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【特集】全米・全英No.1アーティストが<THE FIRST TAKE>に初登場、ハリー・スタイルズってどんな人?
21世紀最大のボーイズバンドと呼んでも過言ではないワン・ダイレクションの中でも、一位・二位を争う人気メンバーだったハリー・スタイルズ。グループ活動休止後は、ソロシンガーとしてその地位をモノにしている。そんな世界のスーパースターが人気YouTubeシリーズ<THE FIRST TAKE>に登場するというビッグニュースが入ってきた。最新アルバム『ハリーズ・ハウス』が世界で大ヒット中の彼が日本独自の人気企画に登場する前に、今一度、そのキャリアを振り返ってみよう。
最強ボーイズグループからグラミーアーティストへ
ハリー・スタイルズは、1994年2月1日のイギリス生まれ。16歳のときにオーディション番組『Xファクター』に参加したハリーは、同じ参加者のルイ・トムリンソン、リアム・ペイン、ナイル・ホーラン、ゼイン・マリクとワン・ダイレクション(通称1D)として本選に進出。優勝は逃したものの、回を重ねるごとに人気が高まり、2011年9月にデビューを掴んだ。
▲サイモン・コーウェル(右から3番目)と1D
(C) WireImage
そのデビュー曲「ホワット・メイクス・ユー・ビューティフル」は全英チャート1位・米ビルボードチャートで最高2位を獲得し、デビュー・アルバム『アップ・オール・ナイト』はUK出身のグループでは初めての全米初登場1位に輝く。その後、『テイク・ミー・ホーム』(2012)、『ミッドナイト・メモリーズ』(2013)、『フォー』(2014)、『メイド・イン・ザ・A.M.』(2015)とコンスタントに作品をリリースし、そのどれもが大ヒットを記録する世紀のモンスター・グループに成長していった。
当時、世界がどれほど彼らに熱狂していたかは、『ワン・ダイレクション THIS IS US』や『ONE DIRECTION“Where We Are”コンサート・フィルム』といったライブ映画で確認することができる。
日本でも1Dブームの熱は非常に高く、3rdアルバムのシングルカット曲「ストーリー・オブ・マイ・ライフ」がドコモのTV-CMに起用されたり(本人たちも出演)、前述の映画公開に合わせてレッドカーペット・イベントが行われたり、京セラドーム2日間&さいたまスーパーアリーナ4日間という大型ツアーで20万人を動員したりと、幅広い年齢層から存在を知られる海外アーティストの代表になっていった。
2015年3月のゼイン・マリクの脱退とグループ活動休止のニュースは世界中に衝撃を与えたものの、現在も続く休止期間中もメンバー間の交流は変わらず続いているようで、ハリーは毎年デビュー記念日になるとファンに向けて感謝のコメントを綴っている。自身のソロ・コンサートでも絶対と言っていいほど「ホワット・メイクス・ユー・ビューティフル」を歌っており、ソロで成功していながらも決して1Dと決別したわけではないと、ファンは安心していることだろう。
そして、1D時代から噂されていたソロ活動は2017年4月にスタート。デビュー・シングル「サイン・オブ・ザ・タイムズ」や1stソロ・アルバム『ハリー・スタイルズ』は、フォークやサイケ、インディー・ロックなど、1D時代から想像できないサウンド路線でファンや批評家を驚かせ、セールス・評価ともに大成功を収めた。
より大衆的な楽曲が並ぶ2ndアルバム『ファイン・ライン』(2019)は、前作を大幅に上回る初週セールスを記録して、20か国以上で1位を記録。そのアルバムから、TikTokでも人気を集めた「ウォーターメロン・シュガー」は、1Dでも成し遂げられなかった全米シングル1位&【第63回グラミー賞】で<最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス賞>獲得と、ハリーの代表曲になった。
そして、コロナ禍で世界がストップした2020年から作り始めたという最新アルバム『ハリーズ・ハウス』は、現在グローバル・ヒット中。米ビルボードでは今年最大の週間ユニット数を叩きだして3作連続初登場1位を記録し、1stシングル「アズ・イット・ワズ」は通算5度目の全米1位と、自身最大ヒットを飛ばしている。アルバムのリリース効果を受けて、アルバム収録曲4曲が同時トップ10入りしたが、これはドレイク(9曲)、ジュース・ワールド(5曲)、ザ・ビートルズ(5曲)に続く快挙だ。
日本大好き
2013年1月に初来日したハリーは、好きな国のひとつに日本を挙げている(来日中は「ガンバリマース!」を連呼していた)。日本好き公言は、お世辞でもなんでもないようで、落ち着きと礼儀に溢れた国柄に惹かれて、2018年の年末から数か月間、日本に滞在し、クリエイティブ面を養ったと『エレンの部屋』やインタビューで明かしている。
ヘッドライナーを務めた今年の【コーチェラ】では、東京・青山の風景がバックスクリーンに流れて、日本のファンが歓喜したことも記憶に新しい。極めつきは最新アルバム。タイトルは細野晴臣の1973年の作品『HOSONO HOUSE』から取り、収録曲「リトル・フリーク」は東京のホテルで制作されたことが語られ、日本とハリーの結びつきが現在進行形であることがわかる。
演技もお手の物
2017年には、『ダークナイト』三部作や『TENET テネット』など、日本でもファンが多いクリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』で俳優デビュー。オーディションを勝ち抜き(監督はハリーのことは“聞いたことがある”程度しか知らなかったとのこと)、出演シーンは決して多くはないものの、主要キャラクターのストーリーに絡むしっかりとした役柄を演じた。今年はホラーサスペンス『Don't Worry Darling(原題)』と同性愛を描いた『My Policeman(原題)』の2作の公開が控えており、どちらも主要キャスト。前者は現在の恋人と報道されている女優オリヴィア・ワイルドがメガホンを取っている。
人生のスローガン“人にやさしく”
自身の恋愛を赤裸々に綴った2ndアルバムには、“人にはやさしさを持って接すること(Treat People With Kindness)”というメッセージが込められた同名曲が収録。1stソロ・ツアーの頃からハリーは他人を思う行動をファンに呼びかけており、ファンも賛同。この“TPWK精神”は、藤井 風の“HELP EVER HURT NEVER(常に助け、決して傷つけない)”“LOVE ALL SERVE ALL(すべてを愛し、すべてに仕える)”とどこか相通ずるものがないだろうか。
TPWK以外にも、ハリーはLGBTQ支援やダイバーシティの浸透、ウクライナ情勢に揺れる現在はステージで平和を訴えたり、5月にアメリカで起きた銃乱射事件を受けて、銃犯罪をなくすための寄付と銃規制に対する声明を発表したりと、人々が自分らしく、より良い生活を送ることを気遣う姿に支持が集まっている。
<THE FIRST TAKE>に初登場
そして、6月13日22:00に控える<THE FIRST TAKE>も見逃せない。これまでにLiSA「紅蓮華」やDISH//「猫」といった大ヒット・コンテンツを生んできたこのシリーズには、ペンタトニックス(with Little Glee Monster)、2PMのJun.K、Stray Kids、TOMORROW X TOGETHERといった海外組も登場していたが、UK出身アーティストそして全編英語曲の歌唱はハリーが初めて。はたしてどの曲を披露してくれるのか。そして、視聴者にいったいどんな言葉をかけるのか。正真正銘のワールドクラスのアーティストによる貴重なパフォーマンスに胸が膨らむばかりだ。
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