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たむらぱん 【パンタスティックツアー】
2010.03.04(THU) at Shibuya O-EAST|ライブ写真&セットリスト
「本日はご来場頂きまして、誠にありがとうございます」と、たむらぱんによるアナウンスと共に、会場両サイドのスクリーンにファミコン的なパンタスティック映像が映し出される。そしてステージの幕が左右へゆっくり開かれると、小さな体を楽しげに揺らしながら「今 君に送ろう 今 君に送るよ 今 伝えたい♪」と『テレパシー』をその心がフルオープンになっていることがよく分かる声で響かせていく。「パンタスティックツアー、開演でーす!来たからには楽しんで帰って行ってくださいねっ!」と最初の挨拶も爽快に決めて、心地良く疾走していくバンドサウンドと一緒になって、思わず目を丸々と見開いてしまうほどにエモーショナルな歌声を響かせる彼女。今日のたむらぱんはいつにも増してヤバイ。まるで空を舞うように、草原を駆け抜けるように歌う。だから『マウンテン』でも“この先どんなマウンテンが目前に現れたとしても軽く乗り越えられるんじゃねーか?”と思わせるぐらい、僕らの心を嘘みたいに軽くしてみせた。ここまで序盤から心を揺さぶるワンマンは、彼女の長い歴史において初めてかもしれない。
その後もあの手この手あの曲この曲で一体感の濃密度を高めていき、すごく小さいお子さんからご年配の方まで、ここにいる誰もが分かり易くテンションを上げていく。なお、彼女は隣のビルにあるShibuya O-nestでよくライブをしていた頃「いつかShibuya O-EASTでライブをやるぞ」と語っていたらしく、今夜はとにかく上機嫌。そしてその目標を果たせた瞬間を共に過ごしてくれているみんなへ、絶望ではなく希望の歌へと生まれ変わった『スクランブル街道』を披露した。まるで夜が徐々に明けていく“ブルーアワー”のような世界観の中で、この街、この生活に染められていくことを憂うのではなく、笑って過ごしている今を愛しく想い、希望の未来へと繋いでいく為の声でもって。また、続けて彼女は「正にこの場所のこと」と『パラダイス』を披露したのが、この曲も完全に化けた。誰もがその手を高く掲げてゆっくりとハンドクラップを始め、眩しいぐらいの光の中で、すべての声と音が優しく嬉しく美しく鳴り響いていた。そして、伝家の宝刀『責めないデイ』でライブはひとつのスパークへ。汗ばむ肌をこっそりと、でも必死に拭うたむらぱん(笑)。
入場時、観客にはふたつの新曲の歌詞が配られていたのだが、まずはその内の1曲『フレフレ』を「たむらぱんは平成の『関白宣言』を歌おう」という曲紹介付きで披露。これがさだまさしもビックリの内容となっており、おまえが頑張っているから俺は奮い立つことができると、嵐のような日々でもおまえといて笑って過ごしていきたいと、そして「フレフレ!」とあまりにも力強く歌うもんだから、思わず涙腺が緩む。更には、すごくガチガチに頑張っている日々も、少し力を抜くだけで視野が広がっていくかもしれない。そんな予感を表現した『ラフ』を回るミラーボールと共にお届け。辛く苦しい人生を少しでも楽しく過ごす為のヒントを懸命に歌い上げた。そして満を持しての『バンブー』である。どんなに心や体が曲がっても、決して折れない自分を信じて進め。今の時代を生きる僕らにとってはどんな「頑張れ」よりも強く背中を押してくれるメッセージを熱く響かせ、最後には「笑え!」と大きな大きな声で歌い上げるのだった。
そして彼女は『ジェットコースター』『十人十色』といったキラーチューンを畳み掛け、あまりにも軽やかで美しく、けれど確かに全身全霊の声でもって、すべての混沌を高く高く空へと舞い上がらせていく。その圧倒的な生命力に僕らは震え、賞讃の限りの歓声と拍手をステージへ送るのだった。で、最後は出逢いと別れの季節にピッタリのたむらぱん流卒業ソング『ちゃりんこ』でダメ押し。明日へと繋がる力をもらい、誰もがその感動の余韻に浸っていたと思うのだが、ライブは間髪入れずにアンコールへ突入。彼女はサブステージで1人ピアノを弾きながら新曲『とんだって』を披露する。何度も何度も「何の為に僕ら、飛びたかったのだろう?」と声を震わせながら繰り返すその歌は、間違いなくたむらぱんの新境地で、多くの者に衝撃を与えたはずだ。 「後半戦スタート!」とバンドメンバーが待つメインステージに戻った彼女は、まず『お前ぶただな』を残ったエモーションの全てで僕らにぶつけ、オーラスは今宵もこの曲『チョップ』。ゴキゲンなサウンドとメロディに乗って世界中のあらゆる矛盾や頭にくる諸事情、日々の生活の中で生まれるモヤモヤやムカムカにことごとく手刀をお見舞い! 過去最大の人数で繰り広げられるその光景は実に痛快である。
「毎日毎日いろいろありますが、また笑顔でたむらぱんのライブに来てください」と笑顔で伝える彼女。僕らはその約束の握手代わりに、目一杯の拍手と歓声を送り続けた。
ライブ写真
セットリスト
【パンタスティックツアー】
2010.03.04(THU) at Shibuya O-EAST
- 01.テレパシー
- 02.ちょうどいいとこにいたい
- 03.マウンテン
- 04.どんだけ待つのよ
- 05.ゼロ
- 06.ぶっ飛ばすぞ
- 07.へぶん
- 08.ハリウッド
- 09.スクランブル街道
- 10.パラダイス
- 11.責めないデイ
- 12.フレフレ
- 13.ラフ
- 14.バンブー
- 15.ジェットコースター
- 16.十人十色
- 17.ちゃりんこ
- En1.とんだって
- En2.お前ぶただな
- En3.チョップ
Writer:平賀哲雄
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