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The Biscats『ジレンマ』インタビュー「大好きなロカビリーを世に広める……その夢を叶えていく場所とようやく出逢えた──」



The Biscats『ジレンマ』インタビュー「大好きなロカビリーを世に広める……その夢を叶えていく場所とようやく出逢えた──」

 BLACK CATSやMAGICのメンバーとして日本ロカビリー界を牽引してきた久米浩司の娘であり、2020年代に新しいロカビリームーヴメントを起こすべく奔走中のMisaki率いるハイブリッド・ロカビリーバンド、The Biscats。大好評だったMisaki(Vocal)生い立ちインタビューに続いて、今回はKenji(Guiter)生い立ちインタビューを敢行した。

 また、尾藤イサオのスペシャルゲスト出演も決定した主催イベント【ROCKABILLY FESTIVAL2023】や、激動の2022年を締め括る、更なる大勝負の2023年に繋げるニューシングル『ジレンマ』についてもメンバー揃い踏みで語ってくれているので、ぜひご覧頂きたい。

◎The Biscatsメンバー
Misaki(Vocal)
Kenji(Guiter)
Suke(W.Bass)

Interviewer:平賀哲雄

芽が出た2022年~Kenji(Guiter)生い立ちインタビュー

--ホットな話題から触れていきたいのですが、2023年2月8日に主催するイベント【ROCKABILLY FESTIVAL2023】に尾藤イサオがスペシャルゲスト出演することになりました。これはどのような経緯で決まったんですか?

▼【ROCKABILLY FESTIVAL 2022】ライブレポート
https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/108719
Misaki:今年初めてロカフェスを主催させて頂いて、来年で2回目になるんですけど、1回目がすごく好評だったから2回目はみんながもっとアッと驚くビッグなことをしたいなと思っていて。それで「誰かレジェンドを呼びたいね」という話になったときに、尾藤イサオさんの動画を観てみたらめちゃくちゃ格好良かったんです。ステージ上でのカリスマ感が凄くて。

Suke:それでダメ元で声を掛けさせて頂いたんですよね。個人的には、アニメ『あしたのジョー』をビデオ借りて観ていたので、元々はその主題歌を歌っていた人というイメージだったんですけど、そのあとにロカビリーをあの時代に表現されていた人と知って「こんなに格好良いのか」と驚いて。あのステージを目の前で観れるのかと思うと、楽しみで仕方ないですね。

Kenji:僕も『あしたのジョー』で尾藤イサオさんのことを知ったんですけど、そこから【日劇ウエスタンカーニバル】などの映像を観て「この人もロカビリーやったんや!」と掘り下げるようになって。ザ・ビートルズの前座の映像も観たんですけど、日本人離れした外国人と見違えるほどの歌い方や立ち振る舞いに「この人は本物だな」と思ったことを覚えてます。尾藤さんは1960年代の日本のロカビリーブームの立役者ですけど、ということは1950年代の音楽をリアルタイムで聴いていた人なので、その歴史を生で体感している人と共演できる喜びは半端ないですね。今からめちゃくちゃテンション上がってます。

--日本のロカビリーシーンの歴史。そのすべてが再びフォーカスされる中心に今、The Biscatsが存在していますよね。

Misaki:そう言って頂けるのは有難いです。

Suke:それが作戦なんですよ(笑)。

Misaki:2023年のロカフェスにはお父さんたちのバンド・KING CATSも出ますし、RODEOの23年ぶりの再結成ライブもありますし、BLUE ANGELも出演してくれますし、さらに尾藤さんもスペシャルゲストとして登場して、もちろん私たちも出演するので、日本のロカビリーの歴史が出揃うと言っても過言じゃないんですよね。

--The Biscatsは2022年を「勝負の1年」と掲げて、そのフェスの発表と最新シングル『ジレンマ』のリリースで今年を締め括る訳ですが、実際どんな1年になったなと感じていますか?

The Biscats『ジレンマ』インタビュー「大好きなロカビリーを世に広める……その夢を叶えていく場所とようやく出逢えた──」

▲シングル『ジレンマ』

Suke:2021年にコロナ禍ながらも準備していたものが、2022年に結実していって。で、2023年の準備も出来たので、本当に充実した1年になったなと感じています。ひとつひとつのトピックを丁寧にカタチにしていって、徐々に徐々に階段を上っていくことが出来たんじゃないかなって。

Misaki:ちゃんと地に足をつけて一歩一歩進んでいくことができた。今までやってきたことの結果が少しずつ出始めて、まだ小さいながらも「芽が出た!」みたいな。でも、2022年は今まででいちばん一瞬で過ぎ去った感覚もありますね。それぐらい濃い1年を過ごせたんじゃないかな。人との出逢いにも恵まれましたし、応援してくれる仲間がたくさん増えたんですよね。ファンクラブを設立したこともあってか、ファンの人たちの結束力も強くなって、ライブを追うごとに一体感もどんどん凄いことになっていって。いろんな意味でパワーアップできた1年だったと思います。

▼The Biscats 激動のストーリーを振り返るインタビュー
https://www.billboard-japan.com/special/detail/3541

--そんな良い流れが生まれているタイミングで、前回のMisakiさんの生い立ちインタビューが大好評だったこともあり、今回はKenjiさんの生い立ちインタビューを行いたいなと思っております。

▼The Biscats Misaki単独生い立ちインタビュー
https://www.billboard-japan.com/special/detail/3614
Kenji:ありがとうございます!

--では、幼年期の話から順を追って掘り下げて生きたいのですが、子供の頃のKenjiさんはどんな男の子だったんですか?

Kenji:『クレヨンしんちゃん』の実写版みたいな。別にマセていたわけではないんですけど、よくケツ出したりしていました(笑)。そういうことを面白いと思ってやっていた子供。ただ、めちゃくちゃ人見知りだったんですよ。近所のおばちゃんが回覧板をまわしてくるんですけど、めちゃくちゃ目泳ぎながら受け取ったりしていて。典型的な内弁慶ですよね。だからケツ見せる相手もちゃんと選別していたんですよ(笑)。

The Biscats『ジレンマ』インタビュー「大好きなロカビリーを世に広める……その夢を叶えていく場所とようやく出逢えた──」

▲Kenji

--どんな遊びにハマったりしていました?

Kenji:同級生でめちゃくちゃ仲の良い奴がひとりいて。そいつとは小さい頃から趣味が合って、例えば『あぶない刑事』が放送されていたときには、舘ひろしさんがハーレーに乗りながらショットガンを撃つシーンに憧れて、ふたりで自転車に乗りながらモノマネしたりしていました(笑)。

Suke:それって僕も知ってる人ですか?

Kenji:知ってる人(笑)。

Suke:後々、僕もその人に会います(笑)。

Kenji:あと、洋画が好きだったので、その影響でエアガン持って遊んだりしていましたね。ロカビリーにハマる前からアメリカの世界観に対する憧れみたいなものはあったんだと思います。教育テレビでビル・ヘイリーの「ロック・アラウンド・ザ・クロック」を聴いていた記憶もずっと残っていたり、親父が『金曜ロードショー』をよく観ていた影響もあって、シュワちゃんの『ターミネーター2』とかメル・ギブソンの『リーサル・ウェポン』シリーズとか大好きでしたね。

--どんな家庭で育ったんですか?

Kenji:両親と4人兄妹の6人家族で、僕は末っ子だったんですけど、物心がついた頃には上ふたりの兄妹はやんちゃでほとんど家に居なかったんです。たまに姉貴が帰ってきて、親父に玄関で「人様に迷惑かけんな!」って髪の毛を引っ張られている姿を見ていたぐらい(笑)。上の兄貴も車のタイヤをハの字にして走っていたりしましたね。ただ、下の兄貴と僕は音楽が好きで、その兄貴の影響でギターを始めて、ふたりで長渕剛さんの曲を弾いたりしていました。

--父親からはどんな影響を受けたりしました?

Kenji:親父もギターを弾くんですけど、フォークソングとかブルースとかそういうルーツミュージックを聴くようになったのは、完全に親父の影響ですね。その中にたまたまエルヴィス・プレスリーのビデオがあって、それがきっかけでロカビリーにのめり込んでいったんですよ。元々、親父もバンド組んで音楽の道を目指していて、母親も歌手とかアイドルを目指していたみたいなので、両親共々The Biscatsをめちゃくちゃ応援してくれています。あと、親父は田舎のヘンなおじさんみたいな一面もあったので、僕がケツを出すようになったのもその影響だと思います(笑)。

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