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<インタビュー>ミュージカル俳優・海宝直人がこよなく愛するアラン・メンケンそして【ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ】について



海宝直人インタビュー

 ディズニー映画、ミュージカルから生まれた名曲、ヒット曲を実際にブロードウェイの舞台でディズニー作品を演じてきた俳優が歌う公演【ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ】が4年ぶりに日本で行われる。今年で3度目の公演となるが、前回出演したキシー・シモンズとジョシュ・ストリックランドに加えて、カーラ・リンゼイとマイケル・ジェームズ・スコットが新たに加わり、そして、前2回と同様に日本からのゲストということで、海宝直人が出演する。

 海宝直人は、7歳からミュージカルの舞台で活躍し続けているが、初舞台が『美女と野獣』であり、その後も『ライオン・キング』『アラジン』『ノートルダムの鐘』など、数多くのディズニー作品に出演。また、ウォルト・ディズニー・レコードから名曲を歌ったアルバム『I wish, I want』をリリースしている。

 そして、世界中をツアーしている【ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ】だが、今回は、『美女と野獣』などディズニー作品の音楽を多く手掛けている作曲家のアラン・メンケンが特別に出演。第一幕で彼のパフォーマンスを楽しむことができる構成となっている。

 そんなアラン・メンケンの音楽をこよなく愛する海宝直人に彼の音楽について、また、このコンサートの魅力、見どころなど、いろいろうかがった。

――前2回のコンサートにも出演されていますが、いかがでしたか?

海宝直人:出演者のみなさんは、ディズニー・ミュージカルに主演されている方で、本当に素晴らしい歌声なんです。リハーサルもですが、本番でスイッチが入ると、さらにパフォーマンスで観客を楽しませようとするエンターテイナーとしての思いが一層強まるので、それが強烈な記憶として残っていますね。本音を言うと、あまりにみなさんが素晴らしすぎて、ステージに出ていくのが怖いくらいでした(笑)。でも、それは、反対に幸せなことでもあります。あんなに素晴らしい方たちとご一緒できて。さらに今回はアラン・メンケンさんもいらっしゃるということで、僕は彼の楽曲で育ってきましたので、彼のパフォーマンスが見られるのもすごく大きな楽しみになっています。

――彼とは【D23 EXPO JAPAN 2018】の際にご一緒していますよね。何か交流は?

海宝:僕にとって神ですからね、アラン・メンケンさんは。そんな親しく交流なんてできませんよ。今回もどうしようという感じで、きっと緊張するんでしょうね(笑)。

――そんな神の作品のなかで、あえて好きな作品、楽曲を挙げるとすると?

海宝:『ノートルダムの鐘』は、思い出の多い作品です。なかでも「サムデイ」という楽曲は、アニメーション映画ではエンドロールでしか流れないのですが、ミュージカルでは本編に組み込まれていて、この作品のテーマそのものだと思うので好きですね。アラン・メンケンさんのインタビューを読んでも、彼にとって『ノートルダムの鐘』は、“マスターピース”だと語っておられて、その思いを作品から感じ取ることもできるんですよね。

――『ノートルダムの鐘』への思い、なぜこの作品が好きなのか、もう少しお話しいただけますか?

海宝:作品の持つメッセージがとにかく素晴らしく、また舞台の演出も秀逸なんです。今の時代、たとえば『アラジン』などは最新テクノロジーを駆使して全てのセットを無線で動かせるようになっているんですが、『ノートルダムの鐘』では全てを人が動かす演出になっています。舞台で1枚なにかを羽織るだけでキャラクターが変わったり、反対に脱ぐことでキャラクターから抜け出したり。古典的な演技方法を徹底的に追及することが、作品のテーマを生かすために最も効果的な手法なのだと思います。そして、そういう選択をあえてしていること。さらにアニメーションではハッピーエンドで終わっているけれど、舞台ではあえて(ヴィクトル・)ユーゴーの原作どおりに描いているところも好きですね。

――もう少しアラン・メンケンについて聞かせてください。彼の音楽の魅力は、どこにあると思われますか?

海宝:とても耳に残るというか、音楽を勉強していない方でも1回聴いたら、そのまま帰り路で口ずさめる。そのシンプルさの一方で、すごく繊細にキャラクターだったり、作品の世界観だったりを描いているんですよね。そのバランスが唯一無二、他にはない魅力だと思います。たとえば、『美女と野獣』のタイトル曲とかも全部で5つの音が続くシンプルな構成なのに、あの奥行きの深さ、あの表現力は、どうやって作曲しているんだろうって思いますね。さらに歌っていて感じるのは、キャラクターと音楽がすごく一致しているので、役者が音楽とキャラクターのすり合わせをする必要がなく、より緻密に演じることができます。そういうところにアラン・メンケンのすごさを感じます。なので、舞台で歌っていると、苦しい曲は、本当に胸が苦しくなるし、悲しい曲は、本当に悲しいんです。

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――【ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ】の魅力について教えていただけますか?

海宝:魅力はいろいろあるのですが、まずコンサートであっても、まるで舞台のような感覚で作り上げているので、演出がしっかりしているんですよね。ヒット曲を並べて、複数の出演者が入れ替わり登場して、歌ってははけるという内容ではないし、また、主役級の人たちがコーラスを担うこともあります。演出面ではビジュアルでも楽しめるような仕掛けがいっぱい用意されていますし、何よりも観客を巻き込んでいくスタイルなので、今はまだ一緒に歌うことはできませんが、手拍子で参加してもらうなど、演者と観客のコミュニケーションがすごく大事にされています。

――そこがまたディズニーならでは、という感じがしますね。他にもこんな点に注目してみて、というところはありますか?

海宝:そうですね。主役級の演者がコーラスで参加するのはすごく贅沢なところですし、出演者の立場からすると、ミュージカルの舞台では当然その役を背負って歌うことになりますが、それとはまたちょっと違う空気感でみなさん歌っているというか。舞台だったら一緒に手拍子することはないですし、観客と演者が目を合わせるということもないですよね。さらに前回ではジョシュ・ストリックランドさんが『アイーダ』の曲を歌うなど、男性が女性キャラクターの歌を歌うこともできます。

――役を背負うことなく歌える楽しみが演者側にはあるということでしょうか?

海宝:コンサートなので、1曲、1曲をエンターテインしていく、という感覚が強いかと思います。サウンド面を見ても、ミュージカルではどれだけ生々しさを出すかに腐心するので、リヴァーヴもできる限り薄くして、歌がセリフの延長で聴こえるような工夫をしますが、コンサートでは響きを意識したサウンド作りをすることができます。なので、自ずと演者の表現が違ってくると思います。たとえば、彼らの出演作をブロードウェイで観たことがあるという方も同じ曲をこの【ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ】で聴くと、きっと違いを感じたりすると思うんですよね。そこがおもしろみ、楽しみのひとつだと思います。

――そこは楽しみですね。演出は、今回もジェフ・リーが担当していますか?

海宝:はい、そうです。このシリーズにおいて彼の存在はとても大きいですね。彼が明確なヴィジョンをもって作りあげているコンサートなので。僕がジェフ・リーさんと初めてお会いしたのは、子役時代の『ライオン・キング』でした。その時に彼の演出を見ているので、このコンサートでも舞台を作っていく感覚で取り組んでいるんだろうな、というのがわかるんですよね。

――それらを踏まえて、今回出演する意気込み、心境をお聞かせいただけますか?

海宝:前回の出演からしばらく経っていて、その間ひとつでも成長したいという思いで時間を過ごしてきましたので、その頑張ってきた全てを注ぎ込めたらなと思っています。何度も言っていますが、みなさん本当に素晴らしいパフォーマンスをされますので、僕も生半可な気持ちでは歌えないと思っています。

――そうでした、肝心なことを。歌う曲はすでに決まっていますか?

海宝:それがまだちょっとわかっていないんですよね。誰よりも僕が早く知りたい(笑)。ちょっとでも早く練習を始めたいので……。

――今言われた前回からの時間の中で舞台、ライブ以外にWOWOWのトーク番組『海宝直人のMr.Musical』もされていますが、いかがですか? 何か影響を受けていることとかありますか?

海宝:いろいろな方と話すなかで、ミュージカルの奥深さをますます感じています。今ではラップの作品があって、R&Bナンバーがミュージカルになるのも当たり前になっています。ミュージカルというジャンルが可能性を広げて、どんどん多様化されていることが本当におもしろいなと。次はどんなアプローチの作品が生まれてくるのか、ますます楽しみになっています。また、役者同志で話すことを映像をとおして視聴者と共有することができるのが新しいというか、うれしいことだと思っています。自分自身の勉強にもなっていますね。

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

海宝:ディズニー作品は、老若男女に愛されているので、このコンサートは、いろいろな方とディズニー愛を共有できる場所になり、会場全体が幸せな空気に包まれるのがまず特別だと思っています。そして、同じ作品であってもアニメーションにはなくて、ミュージカルでは歌われる、よりエモーショナルに響く楽曲があります。ディズニーは、好きだけれど、それほどミュージカルは、観たことはないという方も新たな魅力の発見があるかと思います。ぜひぜひ大勢のみなさんにご覧いただきたいと思っています。お待ちしております。

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