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<インタビュー>CHEMISTRY×オーケストラ 昨年の「挑戦」からさらにその先を追い求めるアンコール公演への思い



インタビューバナー

昨年7月に開催された、CHEMISTRYがデビュー21年目にして新たに挑んだフルオーケストラ公演「CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2022」(2022年7月27日東京文化会館、8月7日:フェスティバルホール)。二人とオーケストラとの極上のハーモニーが生まれたこのコンサートは再演を望む声が多く、アンコール公演『billboard classics CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2023-Encore-』の開催が決定(4月22日(土) 東京文化会館大ホール、5月2日(火)兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール)。昨年とは楽曲を数曲入れ替え、オーケストラと新たなアンサンブルを追求する堂珍嘉邦、川畑 要の二人に昨年のコンサートを振り返ってもらうと共に、今回のアンコールコンサートに臨む意気込みをインタビューした。(Interview & Text:田中久勝 / Photo:石阪大輔)

バンドとオーケストラ、全く違うようでも楽しむ感覚は同じ

――昨年のコンサートは18年振りのフルオーケストラコンサートということもあって、インタビューでは「チャレンジの部分が多い」とおっしゃっていました。実際歌ってみて、どんな感触だったのでしょうか。

川畑:確かに18年ぶりだったので、感覚として忘れている部分もありました。自分を試すという感覚でリハーサルに臨んで、ずっとバンドでライヴをやってきたので、まずたくさんの音に最初は戸惑いましたが、「こんな感じだったかもしれない」と思い出してきました。「ここを聴きすぎると危ない、遅れる」とか、逆に「ここはちゃんと聴いておかないとまずい」とか、どこを軸にして自分たちの歌を奏でていくかを意識して本番に臨みました。


――本番はいかがでしたか?

川畑:指揮者の方と背中合わせなので、見るか見ないか迷って見ないって決めました。18年前はしっかり見て歌いましたが、あまりその動きを見すぎると、自分の頭の中で今聴いている、信頼している音達が、逆に一瞬わからなくなりそうになることがあって。だから前回は、指揮者の呼吸は気にしつつも、あまり意識しないようにしようと思いました。


――指揮者の呼吸を感じながら歌っていた。

川畑:そう。感覚でちゃんと息を合わせるということをすごく意識しました。



――やはりいつものコンサートとは別ものでしたか?

川畑:確か「PIECES OF A DREAM」を歌っている時、たくさんの楽器が作る音達が跳ね返って降ってくるようなあの感覚は、忘れられません。僕の友人たちも観に来てくれて「いつものライヴとは全く違うもの。レベルが違う」と言ってくれました。ファンの方からも「まるで旅に出ているような感覚だった」「二人のもうひとつのストーリーを見ているみたい」という感想をもらえて嬉しかったです。


堂珍:オーケストラの皆さんとの時間はすごく贅沢な時間でした。オーケストラ編成になってどの曲も本当にリッチになって、特にアンコールで歌った「PIECES OF A DREAM」は本当に、豪華客船に乗っているような感じも味わえたし、とても素敵なコラボになったと思います。こういうコンサートはやっぱりモチベーションにもなるし、曲の世界観が壮大になるので、その意味合いとか、そこに歌を乗せていく感じが新鮮でした。競い合うわけではありませんが、オーケストラに負けない気持ちの強さが必要なのか、それとも溶け込むのかをステージで感じながら歌えました。


――川畑さんもおっしゃっていましたが、堂珍さんもMCで「後ろから音が降ってくるようだ」と言っていました。

堂珍:まだ色々な制限があったなか、ファンの方の気持ちが手拍子に凝縮されていたと思いました。「PIECES OF A DREAM」では本当に拍手の雨が降ってくる感じで、ステージから見る景色は絶景で、気持ちいい瞬間でした。



憧れの玉置浩二と同じステージへ

――やはりバンドとのライヴとは全く違う心持ちでステージになっていたんですね。

堂珍:そうなんですが、でもバンドもオーケストラも楽器を使うし、そこに電気が流れているかいないかの違いだと思うので、やっぱり演奏していいただいてる人たちには、歌の呼吸や乗せ方というのを感じてもらっていると思って、僕達は歌っています。だからリズムがあったりなかったりする中で、それを楽しむというか、セッションを楽しんでいる感覚は同じです。


川畑:このビルボードクラシックスのコンサートは、僕が敬愛する玉置浩二さんも立っている憧れのステージなんです。玉置さんは僕のソロシングル「かまわない」(2015年)を書いてくださり、お手紙もいただき感激しました。もう生きている場所が違う、それくらい憧れが強いアーティストです。そんな偉大な玉置さんと同じステージに立てるこの経験は、絶対に僕達の強みになると思いました。


CHEMISTRYは3月29日、「ビルボードクラシックス」の発足10周年を記念して行われた『billboard classics 10th Anniversary festival』の兵庫(県立芸術文化センター)公演で、「夏の終りのハーモニー」(井上陽水・安全地帯)を、初めてフルオーケストラをバックにカバーした。今回のコンサートに先駆けて、兵庫県立芸術文化センターの響きを楽しんだ。


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前回とはまた違う感触をみなさんと一緒に楽しみたい


CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2022(2022年7月27日東京文化会館)


――このコンサートは昨年11月『CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2022』として音源化されました。

川畑:先ほどの話になりますが、僕は歌っているときにやっぱりオーケストラと溶け込む部分と、自分を信じる部分があって、貫いていくというか引っ張るというか。そういう、音を感じながらセッションする感覚が、音源でも感じていただけると思います。


――好評だったことを受けて、『billboard classics CHEMISTRY Premium Symphonic Concert 2023-Encore-』の開催が決定しました。

川畑:皆さんに喜んでいただけて、その声が今回のアンコールコンサートにつながりました。でも前回のコンサートに来られなかった方もたくさんいて、そういう方たちにも観ていただきたいという気持ちが大きくて。もちろん去年よりもいいものにする自信はあります。でもそれより、まだ観ていただけていない方に「オーケストラとケミって、めちゃくちゃ良かったよ」って素直に思っていただくことが大切です。もちろん去年観た方には「さらに良かった」と言ってもらえたら嬉しいです。


堂珍:今回は4曲入れ替わって「deep inside of You」「Wings of Words」「BACK TOGETHER AGAIN」「Dance With Me」が加わります。4曲変わるとまた違う空気になると思うので、去年観た人はまた違う楽しみ方ができると思います。


川畑:「Wings of Words」はオリジナルもサビの広がり方が壮大なのに、そこにオーケストラの音が加わるとさらに壮大になって、その音に乗せて、もう天井を突き抜けるくらいの気持ちで歌いたいと思います。



「Wings of Words」/CHEMISTRY

――アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』第4期オープニング曲のこの曲は、オーケストラの演奏が加わることで、ガンダムの世界観をより感じられると思います。

川畑:そうですね。ガンダムを知っている方にはより楽しんでいただけるアレンジになっていると思います。


堂珍:オリジナルでは厚いストリングスが鳴っていますが、ライヴではなかなかストリングスを入れてやることがないので、とても楽しみです。どの曲もリッチになると思いますが、全部の世界観が大きくなりすぎないようにしたいと思っているので、曲によってアレンジの面白さを楽しんで欲しいです。


川畑:前回歌った「砂の扉」が「deep inside of you」と入れ替わりますが、どちらも熱くなりすぎない部分があって、この2曲は似た位置にいる曲だと思います。一定の温度感を楽しむという意味では、堂珍が言っているように、全体のメリハリを楽しんでいただけると思います。


――「BACK TOGETHER AGAIN」も人気曲です。

川畑:そうなんです、ファンの方に支持されている曲なので、今回オーケストラアレンジで新たな装いになるのは僕も楽しみです。


――オーケストラコンサートは、指揮者の方とは打合せをすると思いますが、楽団の方とコミュニケーションを取ることはあるのでしょうか。“息を合わせる”という部分で、気になりました。

堂珍:喫煙スペースでのコミュニケーションはありました(笑)。


――タバココミュニケーション(笑)

川畑:写真を撮ったり、お話ししたりしましたね。


堂珍:みなさんにこれまでのコンサートのことを聞かせていただいたり。逆にタバコのコミュニケーションしかなかったです(笑)。でも喫煙所で会ってステージで会うと、信頼関係が生まれたように思いました。


――今回は東京文化会館大ホールで東京フィルハーモニー交響楽団と、兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホールでは前回と同じ、大阪交響楽団とのコラボです。

堂珍:去年もそうでしたが、オーケストラが変わると曲の表情がガラッと変わります。東京の演奏家の方は感情を押さえてこそクールという意志を感じるというか、自分の世界観を大切にする。大阪の演奏家の方は情熱的という表現が合っているかどうかわかりませんが、「みんなで楽しくやろうよ」とか「こんな演奏になっちゃった」っていう大らかなでハッピーな感じがします。


――だいぶ違う音になりますね。

川畑:そこが楽しみでもあります。


堂珍:タバココミュニケーションの場も全然雰囲気が違うんです。大阪の方はメンバーさん同士で「あそこ、難しいんやけど」とか「こういうふうにしてみようかな」って話をしているので僕の方から「どこですか」って話に加わって、「もう思いきりやってください」って伝えることができたりしました。


川畑:去年もそうでしたが、(渡辺)シュンスケさんのピアノがどっしり存在感を発揮してくれるので、オーケストラが変わっても安心感があります。


――では最後にこのコンサートを楽しみにしているファンの方に向けて意気込みをお願いします。

川畑:去年以上に楽しみたいです。それが観ている方にも伝わると思います。やっぱりあの会場でオーケストラコンサートって、どうしても緊張感があるじゃないですか。でもそれはいい緊張感だと思います。通常のライヴのそれとは違うものだと思うので、それを自分も楽しむということです。


堂珍:オーケストラならではのゴージャスな音楽になるので、そこはみなさんと一緒に楽しみたいです。前回とはメニューが変わっているので、また全然違う感触になると思います。


川畑:東京と兵庫、両方見て頂けたらさらに楽しいと思います(笑)。



前回と入れ替わる4曲「deep inside of you」「Wings of Words」「BACK TOGETHER AGAIN」「Dance With Me」の新しいアレンジをひと足先に聴くことができた。ミディアムバラードの「deep inside of you」は、さらにドラマティックになり、ここに二人の歌がサビに差し掛かる頃は感涙必至の仕上がりだ。爽やかさと切なさを感じる「Wings of Words」は、壮大な感じがさらに増し、美しい音の洪水と二人の歌がどうブレンドするのか楽しみだ。「BACK TOGETHER AGAIN」はメロウな情緒がより深くなり、二人の歌が抱えきれないほどの切なさを連れてきてくれはずだ。爽快感を感じるポップス「Dance With Me」は、オーケストラの音がさらに眩しい光を当てるようで、躍動感が増し、客席が総立ちになって手拍子しながら体を揺らす画が今から想像できる。二人の歌とオーケストラの音が共鳴し生まれる美しいアンサンブルを、心と体で思う存分感じたい。


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