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<コラム>6人が“息”を合わせ、紡ぎ出す千変万化の“声”の世界――SixTONESの3rdアルバム『声』について
Text:田中久勝
6人の声が重なる感動
『声』――1月4日に発売されるSixTONES(ジェシー、松村北斗、京本大我、髙地優吾(※)、田中樹、森本慎太郎)の3rdアルバムのタイトルだ。潔いタイトル。公式サイトには「歓声が消えた時代だからこそ、いつの日かまた<熱い声>を聴きたい・届けたいというSixTONESの想いが詰まった作品が完成」、そして「SixTONESの現在の『声』をダイレクトに聴くことができる」とこの作品を紹介している。この作品はその斬新な情報解禁方法も“声”にこだわり、ファンのあいだで「おしゃれすぎる」と話題になった 。11月12日朝、公式サイトとTwitterで「SixTONESオフィシャルHPでは、現在試聴音源において、【メンバーのボーカルが抜ける】不具合が発生中です」という内容のコメントが発信され、ファンの間では?マークが飛び交った。しかし、そこから少しずつメンバーの“声”が戻り、15日に完全復旧。その報告とともに3枚目のアルバム『声』が2023年1月4日に発売されることも発表され、ファンを喜ばせた。
「言葉は耳から頭にくる。声は耳から胸にくる」という英文学者・小田島雄志の言葉があるが、SixTONESの3rdアルバム『声』を聴いて、言葉とメロディを伝える、一人ひとりの声の表情が胸を打つ、“息”の変化が“声”なんだ、それが交差したり、重なることで感動が増幅するんだな、ということを改めて感じさせてくれた。
『声』には大ヒット・シングル「共鳴」「わたし」「Good Luck!」「ふたり」に加え、夏にYouTube限定で発表され爆発的に人気となった「PARTY PEOPLE」、発表間も無いソニー「LinkBuds S」の新CMソング「Boom-Pow-Wow!」、さらに出光興産新CMソング「Always」などなど、共通曲13曲に各形態ごとのボーナス・トラックを含め、全形態合計で21曲が収録されている。
インパクトのある「Overture-VOICE-」からスウィング・ハウスの「Boom-Pow-Wow!」への流れは、まさにパーティーの始まりを高らかに告げ、かつこのアルバムへの期待感を煽る。ワイルドでクールなノリはライブでの定番曲になりそうだ。アルバムのセルフライナーノーツでジェシーが「SixTONES史上一番明るいシングル」と語っている「Good Luck!」は、人懐っこいメロディに乗せ、言葉一つひとつをしっかり届けようと歌う6人の声、歌がきちんと立っていて、個性の強さが重なり、ユニゾンの強さになっている。ホーンとストリングスがポジティブなメッセージに推進力を、太いベースとドラムのリズム隊が生み出すグルーヴが説得力を纏わせている。爽快な曲の中に力強いメッセージが込められている。
SixTONES - Boom-Pow-Wow! [YouTube ver.]
SixTONES - Good Luck! [YouTube ver.]
ダブステップ・テイストの強烈な「Outrageous」の次に「SixTONESには珍しい心温まる前向きなラブバラード」(京本)の「ふたり」が並び、一気に切なさが広がっていく。6人の表現力が際立つ一曲。ジェシーのブレスとともに繰り出される優しい歌声の歌い出しから引き込まれる。京本の透き通った声がさらに切なさを深いものにし、6人の歌声が重なり合っていく。サビのメロディをなぞる間奏のギターとピアノの音色に京本のフェイクが絡む。「わたし」とは違う切なさに胸が締めつけられるようだ。「わたし」については「美しいバラードの曲調に潜むダークな要素が人間らしいえぐみを感じる切実なバラード」と松村北斗がセルフライナーノーツでも語っているが、ダークな世界観の中で6人の表現力が濃淡を鮮やかなものにしている。
SixTONES - ふたり [YouTube ver.] / Futari [YouTube ver.]
SixTONES - わたし [YouTube ver.] / Watashi [YouTube ver.]
6thシングル「共鳴」は「今をもがく人にたちへ贈る、ある種の応援ソング」(松村)という言葉通り、ジャズやロック、ヒップホップが交錯し生まれた新しいサウンドに乗せ、困難なことでも共鳴することで乗り越えられると背中を押してくれる応援ソングだ。ユニークなタイトルの「人人人」は、6人が出演しているエイブル新CMソング。「僕はこんなSixTONESをずっと見てみたかった」(松村)というように、今の6人の等身大の姿を、心地いいグルーヴと遊び心満載の歌詞で映し出している。不思議な感覚を届けてくれる新鮮な一曲だ。
SixTONES - 共鳴 [YouTube ver.]
SixTONES - 人人人 [PLAYLIST -SixTONES YouTube Limited Performance- Day.6]
1番と2番の曲の展開がガラッと変わる印象的なダンス・ナンバーの「Risky」、「色々なことに挑戦してきた僕たちだから出せる深みが詰まっている」(田中樹)という、タイトル通りチルなラップ曲「Chillin’ with you」は、このグループの色気が滲み出ている。爽やかでトロピカルなポップ・チューン「SUBWAY DREAMS」。「今のSixTONESだからこそ出せるパーティーピーポー感」(森本)という「PARTY PEOPLE」は、暑い夏の空気を連れてきてくれるノリノリ・ソングだ。ライブでこの曲で6人とファンとがブチ上がる光景が想像できる。
SixTONES - Chillin’ with you [PLAYLIST -SixTONES YouTube Limited Performance- Day.7]
SixTONES - PARTY PEOPLE
「Always」は壮大なストリングスが印象的な、中毒性のあるハートフル・ソング。12月25日に6人がパーソナリティを務めたニッポン放送『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』内の『SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル』で生披露し、ファンを歓喜させた。
多種多様な音楽、広がる表現
初回盤Bに収録されたユニット曲も聴きどころ満載だ。それぞれの声、表現方法がぶつかりながら融合し、化学反応を起こしている。森本慎太郎と田中樹の「OPA!」は、クールでワイルドな「僕と慎太郎ならではのど真ん中、ストレートな楽曲」(田中)。まさに新たな時代を切り拓くSixTONESの心の叫びを歌詞にぶつけている。京本大我と髙地優吾が心から楽しみながら歌っている「ラ・ラ・ラ・ラブストーリー」は、ビッグバンド・テイストのサウンドとアコースティックな薫りが両立している「90年代の渋谷系を彷彿させる懐かしさを感じる人も。今までにない曲」(髙地)と、二人にピッタリの作品だ。「愛という名のベール」は「デビュー前に二人で活動していた時期がある、そこを経て今に至った過程と成長を曲調に落とし込んだ。切なさと清々しさ、芯の強さを感じる歌謡曲ベースの一曲」と語る松村とジェシー、二人の固い絆が儚い歌詞とメロディに滲み出ている一曲。
SixTONES - 3rd アルバム「声」初回盤B収録ユニット曲 nonSTop digeST
通常盤には新曲の「Cat Call」「Again」の2曲と、そして「オンガク-声ver.-」がパワーアップし、アルバム・バージョンとして収録されている。この曲は、全ては音楽のためにという思いで活動してきたSixTONESの根底にある、音楽への溢れる愛情とグループへの想いを改めて感じさせてくれる。
2021年1月に発表された1stアルバム『1ST』は、情熱溢れる6人のしなやかな感性と、ひたすら前に突き進むんだという強い意志を感じさせ、2022年に発売された2ndアルバム『CITY』は、音楽を軸としてエンターテイメントの世界で人々を楽しませるんだという6人の熱い思いが溢れている。常に注目を集める6人の現在地を表すように、様々な音楽が揃い、アルバムとしての間口を広げ、多くの聴き手が自由自在に“CITY”の中を飛び回り、楽しめるような作りになっている。6人もこのアルバムを心から楽しんでいるのが伝わってきた。
そして『声』だ。現状に満足することがない6人のハングリーさがエネルギーとなって、沸々と湧いている、そんな作品になっている。その攻めた英語詞楽曲と日本語のバラード曲のコントラストはさらに鮮やかさを増し、どんなジャンルも歌えるボーカル力の高さと表現力はより威力を増している。更新し続ける6人の姿がはっきりと浮かび上がっている。
12月20日にYouTube上で公開された『声』収録の“ほぼ”全曲視聴ダイジェスト映像には、「振り幅の大きいSixTONESに振り落とされないようにしっかりしがみついていきます」というユーザーからのコメントがある。さらに「前には聴かないジャンルだった曲も楽しいと思わせてくれてありがとう」と続いている。様々なジャンルの音楽を提示し続ける6人の高い音楽性は、聴き手を新しい音楽の世界に誘い、感動させる。SixTONES=グッド・ミュージック――これまでの2枚のアルバムと、今回の『声』というアルバムで、そう強く印象付けたのではないだろうか。
SixTONES - 3rd Album "声" nonSTop digeST / 3rd Album "KOE" nonSTop digeST
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