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<インタビュー>NAO AIHARA 自分の“芯”を持って生きていく。等身大のマインドを込めた2ndシングル

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Interview & Text:高橋梓


 エイベックスとテレビ東京がタッグを組んだオーディション番組『ヨルヤン』の【女性R&Bシンガー&ダンサー・オーディション】でデビューを勝ち取ったNAO AIHARA。2022年3月23日にリリースされたデビュー曲「lighthouse」は、SOCIAL HOUSEがプロデュース、s**t kingzのkazukiが振り付け、Emyliがトップラインと歌詞を手掛けたとあって注目を集めた。そして、満を持して3月1日に2ndシングル『refrain / as is』をリリース。メッセージ性の強い楽曲が詰まった作品となっている。そこで、楽曲についてはもちろん今の心境やこれからについても本人にじっくり語ってもらった。

デビューから1年を経ての2ndシングル

――デビューから約1年経ちましたが、今の心境はいかがですか?

NAO AIHARA:1年ぶりにやっと曲をリリースできるので、嬉しい気持ちがいちばん大きいですね。それと、この1年で環境や関わる人が変わって、学ぶことが多かったです。撮影やレコーディング含めて知らないことばかりだったので、とても勉強になりました。


――様々なことを学んでの2ndシングルですが、どんな作品になっているのでしょうか。

NAO:自分の中にある伝えたいことや、「他人と比べちゃう」「自分自身とは何か?」という悩みなどが盛り込まれている作品になっています。といっても、私自身のことが直接反映されているというより、各曲の中で悩んで、もがいて、「こうしたら幸せになれるかも」って行動して、決意していく……という感じでストーリーが描かれているイメージです。ちなみに、「refrain」「as is」「lighthouse」という収録順で、ストーリーがつながっています。


――1曲の中だけで完結しているのではなく、3曲を通して思いを伝えているのですね。

NAO:そうですね。簡潔に言ってしまうと、「refrain」と「as is」は、周りの強い言葉に振り回されずに「自分の芯を持って生きていこう」という決意を歌っています。そして、「lighthouse」ではそれを違った表現で表しています。たとえば「refrain」は、「綺麗」とか「可愛い」という言葉だけで人を判断するルッキズムの問題から派生して歌詞を書きました。私自身、以前から見た目や体型、人種で判断するのって違うな、気持ちよくないなと思っていて。自分のできる範囲内で色々と調べていた時に、この曲のトラックをもらったんです。はじめは今よりももっとキラキラしているポップなハウス・トラックだったのですが、その雰囲気から連想される「綺麗」「可愛い」という言葉を単純に使うだけの曲にはしたくないな、と。それでテーマを「ルッキズム」にしつつ、カジュアルな要素を加えて、トラックはあえて90's テイストのUKガラージ風アレンジにしていきました。


――「as is」はどうでしょう?

NAO:友だちの悩みを聞いているうちに、考えすぎちゃって「自分って何なんだろう?」っていうフェーズに行っちゃうことってありません? それを軸にしてストーリーが展開されている楽曲です。生きていくなかでいろんな言葉に流されて、他人と比べてしまうこともあると思うんですけど、どうせ死ぬんだったらハッピーエンドにしたいから自分を好きになろうね、みたいな。それで本当の自分を愛した先にあるのが「lighthouse」で描かれている、という流れです。


――なるほど。「refrain」にも「as is」にも「いいね」というワードが出てきていたので、SNSをテーマにしていたのかなと思っていました。

NAO:それもあります。結局、Instagramとかでも写真だけ見て判断されたり、いいねされた数だけで判断されたり、ルッキズムに繋がる部分があると思うんですよね。


――先程もルッキズムについて調べたことがあったとおっしゃっていましたが、何かきっかけがあったのですか?

NAO:SNSで「良い意味でも悪い意味でもインスタグラマーが搾取されている」というような内容を見たことがきっかけです。そこからニュースや記事をいろいろ調べてみたんですが、すごく考えさせられるなぁと。ただ、自分も気づかないうちにルッキズム的なことをしてしまっているかもしれないし、向き合わなければいけない問題だと感じました。一方で、考えすぎちゃうと人との関わり方も難しくなってしまうから、内面や生き方を大切にしたいな、と。結果「自分の芯を持って生きていこう」という部分に結びつきました。


――デビュー曲に引き続き今作も作詞に参加されているので、そういった思いも表現しやすそうです。

NAO:テーマは全部自分から出させてもらったので、そうかもしれません。あとはベースとなる歌詞を書いて、それをブラッシュアップしてもらって、また自分で付け加えて……という流れで書いていきました。特にこだわったのは「as is」の〈ハッピーエンド〉という言葉。歌詞を考えていくうえで「どうせ死ぬならハッピーエンドにしたい」というところから始まったので、パワーワードにしたいと思って入れ込みました。「refrain」でいうと〈「綺麗だね」〉〈「可愛い」〉〈ヒロイン〉〈コンビニ〉というキーワードをポイントに歌詞を書き上げました。


――こだわりのワードが詰まっている、と。昔から作詞はされていたのですよね?

NAO:作詞っていうよりもポエムみたいなものでしたけれど(笑)。センチメンタルな気分になって勝手に気持ちが盛り上がっている時に、「書いてみようかな」って書いていましたね。あとは感情的になった時に、その気持ちをメモしたりしていて。もともと本を読むのが好きだし、書くこと自体はすごく楽しくて。それが今に繋がっている感じですね。といっても思ったことを書いているだけなので、歌詞っぽくないんですけどね。歌詞の勉強ももっとしなきゃと思っています。


――メロディについてはいかがでしょうか。「lighthouse」よりも「refrain」と「as is」の方が明るい印象です。

NAO:「refrain」は頭の中、心の中のふわふわしている悩みを歌詞にしているので、曲調に合っていると思います。歌い方も、友だちと話している時のちょっといい子ぶってる部分を表現してみました。「as is」は……展開が多くてすごく難しい!(笑)


――めちゃくちゃ展開が変わっていきますもんね。

NAO:そうなんですよ。ラップもあって難しかったです。ラップがあってこその、この歌詞だなとは思うんですけど、〈侮蔑が分別〉っていう部分が難しかった〜! たくさん録り直しましたね。でも逆に楽しかったですし、ちょっと不貞腐れている感じのラップの歌詞があるからこそ、サビの深みが出たのかなとも思っています。


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歌とダンス、両方をやっていてよかったこと

――NAOさんは、90'sのR&Bがお好きじゃないですか。たとえばTLCなんかもラップが入ってる曲が多いので、慣れてらっしゃるのかと思っていました。レコーディングはいかがでしたか?

NAO:「as is」はサビのリズムやアクセントの取り方が難しくて苦戦しました。それに最後の台詞も6~7回録り直したんです。歌だったら「こう歌おう」って思ったことがすぐにできるんですが、この台詞は思うように言えなくて。「台詞ってこんなに難しいっけ?」って思いました(笑)。「refrain」は音の上がり下がりが大きくないので、単調にならないように歌い方のアレンジを加えるのが難しかったです。トラックを聴いたり、歌い込んだりしていく中で「ここにアクセントを付けた方がいいな」とか「こう歌ったらいいかも」というのは徐々に出てくるんですけど、やっぱり難しかったですね。


――生パフォーマンスを見られる日が楽しみです!

NAO:ダンスも合いそうですよね。ダンサーの友だちがたくさんいるので、相談しつつ一緒に作ってみようかな。


――NAOさんは、歌はもちろんダンスも長くやられています。歌とダンスの相互作用を感じたりもしますか?

NAO:ボイトレの先生に「ダンス踊れるのに、なんで歌ではこのリズムができないの?」って言われたことがあるんですけど、歌とダンスって全然違うんですよ(笑)。その前提がありつつも、歌う上でダンスをやっていてよかったと思うのは、パフォーマンスの時に格好がつくこと。たとえば首で軽くリズムを取っているだけでも、表現の仕方が違うかなって。それに、ダンスでステージに立ってきたので、アーティストとしてステージに立ってもすぐに感覚が掴めるというのもあります。あと、ダンスをやっていてよかったと思うのは、年齢差関係なく、人と関わることに抵抗がない。上の世代や大人でも(笑)。小さい頃からダンスをやっていると、大人と関わることも多いんです。ダンサーの友だちがプロデュースしているチームのキッズもすごいですよ。みんな自分の携帯を持っていて、なにかしてあげた時に絶対お礼の連絡をくれるんです。


――大人びている……! NAOさんも小さい頃からの経験があるからこそ、今、しっかり大人たちとやり取りできているのですね。そういった経験を含め、ご自身にとってのターニングポイントはどこにあると考えてますか?

NAO:高校3年生の時にグループ活動をやめると決めたことと、父が亡くなったことが重なった時ですかね。父が亡くなる時に「歌をやるという夢を叶えて」と言ってくれたので、頑張らなきゃと思って、誰にも相談せずひとりでグループのプロデューサーへ話しに行ったんです。「私は歌がやりたいので、留学に行きます」って。結局、留学は行っていないんですけど(笑)。でもその時に行動したから、今があるんだと思っています。


大好きなK-POPと友だちからの影響

――本格的に歌へシフトしたタイミングだったんですね。お話を聞いていると、すごく等身大な印象を受けます。普段はどんなことから刺激を受けているのでしょうか?

NAO:K-POPから刺激をもらっています。K-HIPHOPや韓国のR&Bが大好きなんですよ。聴いたことがないような新しい楽曲が多いし、かっこよくて、ディグっていくうちにどんどんハマりました。


――特に刺激をもらっているアーティストはいますか?

NAO:ちょっと待ってくださいね。え、どうしよう、オタクが出ちゃう(笑)。まずはGroovyRoom。プロデューサーチームなんですけど、いろんなアーティストをフィーチャリングしたり、一緒に曲を作ったりしているんです。それがすごくかっこいい。あとはAOMGっていうレーベルにいる、LeeHiちゃん。彼女もすごく好きですし、同じレーベルのCODE KUNSTやJay Parkもよく聴いています。それと“国民の妹”のIUちゃんも……って、本当にたくさんのアーティストから刺激をもらっています。でも、いちばんは周りの友だちからかもしれません。


――というと?

NAO:周りにクリエイティブなことをしている子が多いんです。親友もダンサーで、今度ダンスの公演をやるらしくて。そのお手伝いをちょっとしているんですが、資料を作ったり、主催・協賛してくれる人と打ち合わせをしたり、私が経験してこなかったことを近くで見せてもらっています。もちろん、お金のことなど大変なこともたくさんありますが、友だちがやりたいことを実現していく過程を近くで見られるのは刺激になりますね。自分も頑張ろうと思えますし。


――いいお友だちですね。

NAO:みんなすごいんですよ。トラックメーカー、シンガー、ダンサーの友だちたちを記事にしてほしいくらい! その子たちと一緒に何かができるように私も頑張らなきゃって思いますし、彼女たちを見て勝手に背中を押してもらっています。


――いつかみなさんで作った作品も見てみたいです。

NAO:コラボしたいんですよ。男の子とフィーチャリングしたら表現の幅も広がりそう。ラップをやっている子と歌いたいですね。


――表現の幅が広がりそうですね。その他にこの先やってみたいことはありますか?

NAO:今年はいろんなタイプの曲をリリースしたいと思っています。作曲にもチャレンジしてみたいですし。簡単なコードならピアノとギターが弾けるので、作曲の勉強もしていきたいですね。


――では最後に、ファンの方へひと言お願いします。

NAO:私自身、他人と自分を比べちゃうことがありますが、等身大の自分と向き合って自分の好きな部分を強く持っていけたらいいなと思っています。そうすれば日常がもっと華やかになって、明るくなるんじゃないかなって。そんなメッセージが『refrain / as is』で伝われば嬉しいです。


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