Special
<インタビュー>水曜日のカンパネラ・詩羽が語る“マインドギャル”の大事さ、ケンモチヒデフミが明かす“二代目”の印象
水曜日のカンパネラが今、大きな注目を集めている。
2022年5月25日にリリースした最新EP『ネオン』の収録曲「エジソン」が、キャッチーな振り付けで踊った動画とともにTikTokで人気となり、7月6日公開の“TikTok Weekly Top 20”では1位にランクイン。中毒性たっぷりのサウンドに乗せてユニークなリリックを歌う楽曲自体も、ヒット・チャートを駆け上がる勢いを見せている。
2013年にコムアイ(主演・歌唱)、ケンモチヒデフミ(作曲・編曲)、Dir.F(その他)の3人組ユニットとして始動した水曜日のカンパネラ。2021年にコムアイが脱退、二代目主演・歌唱担当として詩羽が加入。『ネオン』は新体制の活動がスタートして初のEPだ。
詩羽とケンモチヒデフミへのインタビューでは、新作について、今の水曜日のカンパネラを巡る状況やクリエイティブの意識についてなど、さまざまなトピックで話を聞いた。(Interview & Text:柴那典 / Photo:Shintaro Oki(fort)
詩羽加入の経緯と初ライブの手応え
――まず、詩羽さんが水曜日のカンパネラの二代目ヴォーカリストとして声がかかったときの最初の印象はどんな感じでした?
詩羽:Dir.FからインスタグラムでDMが来たんですけど、まあ最初は不審に思って(笑)。事務所とか人物とかいろいろ調べてお会いしたんですけれど、初めて会ったときは私がどういう人間かを聞いてくる感じでしたね。で、お会いしてから3回目のときに水曜日のカンパネラの話があったんですけど、そのときには「やりまーす」くらいな感じでフラットに答えました。
――そのタイミングで即決できた理由は?
詩羽:もともと深く考えるというよりは、なんでもとりあえずやってみようというタイプではあったので。「ちょっと考えさせてください」とかじゃなく「とりあえずいけるっしょ!」って感じでした(笑)。お返事をした段階ではなんの想像もつかないし、何もわからないけど、「水曜日のカンパネラに自分がなるのか」くらいの気持ちでしたね。
――詩羽さんが水曜日のカンパネラのクリエイティブや発信に自分なりの主張や色が入ったと感じたのはいつぐらいの頃ですか?
詩羽:最初はアーティスト写真を撮ったときですね。もともと自分のヴィジュアルは好きなようにしたいという思いがあったので。その段階で背景の色とか洋服とかには意見をさせてもらいました。
――その意識は加入以前からの活動とつながっているんでしょうか?
詩羽:そうですね。もともとフリーランスでモデルをやっていて、自分のヴィジュアルに自己肯定感だったり、発信したい言葉や思いを合わせてインスタグラムで発信していたので。水曜日のカンパネラになっても、私は自分のヴィジュアルや持っている思いは変えたくないっていう主張を最初にさせてもらっていて。その通りに一番いい方向に進みましたね。
――ケンモチさんが詩羽さんと最初に出会ったときの第一印象はどんな感じでしたか?
ケンモチ:ヴィジュアルだけ見ていたときは「この子はけっこう尖ってそうだな」と思っていて。でも、実際に会ってみたら、ニコニコ笑ってむちゃくちゃ気さくに喋ってくれて。この尖ってそうなヴィジュアルとのギャップにみんなやられそうだなっていう印象を最初に感じました。で、上がってくるアー写のイメージとかミュージック・ビデオとかを見るたびに「こういう表情もあったんだ」みたいな発見がすごく多くて。僕らがどうコントロールしようとしてもできないものなので、そこはすごく印象的でしたね。
――詩羽さんは声もすごくいいし、歌の表現力もとてもあると思います。
詩羽:ありがとうございます。
――もともとシンガーとしてやっていこうという意識はどれくらいありましたか?
詩羽:もともとはゼロです(笑)。歌手になるっていう夢は自分の中にまったくなかったです。高校生のときに軽音楽部でギター・ヴォーカルでバンドをしていたんですよ。そのときにステージに立つとか、人から注目を浴びることは経験していて。でも、卒業するときに、趣味で音楽はやるけど、それ以上深入りはしないでおこうと思って、私の中で終わらせたんです。結局、なんやかんやで自分が音楽の道に入ることになって。向いてるかどうかは正直、自分ではあまりわからないですけど、楽しいと思えている時点で向いているのかなって思いますね。
――最初にライブをやったときはどんな感じでした?
詩羽:最初は渋谷のパルコの屋上でやらせてもらったんですけど、前にも横にも後ろにもお客さんがいるという特殊な状態のステージで。最初の2~3曲くらいは緊張して声も全然出てなかったんですけど、だんだん慣れたら楽しい感情が自然に勝っていって。「楽しい!」っていう感情でその日のライブは終えました。
ケンモチ:最初のライブのときは、さすがにこれは重荷だろうと思って「緊張してる? 大丈夫だよ」って言おうとしたら、ケロッと「たぶんやれば大丈夫だと思うんで!」と言っていて。「なんちゅう子だろう、頼もしいな」って思ってました。その後もライブをやるごとに感想を聞いたら「だんだん楽しくなってきてます」みたいなことを言ってくれていて。コムアイのときも、うまく歌うこととか音楽を見せることに注視しすぎるよりも、演者がステージでめちゃめちゃ楽しそうにしている状態が最高、みたいな話をしていて。詩羽はそこを引き継げているのかなって感じがしましたね。歌声とか音楽性とかがちょっと違ったとしても、それで水曜日のカンパネラのイメージが担保される気がしました。
――ヴォーカリストが詩羽さんになり、ライブを重ねてきたことで、ケンモチさんが楽曲を制作するにあたってのイメージも変わりましたか?
ケンモチ:そうですね。最初の頃は新曲が「アリス」と「バッキンガム」しかなかったので、昔の曲を引っ張りながらやっていたんですけれど、ちょっとずつライブのセトリが変わっていって。『ネオン』を作っている段階でも、後半に作った曲ほど「詩羽で行くぞ!」っていうような今のモードの新しい曲調に変わってきてはいるので。ツアーを経てさらにそれがブーストされそうな気はしています。
“ネオン”に込めた想い
――『ネオン』というEPのタイトルは詩羽さんが決めたんですよね。これはどういう意味合いがこもっているんですか?
詩羽:EPを作るからタイトル決めておいてねって感じで、二人にポーンと投げられて。ちょうどそのとき、ネオン・サインが気になっていたんです。特に理由もなかったですけど、純粋に気になっていて。で、その頃は夜何時までしかお店が営業しちゃいけないとかで、渋谷でもお店の電気が消えたり、実際にお店とかもどんどんつぶれてしまっている時期で。あとは、簡易的に作れるものが増えてきたことで、ネオン管の職人さんが減っていったりもしていて。自分が気になっていたネオンが時代に合った言葉だなっていうのがあったので、そのネオンという言葉についてもっと調べていくと、ラテン語で“新しい”という意味が込められているらしくって。自分が今、水曜日のカンパネラ、二代目ヴォーカリストとして活動していることにもぴったりな言葉かもしれないなと思って、それで『ネオン』に決めました。
――『ネオン』を聴いた印象としては、ポップさと押しの強さが絶妙にマッチしていて、そのイメージはジャケットのアートワークにも共通しているように思います。これはどう作っていったんでしょう?
詩羽:これは、『ネオン』っていうテーマを決めてから写真のイメージを重ねていったんです。銀のシートや後ろの透明なシートで光の反射する感じを出したかったり。で、一番のポイントは、なんか変な違和感がある画像にしたいというのがあって。髪型だったり服だったり、ポーズも違和感のある絵にしました。
――収録曲で言うと、まず「エジソン」が最近になってTikTokで使われていますよね。この曲はどんなインスピレーションから作っていったんでしょう?
ケンモチ:シンプルに開始0秒で歌が始まって、A~B構成にしたかったんですよ。あとはハウスの曲にしたいなって。ポップな曲にしたいなとは思ってましたけれど、TikTokで狙ってバズらせようとかはまったくそんなに思っていなくて。
水曜日のカンパネラ『エジソン』
――詩羽さんとしては、TikTokでみんながこの曲で踊ってる今の状況をどんなふうに捉えていますか?
詩羽:「踊ってるなあー!」って感じ(笑)。私、もともとTikTokやってなかったんです。でも、今回は私もダンスを投稿して参加してみて。まだ全然TikTokは勉強不足なんですけど、何があるかわからないなっていうのは思いますね。
――詩羽さんはもともとインスタをメインに使っていた?
詩羽:そうですね。私の世代はインスタとTikTokが混ざっている感じで、もっと下の世代になるとTikTokが強いと思うんですけど、20代前半だと使っている人と使っていない人と半分に分かれるくらい。私は使っていない側だったので、意外と身近じゃなくて。だから勉強してます(笑)。
ケンモチ:ほんと、勉強ですよね。こういうふうに曲って流行っていくんだって紐解けつつ……いや、全然紐解けてないんですけど。TikTokで「エジソン」が踊られるようになったのも、最初に僕らが曲を出した時期じゃなくて、EPを出したちょっと後くらいなので、こっち側でコントロールして流行っているわけではないんですよ。何かのタイミングで偶然とかいろんな要素が重なって、こうやって火が点いていくんだって。
――TikTokのバズの生まれ方はわからないことだらけですね。
詩羽:わからないですね。「そうなんだ」って感じで見ています。でも、TikTokのコメントとか見ていると、水カンを全然知らない世代、「桃太郎」も知らないっていう世代もいて。世代が変わってきているんだなって思いましたね。
――「招き猫」も「エジソン」と同時期の曲ですが、これはどういうモチーフだったんですか?
ケンモチ:「バッキンガム」とか「エジソン」とかは、リフレインを心地よくさせるみたいなところに注力していて。「招き猫」は上下に起伏があるメロディで、速いパッセージに言葉をハメていく曲にしたいと思ってました。そのメロディ・ラインと“招き猫が経営コンサルだったら”っていう設定を上手く組み合わせて印象に残せたらいいかなって。そうしたらライブで詩羽が<招き招き招き招き>とか<祓い祓い祓い祓い>の部分に手の振りを付けてくれていて。あ、こういうふうになるんだなって、ライブを見ながら感心した覚えがあります。
水曜日のカンパネラ『招き猫』
詩羽:誰でもできる振りだし、ライブで最後の曲に持ってくることが多いのもあって、みんな手を挙げて、一緒に盛り上がってくれて。最後に猫も入ってくるので、みんなでワーってなって、なんかめでたいっていうか(笑)。曲に合った感じで、招いて招いて終わるっていうのがいいなって思います。
――「織姫」で、織姫がギャルになっているっていうアイディアもケンモチさんの発案ですよね。曲を作るにあたって、モチーフやアイディアを詩羽さんと話したりもしますか?
ケンモチ:そうですね。最初に曲名となる人物名の題材は詩羽にいろいろ考えてもらうようにしていて。それで何人か候補もあったんですけど、七夕の曲ってあまりないなと思ったので、「織姫」にしようって。それで七夕の話を読み直したときに「1年に1回しか会わないんだ、超遠距離だな」と思って。今はコロナ禍で会えないカップルとかもいたりしますけど、遠距離恋愛のカップルにありがちなことって、会わないうちに趣味が激変している人もいるだろうなって思うので、こういう歌詞になりました。
水曜日のカンパネラ『織姫』
――詩羽さんとしては、ギャルのイメージってどんな感じですか?
詩羽:自分の同世代の友達とは「やっぱマインドギャルだよね」って言ったりしてます。心がギャルっていうのがなんだかんだで一番大事だし、みんながハッピーでいられるんじゃないのかなっていう。「いいじゃん!」「やば! めっちゃ最高じゃん」「かわいい!」とか、なんでもポジティブに反応するのが、私たちからしたらマインドギャルというもので。そのほうが生きやすいですよね。自分もそうだと思うし、マインドギャルな友達が多いので。これを歌うにしても「ギャルってどんなんだろ?」って壁にぶつかるよりは「いいじゃん!」っていうテンションで歌ったっていう感じです。
――「卑弥呼」に関してはどうですか?
ケンモチ:これも最初に卑弥呼というお題をもらって、はてはて卑弥呼とはどんな人だったっけなって見直したときに、天候の予言をしたり、鹿の骨を焼いて割れた破片を見て占う骨占いを得意としていた、と。なるほど、そういう人だったら、現代だと朝の情報番組のニュースキャスターがぴったりだなと思って、曲にしました。
水曜日のカンパネラ『卑弥呼』
――サウンドに関してはどうでしょう?
ケンモチ:ハイパーポップみたいにロック的なアプローチでクラブ・ミュージックをやりたいなと思って。コムアイのときはここまで歪んだ音はあまり使わないようにしていたんですけど、今はもうちょっと凶暴で強烈なポップさを出してもいいなと思って、こういう曲調になりました。「織姫」も「卑弥呼」も詩羽だからできる感じですね。『ネオン』のジャケットみたいな、このヴィジュアルとこのポップ・アイコン感だから、こういうサウンドが似合うんだと思います。
同世代をつなぐポジティブなマインド
――6月から7月にかけては【水曜日のカンパネラ対バンツアー2022 ~Neo poem~】も開催されます。対バンの相手は新しい学校のリーダーズ、ヤユヨ、戦慄かなの、MANON、SennaRin、夜の本気ダンス、ぜったくん、むぎ(猫)という全8組で、これは詩羽さんが声をかける相手を提案したと聞いたんですけど。
詩羽:そうですね。
――どういうセレクトで声をかけた感じでしょうか。
詩羽:私の友達だったり、同世代のアーティストとか、今自分が気になっている方、学生の頃に自分が軽音楽部でコピーしていたバンドだったり、そういう方たちをセレクトしてお願いさせてもらいました。
――同世代の友達というのは?
詩羽:私と同い年なのは福岡のMANONちゃん。岡山のSennaRinちゃんとか、新しい学校のリーダーズもほとんど年齢が同じで。特にMANONちゃんとかSennaRinちゃんは、個人的にも遊んでいる友達だったんですけど、せっかくなら一緒に何かやりたいなっていう気持ちでお願いしました。
――詩羽さんの周りにいる同世代の人たちって、それぞれいろんなジャンルや形で活動していても、なにかしら共通しているポイントがあるんじゃないかと思うんですけれど。そのあたりはどうでしょう?
詩羽:みんな頑張ってるっていうのが一番大きいかもしれないです。どんな分野でも、YouTuberやってる友達とか、女優さんを目指していたり、モデルを目指していたり、MANONちゃんやSennaRinちゃんみたいに私とは違う道だけど音楽をやってる人もそうだけど、やっぱり頑張ってる人じゃないとリスペクトできないじゃないですか。それがあるからこそ仲良くいられるし。共通の話題があるかっていったら、みんな好きなものが全く同じわけじゃないけど、頑張ってる友達はみんな好きだし、みんな応援したくなる。だから仲がいいんだと思います。
――アーティストだけじゃなく、クリエイターや普通の友達も含めて、こういう考え方やセンスの人は自分と合う、というのはありますか?
詩羽:考え方としては、人のことを貶さない人。他人に対してリスペクトを持てない人が私は好きじゃなくて。基本、みんな相手に対してリスペクトを持っていてほしいし、驕り高ぶらないタイプが私は好きだし、そういう人こそ尊敬できると思いますね。
――そういう考え方って、最初におっしゃっていた自己肯定感が一つの大事な思いとしてあるということとつながっているんじゃないかと思うんですけれど。そういう考え方が自分の中で育っていったのは?
詩羽:もともと自分のことを嫌いで、自己肯定感が低かった時期が中学から高校1~2年くらいまであって。でも、高校3年生ぐらいから、自分のことを変えてあげられる、自分のことを助けてあげられるのは自分自身だなって思うようになって、自分のことを助けてあげるのは自分だって私は決めたので。それで見た目を変えたり、ファッションや髪型も自分のスタイルを見つけるようになりました。それからは自己肯定感が高いほうが生きやすいなって純粋に思ったんです。で、SNSを見ていても世の中に生きにくい人ってたくさんいるなって思うんですけど、そういう人たちに自分ができることって、無理に押し付けることではなく「私もこうだからあんたもいけるよ」ってアピールすることかなと思って。だから、フリーランスでモデルをやっていたときから、SNSで自分の写真にこんな見た目でもいけるよって、ビジュアルに言葉を添えて発信するようになりました。
――それが結果として、同じタイプの人が周りに集まって、同世代でつながっていく感じになったんじゃないかと思うんですがどうでしょう?
詩羽:けっこう友達も同じマインドの人が多いんですよ。「私たち今日も可愛いわ!」「あんたたちも最高だね!」っていう。だから、ほんとにマイナスが少ない。基本、否定する必要ってないなと思っているので。意識していたわけじゃないけど、自然とそういう人たちが周りに増えていると思います。
――対バンツアーを通して、そういう人たちと各地で一緒にやることで得られることもありそうですね。
詩羽:そうですね。各地でいろんなアーティストの方たちと一緒にやりたいなって企画もしたりしているので。向こうの持っているパワーと、こっちの持っているパワーで、めちゃめちゃ楽しいパワーを共有して。来てくれたみんなが「最近、毎日楽しいかもな」って思ってくれるようにパワーを送りたいです。
2022年6月22日-8月3日『Neo poem』ツアー告知映像
――ちなみに、この対バンツアーの面々とはまた別に、ここ最近で詩羽さんが好きな人やハマっている音楽を挙げるならばどうでしょう?
詩羽:カネコアヤノさんが好きです。優しいけど、ちゃんと尖っていて、人間味があって、パワーがあるなって思うんです。去年の武道館も普通にチケットを買って行ったんですけど、パワーがすごくて。アンコールでみんなが立ち上がって、泣きながら手を叩いたりしているのを見て「これがアーティストだな!」って、ズーンって自分の中にすごく響いて。私もそれを観て、ほんとにパワーのあるアーティストになりたいなって思いました。
――最後に、この先の水曜日のカンパネラの野望、やってみたいことにはどんなことがありますか?
詩羽:海外には早く行って、ちゃんと世界に発信していきたいと思っています。私、プライベートでも海外に行ったことが一度もなくて。だから、海外に行ける状況になったら、今の段階で何が通用しなくて、何が通用するのかを身に染みて感じるためにも、海外には早く行きたいなって思っています。
――ケンモチさんとしてはどうでしょう? 水曜日のカンパネラの楽曲が海外も含めたリスナーに広がっていくイメージとして、どんな展望を持っていますか?
ケンモチ:そうだなあ。まず、ここ1年くらいで聴いた音楽で言うと、僕としてはK-POP第四世代の楽曲とかミュージック・ビデオが今、とてつもないことになっているなと思っていまして。たとえばNMIXXの「O.O」というデビュー曲は、いろんなパートがつながってメドレーみたいになっている曲で。あとは、去年に出たIVEの「ELEVEN」もめちゃくちゃクオリティが高くて、すさまじくポップで。こういうグローバルで売れるもので、わかりやすいものが作れるっていいなと思ったりしています。ちょっと前は「わかりにくいもののほうがかっこいい」って癖が残っていて、ポップに振り切りすぎることがダサいと思う時期があったんです。でも、水曜日のカンパネラが今の新しい体制になったのもあるし、時代の流れを見ていてもアンニュイにせず、ポップでかっこいいものを世界に出すのが一番いいなって思います。日本の人もそうだし、世界のリスナーもわかりづらいものにはイライラしてきてるんじゃないかなって。コロナ禍の2年間を経て、バキッとエンタメとして面白いものを求める風潮になっているんじゃないかなと思って。それを世界に持っていけたら、日本人としても勝機があるんじゃないかなって気はしています。
関連商品