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<インタビュー>SKY-HI&SOIL社長が語る【LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN】社長対談



インタビューバナー

 昨年5月に初の日本開催となった新世代ジャズフェスティバル【LOVE SUPREM JAZZ FESTIVAL JAPAN】(以下【ラブシュプ】)。さまざまなコラボレーションが行われた中で、SOIL&"PIMP"SESSIONSはSKY-HIをゲストに迎え、1日限りのステージのために制作した新曲「シティ・オブ・キメラ」を披露し、SOIL&"PIMP"SESSIONS featuring SKY-HI名義でのデジタルリリースまで実現した。

 そして、今年の5月には第2回目の開催が決定。SOIL&"PIMP"SESSIONSは、レジデンシャルバンドとしての出演となり、初日はAIなどのアーティストを迎えたステージを展開。2日目はSKY-HI & BMSG POSSEとのスペシャルコラボレーションが予定されている。今年はどんなステージを見せてくれるのだろうか。2年連続2回目の出演となる2人に本フェスの魅力や展望などを聞いた。 (Interview & Text:永堀アツオ / Photo:梁瀬玉実)

2022年の【ラブシュプ】はパーフェクト2デイズ

――昨年の【LOVE SUPREM JAZZ FESTIVAL JAPAN 2022】の感想から聞かせてください。

社長:まず、ステージに立った時に一番最初に感じたのは、「やっと開催できた!」ということでしたね。2020年、2021年と2年連続で開催が中止になってしまったので、スタッフのみなさんは、かなりのダメージがあったのではないかと思うんです。自分もフェスを主催している身として、その気持ちは十分にわかります。2022年はまだ、いろんなフェスが開催について試行錯誤している中で、ああいう場を作っていただいて、音を出せたっていうことが何より嬉しかったです。コロナ禍ではありましたが、お客さんたちもコロナ禍のルールに則って楽しんでいただけている様子を見て、ステージ上で感動した記憶があります。

SKY-HI:打って変わって私のほうは気楽なものでした(笑)。開催に携わっているわけでもないし、長い尺で自分のライブがあるわけでもなかったのに、客演で3回もステージに立たせてもらえる日だったので、ハッピー極まりなかったです。1日目の夕方くらいに行って、遊んで、セルジオ・メンデスのステージに出て、寝て、2日目って感じだったので。

――2日目のグリーンステージのトップバッターを務めたAile The Shotaのステージにスペシャルゲストとして登場しました。

SKY-HI:Aile The Shotaは、あの時まだデビューして4ヵ月くらいで、ちゃんとライブの経験があったわけではなかったんです。あの日が初フェスという形だったので、Shotaを応援してる人からしても、それがAile The Shotaを見る初フェスになるわけじゃないですか。それが【ラブシュプ】だったのは、巡り合わせ含めてありがたいことでしたね。これは、いい意味で言ってますけど、本当に敷居の低いフェスなんですよ。散歩のついでに行けるような空気感をフェスが作ってくれているので、初フェスなのにShotaはすごく楽しそうにライブをやって、音響トラブルも笑顔で対応していました。

社長:素晴らしかったね。

SKY-HI:BMSGのグッズを着ている方が、最後のロバート・グラスパーで気持ち良さそうにしているのを見ていたので、全方位に対して素晴らしい形でのフェス出演になったのは心からありがたかったと思っています。あと、日本の【ラブシュプ】の素晴らしいところは、疲れないところなんですよね。動線も綺麗だからシンプルで楽だし、ジャズ・フェスティバルなので、音圧より音質を重視している感じがして、抜けが良くて気分もいい。芝生に寝っ転がりながら音楽が聴けたりするし、本当に疲れないんです。ただただ癒されたというほうが大きくて。しかも、3回もステージに出て、好き勝手に歌って(笑)、楽しいしかなかったですね。最後は酔っ払いながらロバート・グラスパーを見るっていう。完璧でした! パーフェクト2デイズ!(笑)


【Love Supreme Jazz Festival 2022】

――SOIL & PIMP SESSIONSとSKY-HIの共演もありました。

社長:(SKY-HIを見ながら)やっぱ、かっけぇなって思いましたね。

SKY-HI:あはははは。でも、ステージで曲が完成した感が強かったんですよね。

――のちにデジタルリリースした新曲「シティ・オブ・キメラ」の初披露もあって。

社長:話の出発点は2年前なんです。ステージでコラボレーションする機会をいただいて、その瞬間最大限にいいものを作ろうっていうところから始まったんですが、その時に準備していた曲と、実際に披露できた曲は全然別の曲なんです。とはいえ、気持ちはそこからずっとつながっていた感じはあります。そういう記念すべき場所にもなったのは【ラブシュプ】があったからこそですね。

SKY-HI:そうそう。2つ目の曲なんですよね。


【Love Supreme Jazz Festival 2022】

――じゃあ、いつか1曲目も?

SKY-HI:実は……。

社長:実は……。

SKY-HI:あれ以来放置されております!(笑)

社長:あはははははは!

SKY-HI:でも、自分はキッズの頃からSOIL & PIMP SESSIONSっていうバンドの曲を普通に好んで聴いている立場だったので、おいそれと「ワッツアップ?」とは行けなくて……。

社長:そう?(笑)

SKY-HI:しかも初対面が、皆さん楽器を持ってる状態だったんですよ。何ならリハで皆さんが演奏しているところに行くという形だったので、丁寧に曲を作る一方で、ヒューマンベースのコミュニケーションは実は少なかったりした。でも最終的には、ミュージシャニズムあふれるコミュニケーションによって、ステージ上でヒューマンベースのリレーションシップまで完成したっていうか。あれはすごく気持ち良かったですね。ひと言で言うとステージがめっちゃ楽しかったっていうのに尽きます。


楽しい空気で本番に行く現場作りが大事

――そして、2年連続での出演が決まりました。

SKY-HI:いやぁ、ありがたいというのが一番なんですけど、去年と今年ではまたフェーズや関係値も違うので、少なからずやプレッシャーはありますが、アーティストがいっぱいいるので「せっかくなのでやってみようか」というものを増やせるようにはしたいと思います。もっと簡単な言葉で言うと“ノリ”ですね。ノリでやれることが増えると、作り込んだものの説得力も増す。そのためにも、こういった場所でノリと作り込みの両方をしっかりやりたいなと思ってます。

社長:僕らは今年はホストバンド的な立ち位置で両日関われるというのが、こういう位置のバンドって世界的に言うとザ・ルーツがやっていたりする。

SKY-HI:そうですね。ザ・ルーツって音楽番組の演奏をずっとやってますもんね。

社長:そうそう。やってみたかったんですよ。そういうポジションに我々をアサインしていただけて本当に光栄ですし、この務めを果たせるのは逆に言うと我々しかいないって言うくらいの気概を持って臨みたいと思っております。


Photo:梁瀬玉実

――どんなステージになりそうですか?

社長:自分たちのものだけではないので、一緒にコラボレーションするみなさまが100%以上のパフォーマンスを発揮できるような仕立てをして臨まないといけないと思っております。さっきSKY-HIも言ってたけど、とはいえフェスだからカチカチに作りこみすぎても面白くないと思うので。

SKY-HI:そうなんですよ。

社長:フェスならではのいい意味での緩さ、ハプニング感みたいなものを許容できる余裕を持って準備をして臨まなきゃなという感じはしますね。

SKY-HI:おっしゃるとおり。クレジットされる以上はクリエイティブ・コントロールをちゃんとする。それは自分たちにとっても必要で大事なこと。でも、フェス全般そうですけど、特に【ラブシュプ】はワクワクしていい場所だと思ってるんです。先日、ダンス&ヴォーカルに特化した【D.U.N.K. Showcase】というイベントをやったんですけど、もちろん楽しいけど、どっちかというと「ぶちかますぞ!」っていう気持ちでアーティストの皆さんも出演されていて。BE:FIRSTも多分に漏れずそうだったと思うんです。でも、【ラブシュプ】は「来たよ!」って感じでやれないと良くないと思う。ガチガチに気合いを入れて、血走った目で「俺たちが【ラブシュプ】を盛り上げに来ました!」って言うわけにはいかない(笑)。だから、リハから作り込むんだけど、楽しく作り込んで、楽しい空気で本番に行くっていう現場作りがまず大事なのかも。そういう意味では、社長の第一声に全てがかかっているかもしれないですね。

社長:日高社長から、今めちゃめちゃハードルを上げる発言をいただきました(笑)。

――(笑)。まだ、メンバーは発表前ですが、SKY-HI & BMSG POSSEとしてのコラボレーションになるんですね。

SKY-HI:はい。今日2回目ですけど、やっぱり“せっかくなので”を増やしたいなと思います。楽曲を演奏していただくという形式も当然ありがたいんですが、ただ単に自分たちが普段ライブでやることをSOILが演奏するバージョンでやるというのは面白くなさすぎる。じゃあ、何をやったら楽しいか。ジャズのスタンダードナンバーをやるのか、そしたら「ああいうのをやれるといいかもね」とか。いつくかあると思うので、失礼を承知で土足で上がり込んだり、上がり込んでいただいたりもしながら、最終的には芝生の上でお尻を振れるイベントにできたらいいなと思っています。

社長:おっしゃるとおりで、各々のレパートリー、カバー、フリースタイル……いろんな選択肢がある我々なので、そこからどれをチョイスしていくかっていうのはこれから吟味していかなきゃいけないんですけど、フェスってオンステージに上がるメンバーだけでは完成しないじゃない?

SKY-HI:そうなんです。

社長:お客さんとのエネルギーのぶつかり合いだったり、その日にしか起こらない不確定な何かが加わることで100%を超えてくると思う。そういうことが最大限受け入れられるというか、許容できるというか、その不確定要素が生きるような準備をしたいなって思っています。


Photo:梁瀬玉実

SKY-HI:そうですね。ジャズバンドにとっては当たり前のインプロヴィゼーションみたいなことが、我々からするともうアクシデントだし、楽しみなんですよ。そういうスリルがあるとワクワクするじゃないですか。ただ楽しいのって、危険がなくて安心できるっていうことだけではないと思う。作り込みで最低限の安全性を担保したうえで、スリルという余白の部分は作っておきたいと思いますし、そのスリルがあるからこそ何かヤバいものができるんじゃないかってワクワクする。出演者もスタッフもワクワクして、お客さんもワクワクしながら来ていただいて、そのワクワクを上回れた時に何かが起こるんでしょうね。Make miracle!!

――(笑)フリースタイルでのセッションもあるかもしれない?

社長:できるよね。

SKY-HI:そうですね。自分は本当に“Life is improvisation”なので、フリースタイル、アドリブに強い方でいきたいなって気持ちもあります。

社長:それは乗っかっていただく我々としても、ものすごい集中力でいないと。

SKY-HI:我々の音楽力を試されるところでもあると思うんですけど、SOILの方々はジャズバンドなんだから、そりゃもうパートを渡されたらすごいでしょっていう状態で皆さんがソロをまわしてかなきゃいけない。それはそれでハードル高いっすね(笑)。

社長:うん。バンドだけだったらいくらでも自分たちの責任でできるけど、そこに乗っていただくわけだからね。まあ、そうなってくると立場は対等だと思うんだけど、普段、場数をこなしているからこそ受け取れる信号みたいなものを、いかにその瞬間に伝え合うかはいつもよりも丁寧にやらなきゃいけないだろうし。でも、わかるんだよね、やってるとね。

SKY-HI:そうですね。

社長:だから、何とかなるっていうか、なるようになる……? 違うか(笑)。


出演アーティストの魅力

――ちなみに今年のラインナップを見て、楽しみなアーティストはいますか。

社長:去年はバックヤードでロバート・グラスパーとは喋りました。

SKY-HI:僕もダメ元で、「ビルボードライブでのライブを見に行ったんだよ」って言ったら「憶えてるよ!」って言うから、「嘘つけ!」って返しました(笑)。

社長:そういうノリだよね(笑)。今年はディナー・パーティーとして来るでしょ。

SKY-HI:カマシ・ワシントン見れるのか、うれしいな!

社長:カマシはちょっと楽しみだな。やっぱディナー・パーティーは見たいよね。

SKY-HI:見たいです。ディナー・パーティーを見た人生と見てない人生があったら、絶対に見た人生のほうがいいじゃないですか。


Photo:梁瀬玉実

社長:あとは、やっぱりジョージ・クリントンも……。

SKY-HI:ジョージ・クリントンも今回逃したら二度と見れない可能性もあるわけですし。

社長:前回、グラストンベリーに出た時、僕らのステージの大トリがジョージ・クリントン・パーラメント&ファンカデリックだったんですけど、そこで吹いてらっしゃったトランぺッターの方は亡くなってしまいました。

SKY-HI:数年前に【SUMMER SONIC】に出られた時もその形だったかな。めちゃくちゃ楽しかったんです。ビーチでちゃんみなと踊りながら見てましたけど、本当にすごかったです。僕がディアンジェロ・アンド・ザ・ヴァンガードのライブを見た次の年くらいだったのかな。フルバンドのパワフルさやチームワークを見て、ジョージ・クリントンも見てみたかったから見に行ったんですけど、往年の感じになると思ってたら、バリバリ現役じゃん!っていうのが最高でした。

社長:そうそう! それはありますね!

SKY-HI:それが忘れられないんです。あれから5年くらい経ってまた見れる。その時も言ってたんですが「もうジョージ・クリントンを見れるのこれが最後かもね!」って。

社長:また見れる!

SKY-HI:見れるんですよね、最高ですね! 僕、13日の夜に入るんですが、前日は遊びに行くだけの予定でございます。ああ~、楽しみだな。

社長:グラストンベリーの楽屋では、ジョージに気軽に楽屋で話しかけられる雰囲気ではなかったけど、今だにパワーはあるんだよね。体も声もデカいし。

SKY-HI:そう。ギラギラしてましたね。

社長:やっぱオーラありますよね。あの時、写真もちょっと遠慮しちゃったもんな……。

SKY-HI:俺、ふらっと行って写真撮ってもらおうかな。

社長:うん。それ今年の目標にしよう。

――最後に、今年の開催を楽しみにしてる方にメッセージをお願いします。

SKY-HI:【ラブシュプ】は本当に散歩のついでに行けるフェスで、それが本当に素晴らしいところだと思うんです。いわゆる大型フェスは、何日も前から、服装や動線を絶対に準備する必要があるんですよ。あれ見て、これ見て、ここらへんで休憩挟んどかないと辛いかな、とかを考える必要があると思うんですけど、【ラブシュプ】は、その時のノリで芝生でごろっとしてようかなとか、ごろっとしてたら聴こえてきた音楽が気持ちいいなとか、そういう楽しみ方ができる。元気をもらうわけではなく、体力も回復するようなフェスだと思うので、気軽に楽しみに来てほしいと思います。いや、俺どの立場で言ってるんだって感じですけど(笑)。でも、そういうのに対して自分もできることを頑張ろうと思います。

――本当に散歩のついでに外で音を聴いてる人たちもたくさんいましたよね。

SKY-HI:そうなんですよね。無料エリアがあるのもまたいいですよね。

社長:有料エリアと無料エリアのバランスもいいしね。【ラブシュプ】というジャズの名曲のタイトルを冠したジャズフェスティバルで、“ジャズフェス”と聞くとどうしても難しいイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、まったく真逆です。SKY-HIの言うとおり、とても間口が広くて優しいフェスであると同時に、ジャズフェスの面白いところは、そこで起きるインプロヴィゼーションだったりします。それって二度と同じことは起こらないので、この2日間でしか出ない音が出るという意味では、たぶん国内で一番、瞬間芸術として面白いフェスになると思います。間口の広さと二度と聴けない音楽を楽しみにしてほしい。会場に足を運んでいただければ、我々は全力で皆さんを楽しませますので、ぜひ遊びに来てください!

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SKY-HI「カミツレベルベット」

2015/03/18

[CD]

¥1,100(税込)

カミツレベルベット
SKY-HI「カミツレベルベット」

2015/03/18

[CD]

¥1,980(税込)

カミツレベルベット
SKY-HI「カミツレベルベット」

2015/03/18

[CD]

¥1,980(税込)

スマイルドロップ
SKY-HI「スマイルドロップ」

2014/12/12

[CD]

¥1,100(税込)

スマイルドロップ
SKY-HI「スマイルドロップ」

2014/12/12

[CD]

¥1,980(税込)

スマイルドロップ
SKY-HI「スマイルドロップ」

2014/12/12

[CD]

¥1,980(税込)

MAGNETIC SOIL
SOIL&“PIMP”SESSIONS「MAGNETIC SOIL」

2011/10/05

[CD]

¥2,934(税込)

MOVIN’
SOIL&“PIMP”SESSIONS Shacho Tabu Zombie Motoharu Josei Akita Goldman Midorin マイア・ヒラサワ「MOVIN’」

2011/07/20

[CD]

¥1,257(税込)

MOVIN’
SOIL&“PIMP”SESSIONS Shacho Tabu Zombie Motoharu Josei Akita Goldman Midorin マイア・ヒラサワ「MOVIN’」

2011/07/20

[CD]

¥3,122(税込)

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