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<インタビュー>歌い手ダズビー、TOOBOEが手がけた新曲「砂嵐」で描きたかった世界観とは
幼い頃に日本のアニメや文化に興味を持ち、2011年よりボカロ曲をカバーする歌い手として活動を開始した韓国出身のダズビー(DAZBEE)。昨年ユニバーサルミュージックから1stデジタルオリジナル曲「声の在り処」でメジャーデビューした。
4月12日にリリースした「砂嵐」は、TOOBOEが作詞・作曲・編曲を手がけた5thデジタルオリジナル曲。アップテンポなサウンドのなかに、別れた恋人と来世でも再び結ばれたいと祈り続ける寂しさなどの繊細な感情が隠れている。まさに同曲は、楽曲の感情を的確に透き通った声色で表現するダズビーの美点が強調された1曲になった。
今回、来日プロモーションしたダズビーに、初のインタビューを敢行。「砂嵐」をメインに、日本の文化に興味を持った理由などを語ってもらった。そのなかで見えてきたのは、“好き”から始めるものは、なによりも強力な武器になるということだった。(Interview & Text:小町碧音 l Photo:Yuma Totsuka)
――ダズビーさんは、韓国在住・出身の歌い手さんですが、どのようにして日本語を話せるようになったのですか?
ダズビー:小学生の頃から韓国の自宅にあるテレビで日本のアニメなどを観ていたので、自然と日本語が身に付いていきました。中学生になってからはアニメのオープニングとかエンディング曲がきっかけで、日本の音楽もたくさん聞くようになりました。
――小学生の頃、一番好きだったアニメを教えてください。
ダズビー:『NARUTO -ナルト-』、『犬夜叉』、『クレヨンしんちゃん』です。最初は韓国語で吹き替えされた日本のアニメを観ていたんです。実は日本のアニメだということはあとから知って。日本語版のアニメを観たときに、日本語で喋っているキャラクターたちがとても新鮮でした。
――歌ってみた文化に興味を持ったきっかけは?
ダズビー:中学生の頃に見つけた日本の音楽を好きな人たちが集まる韓国のコミュニティサイトがきっかけです。サイトには、ニコニコ動画にあがっているものを借りてあげている方もいたので、そこからニコニコ動画の存在も知りました。
――その後、日本人に向けて、歌ってみた動画をあげるようになるわけですね。
ダズビー:日本の方には私の日本語がどう聞こえるのかが気になって、歌ってみた動画をアップするようになりました。
――ダズビーさんのYouTubeチャンネルは、ボカロ曲のほかにもJ-POPなど、選曲が幅広いです。なかでもボカロ曲の魅力は何だと思いますか?
ダズビー:ボカロ曲には、人間ではないボカロだからこそ言える歌詞の世界観があります。そこが、韓国の音楽、J-POPにはないボカロ曲の魅力だと思います。

――「砂嵐」の制作は、どのように進めていったのでしょう。
ダズビー:TOOBOEさんの楽曲「心臓」がとても好きだと事務所のマネージャーに伝えたら、そのことをTOOBOEさんに伝えてくださったんです。TOOBOEさんもすでに私の歌を聞いたことがあるとおっしゃっていたそうで。今回、楽曲を書き下ろしていただきました。
――できあがった曲を聴いてみて、どんな印象を受けましたか。
ダズビー:まずTOOBOEさんが歌った仮歌のクオリティーが高くて、すでに完成されているようでした。自分の声でどんなふうに表現したらいいかわからなかったので、少し心配でした。とにかくテンポの速い曲なので、歌うときには噛まないように気を付けて歌いました(笑)。
――<幾千年の常軌を誤解と共に世界を壊して蹂躙>など、日本語でもすぐには理解しづらい難解な言葉もありますね。
ダズビー:そうなんですよ。最初、事務所の方に韓国語で翻訳してもらったんですけど、それを見ても曲の解釈ができなくて大変だったんです(笑)。特にサビの歌詞の解釈が難しくて。でも全体的な曲の流れを見ていたらどんどんわかってきました。
――「砂嵐」は何をイメージしながらレコーディングしましたか?
ダズビー:最初、イラストを企画するときに曲のメインイメージを設定したんです。「砂嵐」は未知の惑星で恋人と死別するイメージの曲で、ウエディングドレスを着て墓場に立っている女性が頭に浮かんだので、その女性になろうと想像しながら歌いました。
――ミュージック・ビデオについて、ほかにもリクエストしたことはありましたか?
ダズビー:イラストのカラーを全体的に紫色にしたいともお伝えしました。ちなみに、2ndデジタルオリジナル曲「アディオス」から自分の中のイメージを伝えてMVを制作してもらうようにしています。「アディオス」は自分の表情がどう見えているかという内容の曲で、他人の視線を意識しているところから、手でいろんな形を作ることが、自分が表現したいことを表現できる影絵遊びに似ていると思い、影絵遊びをポイントにしてイラストを描いていただきました。
――ご自身で絵も描けるそうですね。
ダズビー:ただ、デジタル絵は一度も描いたことがなくて。自分が大学で描いていたのは油絵だったので、テイストが全く違います。

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