど。でも、りえちゃんはそれすらも愛だと捉えて、れいちゃんは不安に苛まれながらも再会を決意して。そして、今こうして共に楽しそうに活動しているって奇跡的なことですよね。羨ましすぎて嫉妬を覚えるぐらい(笑)。
金子理江:ジェラってる(笑)。 黒宮れい:ちょっとキモい(笑)。--感染したのかもしれない。
金子理江:ちょっと! 黒宮れい:りえがこの熱量で語ると感染っちゃうんだよ。でもさ、人生でそういう相手に出逢うことってそうそうないじゃん。だから“お揃い”なんですよ。 金子理江:でも、何が奇跡って、ここまで想わせられるれいだと思いますよ。りえがおかしいところもあるかもしれないけど、人の気持ちをここまで奮い立たせられる存在であるのは、凄いなって思う。--このふたりの関係性を見ていると、迂闊に「ソウルメイト」という言葉は使えないなと思います。若い子たちがよく使っているけれど。
黒宮れい:全部パチもんですよ、あんなの。一同:(笑)
黒宮れい:なんか胡散臭いんですよ。全部、張りぼてだし。表面的にふたり揃って立っていると様になる子たちはいると思うけど、滲み出るホンモノ感がなかったりして。だから、そういうのと一緒にしないでほしいです。 金子理江:「百合営業」とか言われるとムカつくんですよ。 黒宮れい:ウチらの関係性を例えられる日本語が分からないんだよ。だから、みんな「百合」って言うの。もっと勉強したほうがいい。そういう世にありふれた簡単な言葉で、迂闊にウチらを例えないでほしい。関連リンク
革命にしか興味ない!私たちは人生の話をしている!
--計らずもめちゃくちゃ良いインタビューになりました。
金子理江:よかった。りえ、キモい人で終わってない(笑)?--大丈夫です。もうちょっと続けますので(笑)。
金子理江:りえ、心にマリアを飼ってるから。飼い慣らしてるから。--神の母を(笑)? でも、そのレベルの愛の話をしているよね。
金子理江:ウチらみたいな関係が事実として存在している希望。それをみんなにも分かってほしいだけなんですよね。孤独と戦っている人たちに対して、自分が今どれだけ孤独でも「こういう存在が自分にも現れるかもしれない」という希望を知ってほしい。だから『推しの子』とかが流行ってる場合じゃないんですよ。もっともっと本質的なモノをみんな知ったほうがいい。--まさかの『推しの子』vs REIRIE(笑)。
金子理江:ハハハハ! 黒宮れい:たしかに敵は強いほうがいいね(笑)。 金子理江:でも、それぐらいデッカいものですよ。私が戦いたいところって。アイドルとか音楽とかの概念も超えて本質的なところをみんなに分かってほしい。今は本質が見えづらいSNS社会だからなおさら。 黒宮れい:ウチらってたぶん冷めてるように見られているんですよ。なんとなく「何にも興味なーい」みたいな人たちだと思われている。でも、実際はウチらほど熱い奴らはいない! 金子理江:革命にしか興味ない!--最高ですね!
金子理江:希望じゃない? 自分の人生にこんな相手はいないと思っていても、「あ、いたんだ。こんな関係を実現できるふたりが!」と嫉妬しちゃうぐらいの事実がここに存在しているわけで。それを広めていくことが、りえは革命に繋がると思うんですよ。--「これだけの想いと覚悟を持って人と接していけば、自分も大切な人とそういう関係性になれるかもしれない」と思えたら、それは大きな希望ですもんね。
金子理江:そうなんですよ。それこそ「嫌われたっていいじゃん。嫌われないよりマシじゃない?」ぐらいのスタンスでいれば、別に何も怖くないじゃん。私はそう思っちゃう。そこまで執着できるかどうかの自分との戦いなだけじゃないですか、愛って。私はそういう境地に立っているから……こんな重い話を今まだ昼間なのに話している私はおかしいのかもしれないけど(笑)。--急にいまさら照れないで下さい(笑)。
金子理江:でも、こういう話を聞いてもらえるのはすごく嬉しいんですよ。れいはすべて理解してくれているから、あとは多くの人に広めていくだけだと思っているので。--REIRIEが起こそうとしている革命って、純然たる愛と希望の革命じゃないですか。規模の大きい話だけど、その実態はただただ自分たちの愛の形を希望にしてもらいたいという。
金子理江:それに対する想いをひとりじゃもう抱えきれないんですよ。誰かに話さないと、これだけの想いをひとりで背負っているのは無理! でも、れいはいつも「また言ってんの?」みたいな(笑)。 黒宮れい:れいは「うん、うん」って聞いてる(笑)。 金子理江:でも、REIRIEはそれぐらい自分たちが抱えてきた気持ちをどうやって伝えるか。というところに懸けてステージに立っているんですよ。だから「アイドルとして」とか「歌手として」とかそういう次元の話じゃないんです、そもそも。私たちは人生の話をしている!--いやぁ、もう格好良すぎるわ。
黒宮れい:れいは「トークイベントのお客さんってこんな感じなのかなぁ」みたいな気持ちで聞いてた(笑)。一同:(笑)
--ちなみに、今回のインタビューは「9月10日に恵比寿LIQUIDROOMで行われる初バンドセットライブ【Re:dog】と、11月と12月のワンマンライブに向けてお願いします」とご依頼頂いたんですけど……
金子理江:え、待って! 革命の話とかしちゃったよ(笑)。 黒宮れい:そっちのほうがウチらの本質だし、面白いよ。--れいちゃん、まずは初バンドセットライブへの意気込みを。
黒宮れい:たのしみ!--以上?
一同:(笑)
--りえちゃんはどうですか?
黒宮れい:いけ! やったれ! 金子理江:れいはりえをコントロールするのが好きですから、そんなりえを楽しんで下さい。何を伝えたいかは……もうぜんぶ話しちゃった(笑)。--そうだよね(笑)。ここまでの話を読んでくれれば、ふたりがどんな想いでステージに立つのかは分かるもんね。ちなみに、どんなバンドメンバーになっているんですか?
スタッフ:REIRIEの「PUI」と「ULTRA」を作曲してくれた慎之甫さん、山下智輝さんです。--生バンドが入ることで、今まで以上にエモーションが溢れたライブになりそうですよね。
金子理江:ウチらが生の感情で歌っているのに対して、音も生じゃなきゃ釣り合いが取れないと思いません?--そういう話を聞きたかった!
金子理江:そういうもっとウチらに見合ったライブがやりたかったんですよ。だから、必然的にバンドセットライブは今まで以上にいろいろ伝わるライブになると思います。ウチらはもうパフォーマンスが云々の話じゃないんです(笑)。伝わるか伝わらないかの勝負の話だから。--11月と12月のワンマンライブはどんな内容になるんですか?
金子理江:生誕祭でしょ?スタッフ:当日は生誕祭みたいになるだろうけど、こちら的には生誕の日に会場を押さえたというだけですね。11月、12月で1本ずつ渋谷O-EASTで1000人規模のライブができるようになりたいよねというところで、去年から押さえていました。れいちゃんは、生誕祭って掲げるのがイヤなんですよ。
黒宮れい:祝われんのがイヤだ。 金子理江:1129(良い肉)の日に生まれた奇跡。これを祝わないでどうするのよ?一同:(笑)
金子理江:でも、イヤがるところが良いですよね。れいが生まれた日を他人に祝わせようとしない感じが。 黒宮れい:祝われて嬉しい? れいは恥ずかしい。でも、人の誕生日を祝うのは好き。去年のりえの誕生日はまだ祝ってないけど(笑)。だから、りえの生誕の日のライブの話にしてよ。11月29日のワンマンに関しては「たのしみ!」って書いておいて。--それ、もうさっき使ったじゃん(笑)。では、りえちゃんの誕生日である12月18日のワンマンはどんなライブにしたいですか?
金子理江:たのしみ!一同:(笑)
黒宮れい:いや、12月のワンマンは気合い入れなきゃいけない。--11月もね(笑)! れいちゃん的にはどう祝いたいと思ってるの?
黒宮れい:それはまだ手の内を明かせないよ。身バレが怖い。--身バレ?
スタッフ:れいちゃんは、自分の考えがバレることを「身バレ」って言うんですよ(笑)。
黒宮れい:だから何にも教えたくない! 金子理江:この自分の考えを簡単に明かさないところが良いんですよね。賢くありません?--たしかに。普通は言いたくなっちゃいますもんね。
金子理江:りえもそう。だから、れいのそういうところが好きなんですよ。--違うから惹かれ合うんでしょうね。どちらもりえちゃんみたいだったら、こういう関係性にはならない。
黒宮れい:それは熱すぎるよ(笑)。Interviewer:平賀哲雄