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Day3「音楽クリエイターから見た運用のポイント~関係者を交えた座談会~」

インタビューバナー

 今やニコニコ動画を飛び出し、YouTubeやTikTokからヒットが生まれることも当たり前となったボカロカルチャー。しかし多くのクリエイターにとってニコニコ動画が「故郷」であることは変わらず、若手Pから超有名Pに至るまで、多くのボカロPがドワンゴに権利を預けたりサポートを受けたりしている。

 Day3は「音楽クリエイターから見た運用のポイント~関係者を交えた座談会~」として、ドワンゴから丸山氏、苅込氏、仙石氏。そしてNexToneから槙野氏、松浦氏。さらに10年以上にわたりドワンゴへ作品の管理委託を行っている、ボカロPのEasyPopが登場する。(Interview & Text:ヒガキ ユウカ / Photo:Yuma Totsuka)

・DAY1「音楽チャンネルを運営するクリエイターが、チャンネル収益を最大化する方法」

・Day2「音楽チャンネルを運営するクリエイターが最低限知っておきたい、著作権徴収の仕組み」

個人ボカロPがインディペンデントなスタイルのまま、収益を得られる時代

――2020年以降ボカロカルチャーに起こったトレンドや空気感の変化について、感じていることはありますか?【The VOCALOID Collection】(以下ボカコレ)以降、あるいはコロナ以降と区切ることができるかと思いますが。

仙石:楽曲のレベルが上がっていることや、「最近またボカロの波が来てるかも」という空気感自体は、ボカコレを立ち上げる少し前からあったと思います。それを我々プラットフォームが、一斉投稿のお祭の形式にすることによって改めて可視化され、多くの方に認知してもらえたんじゃないかなと。ボカコレやコロナによって大きく変化したというよりは、「すでに起こっていた盛り上がりが認知された」という方が近いんじゃないかと捉えています。


丸山:Ayaseさんはあれだけヒットを生んで、若者や世間に認知されて支持されて、自身もボカロP出身であることを明らかにしていますよね。

 加えてくじらさん、syudouさん、すりぃさん、john / TOOBOEさんもそうですけど、彼らの楽曲がJ-POPシーンでも評価されて、それで世の中が「この曲を作ったの誰?」となったときに、「そうなんだ、ボカロを作っている人なんだ」と結びついていく。そういう現象がどんどんボカロとJ-POPの垣根を壊していった、それが恐らく2019年の終わりから2020年ぐらいのできごとだったのかなと思いますね。

 続けて「グッバイ宣言」がTikTokでバズって、v flowerが歌った曲があれだけ再生されたこと。人間の声に近い可不が登場し、「フォニイ」や「マーシャル・マキシマイザー」のヒットを通じて合成音声に慣れていない人も違和感なく聴けるようになってきたこと。それらが2021年に起きて、ボカロを取り巻く環境がずいぶん変わったなと思います。


――丸山さんはボカコレを立ち上げ、プロデューサーを務められています。改めて、どういった背景のもとボカコレを企画されたんでしょうか?

丸山:ボカコレはニコニコネット超会議でのボカロ人気をきっかけに派生した、ボーカロイド等の音声合成ソフトで制作される作品限定の楽曲投稿祭です。春と秋の年2回開催していて、コンセプトとしては、よくお話ししているのが「ネット上のコミケをつくる」というものです。ボカロ作品が一斉に投稿される「場」をつくることで、リスナーさんもこの日に合わせて新曲を探して聞きに来てくれる。そうするとボカロPとしては今まで以上に多くの方に聞いていただけたり、新しく知っていただけるチャンスが増えると考えました。 さらには、ボカロ作品が活用される機会を作ったり、普段あまり注目されないボカロPの方も日の目を見るようなイベントを目指しています。 支援金もあって、トップ100ランキングやルーキーランキングで上位になると、それなりの金額が出ます。この理由は、大学生や高校生のときによく楽曲制作をしていた人が、就職活動をするタイミングで辞めてしまうことが多くて。そういうボカロPさんたちに、ボカコレをきっかけとして「自分の音楽によってきちんとお金が稼げるし自分は社会と関わることができるんだ、自分の作っているものにはそれだけの価値があるんだ」ということを改めて認識していただきたい。そういった思いから、作品の「出口」となる機会や支援金を用意しています。


――ボカコレは、2022秋で5回目を迎えます(※)。作品のクオリティの高さももちろん大きいと思いますが、ルーキーも含めて、参加した人がきちんと注目され評価を受けているところがすごいなと思っていました。 ※取材は2022年9月に実施

丸山:たとえば苅込チームが担当している、「ルーキーランキングコンピレーション・アルバム」という企画があります。これはMakuakeという応援購入サービスを使ってルーキーをフックアップし、CDをリリースする経験をしていただいたり、「応援している人たちがこれだけいるんだよ」ということを認識していただけるような機会としてご用意しています。あとは企業にタイアップの提案を持っていくこともありますし、そうした動きは意識して行っています。

 僕はもともとDUE(※)という会社に勤めていて、ボカロPさん等のCD制作や営業に携わっていたのですが、その頃はレコードレーベルからCDを出す、メジャーレーベルから曲を出すことはボカロPにとって大きなステータスとなっていました。ところが最近のクリエイターはあまりそこを意識していないようなんです。我々が大手のレーベルや弊社からの案件を持っていっても、権利の持ち方や管理方法は相談したい、という方もいます。そこはやっぱり「制作した作品に対するクリエイターさんの権利意識が高くなったんだな」と感じる瞬間です。

 でも、そういうふうにアーティストがインディペンデントのまま活躍するのは良いことだと思っています。自分の力でお金を稼いで食べていって、それでちゃんと大きな事務所とも交渉できる時代になった。これはこの後NexToneさんとも繋がる話だと思いますが、配信でしっかり稼いでいって個人がインディペンデントのままやっていけるスタイルは、非常に今っぽいなと思いますね。


※DUE(ドワンゴ・ユーザーエンタテインメントの略称)。かつて存在したドワンゴの子会社で、レーベル機能や音楽著作権管理機能を持っていた。

仙石:それはおそらく、DECO*27さんやピノキオピーさんたちがつくり上げたものが礎となって、今の世代に脈々と受け継がれているんですよね。


苅込:今のクリエイターさんは非常にマルチな才能があって、曲を作るだけではなくSNSを使って自分でプロモーションまで上手にやってしまう。以前はそのあたりは丸山くんが言った通りDUEなどの会社がやっていたんですけど、今はもう1人でもできる時代です。そんななか、よりクリエイターさんの可能性を広げるために、我々はどういったサポートができるのか。その部分でNexToneさんにご協力いただいています。


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NexToneがサポートする「コンテンツID」「著作権の管理・メンテナンス」

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――ボカロPさんの母数そのものはどんどん増えていると思いますが、ドワンゴさんが権利をお預かりしている楽曲の増加傾向はいかがでしょうか?

仙石:四半期ごとに100曲ずつ増えるくらいのペースです。年間で4~500曲ほどの増加になるでしょうか。やはりボカコレの期間は楽曲投稿も集中しますが、トータルで見るとそこまで大きく増えたり減ったりはしないので、お預かりする曲の総数も大きな変化はなく順調に増えているという感じです。クリエイターさんのお声がけについてはあくまで人力で、日々のランキングやボカコレのランキングを参考にしています。ボカロPさんに紹介してもらうなど、人の繋がりが活きることもありますね。

 今でこそカラオケでも、たとえばJOYSOUNDさんなら月何十曲とボカロの新曲を入れてくださるんですが、10年以上前だと、カラオケでボカロが歌えるのはかなり衝撃的なことでした。それだけでも著作権を預けることのメリットを感じてくださることもありましたし、その後『太鼓の達人』に収録されたり『初音ミク -Project DIVA-』が出てきたりして、そうしたゲームに収録される際にも我々がお手伝いしていました。


――EasyPopさんが作品をドワンゴさんに預けるようになったのは、いつ頃でしたか?

EasyPop:2010年の7月に、初めて音楽出版という形で楽曲を預けました。DUEのさらに前、DME(ドワンゴ・ミュージックエンタテインメント)の時代です。『Vocaloid Love Songs ~Girls Side~』というアルバムの中に1曲入ることになって、それで初めて権利を預けました。


――今とは時代感も違ったと思いますが、お声がけが来たときは、警戒せずすんなり預けられましたか?

EasyPop:僕はあんまり躊躇しない人間なので、「やっちゃえ」って感じでしたかね。あとは「Twitterで言いふらせるな」って(笑)。ブランディングじゃないですけど、「僕すげえだろ」と言えるなと思ったし、「そんなの、もう全然預けますよ」って感じでした。

驚いたのは、その1曲だけでいただいた金額です。「アルバム1曲入るだけでこんなにもらえるんだ」と思って、そのときに「それなら僕、今後は出版を絶対に預けよう」と思いました。あと、「頑張れば音楽で食っていけそうだ」とも。生々しいことを言いますけど、僕がそれまで勤めていた1ヶ月の給料より入ってきたので。それは印象深かったですね。



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――そのようにしてクリエイターさんからお預かりしている楽曲や音源を、NexToneさんと一緒に協力して運用されている所かと思います。改めてドワンゴさんとNexToneさんのサポート体制について教えてください。

槙野:弊社では原盤の配信やYouTubeでの運用、主にコンテンツIDを通した収益化の部分のお手伝いをしています。

松浦:コンテンツIDとは、YouTube上の楽曲の権利管理システムです。YouTubeにおけるマネタイズの方法の中で、もっとも大きいものとなっています。楽曲やミュージックビデオのデータを登録しておくと、一般ユーザーが動画を投稿したときに自動的にシステムでの照合が行われ、自分の権利物が含まれていれば何らかのアクションを取ることができます。

照合についてはYouTubeのシステムによって自動でクローリングされますが、膨大な量の動画にスキャンをかけていくので、最長で6ヶ月ぐらいかかってしまうことがあります。たとえば過去の楽曲をコンテンツID登録したとき、すでにその楽曲を使ったユーザー動画がYouTubeに上がっていたとしても、動画が特定されるのに長い時間がかかることがあるんです。

弊社のディストリビューション事業では、過去の動画も手動で申し立てや収益化の設定をしています。加えて著作権管理部門などと連携し、原盤情報と著作権情報を紐づけるなど、弊社ならではの方法で、著作権使用料の徴収精度の向上にも取り組んでいます。

また最近は、ミュージックビデオの需要も非常に高まっています。原曲のミュージックビデオのイラストや動画の世界観を気に入って歌ってみたを上げる方も多く、ミュージックビデオがそのまま使用されていることもあるんです。そのような利用に関しても、マネタイズのサポートをしています。 つい先日気になったので、データを調べてみましたが、UGCの中でも映像を利用している歌ってみた動画の割合が4割以上の楽曲もあるので、ミュージックビデオのコンテンツID登録もした方がいいですね。


――となってくると、やはりUGCがたくさん作られることが収益に直結しているわけですね。

松浦:そうですね。ここ2年ぐらいでコンテンツIDによる収益はすごく伸びていて、その背景にはボカロ文化の広がりがあると見ています。ビルボードの「Top User Generated Songs」でも、2022年年間のチャート上位はほとんどボカロ曲が占めていました。


槙野:ボカロPさんは、インスト音源を配布されているケースが多いように感じるので、歌ってみたにせよ踊ってみたにせよ、ユーザーがUGCの生成に取り組みやすい状況なんだと思います。 特に弊社では、クリエイターの方々のご意向に沿った管理ができるよう、サポートさせて頂いています。


松浦:コンテンツIDに加えて、権利の管理やメンテナンスについても、弊社でサポートしています。具体例を挙げると、申し立てですね。コンテンツIDによって楽曲特定が行われると、YouTubeからユーザー動画に申し立てが行われます。ただ、一般的に広く知られているシステムではないので、ユーザーさんがよくわからないまま異議申し立てをしてしまうことがあります。あるいは、他社さんから同じコンテンツが重複して登録されてしまっているケースも。いずれの場合も、弊社の担当チームが一つひとつ説明や交渉対応を行っています。

あとは最近多いんですが、YouTubeのシステムの仕様上、ライブ配信中にコンテンツIDの申し立てが行われると配信が停止してしまうことがあるんです。


――いわゆる「歌枠」などでしょうか?

松浦:はい。よくVTuberさんが、配布されている音源を使って配信内で歌っていることがありますが、現在のシステムだと申し立てを受けた際に配信そのものが停止してしまうんです。その場合は一時的に対象から外れるように対応を行うなど、クリエイターさんの利用を妨げず収益を最大化できるように、柔軟な取り組みをさせていただいています。


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ミュージックチャンネル化によって、まだまだ収益は上げられる

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――今NexToneさんでは、ミュージックチャンネル化を強く推奨していると伺いました。こちらについても、改めて教えてください。

槙野:はい。オリジナルの音楽クリエイター・アーティストさんのチャンネルであっても、一般のYouTubeクリエイターさんと同じ扱いのチャンネルになっていて、たとえばコンテンツIDを登録すると、自身のチャンネルにもその影響があります。自分の楽曲を自分で使っている場合であっても申し立てがついて、自分のチャンネルで収益化できないケースが起こり得ます。

これを回避する方法として、「ミュージックチャンネル化」があります。これには大きく二つのメリットがあって、一つは動画単位での収益が向上します。もう一つは著作権使用料をより確実に徴収できるようになります。ほかにも様々なメリットがありますので、ボカロPを含む音楽クリエイター・アーティストさんへは、ミュージックチャンネル化を強くおすすめしています。


――ドワンゴさんとしても、やっぱりミュージックチャンネル化のクリエイター周知については力を入れているのでしょうか?

苅込:そうですね。クリエイターさんのサポート事業として、収益の最大化は主目的の一つなので、NexToneさんへの働きかけとクリエイターさんへのご案内を行っています。加えて先ほどのお話にもあったような、申し立てが立つことによって収益が激減してしまうといったリスクを解消していくことも、楽曲をお預かりしている我々の責任だと思っています。

ミュージックチャンネル化について、まずは我々と一緒に著作権を管理しているクリエイターさんをメインに、お声がけしています。今後はそれ以外にも広げて、ボカコレを通してだったり、ニコニコ経由でお付き合いのあるクリエイターさんにも、ご案内していければと考えています。


仙石:ただ、手間に感じるのか不安感があるのか、そういう仕組みがあるとわかっていてもやらないボカロPさんも結構いるのが現状です。コンテンツID登録にせよ管理委託にせよ、我々が「やりましょうね」と話すよりも、初期からこうした仕組みをしっかり活用してマネタイズしていらっしゃるEasyPopさんのお話が、一番説得力がありそうだと思っているんですが……。


EasyPop:皆さん、きっと怖いんだと思うんですよね。「余計にお金取られるんじゃないの?」とか、こういう仕組みに入ること自体「大人のビジネスの一部になる」感覚があるというか。そこをいかに「違うんだよ」とわかってもらうかが大事だと思います。


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「EasyPopレベルでもそんなにもらえてるなら」で全然いい

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EasyPop:僕のYouTubeのチャンネル登録者数は現在2.2万人で、正直多くはありません。自分自身のアーティストパワーも強くない。それでもコンテンツIDの収入に関しては、きちんといただけていると思っています。「そういうマネタイズってチャンネル登録者数が10万人とかいないともらえないんでしょ」みたいなイメージを持っている人もいると思うんですけど、まずそんなことはありません。

僕は一曲、たまたま運よくヒットした曲があるからいただけている。他の人だって、きっとそこまでじゃなくても、お金をもらえる曲があるかもしれません。「EasyPopレベルでもそれだけもらっているんだ、それなら俺もやってみようかな」で全然いいんです。実際いただいているので。とにかく「音楽でお金をもらえる」という喜びを知ると、自信が生まれて、「それならもっと作ってみよう」ってモチベーションに繋がるんです。それはSNSのいいねとは違う、また別の「確かな自信」になります。

今でこそ「UGC」なんて世の中はかっこいい名前で呼んでますけど、みなさんご存じの通りニコニコ動画では昔から歌ってみた踊ってみた弾いてみた、いろいろあったじゃないですか。その時代から僕はもうお金をいただいて、生活させてもらっていたんです。きれいごととか、目に見える数字だけじゃなくて、音楽を発表して飯を食ってる人間がいるんだよってことを一人でも多くのクリエイターに知ってほしいんですよね。


――若いクリエイターさんからすると、自分ごとじゃないというか、「一部のめちゃくちゃ売れてる人たちの話だ」と思ってしまうんでしょうか。

仙石:最初はそういう人も多かったですね。ただ世代的にデジタルネイティブの方も増えてきましたし、最近は説明すると「すぐ理解される方が多いな」という印象です。皆さん常にYouTubeに触れてきているので、理解が早いんです。


――昔よりは嫌儲の空気もなくなって、ボカロでお金を得ることに対する抵抗感もないでしょうし。

仙石:抵抗感はもう全くないですね。どんどん使ってほしい、どんどんいろんな所で流してほしい、それでお金も入ってきたらさらに幸せ、そんな空気感になっています。


EasyPop:そう、必ずしも多額のお金である必要はないと思うんですよ。たとえば100円とか1,000円であっても、「自分の作ったものがお金になる」。これが本当に大事な経験だと思うんです。音楽をつくる人は今、世の中にたくさんいますが、自分の作ったものには価値があるんだと思えることによって、世界が変わる人も絶対にいると思います。

お金だけじゃなく、権利物として扱ってもらえること自体も、自信になると思うんですよね。そうでないと「趣味でやってるんすよ」で終わっちゃうじゃないですか。実際「趣味でボカロPをやっている」って保険で言っている人もいますけど、そうじゃなくてちゃんと著作物として収益化することによって、YouTubeでの表示も見え方も変わるじゃないですか。

クリエイター自身がまだあまり有名じゃなくても、「この曲は有象無象の中のひとつじゃない、ちゃんとお金を生んでいる著作物なんだ」と知らしめることができる。それは間違いなく武器になる。

著作物で収益を得た時点でそれはもうプロだと思うし、自分の気持ちも変わってきます。そういう所から起こるマインドの変化は自分も経験していますし、権利を預けることは素直にクリエイターとしてのキャリアアップなんです。中には「お金を取られるのが嫌だ」と思う人もいるかもしれないですけど、全部自分で管理するなんて物理的に無理なわけで……。マージンを取られることすら、僕は自分のプライドにしてほしいと思いますね。



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――収益面だけでなく、「自分が作品をどう扱うか」あるいは「世の中にどう扱わせるか」という所もかなり変わってくる。格が上がると。

EasyPop:絶対に格が上がりますね。それこそブランディングになるのかもしれないですけど、すごいことを成し遂げたときは言ってなんぼじゃないですか、インターネットって。いいねやRTの数で仕事が来る時代ですからね。いかに「すごい」と思わせるか、その一つとして著作物の管理を委託するのは有効な手段だと思います。

ボカロPって、自分の数字一つでやってきてるぶん、気付くとプライドが膨らんでしまっている人が多いんです。でも世の中の仕組みに入り込むことで学べることってたくさんあるんですよ。人に対する感謝とか、世の中のお金の巡り方とか。これは作品を預ける経験をしないとわからないと思います。ドワンゴさんやNexToneさんがいないと食えないクリエイターっていっぱいいると思いますけど、だからといって変にビジネスな関係になるんじゃなくて、シンプルに会社の力を借りる、向こうにも必要とされる、そういうパートナー関係だと思ってます。仙石さんとかLINEも電話も速攻で返してくれますもん(笑)。


丸山:ヒット曲をつくって一山当てようとかそういうことじゃなくて、流行りに合わせるとかでもなくて、もう自分の好きなものを作っていってほしいですよね。それがわずかであろうとお金が入ってくることに繋がったら、それでいいんじゃないかなと個人的には思います。


EasyPop:そういう人たちが売れて、今がありますからね。米津さんとかもみんな好き勝手やっていて、そこに魅力を感じる人たちがいたんだし、一方で数字が少ない人たちにも実は熱狂的なファンがいたりするんですよ。数字で測れない部分って実はめちゃくちゃあって、その熱狂的な気持ちはなくさないでほしい。その中で、お金が入ってくることによって自信に繋がれば、なおいいよねという話です。

丸山さんが仰った「自分の好きな曲を作っていればいい」は本当にその通りで、その上で「正しくお金を取りませんか」と企業の方から言ってきてくれる時代になっているわけです。皆さんもっと、好きなことやってお金をもらって生きていきましょうよって思いますね、僕は。


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まとめ:音楽クリエイターから見た運用のポイント~関係者を交えた座談会~

YouTubeのコンテンツID登録はマスト。ミュージックビデオも合わせて登録しよう。

ミュージックチャンネル化によって、まだまだチャンネル収益は上げられる。

権利を預けることは、クリエイターとしてのキャリアアップになる。信頼できるパートナーを見つけよう。

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