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<インタビュー>APOKIが語るバーチャル・アーティストの魅力/ドージャ・キャットからの影響/E-40とのコラボについて

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   韓国発のバーチャルK-POPアーティスト、APOKIから新曲「West Swing feat.E-40」が届けられた。4thシングルとなるこの曲は、初の全編英語詞による楽曲。80年代後半~90年代前半に流行したニュー・ジャック・スウィングを取り入れたトラック、90年代から活躍するレジェンド・ラッパー、E-40をフィーチャーするなど、全世界の音楽シーンを視野に入れたナンバーだ。

 今作の背景には、韓国のテック・ベンチャー“AFUN INTERACTIVE”と株式会社ソニー・ミュージックソリューションズによる協業がある。最先端技術で数々の受賞歴を誇るAFUN INTERACTIVEのCEO、DK Kwon氏は「ソニーグループは先駆的で信頼できるエレクトロニクス製品はもちろん、音楽、ゲーム、映画などコンテンツの全領域で強大なグローバルパワーを持っている企業」だと話し、「バーチャル・エンターテイメントという新しいジャンルを開拓しているAFUN INTERACTIVEとソニーが共に作っていく様々なシナジー効果を期待しています。新しいマーケットを一緒に作っていくことができるというソニーの強い信頼と努力に感謝し、今後とも良いコンテンツと新しい技術でお応えします」とコラボへの期待を露わにしている。ちなみに、このたび公開された「West Swing feat.E-40」のMVでは、ソニーへのオマージュも垣間見られるそうだ。

 2021年2月にデジタル・シングル「GET IT OUT」でデビューし、韓国や日本をはじめ、瞬く間に世界的な知名度を得たAPOKI。「West Swing feat.E-40」を中心に、バーチャル・アーティストとしてのコンセプトや今後の活動ビジョンなどについて聞いた。(Interview & Text:森朋之)

宇宙のどこかに住むウサギ

――“宇宙のどこかに住むウサギ”であるAPOKIさんは、2019年からバーチャル・アーティストとして活動をスタート。昨年2月にデジタル・シングル「GET IT OUT」でデビューを果たし、「COMING BACK」「Shut up Kiss me(Feat.Lil Cherry)」をリリースしましたが、ここまでの活動の手応えはどうですか?

APOKI:たくさんの国のファンのみなさんからいろいろなコメントをいただいたし、配信ライブも多くの方に観ていただいてすごく嬉しいです。ただ、“宇宙の大スター誕生”と言っているので、もっともっと反響が欲しいし(笑)、この先もいろんな曲をリリースしていきたいと思っています。

――トラップ、エレクトロを中心に多彩な音楽性もAPOKIさんの魅力ですよね。

APOKI:楽曲ごとにコンセプトを決めてから、細かいところを作り上げているんです。私自身も積極的にアイデアを出してますね。音楽以外の部分、たとえばヘアスタイルや衣装、MVについても意見を言っていて、すべてを受け入れてもらえるわけではないですが、チームから「これを全部やってください」と押しつけられることもなくて。プロフェッショナル同士、意見を交換しながら制作を続けています。



APOKI 'West Swing Feat. E-40' Official MV

――APOKIさん自身の音楽のルーツはどのあたりなんですか?

APOKI:音楽をやりたいと思った最初のきっかけはK-POPですが、その後、たくさんの音楽を聴いて、いろいろなアーティストを調べました。特にドージャ・キャットは大好きで、いつかコラボしたいと思っています。彼女もいろんなジャンルの楽曲をリリースしてますよね。

――音楽性やボーカルのスタイルからも影響を受けている?

APOKI:はい。以前、YouTubeでカバー動画を上げていたのですが、その頃に「セイ・ソー」をカバーしたときに、彼女のような愛しい雰囲気を表現しようとがんばりました。私の曲でいうと、「COMING BACK」にはドージャのボーカルの表情や感情の動きを参考にしている部分があると思います。ドージャと渡辺直美さんが共演した「キス・ミー・モア feat. 渡辺直美」も大好きです!



インタビューに応えるAPOKI



――山下達郎さん、竹内まりやさんなど、日本のシティポップも聴かれているとか。オリジナル曲を制作するとき、その時期のトレンドも意識していますか?

APOKI:新しい音楽もたくさん聴いていますし、トレンドもチェックしていますが、自分の楽曲でトレンド・セットしようとは思っていなくて。それよりも自分が得意なことや好きなジャンル、そのときにやりたいことを形にしたほうが楽しいですからね。

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ニュー・ジャック・スウィングを取り入れた新曲

――なるほど。ファンのみなさんとのコミュニケーションについてはどう考えていますか?

APOKI:「APOKIは本当に存在しています」と伝えることを意識しています。インスタやTikTokでのライブ配信では、リアルタイムで送られてくるコメントをたくさん読みますし、ファンの方の名前も呼びます。なので、今日の取材もメールでのやり取りではなく、ZOOMでお話ししたかったんです。

――では、バーチャル・アーティストの良いところは?

APOKI:まずは自分たちが想像することをすべて実現できること。リアルのライブが実現できていないのは残念ですが、それを上回るいいところがたくさんあります。体形の管理もそんなにしなくていいので、好きなだけ食べられるのもいいですね(笑)。


APOKI - 'Coming Back Japanese Version' MV Official MV

――日本のバーチャル・アーティストについてはどんな印象を持っていますか?

APOKI:日本のアーティストのみなさんは、見た目もアティチュードも喋り方もすごく可愛いですよね。私は見た目は可愛いんですが(笑)、アティチュードはそんなに可愛くない気がします。

――そんなことはないと思いますが(笑)、アーティストとして目指すところ、やりたいことが明確ですよね。

APOKI:そうですね。自己愛は強いほうだと思います!

――素晴らしい。エンターテイメントに関わっていると、メンタルが弱ることもあると思いますが、どうやってキープしていますか?

APOKI:ゲームですね。ゲームに集中していると、悩んでいることを忘れたり、「解決できるかもしれない」とか「大したことではなかったかも」と思うんですよ。最近プレイしていたのはオーディンスフィアです!

――では、新曲「West Swing feat.E-40」について。ニュー・ジャック・スウィングのテイストを取り入れた楽曲ですね。

APOKI:はい。クルーのみなさんと話し合うなかで「ニュー・ジャック・スウィングをやってみよう」という意見が出て。今までやったことないテイストだし、すごくいいなと思いました。以前からニュー・ジャック・スウィングに詳しかったわけではないんですが、今回の制作のためにいろいろな曲を聴いてみて、改めて「いいな」と実感しましたね。当時のテイストをそのままやるのではなく、おしゃれに仕上げることも意識していました。




――90年代から活躍するレジェンド・ラッパー、E-40も参加しています。

APOKI:すごくパワフルなトラックに仕上がったし、当時から活動しているオリジナルのラッパーに参加してほしくて、E-40さんにコンタクトを取りました。まずトラックを聴いていただいたんですが、すぐに参加すると連絡をいただいて。すごくカッコいいラップを入れてくれて嬉しかったですね。ミックスはDave Wayさん、マスタリングはRandy Merrillさん。お二人とも世界トップレベルの方だし、本当に素晴らしいサウンドに仕上げていただいて、APOKIの音楽性がさらに進化したことを感じています。

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自分が知らない自分を見つけたい

――初の全編英語によるリリックも話題を集めています。

APOKI:「GET IT OUT」から始まって、これまでリリースしてきた楽曲のリリックは韓国語が中心だったんです。「COMING BACK」「Shut up Kiss me(Feat.Lil Cherry)」は日本語のバージョンも発表して、制作もすごく楽しかったのですが、今回は全世界のみなさんに曲の魅力を知ってほしかったので、すべて英語詞にしました。実は英語はそこまで上手くないのですが、耳で聴いて、そのまま発音するのは得意だし大好きですね。


APOKI‘Shut up Kiss Me Feat. Lil Cherry (Japanese Version)’ Official MV

――APOKIさんのフロウ、すごく心地いいし、凛としたパワーを感じます。

APOKI:ありがとうございます。いろんなジャンルの楽曲にチャレンジしてきましたが、どの曲にもマッチしていると思います。生意気なようですが(笑)。

――宇宙空間を背景にしたMVも素晴らしいですね。

APOKI:“時空を超える”がテーマです。MVのラストシーンは歌詞の内容ともリンクしているので、ぜひ注目して観てください! あと、ダンスパートも見どころになっています。これまでのMVと同じく、友達のOvaとDozuに振り付けしてもらって、意見を出し合いながら作っていきました。

――この後の活動ビジョンについて聞かせてください。

APOKI:ライブをやりたいですね! ファンのみなさんの目の前で歌いたい気持ちもありますし、メタバース空間に世界中の人たちに集まってもらうライブもやりたくて。とにかくみなさんに喜んでもらえる、面白いことをやっていきたいです。あとは、ずっと活動をしていけるアーティストになりたくて。

――息の長いアーティストになりたい、と。

APOKI:はい。そのためには幅広いタイプの楽曲をリリースすることが大事だと思っていて。一つの姿だけでは、みなさんに長く愛されるのは難しいんじゃないかなって。いろんなジャンルの楽曲にチャレンジして、可愛い面やパワフルな面、シリアスな面などをお見せできたらなと思っています。これからもどんどん新しいスタイルの楽曲に挑戦していきたいですね。

――APOKIさん自身の表現力も広がっていきそうですね。

APOKI:そうなるといいなと思ってます。いろんなジャンルの楽曲を制作するなかで「まさか自分にこんな面があったとは!」と気づくこともたくさんあって。自分が知らない自分を発見するというのかな。私もまだ知らない、奥のほうに潜んでいる才能があると信じています!

――最後に日本のファンのみなさんにメッセージをお願いします。

APOKI:みなさんからのコメントやメッセージはすべて読んでいます。今後は日本での活動の頻度も増えていくと思うので、応援よろしくお願いします! 日本のカルチャーも大好きです。

――ドン・キホーテがお好きなんですよね。

APOKI:はい(笑)、また行きたいです。次に日本に行ったときは、原宿で写真を撮って、インスタにアップしたいです!

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