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<インタビュー>The Biscats 名曲だらけのカバーアルバムや目標の渋公について語る──Sukeの生い立ちも



<インタビュー>The Biscats 名曲だらけのカバーアルバムや目標の渋公について語る──Sukeの生い立ちも

 BLACK CATSやMAGICのメンバーとして日本ロカビリー界を牽引してきた久米浩司の娘であり、2020年代に新しいロカビリームーヴメントを起こすべく奔走中のMisaki率いるハイブリッド・ロカビリーバンド、The Biscats。大好評だったMisaki(Vocal)やKenji(Guiter)の生い立ちインタビューに続いて、今回はSuke(W.Bass)の生い立ちインタビューを敢行した。

 また、尾藤イサオも出演した主催フェスや最新シングル『ノッてけ!Sunday』、誰もが知る名曲だらけのカバーアルバム『J-BOP SUMMER』。さらに、1年後に迫った目標の渋公ワンマンについても語ってくれているので、ぜひご覧頂きたい。

◎The Biscatsメンバー
Misaki(Vocal)
Kenji(Guiter)
Suke(W.Bass)

Interviewer:平賀哲雄

尾藤イサオ出演のロカフェス~渾身のカバーアルバム

--昨年11月以来、2023年一発目のインタビューになります。まずはこの夏に至るまでのThe Biscatsを振り返っていきたいのですが……

Misaki:年越ししてすぐ【The Biscats TOUR 2023「The Biscats」】だったので、いつもなら呑気に年越しを過ごすんですけど、ツアーの準備でそれどころじゃなかった記憶があります。それぞれずっと練習していたし、年明け早々にリハもしていたし、ドタバタしながらツアーをスタートさせたんですけど、有難いことに全公演たくさんお客さんが来て下さって。確実にThe Biscatsが世に広まってきているんだなぁとヒシヒシ感じました。そのあとは今回のカバーアルバム『J-BOP SUMMER』などのレコーディングに追われていて。

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--ツアー期間中には、昨年に引き続き【ROCKABILLY FESTIVAL 2023】(通称ロカフェス)も主催されました。

Misaki:ロカフェスは、尾藤イサオさんが出演して下さって。もうすぐ80歳を迎えられるんですけど、そこまでの大大大先輩と関わる機会は初めてだったので、他の先輩方とはまた違う緊張感がありましたね。尾藤さんのバンドもThe Biscatsが務めさせて頂いて「ずっと第一線でご活躍されている方って凄いんだな」と衝撃を受けました。その経験によって私たちも成長できましたし。

<インタビュー>The Biscats 名曲だらけのカバーアルバムや目標の渋公について語る──Sukeの生い立ちも

▲Misaki

--個人的には「あしたのジョー」や「悲しき願い」にも興奮したんですけど、エルヴィス・プレスリーと同じ時代を生きてきた人がプレスリーの名曲を全身全霊で歌いまくる姿に感動しました。

Suke:そうですよね。尾藤さんもアメリカに行かれていたみたいですし、日劇ウエスタンカーニバルでプレスリー賞を受賞したこともあるリアル50'sじゃないですか。そんな方と一緒に演奏させて頂いている状況は、本当に格別でした。

Misaki:まさに新旧ロカビリーの祭典みたいな。すべてのロカビリーの歴史が繋がった瞬間。それが今年のロカフェスだったと思いますね。自分たちのやりたかったことがまたひとつ実現できました。

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--その後のツアーファイナルで発表されたのが、今夏の連続リリースプロジェクトでした。7月に発表したシングル『ノッてけ!Sunday』から始まったThe Biscatsの夏。どんな気持ちで活動されていますか?

Misaki:まず『ノッてけ!Sunday』は、発売する前からスタッフも含めて「この曲でいくぞぉー!」みたいなテンションだったんです。それで、いざリリースしてみたら「この曲で初めてThe Biscatsを知りました!」ってすごいたくさんの人から言ってもらえて。


【MV】The Biscats /「ノッてけ!Sunday」

--渋谷センター街でもずっと流れていてプロモーションにかける本気度も感じましたし、アートワークやMVも含めてここまで夏を感じさせてくれる作品はなかなかないなと思いました。

Suke:あのアートワークは大変な撮影だったんですよ(笑)。風が強い日でヘアセットもなかなかバシっと決まらないし、砂埃が目に入ってしまって、それでも目を開けておかなきゃいけないから涙が止まらないし。それでも頑張った甲斐あってか、最終的に各々の表情やキャラクターがバシっと決まったアートワークになりました。

Misaki:この1枚だけなんですけどね(笑)。他の写真は目を閉じていたり、髪が乱れていたりでめちゃくちゃだったんですけど、カメラマンさんも含め必死に頑張った結果、このミラクルショットが撮れたから「もうこれしかないでしょ!」って。MVも途中から雨がめっちゃ降ってきちゃって、撮影場所を急遽移動することになったりして。でも、結果的にすごく良い仕上がりのMVになったので、私も気に入ってます。

--そして、8月30日には初のカバーアルバム『J-BOP SUMMER』がリリースされます。YouTubeで公開してきたカバーシリーズのひとつの集大成とも言える作品だと思うのですが、制作はいかがでしたか?

Misaki:今回初めての試みで、ファンの人たちに投票をしてもらったんですよね。その中でも人気だった12曲を今作に収録しているんですけど、レコーディングは……

Kenji:それはもう大変でしたね(笑)。

Misaki:恐ろしく大変だった。今まででいちばん大変だったね!

Kenji:最初に「シンプルにいこう!」とすべて一発録りでレコーディングしたんですけど、聴いてみたらノリとか自分たちの思い描いていたものと違っていて。なので、それを全部ナシにして「もう1回やり直そう」と。そこからいろいろ試行錯誤しながら……スケジュール的にも結構タイトだったよね?

Misaki:そうだね。9曲ぐらい終わっていたんですけど、全部録り直すことにしたから。でも、それぐらい一切妥協せずに頑張って制作したアルバムなんです。やっぱり自分たちの力を100%出し尽くしたモノをリリースしたいじゃないですか。

--その甲斐あってか、すべて知っている曲なんですけど、すべての曲に衝撃がありました。「ここのフレーズ、こんなにロールさせるのか!」とか「こんなカバーは聴いたことがない」とか驚きの連続だから楽しくて、何度でも聴きたいアルバムだと思いました。

カバーアルバム『J-BOP SUMMER』収録曲

カバーアルバム『J-BOP SUMMER』
01.夏祭り(オリジナル:JITTERIN'JINN)
02.世界でいちばん熱い夏(オリジナル:プリンセス プリンセス)
03.ルージュの伝言(オリジナル:荒井由実(松任谷由実))
04.ジュリアに傷心(オリジナル:チェッカーズ)
05.Oneway Generation(オリジナル:本田美奈子.)
06.青い珊瑚礁(オリジナル:松田聖子)
07.MajiでKoiする5秒前(オリジナル:広末涼子)
08.ミスター・ハーレー・ダビットソン(オリジナル:クールス)
09.From black to pink(オリジナル:BLACK CATS)
10.異邦人(オリジナル:久保田早紀)
11.ふられ気分でRock’n’Roll(オリジナル:TOM★CAT)
12.Dear Friends(オリジナル:PERSONZ)
Suke:ありがとうございます! ロカビリーは8ビートやシャッフルが基本なんですけど、例えば「夏祭り」(オリジナル:JITTERIN'JINN)とかは普段滅多にやらないリズムなので、当然苦戦するんですよ。


「The Biscats/夏祭り」Short Clip

Kenji:ジャングルビートね。

Suke:それでも試行錯誤して完成させたものを聴いたら「おぉ!格好良いなぁ!」と思って。みんなで感動したよな。

Kenji:そうだね。と言いつつも、作り直す際にギターも再構築したんですけど、僕はそれが忙しかったっていう記憶しかないんです(笑)。時間も限られているし「どうしよう?」みたいな感じで。サウンドプロデューサーの人と相談しながら何とか納得いく12曲を完成させることができたんですけど、それで「やったね、Kenji!」「はい!」というやり取りをしたことはめっちゃ記憶に残ってます。

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