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<コラム>初の単独ドーム公演控えるSixTONESが放つ、破壊力抜群のヒップホップ・チューン「ABARERO」
Text:田中久勝
次の一手は“ドープなヒップホップ・チューン”
SixTONESの破壊力たるや――4月12日にリリースされる9枚目のシングル「ABARERO」を聴いた率直な思いだ。これまで作品をリリースするたびに新たな領域に踏み出し、その豊かな音楽性で聴き手を楽しませてきたSixTONES。しかし「ABARERO」には驚かされた。ヘヴィなビートがうなりを上げて襲い掛かってくるドープなヒップホップ・チューンで、新作を待っていたファンの想像の遥か上を行く作品を作り上げた。そういう意味での破壊力でもある。ここまでジャンル不特定かつ高い音楽性を感じさせてくれる楽曲をリリースし続け、いい意味で期待を裏切り続けてきたその“貪欲”さは、数あるジャニーズのグループの中でもSixTONESが突出していると思う。それはどの“面”に光が当たっても、最新のSixTONESが最高なんだという6人の強い意志表示でもある。
SixTONES - ABARERO [YouTube ver.]
この曲の資料には“内なるパワーを解放し、エンターテインメント界を暴れまわるモンスター”というキャッチがあるが、最先端のサウンドに乗せ、まさに高いエネルギーを放熱する、甘さ一切なしのボーカルで攻め切っている。SixTONESにはエッジの効いたパワフルなラップを突き刺してくるラップ番長・田中樹がいる。だから、こういうドープなヒップホップチューンも、アルバムの中でのポイント曲として想像もできるし、それをシングル曲で展開する場合も、楽曲の一部で印象的に差し込んでくるかと思いきや、「ABARERO」では全編このトーンで“押して”くる。あらためて6人の器用さ、音楽への探究心の高さを感じることができる。もちろん<媚びは売らねーMy style>、<まだまだかますぜ俺らのやり方で>、<Do or die やりたい放題>という歌詞にも、常に現状に満足することはないという6人の意志がはっきりと表れている。彼らに“現在地”という言葉は使えない。常に“次”へ向かって走り続けているから。
今回は“次”のポイントでもある、初の単独ドーム公演(4月15~16日に京セラドーム大阪、21日~23日に東京ドーム)見据えたシングルでもある。初回盤A、初回盤B、通常盤の3形態でリリースされ、ロック調のギターが印象的なエモーショナルなヒップホップ・ナンバー「Hello」、熱いロックチューン「彗星の空」、エレクトリックなボカロ風ナンバーの「PARODY」、チルなドライブソング「Drive」と、全くカラーが違う新曲と既発曲のリミックス・バージョンが収録されている。初の単独ドーム公演という、ひとつの節目となる大舞台を前に歌っておきたい、聴いてもらいたいジャンルの楽曲をシングル=メッセージとして贈ってくれた。
高まるドーム公演への期待
ついに東西のドーム公演という、本人たちもファンも待ち望んでいた場所に立つSixTONESだが、その勢いは今年に入ってからもさらに加速して、ドーム公演も近いということは誰もが感じていたはずだ。特にデビュー4年目でもある今年1月4日、まさに新しい年の幕開けとともにリリースされた3枚目のオリジナルアルバム『声』は、Billboard JAPAN週間アルバム・セールス・チャート“Top Albums Sales”を2連覇し、初週売上522,310枚という数字は2023年リリース作品では最多という記録(4月9日時点)を打ち立てた。
SixTONES - 3rd Album "声" nonSTop digeST
『声』は、ONIGASHIMA、KOUDAI IWATSUBO、SAEKI youthK、Naoki Itai、YUUKI SANOらお馴染みの作家陣とともにロック、ヒップホップ、ジャズ、ファンクなどをジャンルレスにブレンドした様々な音楽が揃い、現状に満足することがない6人のハングリーさがエネルギーとなって、沸々と湧いているのが伝わってくる作品になっている。前作の2ndアルバム『CITY』が時間の移り変わりを鮮やかに描いた、コンセプチュアルな感覚のアルバムだったのに対して、『声』はより自由度と強いこだわりが共存する、6人の自信が漲る一枚に仕上がっている。いよいよ6人の歌声とファンの声援、そしてこの時代から聴こえてくる『声』をドームで響かせる日が近づいてきた。
新曲「ABARERO」は、そのダンスにも注目が集まっている。公式TikTokアカウントで展開されている、メンバーによる「ABARERO」エフェクト・チャレンジ動画で毎日ファンを楽しませている。振り付けはコレオグラファーのSAYA YAMAMARU。サビの部分の20秒ほどの尺でモンスターを彷彿させる手の振りやステップで魅了する。それぞれのソロダンス動画が投稿されたあとは、3人ずつに分かれ「ABARERO」MVのセット内で、田中樹×森本慎太郎×松村北斗チームと、ジェシー×京本大我×高地優吾(※)チームが、10%、100%、200%とボルテージ別にダンスを披露し、楽曲はドープなヒップホップだがダンス動画は笑顔が溢れ、思わず吹き出してしまう面白さがある。
※「高」正式表記=はしごだか
SixTONES - ABARERO -Dance Performance Only ver.-
YouTubeチャンネルで公開されている「ABARERO」のMVでは、全く違う表情を見せる6人が刺激的な世界観を作り上げている。そのギャップに引き込まれる人が多そうだ。この曲をドーム公演で、全員でダンスしながら楽しんでいる画が想像できる。ドーム公演を経て、ドームのステージからの光景を目にした6人の心に灯る“何か”が昇華された“次”の作品がますます楽しみになってきた。
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