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<レポート>多種多様な音楽体験に満ちた【FUJI ROCK FESTIVAL '23】、ライブレポ&現地写真で振り返る

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 2023年7月28日~30日にかけて、新潟県・苗場スキー場にて実施された国内最大級の野外音楽フェスティバル【FUJI ROCK FESTIVAL '23】。昨年同様に3日間ほぼ晴天で、約12年ぶりの来日となったザ・ストロークス、ドラムのテイラー・ホーキンス死後、新体制となってから日本初ステージとなったフー・ファイターズ、そして初来日のリゾをヘッドライナーに迎えた。200組以上のアーティストが出演した今年は、前夜祭を含めて114,000名が様々な音楽体験を求めて苗場を訪れ、海外からの観客も多く見受けられた。本特集では、白熱のパフォーマンスのライブ・レポートと編集部による写真で現地の様子を振り返る。(Text: Billboard JAPAN)

2023.07.28 FRI
DAY 1


 米シカゴ出身のシンガー・ソングライター、アレクサンダー23が<RED MARQUEE>に登場。本人のギター弾き語りとドラムの2ピース編成という、コンパクトなセットだ。「Cosplay」でスタートし、「Crash」「Cry Over Boys」など軽快に披露。「Girl」では、そのサウンドの気持ちよさに自然とオーディエンスの手が上がる。日本を満喫している様子をMCで明かしたり、日本語で「カンパーイ!」と水を飲む愛らしい姿も見せながら、ティアーズ・フォー・フィアーズ「Everybody Wants To Rule the World」のカバーでも観客を歓喜させ、若さ溢れるギターポップで魅了した。

 15時ちょうどに、やや曇り空な<GREEN STAGE>に現れたのはアイドルズ。ヒプノティックなギターに合わせて、はちまきをしたフロントマンのジョーがステージを行き来しながら「Colossus」で、徐々に会場の温度を上げていく。2曲目の「Car Crash」では早くもギターのリーが観客の待つピットへ突入。ジョーがお決まりのジョギング・ポーズをキメながら、ポジティブなリリックで観客を鼓舞する「Mr. Motivator」、ジョーが力強く胸を叩きながら歌い上げる「Mother」などパンク魂溢れるナンバーがテンポよく続いていく。「美しい日本で演奏ができて本当に光栄だ。君たちの素晴らしいエネルギーに感謝してる」というジョーによる心のこもったMCから、マークがエモーショナルにキーボードを奏でる「The Beachland Ballroom」でクールダウンすると、後半にかけては怒涛の展開に。「Danny Nedelko」でマークがクラウドサーフィンしたと思えば、ジョーとジョンによるダイナミックなドラムを軸にしたグルーヴが渦巻く「Rottweiler」でフィナーレを迎えた。その魂を震わすパフォーマンスは、多くのフジロッカーのハートを掴んだに違いない。



 熱い期待感に包まれた<RED MARQUEE>では、シルバーのオブジェがあしらわれたマイクを手にし、光沢のある黒いエプロンにブリーフという妖艶な料理人風のイヴ・トゥモアによる自由奔放なステージが開始。歪んだギターと軽快なドラム・ビートに自然と体が揺れる「God Is a Circle」から心地よい陶酔感を生み出した「Echolalia」、そして前半のハイライトとなった「Gospel for a New Century」などジャンルレスで万華鏡のような楽曲がスリリングに展開されていく。イヴとベーシストのジーナのシルキーな歌声が絡み合う「Lovely Sewer」に続いて、シングアロングにピッタリな「Crushed Velvet」は、イヴが観客や撮影カメラと積極的に絡みながらフロアでパフォーマンスしたり、とにかく予想不能な動きに釘付けだ(途中ファンにお菓子を差し入れする気遣い?も)。あっという間に最後の曲「Kerosene!」となったが、エプロンを脱ぎ捨てたイヴは観客を煽りながら、ソロを弾くギタリストのクリスのお尻を叩いたり、持っていたタオルでドラマーの汗を拭いたりと大忙し。次世代ロックスターの名にふさわしいイヴ・トゥモアの強烈なカリスマ性とクリエイティビティを体感できた1時間だった。随時ソリッドな演奏でイヴをサポートしていた個性的なバンドにも大きな拍手を送りたい。



Photo: Taio Konishi


 日中は日差しが強かったが、雨が降ったことで適温となった17時。そんな中、再び気温を上げたのが<GREEN STAGE>での矢沢永吉だ。熱い「永ちゃんコール」が響く中で、白いスーツを身に纏った矢沢が登場。オープニング・ナンバー「カモン・ベイビー」を表情豊かに歌い上げる。「またみんなとフジロックで会えたよ」と喜びを伝えると、ロック・バラード「SOMEBODY'S NIGHT」へ。そして「夏フェスにどうしても歌いたくて」と話した「ルイジアナ」と、楽曲を一曲一曲丁寧に紹介しながら歌い上げていく。2023年にデビュー50周年を迎えた矢沢。「YAZAWAは今年で74歳になります。世界中にはミック・ジャガー(ザ・ローリング・ストーンズ)もいるわけで。ストーンズにできてYAZAWAにできないことはないよな! これからも歌い続けていきます!」と余裕のある姿を見せた。45分という刹那のステージで、老若男女、さらに国境を超えたリスナーを虜にしていく矢沢はアーティストの鏡であろう。最後に「トラベリン・アス」で深いお辞儀をしてステージを後にした。



 初日の夕暮れ時、ステージにはスタンドマイクが1本。定刻になり<GREEN STAGE>に颯爽と登場したのはダニエル・シーザーだ。4月にリリースしたアルバム『NEVER ENOUGH』から「Ocho Rios」そして「Let Me Go」がしっとり披露される。中盤では何度かアコースティック・ギターを持ち、H.E.R.との楽曲「Best Part」など、いくつか弾き語りで披露する場面も。その美しく響き渡る歌声に、オーディエンスが静かに聴き入っていたのがとても印象的だった。天候に恵まれた3日間の中でもこの日は特に美しかった、オレンジのグラデーションに染まった空が、演出かのようにステージを包んでおり、彼の温かい歌声と相まって心地よすぎる空間となっていた。



Photo: Ruriko Inagaki


 この日、<RED MARQUEE>のトリを務めたのは、ヤー・ヤー・ヤーズ。ステンドグラス×マッシュルーム的な独創的な衣装のカレンOによる「カモーン、フジロック!」という掛け声から、「Spitting Off the Edge of the World」で実に17年ぶりのフジロック出演が幕を開けた。前衛的なポージングを披露しながら、カレンがハットとケープを脱ぎ捨てると、バンドの代名詞といえるガレージ・ロック・ナンバー「Cheated Hearts」、ブライアンのドラムから繰り出される正確なリズムに思わず体が動く「Pin」と続き、観客のボルテージが一気に上がっていく。もうすぐ8歳の誕生日を迎えるというカレンの息子ジャンゴに観客全員で「ハッピー・バースデー」を歌うと、そのまま「Zero」に突入。「Y」の形をしたコンフェティが舞う中、巨大な目玉のビーチボールが満員の観客の頭上を駆け巡り、フロアを歓喜の渦に巻き込んだ。カレンが勢い余って「Y Control」の出だしを間違えてしまう一幕もあったが、後半はイントロだけで拍手が沸き起こった「Gold Lion」、故シネイド・オコナーに捧げる「Maps」と名曲の数々でたたみ掛けていき、唸るニックのエレキ・ギターに痺れる「Date With the Night」で至福のフィナーレを迎えた。カレンのフロントウーマンとしての色褪せない輝き、ブランクを感じさせないソリッドな演奏、そして観客からの熱のこもった声援がぶつかりあった濃厚な60分だった。



Photo: Taio Konishi


 初日の<GREEN STAGE >のトリを務めたがザ・ストロークスだ。コロナ禍で中止となった幻の2020年でヘッドライナーの予定だったが、今回、満を持しての来日となった。安定感抜群と圧倒的な演奏スキルを見せつけていく「Bad Decisions」から、ギターのユニゾンが心地よい「Automatic Stop」。全体的な音の采配が素晴らしく、徐々にストロークスの世界観に引き込まれていった。中盤では、ジュリアン・カサブランカス(Vo.)が「29年前に日本でライブをやった」という冗談(実際は12年前)を交えながら、調子よくパフォーマンスが続いく。BPMを上げ、歪みも増す「Juicebox」や「Reptilia」では、ジュリアンの鋭い声が会場に波紋していった。ワンマンライブのボリュームで観客の心を満たしていくザ・ストロークス。アンコールの声にも応え、「Have a good night.」と最後に「Last Nite」を届けてくれた。



Photo: Masanori Naruse


 <WHITE STAGE>初日のトリは、アンダーソン・パークとノレッジによるNxWorriesだ。高層DJブースにノレッジが、巨大なファーの帽子をかぶったアンダーソン・パークがステージへ登場すると大歓声が起きた。「86 Sentra」からスタートし「Wngs」やカバー曲など次々と披露していく。時折ノレッジのDJタイムを挟みながら、オーディエンスにシングアロングさせ会場を盛り上げていく中、ボビー・コールドウェルの「What You Wan’t Do For Love」や、ホイットニー・ヒューストンの「I Wanna Dance with Somebody」では大合唱が起きた。「Daydreamin」では照明を落とさせ、オーディエンスのスマホライトを演出にしたり、大勢の謎の女性たちをステージに招待しダンスバトルがスタートしたり、聴衆を飽きさせなかったのは言うまでもない。2回の銀テープの特攻や大型モニターの派手な演出からも、スター感を感じずには居られない1時間半となった。

 

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