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<インタビュー>SANTA “花火のように熱く前に進んで行く”新曲「野」に込めた決意を語る

インタビューバナー

Interview & Text:岡本貴之


 中国を拠点に活動を続けるアーティスト、SANTAが6月19日に新曲「野」をリリースした。INTO1卒業後初のソロシングルとなる今作は、前作「I’m from...」とは打って変わり、激しいギターリフが強烈なロックサウンドに乗せて、新たな道のりへと踏み出す決意を表明している。自身の本名から一文字を引用したタイトルや、初めての中国語ラップにも挑むなど、ソロ活動への意欲が溢れる今作に込めた想いを聞かせてもらった。

前作「I’m from...」の反響

――前作「I’m from...」をデジタル・リリース(2022年11月25日)して、ファンからの反響はいかがでしたか?

SANTA:たくさんの方が何度も聞いてくれて本当に感謝しています。「I’m from...」は“自分がどこからどういうふうにやって来たのか”ということを歌った曲だったんですけど、リリース後に何回かステージ上でパフォーマンスすることもあって、ファンの方にも、僕のことを知らない方にも曲に込めた意味を伝えることができたと思っています。


――周囲への感謝も込められた曲でしたが、実際に曲を聴いた家族や友達から言われたことなど、エピソードがあれば聞かせてください。

SANTA:歌詞を作る段階でわりと話していたから、出来上がってからは特に何も言われてないかな(笑)。とくに、友達に対しては照れくさいというか。今年、中国の春節の時期に帰国して地元に帰ったときに友達とドライブしたんですけど、そのときに友達が車の中で「I’m from...」を流していて。僕は照れくさくて「ちょっとやめてよ」っていう感じだったんですけど、みんなが聴いてくれていることに感動した部分もありました。男同士の友だちには言葉で話すとちょっと恥ずかしくて言えないようなことも、曲にすると伝えられるんですよね。家族とか仲間がいたから今の自分がいるっていうのはこれからも変わらないことなので、そこに対する感謝の気持ちも、しっかり受け取ってくれてるなと思いました。


ソロとして最初の曲「野」

――今回、6月19日に「野」がリリースされました。まず、この漢字一文字の意味と読み方を教えてください。

SANTA:自分の名字が「宇野」なので、そこから取った「野」なんですけど、ワイルド、野性的みたいな感じをイメージしてタイトルにしました。中国語だと「野」と書いて「イェ」と発音するので、日本の方は「イェ」でも「の」でも好きな方で読んでください(笑)。とにかく「野」という文字からワイルドなイメージを感じてもらえたら。ちなみに英語のタイトルは「Rough Or」です。


――「I’m from...」とは印象がガラッと違って驚かされました。激しいサウンドになったのはなぜですか。

SANTA:今回はすごくロックな曲を作りたいと思っていました。「I’m from...」はまだ自分がチームにいたときの1曲目だったんですけど、今回の「野」は本当にソロとして最初の曲なので、スタートダッシュにふさわしい疾走感がある曲を作りたいとずっと思っていて。それには、やっぱりロックが自分の姿勢をいちばん示せるかなと思ったので、こういうサウンドにしました。もともと自分がロックバンドの音楽がすごく好きなのもあるんですけど、今の時代的に、またロックに勢いがあるんじゃないかと思ったのも理由のひとつです。


――曲自体にはどんなテーマがあったのでしょうか。

SANTA:テーマはざっくり言うと“花火”です。花火も昔からすごく好きで、いろんな思い出があるんです。花火っていうと友だちや家族と一緒に見た思い出とか、みんなすごくロマンティックなイメージがあると思うんですよ。ただ、この曲を書くときに考えたことがあって。もし自分が花火自体になったとしたら、夜に打ち上げられるわけだから、真っ暗な道、誰もまだ通ったことがない道を、空に向かってひたすら上がっていくだけじゃないですか?


――そんな風に想像したことはないですけど、確かにそうですね。

SANTA:花火からすると、それって熱くて何も見えないすごく険しい道だと思うんですけど、もう上に行くって決めたから引き戻すことはできないというか。その、“ただひたすら上に真っすぐ進んでいくのみ”みたいな状態が、今の自分が置かれてる立場とすごく似ている気がしたんです。だから花火をロマンティックなものではなくて、逆に暑苦しいような感じの捉え方にしたくて。たとえば、自分が日本に住んでいたときは東京の夜景ってすごくきれいに見えたけど、それは夜中まで残業でめちゃくちゃ頑張ってる人たちの部屋の光を外から見てるからですよね。たぶん、花火も同じなんじゃないかと思ったんです。自分も花火のように熱く前に進んでいきたいし、それをみんなに「きれいだね」「SANTA頑張ってるね」って見てもらいたい。そういった意味での「花火」です。


――先日Twitterに上がっていた花火を描く映像は、そういうメッセージが込められていたんですね。

SANTA:「野」は“花火=僕”っていう曲なので、それを表すためにタイトルを苗字とかけてますし。ティザー映像やミュージックビデオ、歌詞の中でも、いろんな形で連携させるような表現をいろいろと考えて作りました。


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活動の道筋になるような曲を目指した歌詞

――ティザー映像では、幼い頃のSANTAさんの姿を見ることができますね。

SANTA:かわいい感じの写真をお母さんに探してもらいました(笑)。多分、昔の僕と今の僕も変わってないというか……あの頃も必死に毎日生きていたし、年齢を問わず常に前に進んでいく姿勢でいたいと思っているので、それを表現したんです。


――歌詞は今回もSANTAさんがメインで書いているんですか?

SANTA:テーマが決まってから、自分がこういうことを言いたい、こういうストーリーの曲にしたいっていうことをいったん書き出したんです。それを歌詞の先生、スタッフさん、音楽チームの方、いろんな人と毎日会議で相談しながら作りました。


――〈I'm SANTA I'm ME!〉、〈全ての歓声は僕のため(日本語訳)〉と歌っているなど、かなりエゴイスティックな曲にも聴こえます。これだけのことを歌うのには相当覚悟が必要じゃないですか。

SANTA:歌詞については、ずっとこういう内容の曲を作りたいと思っていたんですけど……ちょうどチームを卒業して、もうすぐソロでスタートするぞっていう準備期間と曲の作業期間が重なっていたんです。その時期にいろいろ考えていて。(ソロ活動は)簡単な道ではないことはわかっているし、スタートダッシュを切るからにはそれだけの覚悟と責任が必要だから、それをもう一度自分に言い聞かせる意味もありました。応援してくれるみなさんにも、「僕はこういうつもりでこれから進んでいきますよ」って意思表示をしたいというのが、歌詞についていちばん強く思っていた気持ちです。〈I'm SANTA I'm ME!〉って言っているのも、自分自身が“自分”をちゃんと理解していないといけないし、アーティストとして、一つひとつの発言や歌詞、曲、ステージすべてにおいて筋を通したいと思っているんです。「自分はこういう人間ですよ、これからはこういう道で行きますよ」っていう、わかりやすい道筋になるような曲を目指して歌詞を作りました。


初挑戦の中国語ラップ

――今回、中国語ラップに初挑戦しているのも印象的です。

SANTA:最初のイントロよりも前で〈我自由的做我自己〉って中国語で言っているセリフがあって、これは日本語に訳すと「自由に自分の人生を貫く」という意味なんですけど、ラップの部分では特にその強い気持ちを前に出していて。誰がどう言おうと自分は自分でブレないっていう思いを、勢いのあるラップでぶつけてみたかったんです。


――実際に挑戦してみて、難しかった部分などはありましたか?

SANTA:ラップはもともと好きで普段からよく聴いてるし、歌うのもすごく好きなんですけど、この曲のラップはもう毎日毎日頭から離れなくて。寝てる間も夢の中でずっとラップしてました(笑)。それもあって、最終的に今はラップ部分がいちばん歌いやすいパートになったかもしれないです。もう完全に体に入った感じですね。


アーティストとしてのブレない軸みたいなものを伝えたい

――前回のインタビューで、「中国語は難しくて今も勉強中」とおっしゃっていましたが、 あれから半年ほど経って今はいかがでしょうか。

SANTA:あのときよりもっと頑張ってます(笑)。頑張る気持ちは前にももちろんありましたけど、ラップもそうですし、これから自分が表現したいものもある。バラエティ番組に出たときとかにもっと話したいことも増えてきているし、発音にも注意して話せるようにしていきたいので。勉強方法を変えて、頻度ももっと上げて頑張っています。


――「野」ではそのあたりの成長も感じることができそうですね。今後MVも発表されるそうですが、どんな内容になっていますか。

SANTA:実は昨日ちょうど撮影したばかりなんですけど(取材は6月中旬実施)、今回は内モンゴルの大自然の中で撮った映像になっています。今の時点で言えることは、「完成したらとにかくみなさん見てください」っていう感じです(笑)。「野」は本当の意味でのソロ一曲目ですごく大切な曲なので、歌詞をいろんな方と相談しながら、何回も何回もチェンジしてようやく完成したんです。MVについても、監督さんたちと何度も話し合って一つひとつのシーンに自分の想いを込めていて、すべて意味があることしか入っていないんですよね。歌詞、MV、ティザー映像、すべてに自分の気持ちを込めて作っているので、そこで新たに僕が進んでいく道みたいなものを感じ取ってもらえたら嬉しいです。


――今この瞬間だけじゃなくて、未来に繋がる作品になっているということですね。

SANTA:そうですね。たとえば、「I‘m from...」のMVはダンスがメインだったんですけど、今回のMVはダンス・ミュージックビデオにはなっていないです。そこも自分にとってはひとつの挑戦かつ意思表示だし、もちろんダンスにもこだわりを持っていますけど、そうではない部分もこれからしっかりやっていきます、という作品になっています。すべてにおいて意味があるので、期待していてほしいです。


――意味があることのひとつとして、ジャケットもかなり強烈です。

SANTA:このジャケットでも自分のイメージを表現したくて、いろんな人と相談しながら最終的に選びました。


――今日お話を聞いていて、以前にも増してストイックになっている印象を受けました。そのモチベーションはどこから来ているのでしょうか。

SANTA:「I’m from...」で伝えた感謝の気持ちを、ちゃんと行動で示さないといけないと思っているんです。根本にあるものは一緒ですけど、「野」はさらに新しいスタート。これからも応援してもらいたいし、自分が大切にしているもの、アーティストとしてのブレない軸みたいなものを伝えたいという気持ちがパワーになっていると思います。


――今後の楽曲制作、リリースやライブなど活動予定を教えてください。

SANTA:今、たくさん曲を作っているので楽しみにしていてください。今もそう言いながら自分に対してプレッシャーをかけてるし、毎回サプライズをしっかり用意してます。いつもいろんな方向、角度の自分を見せたいし、ひとつの作品でみんなに新鮮さを与えたいと思っていて。だからこそ自分自身の軸はブレずに、いろんな曲を準備しています。ライブについても、やっぱり自分はステージが好きだから、みんなに直接会えるような場所も準備してるし、音楽フェスにもどんどん挑戦したい。そのために今、自分を磨いている最中です。


――では、記事をご覧のみなさんに、改めて「野」についてひと言お願いします。

SANTA:この楽曲は自分のソロとしての一曲目で、自分にとってもみんなにとっても、スタートダッシュするための大切な曲になると思っています。そこでもう一度、SANTAとはどういうアーティストなのか、これからどんな風に進んでいくのかという道を見つけてもらえると嬉しいです。


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