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<インタビュー>2023年の原因は自分にある。は何が違う? 3rdシングル『Foxy Grape』で開拓した新境地



インタビューバナー

 7人組ダンスボーカルグループ、原因は自分にある。(以下、げんじぶ)が3rdシングル『Foxy Grape』をリリースした。
 今年1月に3rdアルバム『無限の終わり』の発表とともにパシフィコ横浜公演を成功させたげんじぶ。メンバーの杢代和人が『仮面ライダーギーツ』への出演のためグループ活動を制限するなか、現在は6人で活動する機会が多い。今作は、げんじぶとしては珍しく激しいメタルテイストのサウンドで、その中にもどこかにげんじぶらしさも感じ取れる新鮮な一曲。新たなフェーズへと突入した今のげんじぶが歌うに相応しく“新しさ”と“らしさ”が同居した楽曲となっている。イソップ寓話『酸っぱい葡萄』をモチーフとした歌詞も、デビュー当初と比べて成長し大人になりつつある彼らに絶妙に合っている。そんな今作の魅力について、メンバー6名(大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、吉澤要人)に話を聞いた。(Interview & Text:荻原梓)

2023年のげんじぶがリリースするに相応しい曲

――最初に「Foxy Grape」を聴いた時はどんな印象でしたか?

小泉:まずタイトルを見て「うわっ英語だ!」と思いました。1stシングルが「原因は自分にある。」、2ndシングルが「嗜好に関する世論調査」と来て、ここでいきなり英語で「Foxy Grape」なのかと驚いて。曲も今までのシングルとは違って、結構ずっしりしたテンポ感なのも格好いいですよね。その中でもげんじぶを感じさせるような独特の雰囲気があって、サビはピアノが入っててオシャレだし、かなりインパクトのある曲だと思います。

長野:自分たちには今まであまりなかった歪ませたギターメインの激しめのサウンドで、新しいなと思いました。でもその中にもちゃんとげんじぶらしさがあって、2023年の今の自分たちが出すシングルとして相応しい曲だと思います。

▲「Foxy Grape」MV

大倉:やっぱりげんじぶらしさって、ピアノロック調だったり歌詞の言葉数の多さだと思うんですけど、この曲はメタルテイストで重さがあります。20代のメンバーが増えてきて大人っぽさがどんどん出てきた僕たちだからこそ出せる色気みたいなものが出てるんじゃないかなと思います。

武藤:特に間奏の歪んだギターとかはリズムにあえてハメない感じで格好いいなと思ってて。僕らの曲で言えば「柘榴」とか「無限シニシズム」みたいなシャッフルビートのリズムがオシャレですよね。

吉澤:僕もリズムが格好いいなと思いました。ちょっと遅れたノリっていうか、絶妙に後ろにグルーヴしてて、オケの音とボーカルのちょっとしたズレが癖になる。なので最初は歌うのが難しそうだなと思いました。

桜木:キーも低いですよね。げんじぶってキーが高い曲が多いんですけど、この曲はちょっと低めなので、今までと違った良さがあります。



――歌詞は嫉妬や妬みのような人の醜い部分を歌ってますよね。イソップ寓話『酸っぱい葡萄』がモチーフだそうですが、みなさんはどんなことを感じましたか?

長野:ひねくれてるなって(笑)。あらためて歌詞を読んでみて、こんな自分にはなりたくないなって思います。でもそういう感情って誰しもが抱くもので、それを音楽を通して共感してもらえたり、楽しんでもらえるんじゃないのかなと思います。逆にこういう攻めた歌詞に対して、みなさんがどういう反応してくれるのか楽しみですね。

大倉:単にひねくれたままじゃなくて、それを自分の中でプラスに変えて、自分を納得させるために強がってる感じもあって。そういう感情の作り方とか、気持ちの持っていき方には惹かれる部分がありますね。負の感情にそのまま流されてしまうことが多い中で、“僕が最後に笑うもんね”みたいな心の持ち方は素敵だなと思います。

吉澤:“酸っぱい葡萄に出てくる狐とは違うから”っていうフレーズがあるんですけど、曲のコンセプトをそのまま歌ってるのが斬新だと思ってて。遠回しに表現するんじゃなくて、この歌詞でストレートに言いたいことを表現してる。この部分はめちゃくちゃ感情を込めたので、ぜひ聴いてほしいです。



――ボーカル表現で意識したことはありますか?

小泉:大人の色気を感じれるような歌い方というのは意識しました。奥の方に色気を感じられるような、紳士みたいな感じで歌ってます。大人っぽく、それでいて色気を出しすぎないように。

大倉:テンポの速い曲だと自然とアクセントって付けられるんですけど、今回は結構ずっしりしてるので、歌がのっぺりしないように、言葉の一つひとつのアクセントを意識しました。

――いつも速いですからね。

長野:そうなんです。普段はそういうスピード感のある曲に必死に乗っかって行くっていうイメージだったんですけど、この曲に関しては、逆にボーカルが引っ張っていくイメージで。リズムのタメを自分たちで作っていかないとオシャレに聴こえない。リズムをどこで取るかを意識してレコーディングしました。



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レコーディングに集中するためにした“あること”

――レコーディングはどうでしたか?

桜木:レコーディングの日がライブの次の日だったんです。なので“整った”状態で歌えました。

大倉:サウナか!

一同:(笑)。

大倉:僕はラップパートを要人と雅哉、和人でやってるんですけど、その中にみんなで被せるところがあって、そこが楽しかったですね。

吉澤:“違うから”、“バカ”、“日々”なんですけど、ここの被せって統一感ではなくて、みんなそれぞれの個性を出していいところだから、好き勝手自由にやりたいことができるんです。

長野:僕は曲がちょっとオシャレだったので、電気を消しながらレコーディングしました。

――電気を消す?

長野:暗い方が落ち着くんです。実は雅哉がいつも真っ暗な状態で歌ってるのに憧れがあって。今回はスタジオがいつもと違うところで、いつもだったら電気のスイッチが近くにないんですけど、この日はちょうど目の前にスイッチがあって、しかも明るさを調節できたので、ちょっとずつ暗くしながら歌って、終わるころには真っ暗になってました(笑)。

武藤:自分は歌い出しの“午後の日差しが焼き付ける怠惰な世界”の部分を歌ってるんですけど、レコーディングする前に周りの人を観察しようと思って。このフレーズをうまく表現するために、みんなはしゃいで楽しそうだなっていう気分になってから歌入れに挑みました。

――役作り的な?

武藤:そうです。この曲の主人公の気持ちになりきってみると、たしかにみんな楽しそうだなと思って、色々と見えてくるものがありました。本当は羨ましいけど、嘲笑ってる感じが出てるんじゃないかと思います。



――こういうグループ活動をしていると一般の方と同じようには生活できない面もあると思います。“やっぱあっちがよかった巻き戻してよ”なんてフレーズもありますが、みなさんは普通の生き方に憧れたりしますか?

小泉:学校の放課後はもっと楽しみたかったなって思いますね。

大倉:それこそ僕は中学校からずっとEBIDAN研究生としてやってきて、そこから部活をやってないんで。やっぱりイベントが土日にあったりすると部活に行けないし、大会後の打ち上げとかにも自分はレッスンで出られなかったりして、部活動の中での盛り上がりを経験してないんです。

小泉:部活は中3までやってたんですけど、中2まではスタメンだったんですよ。でも土日は出れなかったので、だんだん試合に出られなっていくんですよね。大会でもベンチスタート。しかも実力に自信があったので、余計悔しかったですね。

桜木:7人で活動を始めたのが自分は中学1年生の時でした。なので中高とげんじぶと部活を両立させてきたんですけど、しっかり大会に出て仲間と一緒に勝ち上がる、みたいな青春も歩みたかったなとは思います。

吉澤:僕はこの仕事を始める前にバレエをやってて、ちょうどバレエを本腰を入れて取り組み始めた頃にこの事務所に入ったので、あのままバレエを続けてたらどうなってたんだろうというのは気になります。最近は韓国でもがっつりバレエをしてた人がいきなりデビューしたりしてるので、自分もバレエをやっていれば、もっと違った表現ができたのかなとは思いますね。でも、後悔はまったくしてないです。

――“今年はやることも沢山あるし”とあるように、今はこの活動に専念してると。

大倉:そうですね。今はとにかく11月のアリーナ公演【ARENA LIVE 2023 因果律の逆転】に向けて、どうすれば成功させられるかということを考えて前向きに活動してます。



――そして今回はカップリング曲も充実してます。まず「余白のための瘡蓋狂想曲」はこれぞげんじぶと言うべき曲ですよね。

桜木:げんじぶってただでさえ曲が速いのに、この曲はさらに速くて。

大倉:恐ろしく速い。げんじぶ史上一番速いですね。特にAメロの“らりるれろ・ろ・ろ・ろ”なんて、序盤の掴みとしても最高。しかもめっちゃ表題っぽい曲だよね。

長野:たしかに(笑)。

小泉:今までのげんじぶを一番感じられる曲かもしれない。この曲でげんじぶらしさを感じてほしいですね。



――次の「THE EMPATHY」は一転して爽やかなダンスナンバーです。

吉澤:曲調は「Q」(※2022/11/2リリース)に似てる感じもありますけど、歌詞は結構アツくて、7人で未来に向かって進んでいこうっていう強い意志を持った楽曲になってます。背中を押してくれる曲です。

――「GOD釈迦にHip-Hop」はゲームミュージックのようなピコピコ音が面白いですね。

長野:デビュー当時から僕たちの曲を書いてくださってる久下真音さんと改めて一対一でお話しさせてもらって、今まで出してないメンバーの情報やエピソードを話して、それを元に歌詞を書いてもらいました。なので隠れ自己紹介曲みたいになってて、実は1行1行、ちゃんとげんじぶのメンバーのことを歌った楽曲になってるんです。どこが誰とは言ってないんですけど、この歌詞は誰のことだろうとか、想像が膨らむような曲になってます。



――そして「夏の二等辺大三角形」はR&B系のグルーヴィーな一曲ですね。

大倉:これは三角関係を描いた曲ですね。げんじぶは「豪雨」にはじまり、よく報われない歌を歌わせていただいてますけど、これもその一つです。

小泉:カップリング曲を含めるともっと前からだよね。

大倉:「ラベンダー」とかもだね。この曲も報われることはなくて、仲の良かった3人のうち2人がくっ付いて、残りの1人の気持ちは…みたいなもどかしい気持ちを歌ってます。ラブソングではあるんですけど、この曲も嫉妬が描かれてますね。

小泉:「Foxy Grape」とはちょっと違う意味での嫉妬だよね。

大倉:そうそう、どちらも嫉妬を描いてるんだけど、全然違う曲になってて、それが同じシングルに入ってるのが面白いなと思います。

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声出し解禁でライブに変化は?


――ありがとうございます。ところで、げんじぶはライブでの声出しが解禁になったことで何か変化はありましたか?

大倉:僕たちはコロナ禍で成長してきたグループなので、みなさんの声をほとんど聞いてなくて。それでこの前、声出しを中心としたライブ(【LIVE 2023 -Loud&Shuffle-】)をやらせてもらってたんですけど、まだまだ僕たちも掴めない部分があります。今まではファンのみなさんもげんじぶのライブを美術館を鑑賞するような感じで見てくれていたのかなと思うのですが、ライブを経ていわゆるコール&レスポンスのような、ライブっぽくなることに慣れてない方も多いのかなと体感しました。だから新しいげんじぶのライブの形をまだ僕たちも模索中なんです。そこはみなさんと一緒に作り上げていければいいなって思ってます。

――たとえば今作だと「GOD釈迦にHip-Hop」は声出し解禁後のライブにうってつけの楽曲ですよね。

大倉:そうですね。それも見据えて作ってくださったのかなと。でもまだ今後のライブでどう使われていくのかっていうのは僕たちも未知数ですし、ファンの方々も分からない面が多いと思うので、そこは楽しみですね。


――なるほど、今は模索中の段階だと。それでは今後への意気込みを聞かせてください。

桜木:去年いつかやれたらいいなと思ってたアリーナ公演が、もう1年後に立てると決まったので、今はそれに向かって頑張るしかないなって思ってます。あとは20歳までにドームに立つっていう僕の最大の目標に向けても頑張りたいです。

武藤:さっき空人が言ってた通り、観測者(げんじぶのファンの呼称)が声出しのライブに慣れてない状況というのは、これからやるアリーナ公演に向けてもっと向き合っていきたいところです。今回の3rdシングルでもみなさんに歌ってほしいところがあるので、まずは定着させていくことが楽しんでもらえる第一歩なのかなと。それに今までの曲も変えていかなければいけないんです。「原因は君にもある。」の“ららら”とか。

大倉:「嗜好に関する世論調査」の“2択”とか、「ギミギミラブ」の“炭酸水”とかもね。

武藤:そうそう。そういう曲をこれからどういう風に楽しんでもらうのか、あらためて考え直す必要があります。

小泉:声出しが解禁になったことで、よりライブ感を感じられるようにはなると思う。けど僕らは曲の世界観も重視してるので、その世界観とライブ感のバランスが重要だと思います。僕らとしては楽曲の世界観も見せつつ、ライブの良さも出していきたい。そういうことを踏まえた良いライブを観測者のみなさんと作り上げていきたいです。

吉澤:僕たち以外にもたくさん素晴らしいグループがいるなかで、僕らが勝っていくためには、僕らにしか出せないものを見つけて、それを武器に戦わなければいけないと思ってます。和人が戻ってきますし、きっとみなさんもそれを待ってくれてると思うので、今はそれがすごく楽しみです。


――確かに、今日も6人の取材ですもんね。

小泉:ライブとかになると6人はちょっと少なく感じますね。和人がいてこそのげんじぶなので。

大倉:観測者のみなさんも、和人がいなくても緑のペンライトを振ってくれてたりするので、そういった人たちのためにも、7人でみなさんの目の前に並びたいですね。和人がいなかったグループ活動を制限していたこの1年間、6人を支えてくれた観測者のみなさんに感謝を伝えたい。そのためにはアリーナ公演を成功させることが最大の感謝になるのかなと。とにかく今はアリーナに向けて一つ一つ丁寧に、みんなで協力して頑張っていきたいです。

長野:今年は目に見える変化が多いと感じてて。去年はZeppツアーだったのが、今年はホールツアー。和人も帰ってくる。色んなものが目まぐるしく変化するのが今年だと思ってます。その変化に自分たちがどれだけ付いていけるか、そして引っ張っていけるかが重要で。周りが変わっていくだけじゃなくて、自分たち自身も変化していくことが大切だと思います。もっと応援してくれる“原因”になれるように、常に変わっていく姿を見せていきたいです。


原因は自分にある。「Foxy Grape」

Foxy Grape

2023/06/07 RELEASE
ZXRC-1253 ¥ 1,650(税込)

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Disc01
  1. 01.Foxy Grape
  2. 02.GOD 釈迦にHip-Hop
  3. 03.夏の二等辺大三角形

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