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<連載>「THE BEAT GARDENとシャベル」スタート、記念すべき第1弾は『六本木クラス』が繋いだGaho
Interview & Text:Mariko Ikitake
Photo:Yuma Totsuka
THE BEAT GARDENの4thアルバム『Bell』のリリースを記念して、THE BEAT GARDENが“喋りたい”相手のルーツや活動を根掘り葉掘り聞いていく連載「THE BEAT GARDENとシャベル」がスタート。記念すべき第1弾は、空前の韓国ドラマブームの代表作『梨泰院クラス』のOST「はじまり」を歌い、日本でも多くのファンを持つ韓国人シンガーソングライターのGahoだ。
両者の交流は2022年8月からスタート。『梨泰院クラス』をリメイクしたドラマ『六本木クラス』の主題歌「Start Over」をTHE BEAT GARDENが務め、Billboard JAPANのインタビューでGahoがメッセージを送ったことをきっかけに、コラボ・パフォーマンスや対面を果たしている彼らだが、じっくりと話をするのは意外にも今回が初めてだという。東京とソウルをリモートで繋ぎ、彼らの音楽人生を変えたといっても過言ではない大ヒット曲を中心に、互いの音楽制作について、話を掘っていく。
――現在までに「はじまり」のミュージック・ビデオ再生回数が3億回を超えています。韓国に加え、日本そして他国からの反響も大きかったのでは?
Gaho:『梨泰院クラス』が放送されたのは惜しくもコロナが蔓延していたときで、そういう時期に出たOSTだったため、ファンやこの曲を愛してくださっている方々とすぐに交流できなかったことがとても残念でした。その代わりにYouTubeの再生回数が上がったり、チャンネル登録者数がすごく伸びたりして、アーティストの方々もこの曲に反応してくださったので、コロナ禍でも自分の声を届けることができた曲だと言えます。ちょっと前に日本を訪れたときに、街中でこの曲が流れてて、すごく不思議な感覚でした。記念にそのときの動画も撮りました。日本でもこの曲が愛されていることがわかったので、いつか日本でライブをしてみたいと思いましたし、機会があればTHE BEAT GARDENと共演できたら嬉しいです。
U:魅力的な歌声もそうですが、誰もがマネしたくなる、歌いたくなる歌い方をGahoさんがしているから、日本でも広がったんだと思います。ミュージシャンの友達とカラオケに行くと、Gahoさんの「はじまり」を韓国語で歌うくらいですから。
――以前、「はじまり」は「柔らかくて強い印象を残すことを重点的に考えた」とおっしゃっていましたが、実際のレコーディングの様子も聞かせてください。
Gaho:3時間くらいしかレコーディングに時間が取れなかったんです……。あまりにも時間がなかったので集中力を発揮したことと、歌自体にパワーがあったので、体力をそこまで使う必要がなかったことが重なって生まれたシナジーが曲に表れているんだと思います。
U:すごい! 僕らは3日間かけて録りました。
Gaho:3日間、しっかり研究されたんですね。まず、日本語と韓国語という言語の違いがありますよね。発音もニュアンスも違うのに、(THE BEAT GARDENが歌う)「Start Over」は違和感なく表現されていると思います。
MASATO:ありがとうございます。「はじまり」はどういう流れでドラマのOSTに決まったんですか?
Gaho:初めてドラマのOSTに参加することになった楽曲が、今の「はじまり」の楽曲を作ってくださった作曲家の楽曲でした。その縁で何度も一緒に作業できる機会ができましたし、「はじまり」もその方々の推薦を受けて参加することができました。『梨泰院クラス』のOSTの話が出たときに、作曲家の方々が僕のことが頭に浮かんだと言ってくれたのを覚えています。「はじまり」のデモを送ってくれて、作業がスタートしました。
U:「この曲はヒットする!」という手応えはレコーディング時にあったんですか?
Gaho:全然なかったです。K-POPが世界的に人気だってことはわかっていましたが、当時は韓国ドラマにここまで破壊力のある人気はありませんでした。Netflixも正直韓国ではそこまで普及していなかったというか。デモをいただいたときも、「韓国人に聞いてもらえたらいいな」くらいの気持ちでした。なので、国外でこんなにヒットするなんて、寝耳に水でした。
REI:たくさんの人に曲が愛されて、今はどういう心情ですか?
Gaho:もちろん気分はいいです。フィードバックをずっといただいている状態で、これからもいい音楽を作り続けていきたいという力になっています。この曲があったから、THE BEAT GARDENにも会えましたし、音楽っておもしろいですね。国境を越えて愛してもらえる曲を作ることができて、これからの音楽活動にとてもいい影響を与えてくれた曲です。
――THE BEAT GARDENも『六本木クラス』で主題歌を務めたことでこれまで以上の注目を集めましたし、両者にとっても大切な曲ですね。昨年12月放送の『ベストアーティスト』でリモート生共演した後、実際に東京で会われたそうですね。
U:GahoさんとInstagramで連絡を取っていて、「日本にいるので会えますか?」って急遽会うことになったんです。一緒に曲を作ったり、ライブもしようっていう話をしたり、次会うときはご飯に行く約束もしました。
Gaho:会っていた時間はかなり短かったんですが、とてもいい思い出です。あのときは何日か日本に滞在していて、雑誌の撮影もしたんですけども、滞在の中で一番短かったTHE BEAT GARDENとの時間が一番記憶に残ってます。
U:その前に僕はコラボ共演をさせてもらっていて、SNSもそうですが、家族や周りの人からの反響がすごかったです。だんだんとコロナが落ち着いてきて、ライブの機会は増えてきているので、本当にどこかでライブ共演できたらいいですよね。「Start Over」は僕らのライブでも大人気で、ずっと歌い続けていく曲でもあります。『ベストアーティスト』で共演したとき、韓国はすごく寒かったと思うんですけど、大丈夫でしたか? 外で歌っているGahoさんが薄着に見えて……(笑)。
Gaho:大丈夫じゃなかったです(笑)。寒過ぎて、撮影が終わった瞬間に室内に入りました。
U:マイクが氷のように冷たかったはずなのに、Gahoさんは全然そんな素振りを見せていなくて、寒さを感じさせないパフォーマンス姿がプロフェッショナルでした。
Gaho:ありがとうございます。日本でお会いしたときにくれたアームカバーのおかげで、この冬を乗り切れました。
THE BEAT GARDEN:おお、嬉しい!
リリース情報
THE BEAT GARDEN『Bell』
2023/6/14 RELEASE
<初回盤(CD+DVD)>
UMCK-7211 5,800円(tax in)
<通常盤>
UMCK-1746 3,000円(tax in)
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤(CD+グッズ)>
DSKU-12174 4,500円(tax in)
購入はこちら
Gaho『Diamond』
2023/3/20 RELEASE
再生はこちら
関連リンク
THE BEAT GARDEN 公式サイト
THE BEAT GARDEN レーベルサイト
Gaho Twitter
Gaho Instagram
THE BEAT GARDENがGahoに質問!!
U:いつ音楽活動を始めましたか?
Gaho:高校生の頃から作曲家として活動していまして、今の事務所にシンガーソングライターとして契約してから、シンガーソングライター業にも重きを置いています。昔から韓国内と海外でライブを行っていて、国内外でツアーをしつつOSTの制作もやって、活動の幅を広げていき、『梨泰院クラス』などのOSTで名前を知ってもらうようになりました。ドラマの劇中歌だけじゃなくて自作曲でも活動をしている点がTHE BEAT GARDENと似ていると思います。
REI:たしかに。Gahoさんっていろんな声色を持っていると思っていて、「はじまり」のような伸びやかなものから、ロック調のエッジの効いたものまで、そういう声の使い分けに惹かれるのですが、もともとどういうジャンルの音楽が好きだったんですか?
Gaho:ロックが好きで音楽を始めましたが、ポップスに影響を受けたり、R&Bもやったりしています。多様なジャンルが歌えるアーティストになることが僕の目標の一つです。
MASATO:Gahoさんがどういったことを意識しながら音楽制作しているのか知りたいです。
Gaho:基本的に一人で、全て家で作曲とレコーディングをしています。ボーカル面では、OSTはドラマの雰囲気に合うように、そして俳優たちの演技に影響が出ない歌い方をこころがけています。なので「はじまり」は柔らかくて強い印象を残すように歌いました。それに比べて自分の作品では、自分がやってみたい歌い方にチャレンジしているので、発声もレコーディングもその曲によって変えています。
U:日本だとライブ前の喉のケアとして、マヌカハニーを舐めたり、スロートコートっていうハーブティーを飲んだりするといいと言われていて、僕たちも実践しています。Gahoさんがライブの前日や喉のコンディションを整えるときに食べたり飲んだりするものはありますか?
Gaho:日本はそういう文化があるんですか!? 僕は特になくて、よく休むかよく寝ることくらいですね(笑)。
REI:それが一番大事かもしれない(笑)。
U:シンプル(笑)! 今度スロートコートをプレゼントするので試してみてください。
MASATO:いろんなプロデュースをされてるGahoさんがTHE BEAT GARDENで挑戦したい音楽はありますか?
Gaho:ポップでエレクトリカルな音楽が3人には似合うと思っていて、トレンディーな曲もすごく合うと思います。プロデュースするのであれば、ポスト・マローンのような音楽が似合うと思うので、そういうジャンルをやってみたいですね。
U:ぜひお願いします!
REI:Gahoさんは歌詞先行ですか? それともトラック先行ですか? ジャンルによって様々だと思いますが、決まった進め方はありますか?
Gaho:最近のやり方はだいたいコードや雰囲気をつかんだ後に、メロディーを乗せて最後に歌詞を書いてます。
U:僕たちと一緒だね。
リリース情報
THE BEAT GARDEN『Bell』
2023/6/14 RELEASE
<初回盤(CD+DVD)>
UMCK-7211 5,800円(tax in)
<通常盤>
UMCK-1746 3,000円(tax in)
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤(CD+グッズ)>
DSKU-12174 4,500円(tax in)
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Gaho『Diamond』
2023/3/20 RELEASE
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THE BEAT GARDEN 公式サイト
THE BEAT GARDEN レーベルサイト
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「今後、対面で何かコンテンツを作れたら」
――今回、GahoさんはTHE BEAT GARDENのアルバム『Bell』を事前に聞いてきてくださったそうですが、アルバムを通してどんなことを感じましたか?
Gaho:全曲聞きました! 曲がいいことはもちろん、THE BEAT GARDENが得意としているスタイルとこれから3人がやっていきたい方向性をすごく感じることができました。「こういう曲も似合うんだ」って思う曲もいくつかあって、THE BEAT GARDENの音楽的な可能性を、アルバムを通して感じました。
THE BEAT GARDEN:ありがとうございます!
REI:僕、Gahoさんの最新ミニ・アルバム『Diamond』がリリースされてすぐにダウンロードしたんですよ。僕らがやりたいことの一つが、アルバムにイントロやアウトロを入れること。『Diamond』の1曲目が古い映画を彷彿させるようなイントロで、この先が楽しみになるイントロだったんです。イントロの雰囲気を保ったまま、2曲目「Love Me」では声の繊細さ、エッジみたいなものがあって。いろいろ計算しながら一生懸命作ったんだろうなって思いました。僕はトラック制作もするので、音作りや1個1個の音色のこだわりに注目しましたし、そういった点をものすごく感じるアルバムでした。
Gaho:自分が作った音楽の意図を汲み取ってくださって嬉しいですね。アルバムがリリースされてから1か月以上が経ちますが、今でも聞いてくださっているとは……感無量です。これからも互いに新しい音楽が出たら聞き合い、応援し合える仲でいたいです。
U:僕らがリリースした曲をGahoさんがInstagramで「いいね」ってリアクションをくれたことがあって、それをみんなで大喜びしたことがありました。あと、僕らのファンにはGahoさんのファンも多くて、「新曲出たよ!」って教えてくれるんです。
Gaho:それは不思議ですね。インスタでも、そういう共有し合えるコンテンツがあったら続けていきましょう。
MASATO:僕はR&Bやフォークソングが好きで、今、昔の日本のポップスも聞いているんです。両方のエッセンスが入ってる「Only You」が僕の推し曲でして、『Diamond』は先にテーマを決めて作っていったんですか?
Gaho:アルバムを作るとき、イメージを1つ決めてます。今回だとダイヤモンドで、ダイヤモンドの高級で華やかなイメージに合わせて曲を作っていきました。
U:僕らもテーマは決めていますが、いろんなレパートリーの曲があって、それが日本的な作り方というか、テーマを貫き通して作るのが難しい部分でもあるので、統一感のあるアルバムを作られる点は憧れますね。
Gaho:音楽に正解はないですし、作業方法が違うだけで、ゴールは一緒なのではないでしょうか。お互いのいいところを伸ばせる環境があると思いますし、違いはあるけれど、できた作品を信じてお互い頑張りましょう。
U:そう言ってくれてありがとう。僕らも新しい音楽を作って、Gahoさんに日本の音楽をもっと好きになってもらえるように頑張ります。
――皆さんがそれぞれ目指すゴールはなんですか?
Gaho:OSTであったり誰かに曲を提供したり、変わらず様々なスタイルの音楽を作り続けていきたいです。YouTubeを見てくださっている方はご存知かもしれませんが、バックで演奏してくれているバンドのKAVEと音楽活動も本格的にやっていきたいと考えていて、ソロとKAVEと一緒の活動を分けながら、いろいろ試していきたいです。
U:BLACKPINKの「Shut Down」のカバー、カッコよかったよ! 僕らはエレクトロとロックを融合した音楽から始まり、現在はポップスも歌っていますが、国民的なアーティストになるためにポップスを突き進めていきたいと考えています。3ボーカルいて、踊るわけでも、楽器を持って演奏するわけでもないことは1つの強みだと思っているので、アグレッシブでロックでエモーショナルなパフォーマンスを大観衆に届けられるグループになりたいです。あとは本当に、口約束じゃなくて、Gahoさんと一緒に何かしたいです。日本でも韓国でも、Gahoさんとライブ共演する機会ができたときに、たくさんの人が僕たちを見に来てくれるよう、頑張ります。
Gaho:ありがとうございます。THE BEAT GARDENが新しい道に進もうとしていると思いますが、必ず成功するって信じていますし、僕も韓国で頑張ります。今回は非対面インタビューでしたが、今後、対面で何かコンテンツを作れたらいいですね。
U:Gahoさんの「はじまり」が僕らの音楽人生を豊かにしてくれたので感謝しています。この縁を大切にしていきたいですし、ミュージシャンであり友達でもあるGahoさんに僕らができることがあったら、いつでもなんでも言ってほしいです。また会おうね!
Gaho:ありがとう。ファイティン!
~Gahoとの対談を終えて~
U:SNSを通じてやり取りをしていたので、Gahoさんの人柄や優しい部分は以前から知っていたのですが、音楽面についていろいろ聞くのは今回が初めてで、腑に落ちる部分や「さすがだな!」って思う部分がたくさんありました。プロデューサーとしての視点を知ることができて、刺激を受けました。
REI:アーティストから制作の話や意見を聞く機会はなかなかないので、Gahoさんから直接聞くことができて、貴重な時間を過ごすことができました。この対談を経て、この後お家でGahoさんの音楽を聞いたら、今までとは違う聞こえ方がしそうな気がします。
MASATO:Gahoさんの人柄もあって、以前コラボを実施することができたと思っています。今回が2回目の共演になりますが、『六本木クラス』を愛してくださった方々にもいい影響を与えられる機会になったと思いますし、二度あることは三度あるという言葉もあるので、今回交わした約束をいつか果たせるように、僕らも準備をしていきたいと思いました。
リリース情報
THE BEAT GARDEN『Bell』
2023/6/14 RELEASE
<初回盤(CD+DVD)>
UMCK-7211 5,800円(tax in)
<通常盤>
UMCK-1746 3,000円(tax in)
<UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤(CD+グッズ)>
DSKU-12174 4,500円(tax in)
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2023/3/20 RELEASE
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