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<コラム>SixTONESの最新ライブ映像作品『Feel da CITY』レビュー 音楽を全力で楽しみ、ファンを余さず魅了する圧倒的な熱量
Text:田中久勝
6人が放つスペシャル感
SixTONESが今年1月にリリースしたアルバム『CITY』を引っ提げて行なった、全国アリーナ・ツアー【Feel da CITY】の3日間にわたる横浜アリーナ公演、その最終日を収録した、同名のライブDVD&Blu-rayを9月28日にリリース。コロナ禍で活動がままならないなか、このツアーがCDデビュー後初の全公演完走となり、グループとしてまたひとつ大きな成長を遂げた。この横浜アリーナ公演では、ファンはまだ声を出せない状況のなか、メンバーとともに喜びを噛みしめながら盛り上がり、忘れられない一日になったはずだ。そのときの空気、熱が、6人のパフォーマンスとともにパッケージされている。あの興奮が蘇る――。
SixTONES -「Feel da CITY」LIVE DVD/Blu-ray digeST
スペシャル感――SixTONESの6人を見ているといつもそう感じる。それぞれの強烈な個性はもちろん、ヤンチャでガムシャラで、面白くて、熱くてクールで、美しくてスタイリッシュ。それが眩しいくらいの“才能”になってファン、観ている側を楽しませてくれる。そんな彼らの魅力が全部詰まっているのが、このツアー【Feel da CITY】の横浜アリーナのライブ映像だ。そして、改めて『CITY』というアルバムのクオリティの高さ、音楽に対して徹底的にオリジナリティを追求するSixTONESの貪欲さを感じる。アルバム『CITY』は “それぞれの楽曲ごとに主人公が存在し、その日一日の時間の流れの中で繰り広げられる、何気ない日常の出来事や物語が集まる場所”としての“街(CITY)"をコンセプトに表現したアルバム。彼らの新作は、いつも予測不能の楽しみと驚きに満ちているが、この作品はノンジャンルでボーダレスなものになり、その洗練されたクリエイティヴはますます冴え、6つの個性が交差し、カラフルでもの凄いエネルギーを放っている。初週で47万枚を売り上げ、各ランキングの1位を獲得し、SixTONESが 世界基準の音楽を目指しているその姿勢を世の中に知らしめた。
そんなアルバムの世界観と、6人の現在地をファンに伝える空間であり時間が、この横浜アリーナ公演だった。1曲目は「Lost City」。ジャズをベースにしたフュージョンとヒップホップを融合させた、じわじわとエモーショナルさが高まるトラックが印象的で、オープニング・ナンバーにこの曲をチョイスするのがSixTONESらしい。一転ラテン調の「Special Order」で会場の温度は一気に上昇。「Rollin’」ではメンバー・カラーのスポットライトに照らされた6人が、張り巡らされた花道に手を広げ、歌いながら駆け回る。有観客でライブを開催できていることをファンとともに実感し、歓びを分かち合っているようだ。後半にはトロッコでスタンドの上のほうまで近付き、他のジャニ―ス・アーティスト同様、至近距離でファンと触れ合う。ファンにかける言葉や気遣いも含めて、そのファン・サービスはまさにスペシャルだ。ジャニーズであることを誇りに思いながらも、音楽をはじめ、これまでのジャニーズ・アーティストがやってこなかったことに挑戦し、道を切り拓いているところが、SixTONESがSixTONESたる所以だ。
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ファンが熱狂する理由
6人の声の“絡み合い”がなんとも言えないダークな世界観を表現した「DAWN」、色気と中毒性に満ちたダンス・チューン「Papercut」、洗練され、スタイリッシュな世界に引き込まれる「Odds」、アルバム『CITY』を通して見せたグループとして進化した姿を、このステージでリアルに構築し伝える。6人の歌の強さがこのグループの強さだ。メイン・ボーカルを担うジェシーと京本大我の安定感、そして6人それぞれの音域、声質を最大限に生かした歌割でドラマティックさを作りだす。さらに、田中樹の圧倒的なスキルの高さのラップが強烈なリズムになって、濃く刺激的な差し色になる。それがクールで中毒性があるアンサンブルを作り上げている。だからこそどんな音楽にも挑戦できる。攻めることができる。ライブだからこその楽しみであるユニット曲でも、その強さを感じさせてくれる。ジェシーと森本慎太郎による「LOUDER」、松村北斗と髙地優吾による「真っ赤な嘘」、京本大我と田中樹による「With The Flow」、6人時とはまた違う一人ひとりの表現力と表情、組み合わせの妙、浮かび上がってくるそれぞれの色が、ファンを夢中にさせる。
「WHIP THAT」で横浜アリーナがダンスホールと化し、大きな“うねり”が生まれ、全ての人がそのエネルギーに巻き込まれていく。時にトリッキーな演出も客席の感情をくすぐる。全国9都市で開催中のライブツアー【Feel da CITY】。その幕開けを飾ったこの横浜アリーナ公演3days。昨年ツアーが完走できなかった悔しさと、できる歓びを胸に臨んだステージ。ファンの期待感もマックスだ。そんな感情を交感させる場となったこの日のライブは、終始熱狂が会場を包んでいたが、それはライブ後半になると加速していく。
SixTONES -「WHIP THAT」from LIVE DVD/BD「Feel da CITY」(2022.1.6 YOKOHAMA ARENA)
デビュー曲「Imitation Rain」は、リリース当時とは聴こえ方も伝わり方も違う。大人になり、さらに成長を続ける6人の感情が歌に現れている。そして「マスカラ」「NEW ERA」とこれでもかと畳みかけ、さらに「NAVIGATOR」でボルテージが上がり、そのエネルギーが加速し、高まっていく感じはまさに怒涛。SixTONES史上でも最高の“爆発力”ではなかっただろうか。ファンの盛り上がり、熱気に6人も煽られ、感情が高ぶり、そのパフォーマンスも熱くなっていく。アンコール・ラストは「Cassette Tape」だ。メンバー一人ひとりにフォーカスした繊細なボーカルで、別れた相手のことを思い、未練を断ち切れずにいる主人公の心模様を表現する。シンプルで切ないこの曲が、逆にこの日のステージの余韻を大きなものとして残してくれる。
SixTONESは、メンバー全員がジャニーズJr.として約10年間切磋琢磨してきた。そして2015年にグループを結成。すぐに大きな注目を集め、絶大な人気を誇っていたが、なかなかCDデビューできずにいた。そんな先が見えない状況で活動を続ける6人にとって、ライブはそのときの自分たちの力、それがファンに届いているのかどうか、ファンの反応をダイレクトに知り、感じることができる唯一の“場所”であり“時間”だった。だから、客席と一体となってライブをとことん楽しみ、ファンを全力で喜ばせ、そこに自分たちも歓びを感じる。全速力で駆け抜け、息を切らし、汗だくになっても“魅せる”。そんなライブが6人の生き様とばかりに、高濃度のエネルギーを、客席の一人ひとりに向け解き放つ。そこには熱狂が生まれ、一公演一公演がお互いにとって忘れられない思い出になる。それがSixTONESのライブ・スタイルだ。デビューを果たし、快進撃を続ける今も、6人のその姿勢は変わらない。
今回の作品には特典映像として、初回盤は彼らの映像作品では恒例となった、ライブ映像をメンバー6人で観ながら思い出や感想、今だから話せる裏話などを披露する『ビジュアルコメンタリー』を収録。彼らの視点が加わることで、このライブの違う部分に光が当てられ、より深く楽しむことができる。なにより6人がわちゃわちゃと楽しむリアルな姿や表情、その空気感を楽しむことができるのがいい。また、通常盤にはツアーの表と裏側に迫ったドキュメンタリー映像を収録。彼らのライブに懸ける思い、こだわり、執念までを感じることができる貴重な映像だ。
SixTONES -「Feel da CITY」LIVE DVD/Blu-ray 特典映像 digeST
全ては音楽のために――SixTONESが標榜してきたグループとしての矜持を感じさせてくれる映像作品だ。
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Feel da CITY
2022/09/28 RELEASE
SEXJ-11/2 ¥ 6,600(税込)
Disc01
- 01.Lost City
- 02.Special Order
- 03.Rosy
- 04.Rollin’
- 05.S.I.X
- 06.Dawn
- 07.Papercut
- 08.Odds
- 09.LOUDER
- 10.真っ赤な嘘
- 11.共鳴
- 12.love u...
- 13.You & I
- 14.WHIP THAT
- 15.MC
- 16.Everlasting
- 17.Ordinary Hero
- 18.With The Flow
- 19.Your Best Day
- 20.“Laugh” In the LIFE
- 21.Strawberry Breakfast -CITY ver.-
- 22.フィギュア
- 23.NEW WORLD
- 24.Imitation Rain
- 25.マスカラ
- 26.NEW ERA
- 27.NAVIGATOR
- 28.Good Times
- 29.僕が僕じゃないみたいだ (EC)
- 30.この星のHIKARI (EC)
- 31.Cassette Tape (EC)
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