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<対談インタビュー>Mana(Moi dix Mois)×KAMIJO(Versailles)×ASAGI(D)×苑(摩天楼オペラ)が四つ巴で織りなす”Japanese Visual Metal“とは

インタビューバナー

 2023年1月1日、衝撃的な共同声明を発表したMoi dix Mois×Versailles×D×摩天楼オペラの4アーティスト。その代表者を迎えた、豪華絢爛な座談会がここに実現。共同声明を通して、昨年12月に先陣を切ったMoi dix Moisに続いて、各バンドはワンマンライブでの声出し解禁を目指して活動を行なっている。さらに、この4アーティストのSNSをメディア化して、自分たちが歩んできた“Visual”シーンと影響を受けた“Metal”シーンから、新たに“Japanese Visual Metal”なるシーンを創造し、4アーティスト合同で<Japanese Visual Metal Tour>と題したZepp Tourを開催。合同で楽曲制作も進めているという彼ら。この4アーティストを結びつけているものとは一体なんなのか。そこから誕生したJapanese Visual Metalとは? その背景に流れる“血統”について4人に大いに語ってもらった。(Interview & Text: 東條 祥恵)

「“世界観”があるところも、この4アーティストに共通しているところ」

―――まずは自己紹介からお願いします。

:摩天楼オペラのVoの苑です。摩天楼オペラの摩天楼は新しいロックを、オペラは昔からあるピアノやオーケストラを表していて。それらを合わせたものをやりたいなと思ってこのようなバンド名にしました。いま摩天楼オペラは全国ツアー【15th Anniversary Tour-WALTZ-】をやっていまして、5月4日、東京・Zepp HANEDAで開催する【16th Anniversary Live-翠玉のワルツー】で16周年を迎えます。

KAMIJO:VersaillesのVoのKAMIJOです。薔薇の蔦が絡み合うようなツインギター、うねるベースとドラムのセンスあふれるフレーズ。その上で放たれるKAMIJOの主旋律。自分たちのこのようなヴィジュアルとサウンド、その両面を表しているのがVersaillesというバンド名です。Versaillesはここ数年表立った活動はできていませんでしたが、昨年15周年を迎えまして、ツアーを開催しました。5月からは新曲を披露する全国ツアー<Versailles Live Tour”Varoque”2023〜華麗なる様式美の逆鱗〜>を控えております。Versaillesは今年の12月をもってDrのYUKIがお休みの期間に入ってしまいます。それまでの期間、精一杯前に進もうという気持ちで、メンバー一丸となって頑張っております。

Mana:Manaです。Moi dix Moisはバンドではありますが、僕のソロプロジェクトであるところが他の方々とは大きく違うところです。以前やっていたMALICE MIZERはバンドだったのですが、Moi dix Moisは僕がやりたことを表現するプロジェクトなので作詞・作曲・編曲すべて僕1人でやっています。音楽性は、僕が一番好きなシンフォニック・ゴシック・メタルをやっています。今のメンバーになって長いのでMoi dix Moisはバンド的な雰囲気にはなっています。

ASAGI:DのVoのASAGIです。Dは世界観を重要視したバンドで、薔薇、Vampire、アリス、森‥様々なコンセプトがあるんですが、それらをコンセプトに掲げ、生や死、愛をテーマにした物語性の強い楽曲作りをしています。映画音楽のように、リスナーの頭のなかに映像が思い浮かぶような音楽を目指しています。Dは今年結成20周年を迎えまして、4月にVampireをコンセプトとしたシングル「REVENANT」を掲げたツアー【D 20th Anniversary Year 春 東名阪ワンマンツアー「REVENANT」】を開催します。今年は20周年なのでDの主軸ともいえるVampireを主軸に精力的に活動していこうと思っています。

Mana:あ! 言い忘れてました。Moi dix Moisも今年20周年です。

:それで、Versaillesとウチが15周年ですね。

ASAGI:すごい偶然ですよね。



Mana

――では、そんなみなさんが共同声明を発表することになった経緯から教えてもらえますか?

KAMIJO:僕の方からまずManaさんに、去年の春頃ですかね。コロナ禍によって訪れたエンタテインメントの危機を脱却するにあたって、いつか勇気を振り絞らなければいけないタイミングがくると思っていたので。そこで、一緒になにかやれませんかねということでお声掛けさせていただきまして。その後すぐにDと摩天楼オペラにも声をかけさせていただいたという流れです。


――いまは戻りつつありますが、去年の春頃といえば、まだライブをやるのも大変でした。

KAMIJO:そうなんです。なので、まずはその一歩を踏み出すために、声出しを解禁する声明をみんなでやろうというアイデアから始まったんです。ですので、一番最初はコロナ禍が招いた状態から勇気を振り絞って一歩前進するために一緒にやろうというのがきっかけでした。


ASAGI:KAMIJO君からそう声をかけてもらったとき、すぐに共感できて、すごく背中を押してもらえたんですよね。音楽シーンのなかで、この4組で手を取り合って乗り越えていこうというのがすごく美しいなと思いました。


――そこから、この4組でZeppツアーをというのはすぐに決まっていったのですか?

KAMIJO:いいえ。願望はありましたが、Manaさんは僕の直属の先輩なので、自分から1度にいろんなことをお願いすることはできないと思って。それで、共同声明を発表するギリギリのタイミングでもう我慢ができなくなってお願いをしたんですよ。

Mana:去年の12月に僕のライブでまず声出しを解禁したんです。そのときにVersaillesとDと摩天楼オペラと一緒に共同声明を発表すると伝えたら、お客さんからすごい歓喜の声があがったんですよ。その時点で、これはきっと一緒にライブをやるんだろうなという雰囲気がお客さんのほうから出てて。

KAMIJO:すいません、その空気を待っていました(笑)。

Mana:そうしたらKAMIJOから連絡がきたんですよ。「Zeppツアー、合同でやりたいんですけど」って。ちょっとびっくりはしたけど、お客さんのあの空気を感じていたので、そういう方向にいったほうが楽しいだろうなと思いました。


――すいません。お話の途中なのですが、基本的なこととして、まずこの4アーティストの関係性から教えていただきたいのですが。

KAMIJO:まず、僕はManaさんの元でいろいろ学ばせていただいた立場で、MALICE MIZERさんのときからお手伝いをさせていただいていた直属の後輩です。DのASAGI君に関しては薔薇とVampireという共通項があるので、ライバル的な存在に見えていた部分もあり、実際一緒に演ることも少なかったのですが、同じ横のラインにいるバンドです。摩天楼オペラはまた別の横のラインにいるバンドで、僕が昔やっていたレーベルのレーベイルメイトでした。

:いえいえ僕らは直属の後輩です。


――もともと関係性がある方々なのですね。

KAMIJO:あと、共通しているのは僕もASAGI君も苑もManaさんのことが大好きだということ。一番最初にManaさんにお声掛けをさせていただいただき、ご一緒できるとなったとき、Manaさんの魅力を熟知していて心から尊敬しているアーティストと一緒にやろうと思ったんです。計り知れない方々がManaさんのことを尊敬してらっしゃるんですが、そのなかでも「この人たちなら一緒に演れる」という方がASAGI君と苑君だったのです。


――声をかけられたとき、お二人はどう思われましたか?

:大先輩の方々なので、その横に名前を置いてもらえるというだけで光栄でした。

ASAGI:お話をいただいて、Manaさんは昔からリスペクトしていて大好きでしたから。Dが公式で唯一カバーしたバンドはMALICE MIZERだけですから。なので、めちゃくちゃ光栄だなと思いました。


――Mana様ありきの関係性といいますか、つながりといっても。

KAMIJO:過言ではないです。



KAMIJO

――ご本人はこれを聞いて、いかがですか?

Mana:素直に嬉しいです。

ASAGI:なので、この座談会も。

KAMIJO:Manaさんとご一緒できて、お話していること自体、夢のような出来事で。

ASAGI:本当にそうなんですよ。

KAMIJO:だから“血統”なんです。僕らは。貴族の血ではないですけど、まったく見知らぬ人たちではなく、Manaさんからふつふつとつながる血統。これが“Japanese Visual Metal”なんじゃないかなと。


――声明の中で掲げられていた新たなシーンの名称ですね。

Mana:ヴィジュアル系ってカテゴリーが曖昧でしたけど、この4アーティストが持っている音楽性とヴィジュアル系を分かりやすく示すカテゴリーになったんじゃないかなと思います。いままでのヴィジュアル系って、化粧をしていればヴィジュアル系みたいなふわっとしたもので、音楽性ではなかった気がするんです。だけど、メタルという一つのキーワードを掲げたことで、音楽性と合致したなという気がしました。


――どなたが思いついたワードなのですか?

KAMIJO:自然と、な気がしますけど。

Mana:最初は(仮)ってなってたような。

KAMIJO:ああー、そうでした。この4アーティストを表すワードとして、同じ血統だからJapanese Visual Metalというのを仮で書いてたんですけど。

Mana:それがだんだんしっくり馴染んできて。分かりやすいっていうのはすごく重要だと思うんです。なので、このままでいいんじゃないかなと僕は思いましたね。

KAMIJO:血統の話でいうと、Manaさんは血の始まりとしてシーンを作ってこられた人。我々はその後ろを歩ませていただいて、自分たちなりの道に様々な装飾を加えてきた。これから、ヴィジュアル系のなかにこういうシーンがある、メタル系のなかにこういうシーンがある、それが交わるところに僕らがJapanese Visual Metalとしていたら、分かりやすいんじゃないかなと思ったんです。

:僕はこの名前を聞いたとき、直球だなと思いました。僕が聴いて影響を受た音楽がヴィジュアル系とヘヴィメタルだったので、いまやっている摩天楼オペラはその両方を混ぜたことをやってるんですけど。僕の好きな音楽をそのまま言葉にした名前でした。

ASAGI:僕も新しくて非常にいい名前だなと思いましたね。アーティストによってはカテゴライズされることを嫌う方もいると思うんですが、リスナーにとってはいいことだと思うんですよ。自分の好きな音楽を検索するときに、ヴィジュアル系だけだと様々な音楽性のものが出てくるんですけど。そのなかでヴィジュアル系とメタルで検索すれば、いまはこの4アーティストが出てくると思うんです。それこそ、新たなシーンの創造ですよね?

KAMIJO:そう。ここから作りたいんですよ。先輩方が引いてくださったレールの上を歩くだけではなく、ここからはゼロの状態から作っていかなければいけない。それを作るとなったとき、この4アーティストで前に進めるというのはすごく心強いですね。

:1バンドでは絶対にできないうねりが作り出せるんじゃないかなと思います。

KAMIJO:あと、Japanese Visual Metalという音楽性の部分だけではなく、“世界観”があるところも、この4アーティストに共通しているところなんですよ。


――その原点を作られたのが。

KAMIJO:そこもManaさんです。


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