Special
たむらぱん 【世界パンタム級ツアー】
音楽をまたひとつ好きにさせてくれた、たむらぱん【世界パンタム級ツアー】東京公演。もはや今の彼女を押さえつける事など、誰にも出来やしない。そんなとんでもねぇ勢いにニヤつきが止まらなかった夜を回想する。
シェリル・クロウの『イフ・イット・メイクス・ユー・ハッピー』をバックに、超満員のオーディエンスによる熱気の中へと進んでいくバンドメンバー。そしてやたらコミカルな“らしい”入場テーマと凄まじいハンドクラップに包まれながら登場し、その体を揺らして『ちょうどいいとこにいたい』を歌い始める、たむらぱん。今日の彼女は、よく伸びる、人をしあわせな気分にする声でもって、前回ここ渋谷CLUB QUATTROで行ったライブの何倍ものエモーションを爆発させながら、その上で嬉しそうに歌う。だから「大丈夫 大丈夫 ぼくたちは~」そんなシンプルなフレーズがいつにも増してグッと来る。今まで彼女のライブで聴いたことのないオイオイコールも巻き起こすほどの、上昇気流。曲を追うごとに拍手のボリュームもどんどん上昇。「明日になれば風向きは変わるから」それを感じさせる歌に対して、彼女も僕らもどんどん上がっていく。
「私の勝手な想いで申し訳ないんですが、たむらぱんがこれから企画をしたいと思います」と、3月からレギュラーラジオ番組で挑戦してきたヴァイオリンの演奏を披露する彼女。しかも「情熱大陸」エンディングテーマとしてお馴染みの『エトピリカ』! え~っと、決して上手いと言える内容ではなかったが(笑)半年間の努力がしっかりと滲み出ており、多くの笑顔を生んだ。「大爆笑というところで」と言い、その天然のポップ性を染み込ませた『ハリウッド』を続け様に披露。より会場の空気を、みんなの心を軽くしていく。ここでもヴァイオリンを軽快に響かせ、なんだかえらくゴキゲンのたむらぱん。そのままテンション上げっぱなしで『スクランブル街道』『ゼロ』『ちゃりんこ』と心の深いところまで染み渡る、彼女の人生であり、僕らの生活でもあるナンバーを連発していく。日々藻掻きながら懸命に生きる人々すべてにとっての、心の歌が涙を誘う。
そしてその感情の高鳴りと合わせて聞こえてくる『ジェットコースター』『十人十色』『責めないデイ』、たむらぱん三大必殺技と言っても過言ではないキラーチューンたちが畳み掛けられる。“また”っていうのは、有りそうで一番無いこと。だからその“1回”を大切にしていきたい。そんな意志のもとに放たれる、彼女の全身全霊。光も影も好きも嫌いもハッピーもアンハッピーもポジティブもネガティブも全部巻き込んで空へと舞い上げる音楽が、今明らかに僕らの世界をグググっと変えていった。
「皆さん、凄い楽しそうで……嬉しそうです!」と喜ぶ、たむらぱんこと田村歩美にみんなで「あゆみ」コール。照れる歩美(笑)。そして今日初披露となる新曲『マウンテン』を聴かせてくれたのだが、悲しみも苦しみも明るく乗り越えてしまおう!という今の、アルバム『ノウニウノウン』以降の彼女らしい歌となっており、「夢中になりたいわ」というワードが繰り返される度に僕らへ力を与えていく。で、次の曲に向かう直前、ロッテ「Fit's」CMソングのCLUB QUATTROバージョンがファンのリクエストによって披露。「く~ら、く~ら、くらぶくあとろ~!」(笑)。そしてその勢いに乗ったままバンドメンバーも彼女も僕らも、とんでもなくハイテンションな『ごいん』ですべてを振り切っていき、最後は自由に元気に世界中のあらゆるネガティブに、こんなにまぬけな世界に「チョップ!チョップ!チョップ!」とその腕を振り下ろしていく。その光景にたむらぱんも思わず「すばらしい」と感動。いや、ほんと、最高だった。歓喜の世界に包まれながら、再びヴァイオリンを手にして踊る彼女。その姿を見ていたら、またひとつ音楽が好きになったよ。やっぱ、あんた、すげぇわ。
ライブ写真
セットリスト
【世界パンタム級ツアー】
2009.10.04(SUN) at 渋谷CLUB QUATTRO
- 01.ちょうどいいとこにいたい
- 02へぶん
- 03.恋は四角
- 04.テレパシー
- 05.大丈夫
- 06.ハレーション
- 07.ライ・クア・バード
- 08.アミリオン
- 09.ハリウッド
- 10.tea
- 11.スクランブル街道
- 12.ゼロ
- 13.ちゃりんこ
- 14.ジェットコースター
- 15.十人十色
- 16.責めないデイ
- En1.マウンテン
- En2.ごいん
- En3.チョップ
Writer:平賀哲雄
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