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GLAY『Only One,Only You』インタビュー・HISASHI編「やっぱり音楽は生活に必要なものだ」
GLAYのニューシングル「Only One,Only You」についてのインタビュー、その後編に登場してもらうのはHISASHIである。
GLAYの中でもとりわけオルタナティヴな感性を持つことで知られるHISASHIは、鋭い音色を轟かせるギタリストであると同時に、あらゆるジャンルや常識を飛び越えていく才能でもある。そこにはユーモアの精神や批評性も、新しい波にビビッドに反応する柔軟さもあるし、かと思えば、やはりGLAYのメンバーらしいパッションも抱えている。見方を変えれば、ここまでの鬼才/奇才/異才をメンバーのひとりに据えているGLAYは破格のスケールのバンドだと、つくづく感じる。
ここでのインタビューでは、GLAYの現在形を主軸としながらも、そんな彼らしさをはしばしに感じることができる話をしてもらえたと思う。
(Interview & Text:青木優 / Photo:辰巳隆二)
■「Only One,Only You」JIROインタビューはこちらから
あの頃できなかったことも今だったらできる
――7月のファンクラブ25周年記念ツアーについては、ご自身のYouTubeチャンネル(HISASHI TV The LIVE #49 REDRUM)で振り返ったりされていましたね。
HISASHI:そうですね。ええ。
――だからあらためてというところもありますが、どんなツアーでしたか?
HISASHI:今回、メンバーそれぞれやりたい曲を選曲して構成する形だったんですけど、それが揃ってみたら最近やってなかった曲たちが多くて。「そういえばこの曲、ライブですげえ良かったよね」という曲が多くなったんですよね。なので、まあ新曲もありますけども、GLAYの中ではわりとマイナーな楽曲で構成された曲たちだったので、大丈夫かな?という気持ちもありました。「『誘惑』やらなくていいのかなぁ?」みたいな(笑)。
――(笑)。「HOWEVER」はやったじゃないですか。
HISASHI:(笑)。「HOWEVER」はやってますね。かろうじて。さすが、リーダーの選曲(笑)。

――その中であなたは「BLACK EYES SHE HAD」、「GONE WITH THE WIND」、それから「a Boy ~ずっと忘れない~」を選んだらしいですね。それぞれを選んだ理由を教えてもらえますか?
HISASHI:そうですね……「俺が選びそうな曲!」というところですかね(笑)。GLAYの影になって、見えないような曲。まあ「a Boy」はそうでもないけども……「こういった切れ味の鋭さもGLAYの持ち味だよ」というところがあったかな。
――はい、わかります。その中で「BLACK EYES SHE HAD」については、ライブ後にツイッターで<ブラックアイズは黒目ではなく青アザ=DVの意。その究極は映画『シャイニング』としてあのREDRUM演出となりました>と言及していましたね。たしかにライブの中でも強烈な空間でした。
HISASHI:そうですね。この曲もずいぶんやってなかったんで……アルバム曲って、そのアルバムのツアーだけしかやってない曲も生まれてくるんですよね。なので、やってもやってもやりきれないぐらい曲数があるんですけども、こういうところでちょっと稼いでいきたいなっていう感じがありました(笑)。でも一番の理由としては、ここ最近ずっと予約を取っているシグネチャーモデルが発売されたんですけども(ギターのDAMNED MAESTRO)、それの……まあ言葉にすると、タイアップ楽曲みたいなところです(笑)。カッティングの鋭さが一番出る曲ではあったので、カメラワークも「このギターを映してくれないか?」とスイッチャーの人にお願いして。これはギターのプロモーションである、みたいな(笑)。
――そうなってましたね。でも曲調も含め、ライブの中ではいいアクセントになっていたと思います。あと「GONE WITH THE WIND」に関しては、デビュー前のアレンジであなたがどうしてもやりたがっていたという話を聞いたんですが。
HISASHI:ああ、そうですね。あのー、ほんと、どアマチュアの頃に出した『an Optic』というタイトルのコンピレーションアルバムがあって、その作品に入ってるこの楽曲のアレンジでやったんです。のちに佐久間正英さんアレンジになったこの楽曲がメジャー版として知られてるんですけども、こっちのアマチュアの頃のアレンジのほうが好きだったんで。ちょっとアマチュアくささというか……青くささ?みたいなのが残ってて。でもその輝きってその頃しかできないものだったので、そういうものを追い求めてる自分がいたのかな、っていう感覚もありますね。
――そろそろ30年前になろうという頃のアレンジだったわけですね。今その頃の曲を演奏して気づくことや感じることって何かあります?
HISASHI:あれは【THE ENTERTAINMENT STRIKES BACK】(※メンバー4人がそれぞれ自身が手がけた楽曲のみでセットリストを構成したライブシリーズ)かな? その中で、TAKUROが「Angelus」って曲を選んだんだけど、それもアマチュアの頃にカセットテープで出した曲で。GLAYってけっこうそういうことをやるんですよ。「CRAZY DANCE」という曲も、ほんとに函館にいる頃にやってた曲で、それをあえて今ライブでリアレンジして披露したりしてるし。でもその当時の曲のクオリティが高くて、好きな曲も多いんですよ。まだやってない曲もたくさんあるんだけど。GLAYのそういうライブでのアンソロジー体験みたいなことができればな、という気持ちもありましたね。
――なるほど。そういえば『FREEDOM ONLY』では、90年代に作ってた曲のアイディアが作品化されていましたよね。
HISASHI:ああ、そうですね!
――あれはコロナ禍で時間ができたからだったのかもしれないですけど。そんなふうに、過去の自分たちがどんなだったのかという視点に立ち返る感もあるわけですね。
HISASHI:そう! スタジオ盤で言うと、そういうことなんですよ。「FRIED GREEN TOMATOES」はすごく古い曲だったけど。たぶん再レコーディングされないであろう曲はライブでサポートしてあげる、みたいなね。でも、この曲(「GONE WITH THE WIND」)は、曲としての完成度も気に入ってるんですよね。
――なるほど。しかし、つくづくバンドの歴史を感じる話ですね。
HISASHI:はい。もう頑なに初期の曲をやらないアーティストとか、多いと思うんですけど……。
――ですね。バンドによっては封印してるケースとかありますもんね。
HISASHI:そうそうそう。でも俺らってそういうタイプじゃないんですよね。それはもう過去にあった、れっきとした事実としてね。まあ演奏はしなくなったけど、初期の頃の曲とかは、いいタイミングでやれるようにしています。やっぱり何年か経つと「あの頃できなかったことも今だったらできるな」とか……表現の幅広さも、当然ながらあるので。だから今までには「ようやく表現できた」という曲もありましたね。
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リリース情報
シングル『Only one,Only you』
- 2022/09/21 RELEASE
『Only One,Only You』特設サイト:
https://www.glay.co.jp/feature/60thSG
GLAY 関連リンク
Only One,Only You
2022/09/21 RELEASE
PCCN-51 ¥ 1,650(税込)
Disc01
- 01.Only One,Only You
- 02.GALAXY
- 03.クロムノワール
- 04.WE□HAPPY SWING
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