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<インタビュー>Adoにとってもチャレンジングな経験になった『ONE PIECE FILM RED』歌姫・ウタを振り返る
全国公開中の映画『ONE PIECE FILM RED』で、Adoがヒロインの歌姫・ウタの歌唱キャストを担当している。
Adoは、中田ヤスタカが提供した主題歌「新時代」と、Mrs. GREEN APPLE提供の「私は最強」、Vaundyによる「逆光」、FAKE TYPE.提供の「ウタカタララバイ」、澤野弘之による「Tot Musica」、折坂悠太による「世界のつづき」、秦 基博による「風のゆくえ」という劇中歌を歌唱。これらの7曲は8月10日発売のアルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』に収録される。
この作品についてのAdoへのインタビューが実現。『ONE PIECE』への思い、初挑戦づくしとなった制作の裏側から、8月11日に開催される2度目のライブに向けての意気込みなどについて、語ってもらった。(Interview & Text: 柴那典)
――まず『ONE PIECE FILM RED』の話が来たときの第一印象はどうでしたか?
Ado:自分が生まれる前から連載されている作品ですし、例えば、外を歩いていても自販機に描かれていたり、『ONE PIECE』のグッズがあったり、ポスターがあったり。国民的にも人気ですし、世界的にも有名だし、大袈裟じゃなく『ONE PIECE』イコール“世界”みたいな印象がありました。私が関わることは一生ないだろうと思っていたので、お話をいただいたときは、最初は「どこのブランドと洋服のコラボするんですか?」って聞き返したりしてしまって(笑)。「そのワンピースじゃない」ってなって、「えっ? あっち!?」って。想定外の出来事でした。人生で起こるはずがないことが起こってしまって、すごくびっくりしましたが、同時にとても嬉しかったです。そんな作品に携われるということはすごく光栄です。

(C) 尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
――しかも今回は単に主題歌を歌うたけじゃなく、ヒロインのウタの歌唱パートを担当するという関わり方も予想外だったのではないかと思います。
Ado:本当にその通りで、ただ主題歌を歌わせていただくんじゃなくて、7曲も歌うという。そもそも普通の映画に歌入りの楽曲が7曲あるなんて、なかなかないと思うんですけれど、その挑戦を『ONE PIECE』がすると聞いて、「すごいことをするな」という驚きと、それを担当させていただけるワクワクが入り混じって……。もちろん、「やらせてください!」という感じでした。
――Adoさんとしては、劇中に登場する歌姫の歌唱キャストとして歌うのはやったことはなかったですよね?
Ado:一度もありませんでした。以前、実写版の『かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~ ファイナル』の挿入歌(「会いたくて」)を歌わせていただいたことはあるのですが、役柄として歌わせていただくのは初めてです。ましてや普通の少女ではなく「歌姫」という肩書きで。私は「破壊神」とか「地獄の王」とか「魔女」とかのイメージのほうが近いと思うんですけれど(笑)。
――ウタというキャラクターにはどんな印象がありましたか?
Ado:今回は歌姫ウタというだけでなく、シャンクスの娘という、とんでもない肩書きが付いていて。ルフィにとっても、私たち作品を愛している読者にとっても大きな存在であるシャンクスの娘というだけで、大きさが違ってくるなと思います。それを踏まえた上でウタというキャラクターがどんなキャラクターか、どんな思いで歌っているかを考えました。シャンクスはウタにとっての父親なんですけれど、ただ家族だからというだけでは片付けられない、大きいストーリーがあって。ウタも、シャンクスに対して父親としての思い、希望や明るい気持ちだけではなくて、怒りや憎しみの強い力を同時に持っている。それを踏まえた上での歌姫という肩書きは、すごく新しいなと思いました。

(C) 尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
――歌い手のAdoとして歌うことと、ウタの歌唱キャストとして歌うということには、どんな違いがありましたか?
Ado:今回はあくまでウタというキャラクターがいて、ウタの生い立ちだったり、ウタの気持ちだったり、ストーリーに楽曲が関わっています。ただ私が歌うだけなら自分が表現したいものでいいのかもしれないですが、「ウタだったらこう歌うかな」とか「この楽曲のウタはこういう状態だから、こうやって歌おう」みたいなことを考えて、普段のレコーディングとは違う感じで進めていきました。ウタの気持ちや生い立ちから出てくる歌声と自分の歌い方がどうにかマッチしてほしいなというところはありました。
――楽曲提供陣もバラエティ豊かで豪華な名前が並んでいますが、コラボしての実感はどんな感じでしたか?
Ado:普段はさまざまなボカロPさんに書き下ろしていただいて、いろいろなジャンルの曲を歌わせていただいていますが、今回はアーティストさんや作家さんとしてメジャーシーンで活動されていて、私も代表曲をほとんど知っている方々ばかりでした。改めて「どんな感じになるんだろう?」と思っていたんですけれど、ボカロとは全然違うメロディーラインや、普段歌わないようなバラード、ラップのように自分が挑戦してこなかったタイプの楽曲もあって、自分の歌の表現の幅も広がる良い経験になりました。
――曲についてもそれぞれ聞かせてください。まず主題歌の「新時代」について。これは中田ヤスタカさんの曲ですが、どんな印象がありましたか?
Ado:この曲、イントロで<変えてしまえば>と歌った後、中田ヤスタカさんらしいエレクトロニックなフレーズが来る前にずっしりとした太鼓の音色が入ってくるんですけれど、実はその太鼓のところが、私がレコーディングしたときは入っていなくて、完成したものを聞いたときに、より『ONE PIECE』っぽいと思いました。主題歌にもふさわしいし、「ウタって誰?」って思ったときに、「新時代」を聞くと納得できる楽曲になっていると思いました。キラキラしていて、物語が始まる感じもあるし、歌姫の自己紹介というような立ち位置で、素敵ですね。
――この曲が発表されたときの反響はどんな感じでしたか?
Ado:リアルに「これAdo?」というコメントがあったり、「Adoって、こういう歌い方できたんだ」とか「『うっせぇわ』と全然違っていい」というコメントもありました。攻撃的な感じというか、尖った強さのイメージを持っていた方も多かったと思うのですが、思った以上に「Adoがやる歌姫ウタ」を受け入れて、楽しみにしてくださって、すごく嬉しかったです。
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リリース情報
アルバム『ウタの歌 ONE PIECE FILM RED』
2022/8/10 RELEASE
<通常盤(CD)>
TYCT-60200 1,980円(tax in.)
<初回限定盤(CD+DVD)>
TYCT-69245 2,970円(tax in.)
(C) 尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
【Ado LIVE TOUR 2022-2023「蜃気楼」】
2022年12月2日(金)神奈川・KT Zepp Yokohama
2022年12月8日(木)福岡・Zepp Fukuoka
2022年12月14日(水)北海道・Zepp Sapporo
2022年12月17日(土)東京・Zepp Haneda (TOKYO)
2022年12月18日(日)東京・Zepp Haneda (TOKYO)
2022年12月21日(水)愛知・Zepp Nagoya
2022年12月22日(木)愛知・Zepp Nagoya
2022年12月26日(月)大阪・Zepp Osaka Bayside
2023年1月10日(火)東京・Zepp Haneda (TOKYO)
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