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<インタビュー>80'sの魅力を伝えたい――“レトロポップ”を掲げる武藤彩未が挑む、念願のビルボードライブ公演

インタビューバナー

 可憐Girl's、さくら学院のメンバーとしてキャリアを築き、現在はソロ・アーティストとして活動している武藤彩未がビルボードライブに登場。どこか懐かしくも新しい楽曲の世界観は80'sミュージックからの影響で、昨年11月には4thミニアルバム『glitter beat』をリリース、その収録曲「ハンサムレディ」では“80's好き”という共通点から意気投合した声優/アーティストの降幡愛が作詞を担当したことも話題となった。昨年7月に行われた降幡のビルボードライブ公演にもゲスト出演した武藤だが、今回ついに自身のヘッドライン公演が実現。

 また、本公演に先駆け、7月26日にはニューシングル「DANG DANG 気になる」も配信決定。来年ソロデビュー10周年を控えるなか、一人のシンガーとして成長を重ねてきた武藤の現在地を刻む最新公演と最新楽曲について、本人に話を訊いた。(Interview & Text:Takuto Ueda/photo:Miyu Ando)

念願のビルボードライブ公演に向けて

――8月に初のビルボードライブ公演が決定しています。会場に対してはどんな印象を持っていますか?

武藤:ビルボードライブは本当に念願だったんです。今の事務所に入る前、フリーでライブ活動をしていた時期があったんですけど、自分の資料を直接送ったことがあるぐらい、ずっとこの会場でライブしたかったんです。当時はビルボードライブが独自でブッキングされていることを知らなくて。今回、お声がけいただいたときは本当にうれしかったです。もちろんプライベートでたくさんライブを見に行かせてもらってますし、いつか立ちたいとずっと思っていたので、27歳にしてようやく見合う大人になれたのかなって。


――ビルボードライブを知ったきっかけは?

武藤:私は昭和歌謡が大好きなんですけど、ビルボードライブでは80年代のアーティストの方がたくさん公演をされているじゃないですか。それで自然と見に行くようになりました。特に衝撃だったのは杏里さん。歌がすごすぎて。あと、近い距離感だからこそ伝わる生バンドの迫力がありました。


――ステージと客席の近さは特徴的ですね。

武藤:バンドメンバーも豪華だったりするから、あの距離感で聴けるのは本当に贅沢だなと思います。六本木はカーテンが空くと夜景が見えるじゃないですか。あれも心がときめきました。




――ライブだけでなく雰囲気や飲食も楽しんでいただける会場だと思います。

武藤:ディナーショーみたいな雰囲気も憧れました。それこそ80年代のアーティストさんがよくやられているイメージもあるので。お酒は普段からあまり飲まないんですけど、ご飯はおいしくいただいてます。杏里さんのときはコースを頼みました。そうやって自分がお客さんとして楽しんでいるので、自分のライブでも食べたり飲んだりしながら楽しんでほしいなと思います。


――武藤さんは昨年7月、降幡愛さんのビルボードライブ公演にてゲスト出演されました。降幡さんとは80'sミュージック好きという共通点もあり、仲良くされていたんですよね?

武藤:きっかけはラジオだったんです。自分がパーソナリティを務める番組にゲストで出てくれて、意気投合して「一緒に何かやりたいね」みたいな話になって。そしたらライブのゲストに出てほしいとお声がけいただいて。そこで一つ、ビルボードライブに立つという夢を降幡さんに叶えてもらって、あらためて「一人でもここに立ちたい」と思ったんです。


――武藤さんが昨年9月に発表した楽曲「ハンサムレディ」では、作詞を降幡さんが担当されていました。やはりライブでの共演がきっかけ?

武藤:私、けっこう積極的なので、ステージ上でオファーしたんです。そしたらライブが終わったあと、その日にすぐ書いてくれて次の日に送ってくれたんです。あのライブがあったから実現したことですね。




――何かテーマなどは伝えていたんですか?

武藤:特になくて、降幡さんが感じた通りの私を書いてもらいました。<ちゃんづけなんてやめてよね>というフレーズから始まるんですけど、今までにない大人っぽい歌詞になっていて。これまでピュアな恋の曲とかは歌っていたけど、降幡さんは「芯の部分は強くて大人な感じがするんだよね」と言ってくれて、新しい表情を引き出してくれた歌詞になっています。


――8月のライブ【Nostalgic Live】について聞かせてください。どんな内容になりそうですか?

武藤:やっぱり私の中には80年代の音楽がたくさん詰まっているので、それを今の私を通して伝えたいと思ってます。懐かしいけど新しさ、今っぽさも同時に感じてもらえるような。


――すでにセットリストは決まってますか?

武藤:決まりました。カバーもやります。最近のライブではしていなかったので、歌いたい曲もだいぶ溜まってきていて。かなり盛りだくさんな内容になると思います。


――やはり根底には“80年代の魅力を伝える”というモチベーションがあるんですね。

武藤:本当にそうです。大好きな音楽の魅力をたくさん伝えたいなって。


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80年代の音楽の魅力

――武藤さんは80年代の音楽にどんな魅力を感じていますか?

武藤:言葉がすごく入ってくるころが一番の魅力だと思います。一つの物語を読んでいるかのような歌詞をメロディーに乗せて伝える感じが80年代っぽいなと思います。そのメロディーもシンプルだけどスッと入ってくるような感じで。最近は音数が多かったりメロディーが複雑な曲が多くて、それもそれで良さなんですけど、そういうのとはまた対照的というか、シンプルだからこそ伝わる良さが私は好きです。


――武藤さんは“レトロポップ”という言葉を掲げて音楽活動をされていますが、80年代の音楽を自身のフィルターを通して表現するとき、何か心がけていることはありますか?

武藤:変な癖を入れず、真っすぐ伸びやかに歌うことは心掛けてます。歌が上手なアーティストさんはたくさんいるけど、私は言葉を伝えることに一番重点を置いていて。


――特に影響を受けているシンガーは?

武藤:やっぱり松田聖子さんですね。かわいくて、歌が上手で、今でもアイドルと言われるくらい“永遠のアイドル”で。そんな存在はやっぱり聖子ちゃんしかいないなと思ってます。常に理想です。いつかお会いしてみたいです。


――7月26日にはニューシングル「DANG DANG 気になる」が配信決定。中村由真さんが1989年にリリースしたシングルで、アニメ『美味しんぼ』のOPテーマに起用された楽曲のカバーです。

武藤:カバー曲をデジタルリリースするのは初めてなんです。昔、ライブ会場限定でCDを出したことはあったんですけど。ずっとやりたい気持ちはありつつ、タイミングを探っていて。あと、やるからには妥協したくなくて、準備が整うまで温めていたんです。ちょうどビルボードライブが決まったタイミングでもあったので、そこにもつなげられるなって。


――ちなみに選曲の理由は?

武藤:今までは“ザ・80年代”のアイドルっぽい曲を歌うことが多かったんですけど、この曲はそういう可愛らしさもありつつ、ちょっと切ない大人っぽさもあって。私も27歳になったし、新しい自分を見せられたらなと思って選びました。






――来年でソロデビュー10周年。一人の人間としても成長・成熟を重ねてきた今の武藤さんだからこそ歌える楽曲でもあるかもしれないですね。

武藤:たしかに「変わってきたな」って感じはします。自分で言うのも変ですけど、歌っていて違和感がないというか、気持ちよく表現できてるなって。そこは10年前と比べて変化したところなのかなと思います。


――アレンジはevening cinemaの原田夏樹さん。

武藤:原田さんはオリジナル曲でも何度かお世話になっていて。原田さん自身も80's好きな方だし、茨城出身で同郷なんですよ。いろいろ共通点もあって、一緒に80'sの音楽を盛り上げていこうって意気投合したので、またこうやって作品を作ることができてうれしいです。


――武藤さんから見て、原田さんはどんなクリエイターですか?

武藤:キラキラしていてかわいらしい曲といえば原田さんっていうぐらい素敵なアレンジをしてくださる方です。今回も一つひとつの音を聴き逃がさないでほしいぐらい、注目ポイントがたくさんあります。


――武藤さんからはどんなリクエストを出したんですか?

武藤:やっぱり原曲の良さは崩したくなかったので、そこは残しつつ原田さんの得意な要素をたくさん入れていただきました。個人的なポイントとしては、最後のサビで転調するところ。原曲にはないアレンジなので、私らしさを感じてもらえたらなと思います。


――ボーカルに関しては?

武藤:いい意味でいつもより低めのテンション感というか。それこそ大人っぽさを意識して歌いました。この曲は絶対にそういう感じのほうがいいと思って。この曲をきっかけにして、今後そういう部分も伸ばしていけたらいいなと思います。80年代のアイドルって女優さんだなって思うんですよ。いろんな表情を見せてくれる。私も歌詞や曲によっていろんな私を表現したいです。


――「今後こういう曲にもチャレンジしてみたい」という展望も?

武藤:がっつりバラードな曲も歌ってみたいなって。ミディアムな曲はけっこうあるんですけど、それこそビルボードライブに似合うような“聴かせる曲”みたいな音楽にも挑戦してみたいです。そういう曲って歌唱力が大事というか、10代の頃の私じゃ未熟だったと思うので、大人になった今だからこそ歌いたいという気持ちもあります。


――では最後に、ビルボードライブに来るファンのみなさんにメッセージを。

武藤:これからも私らしく昭和歌謡の良さを伝えていくので、私にしかできない音楽をビルボードライブで聴きに来てもらえたらうれしいです。






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