Billboard JAPAN


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Billboard Japan 2022年 年間チャート発表、Aimerが【JAPAN HOT 100】/Snow Manが【HOT Albums】/Adoが【Artist 100】首位に




 ビルボードジャパンの2022年 年間チャートが決定した。本特集では総合ソング・チャート【JAPAN HOT 100】、総合アルバム・チャート【HOT Albums】、さらに【HOT 100】と【HOT Albums】のポイントを合算したアーティスト・チャート【Artist 100】などのチャートを解説とともに発表する。

 2022年は、大型タイアップによる相乗効果でロングヒットした楽曲や、マカロニえんぴつやSaucy Dog、Tani YuukiといったTikTokから人気に火が付いた楽曲、そしてBE:FIRST、Kep1er、INIのようなオーディション番組出身グループもチャートを賑わせた。また、チャート上位楽曲がカラオケ指標でも高順位をマークしていることから、流行り始めた楽曲を共有・拡散する場としてカラオケが大きな役割を果たしていることも示す興味深いチャート結果となった。

※集計期間:2021年11月29日(月)~2022年11月27日(日)

JAPAN HOT 100

「ヒット」の多様化が進み、激戦を勝ち抜いたのはAimer「残響散歌」



▲ 「残響散歌」MV / Aimer


 2022年の年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で、上半期に引き続き、Aimerの「残響散歌」が総合首位を獲得した。

 今年の国内シーンを振り返ると、主なトピックは「アニメやドラマタイアップ曲のメガヒット」「オーディション系グループの躍進」「動画プロモーションに本腰を入れたジャニーズ」「動画がノンタイアップ曲のヒットを加速」の4点だ。これらは年間“JAPAN HOT 100”にどう顕れたのだろう。

<トップ10の5曲がタイアップ>

 TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニング・テーマである「残響散歌」を始めとして、ドラマ『SUPER RICH』の主題歌の優里「ベテルギウス」は3位、アニメ『SPY×FAMILY』第1クールのオープニング主題歌のOfficial髭男dism 「ミックスナッツ」は4位、アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』主題歌のAdo「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は7位、アニメ映画『劇場版 呪術廻戦 0』主題歌のKing Gnu「一途」は10位となり、トップ10の内5曲がタイアップ曲だ。

 昨年度は4曲だったため、今年は1曲増加したにすぎないのだが、記憶に新しい『ONE PIECE FILM RED』や『SPY×FAMILY』などから明らかなように、一つの作品から複数の楽曲がヒットする傾向が強まっており、例えば『ONE PIECE FILM RED』からはAdoが5曲を100位内に送りこみ、『劇場版 呪術廻戦 0』からはKing Gnu「一途」と「逆夢」(13位)、『SPY×FAMILY』からは「ミックスナッツ」と星野源「喜劇」(50位)がチャートイン。これらは、ストリーミングが浸透し、楽曲数が限定されがちなシングルやアルバムに紐づかないタイアップ展開が可能になったことが原因で、この傾向は今秋クールのアニメ『チェンソーマン』や『ぼっち・ざ・ろっく!』でも続いている。これが効果的なミックス型プロモーション方法として続いていくことは確実で、来年も同様のメガヒットが生まれる可能性も高いだろう。

<躍進するオーディション系グループの課題は>



▲ 「Bye-Good-Bye」MV / BE:FIRST


 今年前半のウィークリーチャートで目立ったのは、オーディション番組出身グループだった。『THE FIRST』からBE:FIRSTの「Bye-Good-Bye」は総合29位、『Girls Planet 999』からKep1erの「WA DA DA」が46位、『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』からINIの「CALL 119」が57位だった。他にも、JO1、ENHYPEN、Stray Kids、OWV、NiziUなどが挙げられるが、いずれの楽曲も100位圏外だった。これは、年間累計ポイントを合計する年間チャートの設計上、週単位では高ポイントを獲得し高順位につけるものの、継続してポイントを蓄積できずに年間では圏外となるパターンが多いことが原因だ。

 各指標順位を詳しくみてみると、「Bye-Good-Bye」はラジオ8位、シングル50位、ダウンロード36位、ストリーミング49位、ルックアップ77位、Twitter 12位、動画16位で、「WA DA DA」はストリーミング41位、動画25位、「CALL 119」はラジオ69位、シングル7位、ストリーミング96位、ルックアップ65位、Twitter 4位と、ストリーミングや動画でのポイントが継続的に高くなければ年間チャートの上位を守ることは年々難しくなっている。ここに、オーディション系グループの課題がありそうだ。

<動画プロモーションに本腰を入れたジャニーズの今後>



▲ 「初心LOVE」MV / なにわ男子


 21年度“JAPAN HOT 100”では、ジャニーズ系アーティストは7曲が100位以内にチャートインした一方で、今年度は、なにわ男子「初心LOVE」(79位)、Snow Man「ブラザービート」(84位)の2曲に留まった。各指標では「初心LOVE」はシングル35位、ルックアップ1位、動画3位、カラオケ77位で、「ブラザービート」はシングル6位、ルックアップ5位、Twitter 49位、動画7位という結果に。

 前述したオーディション系グループと同じく、シングルやルックアップ指標でのポイントが高い一方で、ジャニーズ系は、昨年後半より本格化させたTikTokやYouTubeを組み合わせたプロモーション展開により動画指標で高ポイントをマークし、シングルの追加購入促進と併せて、ダウンロードとストリーミング未解禁による無加算(YouTubeにおける聴取でストリーミングポイントを加算することは可能だが「初心LOVE」以外は圏外で無得点だった)を継続的にカバーするスタンスを強めている。11月にシングルが発売されたKing & Prince「ツキヨミ」が総合100位圏外とはいえ、今年度年間でシングル10位、ルックアップ7位、Twitter 78位、動画69位にチャートインしていることから、この効果が徐々に顕れてきている。来年度は、こちらを堅持するグループと、Travis Japanのようにダウンロードとストリーミングの解禁に踏み切るグループに分かれるのではないだろうか。

<ノンタイアップ曲のヒットを拡散させる指標とは>



▲ 「W/X/Y」Lyric Video / Tani Yuuki


 ヒットはタイアップやコアファンからしか生まれないのか、という疑問は、YouTubeやTikTokといった動画プラットフォームの浸透により覆されつつある。だが、動画指標だけが重要なのではない。総合2位のTani Yuuki「W/X/Y」や、5位の優里「ドライフラワー」、6位のSaucy Dog「シンデレラボーイ」、8位のマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」、9位のback number「水平線」と、トップ10内のノンタイアップ5曲はYouTubeの閲覧数を徐々に伸ばし、それを受けて投稿動画を急増させたTikTokが動画閲覧数にフィードバックを起こし、ダウンロードやストリーミングに繋がっていくというロングランヒットに結実させた。

 そして、もうひとつ見逃せない指標がカラオケだ。この指標では「W/X/Y」(32位)、「ドライフラワー」(1位)、「シンデレラボーイ」(2位)、「なんでもないよ、」(14位)、「水平線」(3位)と、いずれも高順位であり、これらのような流行り始めた楽曲を共有・拡散する場として、カラオケが大きな役割を果たしていることを示している。タイアップがあれば、たくさんのコアファンがいれば確実にヒットする、というわけではない。これらノンタイアップ曲のヒットは、この当然の事実を改めて教えてくれる。

 来年度の上半期や年間チャートの上位に進出するだろう、Official髭男dism「Subtitle」は総合27位に、米津玄師「KICK BACK」は30位に既に登場。激動するシーンの只中から生まれてくるたくさんのヒット曲に来年も出会えることを楽しみにしたい。

Text by 礒崎誠二

  • 2022年 年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”
  • #1
    残響散歌
    Aimer
  • #2
    W/X/Y
    Tani Yuuki
  • #3
    ベテルギウス
    優里
  • #4
    ミックスナッツ
    Official髭男dism
  • #5
    ドライフラワー
    優里
  • #6
    シンデレラボーイ
    Saucy Dog
  • #7
    新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)
    Ado
  • #8
    なんでもないよ、
    マカロニえんぴつ
  • #9
    水平線
    back number
  • #10
    一途
    King Gnu


Aimer
インタビュー抜粋

「デビュー以来ずっと一緒に歩んできたチームで作ったこの楽曲を、当時想像していた以上にたくさんの方に聴いていただけたこと、本当に嬉しく、胸が熱くなります。とても光栄です。」ーーAimer

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HOT Albums

Snow Man『Snow Labo. S2』が総合アルバム首位

 2022年の年間Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“HOT Albums”で、Snow Manの『Snow Labo. S2』が首位を獲得した。

 Snow Manの2ndアルバムであり、2022年9月21日にリリースされた同作はフラゲ日の段階でハーフミリオンを突破し、初週に895,513枚を売り上げてCDセールス1位、そしてPC等によるCD読み取り回数を示すルックアップで1位と、フィジカル関連の2指標で好スタートを切った。その後、CDセールスは順位を落としていったが、ルックアップは11月中旬までトップ1位をキープし続けた。また、CDセールスも順位は落としたと言えども、集計期間内で15位内をキープ。最終的に年間では984,357枚でCDセールス1位、そしてルックアップで3位を獲得した。



▲ 「Snow Man 2nd ALBUM「Snow Labo. S2」- introductory video-」


 総合2位にチャートインしたのは、なにわ男子の1stアルバム『1st Love』。デビュー曲「初心LOVE」を含む全14曲を収録(初回限定盤1にはさらに10曲が収録されたディスク2が付属)した本作は7月13日にリリースされ、年間累計でCDセールスが865,307枚で2位、ルックアップが5位を記録した。こちらもCDセールスは順位を落としていっているが、ルックアップ指標ではリリース以降トップ10圏内をキープしている。

 総合3位にはAdoの『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』がCDセールス314,356枚で12位、ルックアップ10位、ダウンロード1位を記録してチャートイン。アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』の主題歌・劇中歌を収録した作品である本作は8月10日にリリースされ、初週で108,416枚を売り上げてCDセールス2位、ルックアップ3位、そしてダウンロード数30,528DLで1位と3指標で好スタートを切っていた。

 そして、年間累計697,483枚でCDセールス3位を記録したSEVENTEENの『DREAM』は同指標に大きく牽引されて総合4位に登場。SEVENTEENは『Face the Sun』もCDセールスが牽引して、総合8位を記録している。

 上半期の総合アルバム・チャートで首位を獲得したSixTONES『CITY』はCDセールス582,259枚で4位、ルックアップで1位を記録し、総合5位にチャートインしている。

 『DREAM』と『CITY』に続いて、CDセールス5位を記録したのはKing & Princeの『Made in』だ。年間で566,742枚を売り上げた同作は、ルックアップがコンスタントにトップ10圏内を記録しており、最終的に総合7位にチャートインした。また、BTSのデビューから最新曲までの9年間をまとめたアンソロジー・アルバム『Proof』はCDセールス534,522枚で7位、ルックアップで20位、そしてダウンロード数18,329DLで7位を記録し、総合6位に入っている。



▲ 「King & Prince 4th Album『Made in』全曲クロスフェード」


Text by Haruki Saito

  • 2022年 年間Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“HOT Albums”
  • #1
    Snow Labo. S2
    Snow Man
  • #2
    1st Love
    なにわ男子
  • #3
    ウタの歌 ONE PIECE FILM RED
    Ado
  • #4
    DREAM
    SEVENTEEN
  • #5
    CITY
    SixTONES
  • #6
    Proof
    BTS
  • #7
    Made in
    King & Prince
  • #8
    Face the Sun
    SEVENTEEN
  • #9
    狂言
    Ado
  • #10
    ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~
    松任谷由実


Snow Man 岩本照
コメント

「この度、僕達の2ndアルバム『Snow Labo. S2』が総合アルバム・チャート“HOT Albums”において2022年年間総合首位を受賞させていただけたこと、ありがとうございます。沢山の皆様のお陰です。

このアルバムのタイトルにもある“Labo.”は、実験という意味のほか挑戦という意味も込めさせてもらっており、今回はメンバーがそれぞれ楽曲を担当させていただいたり、制作過程から様々な挑戦をさせていただいたアルバムでもありましたのでとても嬉しく思います。

ファンの皆様いつもありがとうございます。

これからも、聴いてくださる方、見てくださる方、応援してくださる方々の心を打つパフォーマンスをお届けするべく日々スキルを磨き、精進して参りたいと思います。」ーーSnow Man・岩本照

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Artist 100

Ado、『ONE PIECE FILM RED』で認知を一気に拡大して総合首位獲得

 2022年の年間Billboard JAPANトップ・アーティスト・チャート“Artist 100”で、Adoが総合首位を獲得した。

 昨年度年間6位だったAdoは、今年度上半期でも6位だったが、今夏アニメ映画『ONE PIECE FILM RED』のタイアップにより一気にポイントを積み上げた。年間“JAPAN HOT 100”に、「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」(総合7位)、「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」(24位)、「踊」(25位)、「逆光 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」(37位)、「ウタカタララバイ (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」(45位)、「阿修羅ちゃん」(48位)、「うっせぇわ」(59位)、「ギラギラ」(71位)、「心という名の不可解」(91位)、「Tot Musica (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」(92位)の10曲を送り込み、上半期の5曲から倍増させた。ダウンロードと動画指標で1位となり、下半期に逆転を果たして年間“Artist 100”総合首位へ到達。他指標でも、ストリーミング2位、カラオケ2位、ラジオ5位、Twitter 8位、CDセールス9位、ルックアップ9位と、各指標でポイントを積み上げた。Adoにとって20歳となった2022年は、メジャーデビュー2年にして認知度を一気に広げるビッグイヤーとなった。



▲ 「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」MV / Ado


 今年度上半期首位のYOASOBIはAdoの勢いに押され、総合2位に。年間“JAPAN HOT 100”には、「夜に駆ける」(15位)、「群青」(16位)、「怪物」(20位)、「三原色」(58位)、「祝福」(74位)、「もう少しだけ」(98位)の6曲を送り込み、昨年度の11曲には及ばないものの、20位以内に3曲を占める存在感をまだまだ維持している。各指標では、ストリーミング1位、ダウンロード2位、カラオケ8位、動画11位、Twitter 15位、ラジオ17位、CDセールス33位、ルックアップ6位という結果で、首位のAdoとの明暗を分けたのは動画指標の加点差だった。

 昨年に引き続きOfficial髭男dismは総合3位に入った。年間“JAPAN HOT 100”には、「ミックスナッツ」(4位)、「Cry Baby」(17位)、「Pretender」(26位)、「Subtitle」(27位)、「I LOVE...」(53位)、「115万キロのフィルム」(60位)の6曲がチャートイン、昨年度の7曲より微減したものの、週間“JAPAN HOT 100”で3度の首位に輝いた「ミックスナッツ」のビッグヒットが3位を維持する大きな要因となった。そして、10月12日にリリースされた「Subtitle」は、既に5度の首位を獲得する好調ぶりをみせており、次年度の高順位を早くも確実としていて、“Artist 100”の順位にも大きな影響を与えるだろう。

 今年大きく飛躍を遂げたアーティストは、昨年78位から総合10位についたSaucy Dog、74位から14位のAimer、95位から19位のTani Yuukiだ。それぞれの年間“JAPAN HOT 100”にチャートインした楽曲をみてみると、Saucy Dogは、「シンデレラボーイ」(6位)、「いつか」(39位)、「結」(72位)、「あぁ、もう。」(89位)の4曲。Aimerは、「残響散歌」(1位)、「カタオモイ」(96位)の2曲(milet & Aimer & 幾田りら名義の「おもかげ (produced by Vaundy)」(94位)は除く)。Tani Yuukiは、「W/X/Y」(2位)の1曲だ。このことから、AimerとTani Yuukiは今年のビッグヒット曲による躍進、Saucy Dogは「シンデレラボーイ」のヒットが誘因となって、彼らの複数楽曲の視聴に繋がり、これが総合順位の差となったことが分かる。



▲ 「シンデレラボーイ」MV / Saucy Dog


 今年も様々なトピックがシーンを賑わせ、ヒット曲が街を彩った。それを送り出してくれるアーティストたちに最大限の賛辞を贈りたい。

Text by 礒崎誠二

  • 2022年 年間Billboard JAPANアーティスト・チャート“Artist 100”
  • #1
    Ado
  • #2
    YOASOBI
  • #3
    Official髭男dism
  • #4
    優里
  • #5
    BTS
  • #6
    King Gnu
  • #7
    Vaundy
  • #8
    back number
  • #9
    あいみょん
  • #10
    Saucy Dog


Ado
インタビュー抜粋

「こうしてたくさんの方々に楽曲を聴いてもらえてとてもうれしく思います。特に最近は『ONE PIECE FILM RED』の曲を歌わせていただいたので、私もけっこうランキングを確認していたのですが、ふと見てみたら上からAdo、Ado、Adoみたいになっていて「えええ」とすごく驚きました。」ーーAdo

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HOT Animation

Aimer「残響散歌」がヒゲダン/Ado破り首位 今年も『鬼滅の刃』主題歌が制す

 2022年の年間Billboard JAPANアニメチャート“HOT Animation”で、テレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニング・テーマであるAimer「残響散歌」が1位に輝いた。

 7週以上の連続首位記録を打ち立てる楽曲が続出し、今年もロングヒット作が次々登場したアニメチャート。数々のヒット作を押しのけトップに立った「残響散歌」は、先行配信によって2021年12月15日発表チャートに初登場して以降、じつに51週にわたってチャートインしている。そのうち42週はトップ10以内をキープし、根強い支持を見せつけた。

 なかでもカラオケ指標は特に高く、2月16日から6月15日発表チャートまで、18週連続で1位を記録。ダウンロード、ストリーミング、動画再生の3指標の高さから“能動的に聴かれている”結果が表れているだけでなく、自身でも歌い、能動的に愛され楽しまれている楽曲ということがわかる。ちなみに2021年年間アニメチャート首位は、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌のLiSA「炎」が勝ち取っており、2年連続で『鬼滅』主題歌が本チャートを制することとなった。

 続いて、TVアニメ『SPY×FAMILY』オープニング主題歌のOfficial髭男dism「ミックスナッツ」が2位に。15週連続首位を記録し、今年いちばんの連続首位記録を打ち立てた同曲は、初登場となった4月20日発表チャート以降、33週連続で6位以内をキープしているのも驚異的だ。



▲ 「ミックスナッツ」MV / Official髭男dism


 3位には、Ado「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」がチャートイン。「ミックスナッツ」の連続首位記録、また「残響散歌」のカラオケ指標連続首位を打ち止めた楽曲で、こちらも初登場となった6月15日発表チャートから、25週連続でトップ3以内をキープしている。

 また、Ado×『ONE PIECE FILM RED』といえば、8月10日にアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』が発売されたことをきっかけに、8月24日公開のアニメチャートトップ10のうち、8曲をAdoが独占したことも衝撃的だった。この人気も根強く、同プロジェクトからは8位に「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、10位に「逆光 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」がそれぞれトップ10入りしている。

 ロングヒット作が名を連ねる今回の年間トップ10でも異彩を放っているのが、TVアニメ『チェンソーマン』オープニング・テーマの米津玄師「KICK BACK」だろう。同アニメの初回放送と同時の10月12日に配信がスタートし、10月19日発表チャートに初登場すると、そこから7週連続で首位をキープ。編曲で参加している常田大希(King Gnu/millennium parade)も出演するミュージック・ビデオやライブビデオの公開など、コンスタントに話題を振りまいてきたほか、11月23日にはCDシングルとしてもリリースされ、すべての指標で高順位を獲得した。この全方面の強さで、リリースから7週という短期間にもかかわらず、年間9位に躍り出た。 



▲ 「KICK BACK」MV / 米津玄師


 鈴木雅之らのカバーなどで話題を集め、根強い人気を誇るYOASOBIの「怪物」(TVアニメ『BEASTARS』オープニング・テーマ)も2021年3月のリリースにもかかわらず、7位に登場するなど、新旧入り交じった今年の年間アニメチャート。まだまだ週間チャートでも上位を記録しロングヒットを続けそうな楽曲も多く、2023年もどのような変化を見せていくのか、引き続き注目したい。

Text by Maiko Murata

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Download Songs

Aimer「残響散歌」が首位、
King Gnuが上半期に続いてトップ10に3曲を送り込む

 2022年の年間Billboard JAPANダウンロード・ソング・チャート“Download Songs”で、Aimerの「残響散歌」が1位に輝いた。

 人気TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニング・テーマ「残響散歌」は、2位以下に大差をつけて上半期チャートを制しており、年間で累計472,826ダウンロード(DL)を売り上げて首位を獲得した。2021年12月15日公開の“Download Songs”で1位に初登場し、上半期チャート発表後の6月以降は緩やかに順位を下げていったものの、未だに100位圏内をキープしており、長く愛されていることがうかがえる。また、Aimerは『第73回NHK紅白歌合戦』に初出場し、本曲を披露することが11月16日に発表されたことを受けて、86位から39位へ急上昇するチャート・アクションを見せていた。

 今年の“Download Songs”年間チャートは、デジタルが強いアーティストたちが複数の楽曲をトップ10に送り込む結果となり、Official髭男dismは「ミックスナッツ」を2位(287,137DL)、「Subtitle」を10位(153,580DL)にチャートインさせた。今年4月15日にデジタル・リリースされた、TVアニメ『SPY×FAMILY』のオープニング主題歌「ミックスナッツ」は金曜日配信だったため、4月20日公開チャートでは2位に初登場したが、翌週に首位へと浮上し、その後5月11日、CDシングルの発売タイミングの6月29日、7月13日の通算4週で1位をマーク。リリースからちょうど4か月にわたりトップ10圏内にチャートインし続け、現在もトップ25圏内に留まるロングヒットを記録している。

 一方、10月12日に配信されたドラマ『silent』の主題歌「Subtitle」は、リリースからわずか1か月半で年間チャート上位に食い込む勢いを見せた。本曲は10月19日公開チャートで3位に初登場すると、11月9日からは3週連続で首位を維持し、トップ10圏内を死守している。



▲ 「Subtitle」MV / Official髭男dism


 今夏大ヒットした映画『ONE PIECE FILM RED』のAdoによる主題歌「新時代(ウタ from ONE PIECE FILM RED)」は、累計253,329DLを獲得し、年間3位に。今年にリリースされた楽曲としては、“Download Songs”週間チャート最長となる通算7週の首位獲得を成し遂げている。

 King Gnuは、4位に「一途」、5位に「逆夢」、8位に「カメレオン」が入り、今年の年間“Download Songs”最多となる計3曲をトップ10にチャートインさせた。「一途」と「逆夢」は、映画『劇場版 呪術廻戦 0』の関連楽曲で、前者が12月10日、後者が12月24日に配信。2曲は、月9ドラマ『ミステリと言う勿れ』の主題歌「カメレオン」とともに“Download Songs”上半期チャートの2位~4位を独占しており、2022年前半にポイントを積み上げたことが決め手となり、年間でも上位に食い込んだ。

 米津玄師は、6位にTVアニメ『チェンソーマン』のオープニング・テーマ「KICK BACK」、7位に映画『シン・ウルトラマン』の主題歌「M八七」をチャートインさせており、その差は1万DLほどだ。10月12日に配信されたばかりの「KICK BACK」は、アニメの人気と相まって、Official髭男dismの「Subtitle」同様にリリースから7週で年間チャート入りを果たした。

 年間9位となったYOASOBIの「祝福」も10月上旬にリリースされたばかりの楽曲だ。登場2週目となる10月12日公開チャートで首位を獲得すると、その後11月2日公開分を除く週間チャートで5位圏内をキープした。楽曲は、TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のオープニング・テーマに起用されており、本年度の“Download Songs”年間トップ10はいずれも大型タイアップ曲がチャートを席巻することとなった。

Text by 岡田

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Download Albums

Ado『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』が2位以下に大差をつけ首位

 2022年の年間Billboard JAPANダウンロード・アルバム・チャート“Download Albums”で、Adoの『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』が首位を獲得した。

 本作は、映画『ONE PIECE FILM RED』に登場する歌姫・ウタの歌唱曲を収録したアルバム。2022年8月10日にリリースされ、初週に2022年の週間ダウンロード数最多となる30,528DLを売り上げ首位を獲得した。その後も通算7度の1位を獲得し、累計100,477ダウロードを売り上げ、チャートイン16週で本チャートを制した。なお16週で本チャートの首位を獲得するのは、米津玄師『STRAY SHEEP』に並ぶ最短記録となる。また、ウタの歌唱を務めたAdoの1stアルバム『狂言』は3位を獲得した。

 そして2位はYOASOBI『THE BOOK 2』がチャートイン。2021年12月1日に発売されたYOASOBIの2nd EPで、初週8,717DLで首位を獲得。通算5度の首位を獲得し、累計43,568DLで2位となった。なお、2021年の年間ダウンロード・アルバム・チャートで首位を獲得した1st EP『THE BOOK』は8位に。1年間チャートインし続け、本チャートの集計期間中に17,141DLを売り上げた。



▲ 「怪物」MV / YOASOBI


 その他、10月4日リリースの『ユーミン万歳!~松任谷由実50周年記念ベストアルバム~』はチャートイン8週で10位を獲得。これまで、本チャートの年間トップ10内に入ったタイトルの中で最もチャートイン回数が少なかったのは2019年の年間チャート8位の星野源『Same Thing』(6回)だった。松任谷由実の50周年記念ベスト盤は、それに次ぐ8回でのトップ10入りで、その次は2022年に年間9位を獲得したZORN『RAP』(9回)だ。

Text by Naoko Takashima

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Streaming Songs

Tani Yuuki「W/X/Y」が3億回超えで首位獲得、チャートイン最多曲数はAdo

 2022年の年間Billboard JAPANストリーミング・ソング・チャート“Streaming Songs”で、Tani Yuuki「W/X/Y」が首位を獲得した。

 「W/X/Y」は、Tani Yuukiが2021年5月26日に配信したシングルで、同年12月にリリースされたアルバム『Memories』にも収録。もともと自身の楽曲「Myra」がTikTokの発表する【#TikTok流行語大賞2020】でノミネート30選に入るなど、同プラットフォームを中心にバイラルヒットしたことで知名度を一気に拡大したTani Yuukiだが、この「W/X/Y」も同様、SNSでカバー動画やダンス動画をはじめ、様々な二次創作(UGC)がユーザーによって投稿された。

 当チャートでは2022年1月5日に99位で初登場し、その後89位→52位→33位と順位を上げ、3月2日に10位で初のトップ10入りを果たす。3月25日にはYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』のパフォーマンス映像が公開され、4月6日に6位、4月13日に2位、そして4月20日でついに初の週間首位を獲得した。以降も地上波音楽番組やツアー、音楽フェスティバルなど、披露される機会も増え、着実にリスナー層を開拓していった結果、年間ではチャートイン48週、通算4回の週間首位をマーク。再生回数は328,051,348回を記録している。

 2位を獲得したのは、優里の「ベテルギウス」。2021年10月に放送開始されたドラマ『SUPER RICH』の主題歌として書き下ろされた楽曲で、翌11月4日に配信開始された。当チャートでは11月10日に22位で初登場、翌週には首位を獲得し、これまでに3週連続、通算5回の週間首位をマークしている。年間の再生回数は314,414,896回で、1位との差は小さい。この曲は『THE FIRST TAKE』で音源が初解禁され、後から楽曲の配信がスタートしており、ドラマのタイアップと合わせて事前に高い話題性を集めていたことが、好調なチャートアクションの滑り出しにつながったと考えられる。なお、優里は6位の「ドライフラワー」や19位の「シャッター」など、年間ストリーミング・ソング・チャートでは計6曲をトップ100内に送り込んでいる。



▲ 「ベテルギウス」MV / 優里


 3位はSaucy Dogの「シンデレラボーイ」で、年間の再生回数は303,025,674回を記録。バンドが2021年8月にリリースしたミニアルバム『レイジ―サンデー』の収録曲で、イラストレーターのますだみくが手掛けたミュージック・ビデオも話題を呼んだ。当チャートでは2021年10月13日に100位で初登場、11月3日には32位にまで上昇し、今年2月2日に8位で初トップ10入りを果たしている。これまでに週間チャートの首位獲得こそないものの、一度もチャートアウトすることなく数字を積み重ね続けた。

 続く4位にはマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」が入っており、ライブハウスや音楽フェスを中心に活動してきた若手バンドの楽曲が、今年はTikTokをはじめとするSNSで新しいリスナー獲得のチャンスを見出し、ストリーミングの再生回数を伸ばしていった動きも特徴的だった。強力なタイアップがブレイクを後押ししたOfficial髭男dismやKing Gnuらとはまた異なるヒット・パターンを確立し始めているのではないだろうか。

 一方で、話題性の高いタイアップ、特に人気アニメ作品とのコラボレーションによってポピュラリティーを獲得する楽曲も多数チャートイン。TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニング・テーマに起用されたAimerの「残響散歌」は、年間で272,655,388回再生を記録して5位に。また、Official髭男dismはTVアニメ『SPY×FAMILY』のオープニング主題歌「ミックスナッツ」が8位に、TVアニメ『東京リベンジャーズ』のオープニング主題歌「Cry Baby」が17位にそれぞれ入った。



▲ 「Cry Baby」MV / Official髭男dism


 とりわけ今年大きな注目を集めたのは、Adoが作中のキャラクター、ウタの歌唱パートを担当し、様々なアーティストが楽曲提供した映画『ONE PIECE FILM RED』の音楽だ。年間ストリーミング・ソング・チャートでは9位に「新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、24位に「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、39位に「逆光 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、45位に「ウタカタララバイ (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、98位に「Tot Musica (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」が入った。Ado名義の楽曲を含めると計9曲がトップ100内に入っており、これは当チャート最多の曲数でもある。

 集計期間が50週以上にわたる年間チャートの特性上、どうしても年度前半にリリースされた楽曲が上位を獲得しやすく、長期的なチャートインが重要になるストリーミング・ソング・チャートではなおさらだ。今年の年間ストリーミング・ソング・チャートの中で比較的、最近リリースされた楽曲を見てみる。まずは33位のOfficial髭男dism「Subtitle」。川口春奈を主演に迎えて10月6日に放送開始したドラマ『silent』の主題歌で、10月12日に配信がスタートした同曲は、11月23日に累計再生回数が1億回を突破した。BTS「Butter」と並び、歴代最速となるチャートイン6週目で達成しており、週間再生回数も異例の4週連続2,000万回超えを果たすなど、文字通り、記録的なヒットソングとなっている。また、58位の米津玄師「KICK BACK」は、TVアニメ『チェンソーマン』のオープニング・テーマで、アニメ初回放送と同日の10月12日に配信開始、歴代2番目の速さとなるチャートイン7週目でこちらも累計1億回再生を突破した。



▲ 「Overdose」MV / なとり


 すでに社会的な認知度を持ち、熱心なファンダムも形成している人気アーティストの最新曲が早くも記録を残すなか、64位には2021年5月からYouTubeやSNSを中心に楽曲を公開し始めたシンガーソングライター、なとりの「Overdose」がエントリー。9月7日にリリースされた同曲は、なとりの第一弾シングルとして各配信プラットフォームで聴くことができるが、前述の通り、YouTubeやSNS上では多くの楽曲がそれ以前から公開されており、中には万を超えるいいね数や再生回数を記録しているものもある。こうした次世代アーティストの台頭も、1年間の総括としての年間チャートの結果を通して見えてくる、次年度以降の兆しだ。

Text by Takuto Ueda

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TOP Singles Sales

Snow Manがトップ3独占、2年連続の首位に

 2022年年間Billboard JAPANシングル・セールス・チャート“TOP Singles Sales”で、Snow Manの『オレンジkiss』が941,288枚を売り上げ、上半期に続き首位に輝いた。

 本チャートは、2021年11月29日から2022年11月27日までのサウンドスキャンジャパンの販売枚数データを累計したものだ。2021年の年間シングル・セールス・チャートで『Grandeur』が1,030,567枚を売り上げて1位を獲得しており、これでSnow Manは2年連続の首位を記録した。また、『ブラザービート』が910,751枚を売り上げて2位、『Secret Touch』が877,615枚を売り上げて3位に続いている。そこで、Snow Manの活動の一部と3タイトルの売上動向をグラフ化した(図1)。爆発的な枚数を売り上げている初週以降、どういう動きをしているのか分析していく。


ランキング2022

▲ 図1



 1つ目の特徴は、新譜発売のタイミングでしっかりと旧譜も売れていることだ。特に2ndアルバム『Snow Labo. S2』(9月21日)が発売された週前後は、表題曲が未収録の『オレンジkiss』や旧譜の売上が増加。『ミュージックステーション』をはじめとするメディア露出による宣伝効果も大きい。さらに、10月から開催されている【Snow Man LIVE TOUR 2022 Labo.】のツアー後半戦にかけて全体的に売上が伸びていることが分かる。このままどういう動きを見せるのか注目だ。

 2つ目の特徴は、毎週安定した売上をキープしていることだ。『Secret Touch』は発売されてから3か月間1,000枚以上、『ブラザービート』は発売されてから4か月間1,000枚~2,500枚前後を売り上げた。『オレンジkiss』は発売されてから毎週1,000枚以上の売上をキープ中だ。そして、旧譜も含めて新譜発売タイミングまでの売上動向を見てみると、緩やかな減少傾向を見せている。2021年年末から2022年3月までメンバー個人の活動やテレビ出演などはあったものの、大きなリリースがなかったSnow Man。特にこの期間は、年末のテレビ出演の余韻を残すように緩やかな減少傾向だ。



▲ 「オレンジkiss」MV / Snow Man

 また、2022年年間Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”のルックアップ指標でも3タイトルいずれもトップ10入りをしていることから、レンタルや貸し借りなどでも聴かれていることがわかる。ここまでを総括すると、Snow Manは微小ながらも長期的な売上をキープし、かつ新規ファンを獲得し続けているのだ。

 トップ10には、乃木坂46やKing & Princeなど、顔馴染みのあるアーティストがチャートイン。そんな中、JO1が『MIDNIGHT SUN』を664,550枚売り上げて初のトップ10入りをした。初週売上枚数は602,958枚で、前作『WANDERING』(516,603枚)、前々作『STRANGER』(368,948枚)を上回るスタートを切っていた。2022年はドキュメンタリー映画『JO1 THE MOVIE『未完成』-Go to the TOP-』の公開や、自身初となる全国ツアーを開催したJO1。さらに『第73回NHK紅白歌合戦』に出場することも決定しており、彼等にとって飛躍の年になったに違いない。

 なお、ミリオンセールスのシングルがなかったのは2015年以来、7年ぶりだ。一方で、ハーフミリオンのタイトルは前々年12タイトル、前年13タイトルから当年19タイトルに増えている。また、シングルの販売枚数も前年比103%と増加。これらのことから、年々ストリーミングでの音楽聴取が成長する中、日本の強みであるCDが未だ売れていることが分かった。

Text by Tatsuya Tanami

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TOP Albums Sales

Snow Manが初の年間首位獲得 なにわ男子/SEVENTEEN/SixTONESが続く

 2022年 年間Billboard JAPANアルバム・セールス・チャート“TOP Albums Sales”は、Snow Man『Snow Labo. S2』が獲得した。

 2022年 年間TOP Albums Salesは、2021年11月29日から2022年11月27日までの約12か月間のサウンドスキャンジャパンでの販売枚数データの累計で決定する。そして、Snow Manは『Snow Mania S1』が、2021年年間TOP Albums Salesで惜しくも2位となったが、2022年9月21日にリリースされた2ndアルバム『Snow Labo. S2』が984,358枚のセールスを記録し、2022年 年間TOP Albums Salesで首位を獲得した。

 続いて865,307枚を売り上げた、なにわ男子のデビューアルバム『1st Love』が2位に登場した。3位は697,483枚を売り上げたSEVENTEENの『DREAM』が獲得。SEVENTEENは『Face the Sun』も6位に入り大躍進となった。そして4位は582,259枚を売り上げたSixTONESの『CITY』が、5位は566,742枚を売り上げたKing & Prince『Made in』がそれぞれ獲得した。



▲ 「なにわ男子 - ファーストアルバム「1st Love」Teaser」


 2021年は男性グループがランキングを独占したTOP Albums Salesだったが、2022年もトップ10のうち8枚が日韓の男性グループが独占し、引き続き男性グループの強さが目立つランキングとなった。

Text by kzskm

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TOP Lyricists

作詞家ランキングは2年連続Ayaseが1位に

 2022年の年間Billboard JAPAN作詞家チャート“TOP Lyricists”にて、Ayaseが1位に輝いた。

 本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”にチャートインした楽曲を作詞家別にランキング化したものだ。2022年上半期1位のAyaseは、ストリーミング1位、ダウンロード3位、動画4位とトップ5を3つ獲得し、2021年に引き続き、2年連続で見事1位を獲得した。2021年年間チャートと比較してみると、ランクダウンしている指標が多くあったが、2022年もストリーミングは強く、本チャート2位の藤原聡(Official髭男dism)とストリーミングのポイントを比較してみると1.3倍の差をつけている。また、2022年年間総合ソング・チャートには「夜に駆ける」(15位)、「群青」(16位)、「怪物」(20位)、「三原色」(58位)、「祝福」(74位)、「もう少しだけ」(98位)と計6曲を送り込んだ。なお今年度、AyaseがメンバーであるYOASOBIは、YOASOBI with Midories「The Swallow」(「ツバメ」英語Ver.)や「The Blessing」(「祝福」英語Ver.)、「もしも命が描けたら」「大正浪漫」「ハルジオン」「もう少しだけ」「ハルカ」「ラブレター」といった全8曲の英語バージョンを収録した英語版EP第2弾『E-SIDE 2』を11月にデジタルリリースした。



▲ 「夜に駆ける」MV / YOASOBI


 2位には、前年度に引き続き、2年連続で藤原聡がチャートイン。ラジオ1位、ダウンロード・ストリーミング・動画で2位、カラオケで3位とトップ5を5つ獲得した。今年度の総合ソング・チャートではロングヒットしているTVアニメ『SPY×FAMILY』のオープニング曲「ミックスナッツ」が4位に。そして「Cry Baby」(17位)、「Pretender」(26位)、「Subtitle」(27位)、「I LOVE...」(53位)、「115万キロのフィルム」(60位)と100位圏内に計6曲送り込んだ。

 前年8位のVaundyは、4位にランクアップ。総合ポイントで比較すると前年度より1.7倍も上昇する結果となった。今年度の総合ソング・チャートでは、映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌でAdoに提供した「逆光 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」、Vaundyの代表曲とも言える「踊り子」をはじめとする計8曲を100位圏内に送り込んだ。

 続く5位の常田大希は、ダウンロードで見事1位を獲得し、前年度9位から5位にランクアップ。今年度の総合ソング・チャートでは、『劇場版 呪術廻戦 0』の主題歌「一途」(10位)など、リリース以降、今もなおロングヒットしている楽曲たちを100位圏内に計4曲送り込んだ。



▲ 「一途」MV / King Gnu


 そして、今年度の本チャート・トップ10には、Saucy Dogのメンバーである石原慎也が8位、Mrs. GREEN APPLEの大森元貴が9位に登場。大森は映画『ONE PIECE FILM RED』の劇中歌「私は最強 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)」(24位)、そして動画で1位を獲得した10位の米津玄師は、現在放送中のTVアニメ『チェンソーマン』のオープニング・テーマ「KICK BACK」(30位)をそれぞれ今年度の総合ソング・チャートに送り込んでいる。

Text by Rumi Miyamoto

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TOP Composers

Ayaseが2021年に続き2連覇、Saucy Dogが初のトップ10入り

 2022年の年間Billboard JAPAN作曲家チャート“TOP Composers”で、Ayaseが2年連続で1位に輝いた。

 本チャートは、総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”にチャートインした楽曲を作曲家別にランキング化したものだ。指標別に見てみると、Ayaseはストリーミングで首位を獲得しているほか、ダウンロード3位、動画4位、CDセールスは100位圏外と、デジタルに非常に強い作曲家であることが分かる。Ayaseが所属するユニットのYOASOBIは、年間のストリーミング・チャートで8曲、ダウンロード・ソング・チャートで6曲、ダウンロード・アルバム・チャートでは3作品が100位以内にチャートイン。ストリーミングで最も順位が高かった「夜に駆ける」は、リリースから2年弱が経過しているが、今もなお、彼らの代表曲として聞かれていることが分かる。なお、Ayaseは、YOASOBIの作品以外に、IDOLiSH7「WONDER LiGHT」、Vivid BAD SQUAD「シネマ」などでチャートポイントを獲得している。



▲ 「群青」MV / YOASOBI


 続く2位は昨年に続き藤原聡がチャートイン。指標別に見ると、ラジオ1位、ダウンロード、ストリーミング、動画で2位、カラオケで3位と、年間を通じて幅広い聴取方法で楽しまれたことがわかる結果となった。2022年は、藤原がボーカル、キーボードを務めるOfficial髭男dismの作品が、“HOT 100”に6曲チャートイン。2018年リリースの「115万キロのフィルム」、2019年リリースの「Pretender」から、2022年リリースの「ミックスナッツ」「Subtitle」まで、新旧織り交ざった楽曲がチャートインしている。

 そして3位は、昨年より1ランクアップの優里が獲得。ストリーミング3位、動画5位、ダウンロード6位を獲得したほか、カラオケで1位を記録している。楽曲毎に見てみると、カラオケではトップ10内に「ドライフラワー」と「ベテルギウス」の2曲がチャートインするという、強さを見せた。

 Ayase、藤原聡、優里、Vaundy、常田大希、清水依与吏、あいみょん、米津玄師の8人が昨年から引き続き、トップ10入りを果たした一方、8位にSaucy Dog、9位に大森元貴がチャートイン。特にSaucy Dogは73位から8位へと大きくランクアップし、自身初のトップ10入りを果たした。

Text by Naoko Takashima

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Heatseekers Songs

きゃない「バニラ」通算11度の首位獲得で年間1位に

 2022年の年間Billboard JAPAN“Heatseekers Songs”で、きゃないの「バニラ」が1位を獲得した。

 “Heatseekers Songs”(以下、HS)は、総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”を構成するデータのうち、ラジオ、ダウンロード、ストリーミング、週間動画再生数を集計し、その中から急上昇中のアーティストを抽出したランキングだ。2022年のHSチャートは楽曲単位のヒットが目立ち、昨年よりも多様なジャンルの楽曲がチャートを賑わした。

 1位の「バニラ」は、路上ライブを中心に活動するシンガーソングライター=きゃないが、2022年3月9日にデジタルリリースした楽曲。耳なじみの良いメロディーや歌詞に隠されたストーリーが話題となり、通算11度の首位を獲得した。年間ではダウンロード19位、ストリーミング1位、Twitter 88位、動画再生17位、カラオケ6位と、8指標中5指標でトップ100入り。7月に活動休止を発表してからもストリーミングとカラオケでロングヒットを記録し、年間1位に輝いた。



▲ 「バニラ」MV / きゃない


 上半期1位の大橋ちっぽけ「常緑」は、年間では2位をマーク。小気味良いリズムに乗せたキャッチーな歌詞がTikTokで人気を集め、9月にはストリーミングの累計再生数が1億回を突破した。続く3位には、男女2人組インフルエンサー=夜のひと笑いによる「ミライチズ」がチャートイン。昨年11月にカップル・インフルエンサーとして活動していた2人の破局が発表され、年末年始にかけて代表曲である本楽曲にも注目が集まった。



▲ 「常緑」MV / 大橋ちっぽけ


 2022年のHSチャートは、女性アーティストの躍進が顕著だった。トップ50にチャートインした女性ボーカル曲は、昨年は計8曲だったのに対し、今年は21曲と3倍近くに増えている(※どちらも男女ツインボーカル含む)。トップ10では、6位にさとうもか「melt bitter」、10位に有華「Partner」がチャートイン。また、NMIXX、NewJeansなど、K-POPのガールズグループが計4組トップ50入りを果たした。“HOT 100”の年間トップ50でも女性ボーカル曲は17曲チャートインしているが、アーティスト単位で数えるとHSが18組、“HOT 100”が9組と、HSチャートのほうがチャートインしているアーティストに偏りがなかった。この傾向が来年、“HOT 100”にも伝播していくのか注目したい。

 また、”HOT 100”では、Saucy Dogやマカロニえんぴつなど、ロックバンドのヒットが際立ったが、HSでは昨年同様、トップ10にバンドはチャートインしなかった。4位のZOT on the WAVE & Fuji Taito「Crayon」や8位のCHEHON「韻波句徒」といった、TikTok・YouTubeがブレイクのきっかけとなったヒップホップ/ラップ楽曲が上位に並んだ。ライブハウスやクラブ、フェスの現場はだいぶ活気を取り戻してきたものの、コロナ禍で浸透したプラットフォームの影響力の大きさをまだまだ感じさせる結果となった。

Text by Mika Fuchii

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TOP User Generated Songs

ピノキオピー「神っぽいな」が首位、2014年発表「アスノヨゾラ哨戒班」がトップ10入り

 2022年の年間Billboard JAPAN UGCソングチャート“TOP User Generated Songs”で、ピノキオピー「神っぽいな」が首位を獲得した。

 本チャートは「踊ってみた」動画など、YouTubeで公開されているユーザー生成コンテンツ(UGC)のみを集計したチャートだ。「神っぽいな」の公式ミュージック・ビデオは、2021年9月17日の公開から5,000万近い再生数を記録しており、“Adoに歌ってほしい曲”企画で選ばれたAdo歌唱バージョンは約4か月で1,700万回再生を記録。まふまふ&天月、ころん、莉犬、湊あくあ&天音かなた、フィッシャーズなど、人気歌い手/YouTuberたちによる投稿も1年を通してコンスタントに続いた。本曲は2021年12月29日に初首位を獲得し、年間で通算14回の首位に。上半期で一気に積み重ねたポイントに下半期の落ち着きながらも継続的に稼いだポイントが加わって、年間チャートを制した。


▲ 「神っぽいな」MV / ピノキオピー


 続く2位はツミキ「フォニイ」、3位にDECO*27「ヴァンパイア」、4位に2021年年間トップのKanaria「KING」と、この1年で上位に長くチャートインした楽曲が並ぶ。トップ4は上半期の順位から変動していない。2021年6月に公開された「フォニイ」公式動画の再生数は3,100万回を突破。めいちゃん、星街すいせいの人気動画に加え、和楽器バンドが7月に公開した「フォニイ」が公開5か月で1,100万回以上の再生を記録したことが、下半期も上位をキープする後押しとなった。

 「Surges(feat. 夏背&ルワン)」が年間ダウンロード94位を記録したOrangestarは、IAをフィーチャリングした「Henceforth」「アスノヨゾラ哨戒班」がトップ10入り。後者は2014年の楽曲だが、ゆあるやFantasticYouth、TVアニメ『僕のヒーローアカデミア』の動画と合わせたトガちゃんの映像など、多くの再生回数を記録する動画がここ数年で増えている。今年4月に突如急上昇し、4月27日公開チャートで最高3位を記録して以降、7月20日公開チャートまでトップ20を維持した。TikTokでも馴染みのある本曲は9月中旬に再び浮上し、現在も上位20位圏内をマークする。

 TikTokというバズを意識したショート動画共有プラットフォームとは違い、一曲丸ごと聞かせる・見させることを第一としたYouTubeとニコニコ動画で多くのユーザーを惹きつけるのは、やはり歌声と歌詞の深さだろう。作品をシェアする場所が増え、気軽に何かをシェアすることができる現在、歌い手、ボカロP、VTuberたちがそれぞれのプラットフォームの特性・ユーザーの好みを知り、使いわけることで、新しいリスナーに出会う可能性は大いにある。

Text by Mariko Ikitake

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TikTok Chart

ぼっちぼろまる「おとせサンダー」が首位

 2022年の年間Billboard JAPAN“TikTok Songs Chart”で、ぼっちぼろまるの「おとせサンダー」が1位に輝いた。

 “ひとりぼっちロックバンドとしてミュージシャン活動を行う地球外生命体”のぼっちぼろまるの「おとせサンダー」は、<イナズマに打たれました>という歌詞に合わせて、親指と人差し指で稲妻に見立てたダンスが流行。これはトレンドダンスの解説系クリエイターの中野亜紀が振り付けしており、彼女のオフィシャル・アカウントの投稿はこのダンスの解説を含めて500万回以上再生されている。6月3日のデジタル配信開始前からTikTokで人気に火が付き、集計期間中には5度の首位を飾った。



▲ 「おとせサンダー」MV / ぼっちぼろまる


 上半期の“TikTok Chart”で1位を獲得したKlang Rulerの「タイミング ~Timing~」は2位にチャートイン。本楽曲は1996年4月~2002年3月に放送されたバラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!!』の企画から誕生したブラックビスケッツの大ヒット曲「Timing」(1999)をKlang Rulerがカバーしたもの。ローカルカンピオーネによるダンス投稿をきっかけに、その振り付けに挑戦するユーザーが急増した。このバズを受け、日本テレビの音楽番組『ベストアーティスト2022』ではブラックビスケッツが20年ぶりに復活。TikTokの枠を超えて話題になった。

 3位は水曜日のカンパネラ「エジソン」。楽曲がTikTokで公開されたのはリリースから4か月後にもかかわらず、YouTuberのおおしま兄妹が振り付けたダンスをはじめ、替え歌動画やMVの高速足ダンスを模した動画など様々な形で拡散。コムドットや平成フラミンゴ、ロイといった人気インフルエンサーたちの投稿が相次いだ。YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』のTikTokアカウントでの歌唱動画や、本人アカウントのMV切り抜きも拡散された。

 2022年のTikTokを語るうえで不可欠な存在といえば、4位のTHE SUPER FRUIT「チグハグ」だろう。8月17日の初登場7位から翌週は1位へジャンプアップ、以降は6週連続で首位を独走した。これはKlang Ruler「タイミング ~Timing~」、心之助「Blue Spring」に並ぶ連続首位記録だ。失敗エピソードや恥ずかしい話を紹介し<それでは聞いてください チグハグ>と、イントロのダンスに繋げる動画で流行りだした本楽曲だが、メンバー本人によるダンス動画の投稿やテレビ露出などから、サビでのダンス動画に人気を移しながら楽曲が拡散し幅広く使用された。



▲ 「チグハグ」MV / THE SUPER FRUIT


 多くの動画に共通しているのはダンス。チャートインしたほとんどの楽曲に決まった振り付けが存在しているが、そのふり幅は誰でも挑戦しやすい簡単なものから、17位のKep1er「WA DA DA」のような、アーティストのコレオを完コピするものまで様々。アーティストのオフィシャル・アカウントをきっかけにダンスに挑戦するクリエイターも多く見られる。16位のなにわ男子「初心LOVE」や14位のNAYEON「POP!」など、楽曲やアーティスト自身の人気がTikTok上でも反映され、さらに上半身だけで見せられる“TikTokを意識した振り付け”を起用することでより楽曲が拡散したと推測できる。話題性の高いアーティストがTikTokユーザーに寄り添った動画を積極的に発信することで、プロモーションとして戦略的にTikTokを使用できることがわかる。

 TikTokでは上記のようなアーティストが起因のバズと、TikTokで使用されることで楽曲が流行する2パターンが存在するが、どちらも楽曲の流行が流行を呼び拡散されることで、使用される回数が次々と膨らんでいく傾向がある。THE SUPER FRUITの「チグハグ」やHoneyWorks「可愛くてごめん(feat. かぴ)」など、元はネタ動画やダンスが流行の要因でも、拡散していくことでダンス動画を投稿しないクリエイターにも使用されたり、使用される楽曲のパートを変動しながら使用回数が増加していくことが多く見られる。また、12位のSHAUN「Way Back Home (feat. Conor Maynard) [Sam Feldt Festival Mix]」のように、もともとバズっていた楽曲のリミックス版が違う形で再び拡散することもあるため、依然としてどのアーティストにもバズる可能性が大いにある。どのように・誰の楽曲が流行るのかは全く予想できないが、来年はどんな楽曲がTikTokを賑わすのか注目だ。

Text by Yuma Totsuka

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