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<インタビュー>大原櫻子、気鋭の指揮者・山脇幸人と挑むオーケストラ公演

インタビューバナー

 音楽活動はもちろん、映画やドラマ、ミュージカルやストレートプレイの舞台など、幅広いフィールドで活躍する大原櫻子が、単独では初となるオーケストラ公演【billboard classics 大原櫻子Premium Symphonic Concert 2022】を開催する。タクトを振るのは、藝大卒業後、ドイツで研鑽を積み、現在は東京都交響楽団や大阪交響楽団、中部フィルハーモニー交響楽団、九州交響楽団などを指揮する弱冠30歳の新鋭、山脇幸人。自身のオリジナル曲を中心に、ディズニー楽曲やカバー曲など、幅広いジャンルの楽曲を演奏するという公演を前に、初対面の印象やお互いのルーツ、若い二人のタッグでbillboard classicsとのコラボレーションに挑む意気込みを聞いた。(Interview & Text: 永堀アツオ / Photo: 辰巳隆二 / 撮影場所: Amazon Music Studio Tokyo)

初対面の印象

――まず、最初にシンフォニックコンサートでの共演が決まった心境から聞かせてください。

大原櫻子:本当に嬉しかったですね。幸人さんは私の姉と同い年なんです。こんなに近い年齢で、すでに指揮者としてご活躍なさっている方と共演させていただけるっていう喜びと、私自身はまだオーケストラさんとの共演が数少ないので、緊張するんだろうなという思いがありますね。

山脇幸人:僕は櫻子さんがスクリーンデビューされた映画「カノジョは嘘を愛しすぎている」を劇場に観に行かせていただいて。だから、共演が決まったときは、「映画館で観た人と共演ができる!」って思いました(笑)。今回の取材にあたっては、どういう歌を歌われる方なのかにすごく興味があったので、一通りの曲を聞き、お書きになられてた書籍「大原櫻子 演劇報告書」も読ませていただいて、とても等身大のままで歌われていて、舞台にも立たれているなと感じて。すごく素敵な方だなって思いましたし、そういう方とご一緒させていただけることはすごく光栄です。


――当時、映画を見に行こうと思ったきっかけは何かありましたか。

山脇:オーディションがすごく話題になってたんです。佐藤健さんとの共演で、しかも、歌が出てくる映画が元々すごく好きだったので、観に行きたいなと思って。実際に映画館で、「ちっぽけな愛のうた」を歌われてるのを見て、感動したのを覚えてますね

大原:嬉しい。

山脇:歌詞がすごく素敵ですよね。<君がどこにいても/僕はここにいられない>っていうフレーズがとてもいいなって。あと、「ポッピンラブ!」や「Shine On Me」のPVでは踊りも……。



大原櫻子

――最新曲のタイトルもすらすら出てくる!

大原:すごくないですか!? 全部知っていてくださって。

山脇:ふふふ。踊りもされてて、バラードも歌われていて。応援歌や片思い、届かぬ恋も歌ってたり。本当に多種多様な歌を歌われる方だなと感じているし、僕は本当にすごいなと驚嘆しております。

大原:(笑)。実は、お会いしたのは今日が初めてなんですね。先ほど、「指揮者や奏者という自分の役割だけじゃなくて、やっぱり人対人なんです」っていうことをおっしゃっていて。だからこそ、すでに、これだけ私のことも知ってくださってるんですよね。人としての向き合い方をしっかりと考えているし、本当に一期一会を大切になさっているのがよくわかりました。いや〜、だから、こんなに日本を代表するような素晴らしい指揮者になられてたんだなって。

山脇:師匠には、「指揮者の20代は「勉強」、30代はなんでも取り組み、40代で自分がしたことを見つめ直し反省し、50代でやっと一人前だ」って言われましたから。

大原:重みがある言葉ですね。音楽にも、人への愛情もすごくある方なんだなと感じていて、すごく嬉しいですね。


――今日が初対面とのことですが、実際にお会いして、どんな印象を受けましたか?

山脇:本当に会えたー! と思いました。

大原:あはははは。本当ですか?

山脇:アコースティックギターを弾いて歌ってた方に、「ポッピンラブ!」で踊っていた方に、本当に会えたー! っていう嬉しさですね。

大原:そんな価値のある人間じゃないですよ(笑)。私は、お会いした瞬間から、今まで会ってきた人には感じないエネルギーをもらいましたね。



山脇幸人

――今までにないエネルギーというのは?

大原:うーん……なんていうんだろうな〜。生きてる喜びみたいなエネルギーをすごく感じて。

山脇:ははは、実は僕は最近になってやっと、人生を楽しもうと決めることが出来たんです。

大原:ほら〜。幸人さんにお会いした方はみんなわかると思いますよ。

山脇:人生、楽しく生きなきゃ! っていう気持ちでいるんですよ。だって、一度きりの人生ですからね。音楽をやるってことは、時には大きな負担がかかるものなんです。だから、ここまでやらせてもらった両親や先生に感謝の気持ちがいっぱいなんですよね。好きなことをやっていけるってことはすごく幸せなことだから、僕は常に感謝の気持ちを意識をしながら、ただただ音楽と一緒にいるんです。僕はこれからも音楽と一緒に歩んでいけるんだっていう幸せと喜びがあるんですよね。

大原:今の話を聞いていると、幸人さんは音が言葉に聞こえてらっしゃるのかなって思いました。

山脇:そうですね。音が語りかけてきます。演劇だったら相手の方からのセリフ、表情、あと、熱量がありますよね。オーケストラは楽器を弾いてくださる方の音から言葉が出てきて、その言葉と対話します。しかも、僕は唯一、音を出さない奏者ですよね。

大原:確かにそうですね。

山脇:だから、指揮者は、先ほど、櫻子さんが言ってくださったように、ここ(ハート)からどれだけエネルギーや感情を出すかが大事になります。60人から100人の人たちの言葉をまずは受け止めて、どう返していくか。それができて初めて、指揮者になれると言いますか。うん、いい言葉ですね。「音が言葉に聞こえる」というのは。言葉はすごく大事だと思います。


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