Special

Billboard JAPAN 2023年上半期チャート発表、Official髭男dismが【JAPAN Hot 100】/King & Princeが【Hot Albums】首位に



 ビルボードジャパンの2023年 上半期チャートが決定した。本特集では総合ソング・チャート【JAPAN Hot 100】、総合アルバム・チャート【Hot Albums】、さらに【Hot 100】と【Hot Albums】のポイントを合算したアーティスト・チャート【Artist 100】などのチャートを解説とともに発表する。

 ドラマやアニメの相乗効果によって、ストリーミング・動画再生・ダウンロードのデジタル指標のポイントを今まで以上に積み上げる展開が目立つなか、「怪獣の花唄」、Tani Yuuki「W/X/Y」、なとり「Overdose」など、ノンタイアップ楽曲の躍進も顕著で、デジタルマーケットの拡大を追い風とした新たな楽曲が、今後、日本そして世界の音楽チャートで大逆転を起こすチャンスがあると期待させる結果となった。

※集計期間:2022年11月28日(月)~2023年5月28日(日)


JAPAN Hot 100

Official髭男dism「Subtitle」が歴代記録を塗り替え、総合首位



▲ 「Subtitle」MV / Official髭男dism


 2023年の上半期Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で、Official髭男dismの「Subtitle」が総合首位を獲得した。

 昨秋放送のフジテレビ系ドラマ『silent』の爆発的ヒットが主題歌である「Subtitle」との相乗効果を加速させ、同曲は通算13回の週間総合首位をマークした。これは“JAPAN Hot 100”史上最多記録だ。ドラマや音楽番組、情報番組における当楽曲の地上波露出は12月にピークを迎えたが、年明け以降も情報番組を主とした露出が続き、10月から3月まで週間チャートのトップ3圏内をキープ。各指標で高ランクをマークしたのはもちろんだが、特に1位となったストリーミング指標は287,706,788回再生と、同指標2位の米津玄師「KICK BACK」(193,429,943回再生)に約9,000万の大差をつけており、現在でも週間700万再生を維持するロングヒットとなっている。同じく昨秋放送のアニメ『チェンソーマン』の主題歌として爆発的なヒットとなった「KICK BACK」は、各指標で1位こそ無かったものの、ハイレベルなポイントをバランス良く維持し、総合2位につけた。

 このように、ドラマやアニメタイアップによる相乗効果が、ストリーミング、動画再生、ダウンロードのデジタル指標のポイントを今まで以上に積み上げる展開が目立っている。それを如実に示すのは、今春放映中のアニメ『【推しの子】』の主題歌であるYOASOBI「アイドル」の快進撃だ。昨秋や昨年末でのヒットの勢いを維持することができた楽曲が上半期チャートの上位を占めるなか、同曲はデジタルリリース後わずか2か月あまりの加点で総合3位まで急上昇し、ストリーミングは154,890,460回再生で4位、動画再生は55,123,008回再生で2位、ダウンロードは202,404DLで1位という今までにない結果をみせ、デジタルマーケット自体の拡大がネクストレベルに入ったことを示している。

 デジタルマーケットの拡大を示すのは逆にノンタイアップの楽曲の躍進からもみえてくる。『第73回NHK紅白歌合戦』での熱演が新たなファン層の拡大に繋がったVaundy「怪獣の花唄」、TikTok発のロングヒットとなったTani Yuuki「W/X/Y」、なとり「Overdose」がトップ10入りを果たし、これらはストリーミングが牽引するデジタル3指標での加点が大きい。また、動画再生指標では、King & Prince「ツキヨミ」が58,875,058回再生で1位となり、同「ichiban」が5位、Snow Man「タペストリー」が6位、同「ブラザービート」が9位と、ジャニーズ勢の躍進が目立ち、こちらもフィジカルからデジタルマーケットにも軸足を置きつつあるファンダムの変容がみてとれる。


▲ 「怪獣の花唄」MV / Vaundy


 これらからみえてくるのは、楽曲がなんらかのフックで爆発的にヒットすると、長期間にわたって高ランクを維持するのが“JAPAN Hot 100”の常だったが、今年度はそれに加えて、そのポイント加点が非常に大きくなってきていることだ。フィジカルでの加点もボーイズグループを中心に大きくなっているが、それをはるかに上回る爆発的な加点がデジタル指標で確実に起きている。上半期総合首位の「Subtitle」を猛烈に追い上げる「アイドル」が今後の注目ポイントである一方で、デジタルマーケットの拡大を追い風とした新たな楽曲が大逆転を起こしうる、新局面の“JAPAN Hot 100”に今後も目が離せない。

Text by 礒崎誠二

  • 2023年 上半期Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”
  • #1
    Subtitle
    Official髭男dism
  • #2
    KICK BACK
    米津玄師
  • #3
    アイドル
    YOASOBI
  • #4
    怪獣の花唄
    Vaundy
  • #5
    第ゼロ感
    10-FEET
  • #6
    新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)
    Ado
  • #7
    W/X/Y
    Tani Yuuki
  • #8
    Overdose
    なとり
  • #9
    ミックスナッツ
    Official髭男dism
  • #10
    アイラブユー
    back number


Official髭男dism
コメント

「こんなにも多くの皆さんが自分たちの音楽を聞いてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも楽曲制作やライブに励みながら、この先も自分たちが良いと思う楽曲を届けられるように、楽しみながらバンドとして活動していこうと思います。

本当にありがとうございました」ーーOfficial髭男dism

▲ TOP


Hot Albums

King & Prince『Mr.5』が総合首位 Snow Man/SEVENTEENが続く

 2023年度上半期の総合アルバム・チャート“Hot Albums”で、King & Princeの『Mr.5』が首位を獲得した。

 King & Princeの初となるベストアルバムで、2023年4月19日にリリースされた同作は、初週に1,220,014枚を売り上げてミリオンを達成し、CDセールスで首位を獲得。その後は少しずつ順位を下げているものの、CDセールス、そして総合アルバム・チャートでトップ10圏内を走りつづけている。結果的に上半期累計売上1,376,802枚でCDセールス1位を獲得した。



▲ 「King & Prince BEST ALBUM「Mr.5」Special Movie」


 総合2位にチャートインしたのはSnow Manの3rdアルバム『i DO ME』。5月17日にリリースされた本作には、シングルとしてリリースされた「オレンジkiss」「タペストリー」「W」が含まれており、上半期累計でCDセールスが1,162,120枚で2位を記録している。初週で1,072,926枚を売り上げてCDセールス首位を獲得した本作は、2週目でも89,194枚で2位につくなど、高順位をキープしている。

 総合3位にはSEVENTEENの『FML』がCDセールス3位(791,275枚)、ダウンロード37位(3,351DL)を記録してチャートイン。SEVENTEENの10thミニ・アルバムである本作は2023年4月26日に日本リリースされ、初週で708,303枚を売り上げてCDセールス1位、そして2,512DLでダウンロード数も1位と両指標で好スタートを切っていた。

 総合4位にはStray Kidsの『THE SOUND』がCDセールス4位(617,849枚)、ダウンロード54位(2,546DL)を記録してチャートイン。そして、1月4日にリリースされたSixTONESの『声』がCDセールス595,008枚を記録し総合5位に登場している。両作ともに5月31日発表のチャートではランク外になってしまったものの、『THE SOUND』は発売から13週、『声』はじつに20週にわたって“Hot Albums”にチャートインし続けるという長期的なチャートアクションを見せていた。

 また、TVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の劇中バンドである結束バンドの1stアルバムが総合6位を記録。本作はCDセールス16位(161,614枚)だが、ダウンロードでは54,566DLで見事1位を記録。同指標での好成績も影響し、最終的にトップ10内に入っている。

Text by Haruki Saito

  • 2023年 上半期Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“Hot Albums”
  • #1
    Mr.5
    King & Prince
  • #2
    i DO ME
    Snow Man
  • #3
    FML
    SEVENTEEN
  • #4
    THE SOUND
    Stray Kids
  • #5
    SixTONES
  • #6
    結束バンド
    結束バンド
  • #7
    Awakening
    INI
  • #8
    FACE
    JIMIN
  • #9
    ユーモア
    back number
  • #10
    POWER
    ジャニーズWEST


King & Prince
コメント

「このたび、King & Prince初めてのベストアルバム『Mr.5』が、2023年上半期ランキングのアルバム部門で1位を受賞させていただきました。

手に取っていただいた皆様、そして関わっていただいたすべての皆様、本当にありがとうございます!

このアルバムは、King & Princeがこれまで歩んできた道のりを、共に歩んで来て下さったファンの方々と一緒に作り、振り返る一枚として制作させて頂きました。

楽曲投票では、たくさんの応募をいただき、こんなに愛していただいているのかと、とても嬉しかったです。

多くの皆様の応援があったからこそ、今回このような嬉しい結果を頂くことができたのだと思います!

これからも自分たちらしく、最高のパフォーマンスや楽曲をお届けしていきます。

ぜひ、楽しみにしていてください!」ーーKing & Prince(永瀬廉 髙橋海人)

▲ TOP


Artist 100

Official髭男dismが堂々1位、総合100位圏内に8曲入り

 2023年の上半期Billboard JAPANトップ・アーティスト・チャート“Artist 100”で、Official髭男dismが総合首位を獲得した。

 本チャートは、総合ソング“JAPAN Hot 100”と総合アルバム“Hot Albums”のポイントを合算したアーティスト・ランキングだ。Official髭男dismは、総合ソングチャートの全順位内で18曲、100位圏内に8曲、“Hot Albums”では100位圏外ではあるが5作がチャートインした。集計期間内に合計861,022,275回再生を挙げ、同指標2位のVaundyに約4,500万の大差をつけたストリーミングとラジオで1位となり、名実ともに“よく聞かれた曲”を持つアーティストといえるだろう。



▲ 「ミックスナッツ」MV / Official髭男dism


 総合2位のVaundyは、指標1位こそ無いものの、“JAPAN Hot 100”の全順位で23曲、100位圏内には5曲が入った。“Hot Albums”では66位に1作のみがチャートインと、楽曲数ではヒゲダンを上回ったが、アルバムタイトル数で差を付けられた。総合3位のback numberもVaundyと同様の展開だが、アルバム『ユーモア』のフィジカル・セールスの加点が総合順位を押し上げた。

 「アイドル」が急伸を続けるYOASOBIは総合4位に。ダウンロード1位で、これも「アイドル」による20万超DLの影響が大きい。5位のAdoはカラオケ指標での1位が目を引くが、この加点の大半は『ONE PIECE FILM RED』によるもので、昨夏以降の知名度の全国的な浸透を裏付ける結果といえる。



▲ 「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」MV / Ado


 そして、トップ10圏内に、King & PrinceとSnow Manが8位と9位にチャートイン。ともにソング、アルバムのCD指標で高ポイントを記録する一方で、動画再生でも同じように1位と2位を確保し、それぞれの動画再生数は合計で196,801,697再生、183,248,983再生だった。同指標3位のヒゲダンは100,581,650再生で、この2アーティストが頭一つ抜けた印象だ。この指標では、ボーイズグループのチャートインが目立っており、なにわ男子(動画再生9位、総合51位)、SixTONES(同13位、総合22位)、BE:FIRST(同14位、総合31位)、BTS(同17位、総合29位)、Stray Kids(同22位、総合16位)が動画再生指標トップ30位圏内に入っている。

 ここで、CD指標順位をみてみると、トップ30で、かつ動画再生指標で100位圏外だったボーイズグループは、ジャニーズWEST(CD 7位、総合58位)、TOMORROW X TOGETHER(同8位、総合55位)、&TEAM(同14位、総合63位)、ATEEZ(同15位、総合80位)、TREASURE(同17位、総合56位)、ENHYPEN(同18位、総合79位)、NCT DREAM(同20位、総合71位)、THE RAMPAGE from EXILE TRIBE(同25位、総合73位)、NEWS(同26位、総合100位圏外)、KAT-TUN(同28位、総合100位圏外)。そして、CD指標トップ30圏内、動画再生指標で100位圏内のボーイズグループは、King & Prince(同1位、総合8位)、Snow Man(同2位、総合9位)、SEVENTEEN(同3位、総合14位)、SixTONES(同4位、総合22位)、Stray Kids(同5位、総合16位)、INI(同6位、総合34位)、なにわ男子(同24位、総合51位)。

 これらの結果から、群雄割拠の様相を呈しているボーイズグループ・シーンにおいて、大半がフィジカルでポイントを積み上げるグループと、動画再生を主としたデジタル指標でもポイントを獲得できるグループとに類別可能となりつつあることが分かる。これがどういう結果を今後もたらすか推測するのは時期尚早といえるが、“JAPAN Hot 100”にて述べたような、デジタルマーケットの拡大を考慮するならば、デジタル指標での加点についても目を配る必要があるのは昨年度以上に明らかになったといえる。今後のボーイズグループそれぞれの展開に注目だ。

Text by 礒崎誠二

  • 2023年 上半期Billboard JAPANアーティスト・チャート“Artist 100”
  • #1
    Official髭男dism
  • #2
    Vaundy
  • #3
    back number
  • #4
    YOASOBI
  • #5
    Ado
  • #6
    Mrs.GREEN APPLE
  • #7
    優里
  • #8
    King & Prince
  • #9
    Snow Man
  • #10
    米津玄師

▲ TOP

NEXT PAGE
  1. < Prev
  2. その他の上半期チャートへ
  3. Next >

関連キーワード

TAG