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<インタビュー>寺井尚子×真琴つばさ、宝塚歌劇OGとカルテットが共鳴する公演【ALL THAT ZZJA/ALL THAT ZZKA】を語る
この9-10月に東京と大阪で開催される【ALL THAT ZZJA/ALL THAT ZZKA】は、真琴つばさをはじめとする宝塚歌劇のOGたちと、ジャズ・ヴァイオリンの第一人者・寺井尚子のカルテットが共演して、ジャズをたっぷりと披露するゴージャスなコンサートだ。寺井尚子と真琴つばさの二人に、今までにないスペシャルなコンサートへの意気込みを語っていただいた。(Interview & Text:村井康司 / Photo:岩田えり)
【ALL THAT ZZJA/ALL THAT ZZKA】に向けて
――なんとも豪華なメンバーでのコンサートですね。寺井さんはどんなステージにしたいと思っていますか?
寺井尚子:元トップスターの宝塚OGの方々とご一緒できるということで、いろいろイメージが湧いています。宝塚歌劇にはヒット曲がありますよね。あるスターの方と共にその方のヒット曲が連想されるんですが、タカラヅカのヒット曲を、今の時代の香りがするアプローチでご一緒できたらどんなにいいだろう、というところから始まりました。
――真琴さんは、2022年にジャズを歌ったCD『MAKOTO SINGS Greatest Hits With Big Band 〜真琴つばさ スタンダードを歌う』をリリースされましたね。ジャズを歌うのはお好きですか?
真琴つばさ:宝塚歌劇ってほんとにいろんなジャンルの曲が登場するので、ジャズには以前から慣れ親しんではいたんですね。だけど、タカラヅカのジャズは日本語で歌いますので、かなり日本寄りなんですよ。ですので、以前からジャズを歌いたかったんだけど、英語という敷居が高かったんです。このあいだのCDのときに道を付けていただいて、その中に入ることができたんですけど、その時ご一緒したのはビッグバンドでした。それは宝塚歌劇に比較的近いと思うのですが、先日寺井さんカルテットの演奏を初めて聴かせていただいて、最初の3音で心持っていかれたんですよ。タララ! っていうだけで(笑)。感動とともに私はこの方々と一緒にいったい何ができるんだろう、どうしていいかわからない、アイム・ロスト(笑)。
寺井:そんなそんな、もうそのままで大丈夫ですよ。そのままがいちばんかっこいい。
真琴:観に来てくださろうとしているお客様もそうだと思いますが、私もどうなるのかわからないんです。
寺井:そこがワクワクしますよね。
真琴:ワクワクしますね! だって、あれだけの技術と、聴く人の魂をわしづかみにする力を持っている寺井さんたちと共演して、私たちはどうやって入っていって掛け算ができるんだろう、と。
寺井:いや、もうほんとにそのままで素敵です。
――たしかに、アレンジがかっちり決まっているビッグバンドに比べて、カルテットははるかに自由度が高いですよね。
寺井:即興を延々とやってしまうわけではないので、そこは大丈夫です。曲によりますけど、歌に寄り添って演奏することが多くなりますね。
――どんな曲をやるのか、いくつか教えていただけますか?
寺井:「すみれの花咲く頃」は…。
真琴:そうですね、あの曲は必ず。あと、【CHICAGO】からの「All That Jazz」をみんなで歌ったり、みなさんがご存じの「It Don’t Mean A Thing」とか。そんな中で、私は【CAN-CAN】というミュージカルから「It’s All Right With Me」を。実はタカラヅカ時代に男役として歌ったことがあるんですが、このあいだのCDでは女性の気持ちとして歌っています。この曲を寺井さんのカルテットとご一緒するとどういうことになるのか、とても楽しみです。寺井さんは「愛あればこそ」をインストで演奏されるんですよね。
寺井:そうなんです。みんなに歌ってほしいと思ってアレンジしたら…。
真琴:出演者で集まって話をしたときに、これは寺井さんのヴァイオリンを聴いていたいよね、ということになって、インストで演奏するのをお願いしたんです。
寺井:この曲はきっと歌うだろう、とお客様は思うかもしれませんが、それをあえてインストでやるのもおもしろいのでは、と思います。
――ソロで歌う曲あり、コーラスの曲もあり、ですか?
真琴:そうですね。「All That Jazz」はみんなで歌います。あと、1曲はちゃんとハーモニーを付けてやりたいね、と言っていたら、演出家の菅野こうめいさんが「Route 66」はどうか、とおっしゃってくださいました。
――宝塚OGの方が7人いて、男性のダンサーが2人いて、バンドが4人という、実にゴージャスなステージですよね。
真琴:ダンサーが湖月わたると風花舞、シンガーが姿月あさとと彩乃かなみ、私は何にしようかと悩んでいるところで、エンターテイナーとしていきます(笑)。
寺井:きっと躍動感のあるステージになると思いますよ。
真琴:寺井さんたちの演奏が躍動感にあふれているんですよね。私たちはジャズに関してはまだまだ未熟なので、たくさん音を浴びて刺激をいただきたいと思っています。
- 「宝塚歌劇の中でもジャズが身近なものに」
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公演情報
【ZUKA IN JAZZ SONG & DANCE with NAOKO TERAI Quartet 『ALL THAT ZZJA ALL THAT ZZKA』】
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2023年9月22日(金)~9月24(土)
東京・日本青年館ホール
2023年9月29日(金)~10月1日(日)
大阪・シアター・ドラマシティ
演奏:寺井尚子カルテット(寺井尚子、北島直樹、仲石裕介、荒山 諒)
出演:真琴つばさ、姿月あさと、湖月わたる、風花 舞、彩乃かなみ、天寿光希、晴音アキ、加賀谷真聡、高橋伊久磨
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「宝塚歌劇の中でもジャズが身近なものに」
――ところで、寺井さんはミュージカル・ナンバーはお好きですか?
寺井:はい、ジャンルにはこだわらずに、どんな曲でもどうジャズるか、という観点で演奏していますが、今回は元タカラヅカのトップスターの方々との共演ですから、それは全然違いますよね。
――異なる分野の一流の方々が共演するんですものね。
寺井:触発されて刺激を受けあって、歌もダンスも演奏も、公演を重ねるたびにどんどん変化していくんじゃないかな、と思っています。
真琴:今回は公演が東京大阪それぞれ3日間ぐらいしかないんですよね。それを濃密なものにするためには、お稽古をみっちりやらないとね。私たちはダンスをするのも、いつもここは何小節、という長さが決まっています。それが日によって変わっていったりするのも楽しそうだなあ、と思っています。意外と私ね、即興系がけっこう好きなんです。
寺井:こちらの弾き方によって、たとえばダンサーがシャープにダンスするとか、ほのぼのした弾き方をするとダンスもほのぼのしてくるとか、といったことが、いろんなところであると思うんです。そうしたお互いのやりとりが、今回のコンサートの魅力になるといいですね。
――ところで、今年2023年は、日本で始めてのジャズバンドである井田一郎さんの「ラフィング・スター・ジャズバンド」が結成されて100年目なんですよね。井田さんは宝塚少女歌劇団のオーケストラ出身でした。
真琴:そうなんです! 私、歴史を調べるのが好きで調べてみたんですけど、タカラヅカには1年ぐらいいて、ご自分のバンドを作られたんですよね。当時、宝塚歌劇は音楽の時代の先端をいっていたのだと思いますが、井田さんは先端のさらに先端だったんですね。
――私の持っている本『戦前戦後 日本のジャズ史』に井田さんの写真が載っているので持ってきました。(写真をお二人に見ていただく)
寺井:うわあ、粋! 映画俳優みたいですね。
――井田一郎もヴァイオリン奏者だったそうです。100年前にジャズを志した先駆者の心情ってどんなだったんでしょうね。
寺井:ジャズがアメリカで誕生してから20年余りが経った頃ですよね。初めてジャズを聴いたときに、彼は”なんて自由な音楽なんだ!”って思ったんじゃないかしら。私がジャズを初めて聴いたときと同じように。それで、どうしても自分でやりたくなって、一緒にやってくれる仲間を探して、ということなんだと思います。この方のおかげで、宝塚歌劇の中でもジャズが身近なものになったんじゃないかしら。
――ところで、お客様の中には、ジャズをあまり聴いたことがないという方がいらっしゃると思うんです。寺井さんからジャズの楽しみ方を一言教えていただけますか?
寺井:そうですね、ジャズはこう聞かなければいけないという決まりごとは一切ありません。居心地がいいかどうか? が一番大切だと思います。ご自分なりの楽しみ方で聴いていただければ嬉しいです。ただ、ジャズには他の音楽にはない特徴がありまして、それが即興演奏なんですね。ですので、初日と二日目、二日目と三日目で演奏が違います。その辺りも楽しみですね。また、演奏だけでなく、シンガーやダンサーと演奏の阿吽の呼吸も、日々成長していき、それこそが醍醐味だと思います。
――真琴さんから、お客様に一言お願いします。
真琴:寺井尚子さんのファンで公演にいらしてくださる方には、元タカラジェンヌたちがジャズを歌うという”アドベンチャー・ワールド”をお楽しみください、と申し上げます(笑)。私たちの公演にはよく行くけどジャズは初めて、という方には、寺井さんが弾く「愛あればこそ」を生で聴きに来てください、そして私たちがコーラスで歌う「Route 66」を生で聴いてください、とお願いします!
――本当に楽しみな公演です! 今日はありがとうございました。
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公演情報
【ZUKA IN JAZZ SONG & DANCE with NAOKO TERAI Quartet 『ALL THAT ZZJA ALL THAT ZZKA』】
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2023年9月22日(金)~9月24(土)
東京・日本青年館ホール
2023年9月29日(金)~10月1日(日)
大阪・シアター・ドラマシティ
演奏:寺井尚子カルテット(寺井尚子、北島直樹、仲石裕介、荒山 諒)
出演:真琴つばさ、姿月あさと、湖月わたる、風花 舞、彩乃かなみ、天寿光希、晴音アキ、加賀谷真聡、高橋伊久磨
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