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<インタビュー>国府弘子が厳選した女性プレイヤーと贈る【川崎夜市】とは【かわさきジャズ2022】
【かわさきジャズ】の連動企画の一つが、川崎駅東口駅前広場やラ チッタデッラ内中央噴水広場で行われる【川崎夜市】だ。そして、観覧フリーの“ストリート”な出し物であるその11月23日夕方から駅前広場で持たれる4つの公演は、ジャズ・ピアニストの国府弘子がプロデュースするスペシャルな出し物となる。そこには彼女が厳選した新進気鋭の女性プレイヤー三者とともに、彼女のトリオが出演する。中学高校は川崎の公立に通い、現在川崎市市民文化大使も務めている彼女は、祝日夕刻の野外ステージをどのようなものにしようと考えているのか。今年デビュー35周年を迎えた国府弘子に今回のプロデュース公演に対する意欲や、着実にキャリアを築いている今だからこその川崎観や音楽観をうかがった。(Interview & Text:佐藤英輔)
「川崎は本当に音楽が大好きな熱い街 」
――【かわさきジャズ】に、国府さんは2015年の初年度から出ているんですよね。その際は、リー・リトナー・スーパー・セッションでの出演でした。
国府:もちろん覚えています。その時の出演者の一人であるイヴァン・リンスとは私が30歳か31歳の時のリオ録音のアルバム『ライト・アンド・カラー』で曲を共作しており、川崎で嬉しい再会ができました。
――その後もいくつも、【かわさきジャズ】にはお出になっていますよね。
国府:はい。会場となるミューザ川崎シンフォニーホールにもいろいろ思い出があります。一番最初に下見に行った時、これから設置という段階でまだパイプオルガンのパイプが床に置かれていたのですよ。「ジャズ・ピアノ6連弾」というスペシャルなピアノチームがあって、故・佐山雅弘さんのすごい企てでした。加わったのは山下洋輔さん、佐藤允彦さん、塩谷哲さん、小原孝さん、私、それに故・前田憲男さんや穐吉敏子さん・・・まさにジャズピアノ・オールスターズ。2004年のミューザ川崎のこけら落としがこのチームの初演でした。その後も忘れられない音楽会に数々参加してきたので、ミューザ川崎に来ると「ただいま」という気持ちになります。遠くの皆様のお顔もよく見えて、ライブハウスのような一体感が持てるホールです。
――川崎という街にも、当然特別な感情を持っていらっしゃいますよね。
国府:もちろん。中学高校と川崎ですから。そんなご縁もあって目下、川崎市市民文化大使というお役目をいただいています。秋の【かわさきジャズ】も、春のアルテリッカしんゆりも、とにかく川崎は本当に音楽が大好きな熱い街なんですよ。みんなで音楽の街を育ててきている感じがします。
――では、国府さんの音楽性に川崎っ子としての因子が活きている部分もありますか。
国府:すごくあります。私の卒業した神奈川県立多摩高校の50周年企画で、神奈川フィルハーモニー管弦楽団との共演で「ラプソディ・イン・ブルー」をミューザ川崎で演奏したのも思い出深い。クラシックもジャズもロックも、そしてバンドとかオーケストラといったものも、自分にとっては全部同じ地平にあるものなのです。いい時代になりましたが、そういう「音楽の分け隔てのない自由」を私に与えてくれたのは川崎だと思っています。川崎の音楽会のすべてが、いろいろな音楽に夢中になってきた自分の音楽創作の刺激になり、また様々なものと交わることの素敵さを川崎に教えてもらってきていると思います。
- 川崎夜市とデビュー35周年
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公演情報
【川崎夜市「国府弘子プロデュース かわさきジャズスペシャルステージ」】
2022年11月23日(水・祝)川崎駅東口駅前広場
タイムスケジュール:
17:00-17:30 渡邉瑠菜グループ
18:00-18:30 大塚恵美ピアノソロ
19:00-19:30 笠島真那&平田晃一デュオ
20:00-20:30 国府弘子トリオ
詳細はこちら
【国府弘子スペシャルパフォーマンス「ひろこ倶楽部Vol.23」ファンタスティック・ナイト&国府弘子&フレンズ2Days 祝・デビュー35周年】
2022年11月7日(月)東京・銀座・ヤマハホール
OPEN 18:30 START 19:00
国府弘子のファンタスティック・ナイト
国府弘子スペシャルトリオ
チケット:7,200円(各公演・税込・全席指定)当日券500円増し
詳細はこちら
2022年11月8日(火)
東京・銀座・ヤマハホール
OPEN 18:30 START 19:00
国府弘子&フレンズ
国府弘子スペシャルトリオ
チケット:7,200円(各公演・税込・全席指定)当日券500円増し
詳細はこちら
お問い合わせ
(株)ヤマハコーポレートサービス事務局 053-464-6036
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川崎夜市とデビュー35周年
――今回の【川崎夜市】の話をおうかがいします。国府さんは、11月23日の川崎駅東口駅前広場での帯公演をプロデュースなさいますよね。
国府:最初にこのお話をいただいたときは、とてもタイムリーであり、嬉しかったです。やはり年を重ねると、若く才能あるミュージシャンたちとの出会いが増えるんです。【かわさきジャズ】からこのお話いただきまして、自分で演奏するのはもちろん、自分が大好きな若者たちをフィーチャーし、紹介できるという機会が嬉しかったですね。出演者を絞り込む作業はとても苦労しましたが、今回、男子はカットして(笑)、女子祭りにしようと思いました。
――トリで出る国府弘子トリオの前にステージに立つ、3人の方々を紹介してください。
国府:17時からのトップバッター渡邉瑠菜ちゃんは、音楽業界では話題沸騰レベルかもしれません。昭和音大の2年生で、20歳前ですね。瑠菜ちゃんには仲間を集めてバンド編成で、と言いました。メンバーはみんな、昭和音大のお仲間だそうです。
――渡邉さんとは、最初どんな感じで知り合ったんですか?
国府:本田雅人(サックス)さんのコンサートでですね。確かアルテリッカしんゆりの楽屋で「愛弟子なので、応援よろしく!」と紹介されました。その時すでに彼女の噂は耳にしていて、やっと会えたね、という感じだったんです。すでにブルーノート東京にも出演しているサックス・プレイヤーで、ファンキーなフュージョンを得意としています。彼女がとっても可愛らしいルックスの女子だっていうことを置いておいても、プレイヤーとしてもう太鼓判ですね。
――そして2番目、18時からの出演はピアニストの大塚恵美さんですね。彼女も川崎市麻生区にある昭和音楽大学の出身ですね。
国府:そうです。彼女もまた川崎繋がりです。13年前にアルテリッカしんゆりで昭和音大のオーケストラと私のトリオでやったコンサートを学生時代に観て感動してくれたとのことで、その後、私の「相模湖音楽創造ワークショップ」に参加してくれ、ピアノを聞かせてもらったら、とても美しい自分の音色を持っていて驚きました。現在相模原の小学校の教師をして子供たちに慕われながら、自身の演奏活動にも熱心なところが素晴らしいです。
――大塚さんにはソロで演奏してもらうというのは、国府さんのアイディアですか。
国府:そう、彼女はソロ・ピアノが得意なんですよ。そして自作曲が美しくて確固たる世界を持っているということ。野外のステージだとソロ・パフォーマンスはバンド演奏よりももしかすると緊張するかな? とも思います。でも、彼女なら大丈夫。皆様がうっとりするようなピアノ演奏をしてくれると思います。
――3番目、19時からは、トランペッターの笠島真那さんとギタリストの平田晃一さんのデュオです。
国府:私は10年ほど埼玉県川越市の尚美学園大学で客員教授をしているのですが、そこのポピュラー・ジャズ・コースは素晴らしいビバップ・ジャズが息づいていて、彼女はその筆頭のようなプレイヤーです。去年卒業したばかりですが、すでにジャズプレイヤーとしてのオーラを出している逸材です。渡邉瑠菜さんがフュージョン・ジャズだとすれば、大塚恵美さんはオリジナリティあるポピュラーピアノ、笠島真那さんはビ・バップ・ジャズ。
――その笠島さんはギターとのデュオでやるんですね。
国府:そうです。私のプロデュースは基本的に放任主義なんですけれども(笑)、会場では通して聞かれる方もいると思いますので、ヴァラエティに富んだ編成の音楽会にすると楽しいんじゃないかと考えました。笠島真那さんが最近、ギタリストとのデュオの面白さを語ってくれていたので、デュオでやってもらうことにしました。平田晃一君もすごく話題の人ですね。
――今回のステージは野外じゃないですか。要は出入り自由で、場合によってはすぐに場を離れる人も出てきますよね。
国府:30分という限りのある時間の中で、自分の世界をどうやって作るかということをよく考えてみてねと伝えています。私もみんなのステージをしっかり全部観て応援するつもり。それが私の役目だと思っています。
――それで、国府弘子トリオはどんな感じの演奏になりますか?
国府:実は今回、私のトリオにも若いドラマー濱田省吾君がいます。彼は20年前に山口県で開催した私のワークショップの生徒さんで、そのときは小学生でした。子供とは思えない渋いジャズ・ドラムを叩いていた彼が今プロとして活躍しており、今回声をかけたのです。この川崎夜市の若手応援企画にはぴったりでしょ? 結成25年の長年のトリオは今回ドラマー岩瀬立飛さんのスケジュールが調整できず、長年の相棒八尋洋一さんのグルーヴィーなベースと、この若手ドラマー濱田くんとのトリオで出演します。時間が許せば最後に、女子リーダーたちを呼び込んで最後にセッションしちゃいたいね。
――ところで、国府さんはちょうどデビュー35周年なんですね。
国府:いろいろな苦労やアクシデントもありましたが、それらも含めて本当にラッキーで、たくさんの人に支えていただいてきました。その感謝を込めたスペシャルな2デイズのコンサートをやります。銀座のヤマハホールで2日間、日替わりの豪華な仲間たちとの【デビュー35周年記念コンサート】。11月7日の1日目は私のトリオに神奈川フィルのコンサート・マスターでもある人気バイオリン奏者の石田泰尚さんら、実力派個性派の弦楽器奏者を加えた7人編成。翌8日はやはり私のトリオに、岡本真夜、ウィリアムス浩子、露崎春女という3人の人気女性シンガーを迎えます。この35周年ライブも、そして川崎夜市も、いらしてくれる皆さまに大満足してもらえるものにしますので、どうかぜひ、お出かけくださいね。
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公演情報
【川崎夜市「国府弘子プロデュース かわさきジャズスペシャルステージ」】
2022年11月23日(水・祝)川崎駅東口駅前広場
タイムスケジュール:
17:00-17:30 渡邉瑠菜グループ
18:00-18:30 大塚恵美ピアノソロ
19:00-19:30 笠島真那&平田晃一デュオ
20:00-20:30 国府弘子トリオ
詳細はこちら
【国府弘子スペシャルパフォーマンス「ひろこ倶楽部Vol.23」ファンタスティック・ナイト&国府弘子&フレンズ2Days 祝・デビュー35周年】
2022年11月7日(月)東京・銀座・ヤマハホール
OPEN 18:30 START 19:00
国府弘子のファンタスティック・ナイト
国府弘子スペシャルトリオ
チケット:7,200円(各公演・税込・全席指定)当日券500円増し
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2022年11月8日(火)
東京・銀座・ヤマハホール
OPEN 18:30 START 19:00
国府弘子&フレンズ
国府弘子スペシャルトリオ
チケット:7,200円(各公演・税込・全席指定)当日券500円増し
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