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Billboard Japan 2022年上半期チャート発表、Aimerが【JAPAN HOT 100】/SixTONESが【HOT Albums】/YOASOBIが【Artist 100】首位に




 【ビルボードジャパン 上半期チャート2022】が決定。タイアップによる相乗効果でヒットした楽曲に加えて、ノンタイアップながら、TikTokやYouTubeをきっかけにロングヒットを果たしたニューカマーの躍進も見られる半年間となった。

 本特集では総合ソング・チャート【JAPAN HOT 100】、総合アルバム・チャート【HOT Albums】、さらに【JAPAN HOT 100】と【HOT Albums】のポイントを合算したアーティスト・チャート【Artist 100】や、2021年12月より新たに発表が開始された【TikTok Weekly Top 20】などを解説とともに発表する。

※集計期間:2021年11月29日(月)~2022年5月29日(日)

JAPAN HOT 100

Aimer「残響散歌」大型タイアップのプレッシャーを乗り越え総合首位に

 2022年上半期Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で、Aimerの「残響散歌」が総合首位を獲得した。

 「残響散歌」は、2021年12月5日から22年2月13日まで放送されたテレビアニメ『鬼滅の刃』遊郭編のオープニング・テーマとして、12月6日に先行配信された。Chart insight plusを用いた下図のとおり、ダウンロードとストリーミングが先行するかたちでポイントを積み上げ首位を獲得した。視聴率を合算した棒グラフで表示しているとおり、当楽曲が露出した地上波番組は、遊郭編に加え、情報・ワイドショー系『めざましテレビ』『王様のブランチ』『THE TIME,』などがあり、継続的な露出を維持。そして2月上旬に『ミュージックステーション』と『CDTV ライブ!ライブ!』のライブ露出がダメ押しとなり、ポイントを継続的に積み上げた。これにより、上半期チャートではラジオ、ダウンロード、動画再生の3指標で1位となり3冠を獲得、ウィークリーチャートでは通算9回の首位を獲得し、2位以下に大差をつけて上半期総合首位に立った。


「残響散歌」Aimer


 総合2位に就いた優里「ベテルギウス」は、フジテレビ系ドラマ『SUPER RICH』の主題歌だ。2022年の上半期では、昨年の年間 “JAPAN HOT 100”総合首位となった、自身の楽曲「ドライフラワー」越えを果たすか注目の展開となった。前項と同じようにChart insight plusを用いて比較すると、ドラマタイアップ期間(棒グラフが水色の期間)中に「ベテルギウス」がデジタル解禁され、トータルポイントを大きく伸ばしたことが分かる。一方の「ドライフラワー」は12月の年間首位が後押しして、12月一杯は好調を維持したが、その後ポイントはゆっくりと下落傾向に。「ベテルギウス」は1月末に発売されたファースト・アルバム『壱』のプロモ露出効果もあり、2月一杯好調を維持。ストリーミング1位、ダウンロード7位となった2指標が牽引して上半期期間でのポイントを高止まりさせ、「ドライフラワー」越えを果たして、上半期総合2位という結果となった。地上波番組の露出効果としては、前項の情報系番組に加え、『Nスタ』でもコンスタントに露出しており、その効果も大きかった。


「ベテルギウス」優里


「ドライフラワー」優里

 King Gnuはトップ10に2曲を送り込み「一途」が総合3位、「逆夢」が総合6位を獲得。ポスト『鬼滅』とされ、2021年12月24日に劇場公開されたアニメ映画『劇場版 呪術廻戦 0』の主題歌とエンディング・テーマに起用されており、それぞれ12月10日、12月24日に先行配信された。このリリース時期のずれと、12月29日に発売されたシングルのセールスとルックアップのポイントが合算ルールにより「一途」のポイントとなったことにより、両楽曲のポイント差がついている。

 これらに対し、ニューカマーの躍進も今年度上半期の大きな特徴だ。代表格のマカロニえんぴつ「なんでもないよ、」(総合5位)、Saucy Dog「シンデレラボーイ」(総合7位)、Tani Yuuki「W/X/Y」(総合17位)はいずれもノンタイアップだが、TikTokから火が付き、ストリーミングが上昇、その後ダウンロードなど他指標を伸ばす展開でロングヒットとなっている。例として取り上げたChart insight plusにおける「シンデレラボーイ」の図にあるように、興味深いのは、地上波番組でのピックアップがほとんど無いことだ。これがニューカマーたるゆえんとも言えるのだが、すでにストリーミングで注目度が上がっているのにもかかわらず、ピックアップが後手に回るのは、地上波TV側の機会損失に繋がっているようにも見えてしまう。

 このように、大型タイアップによる相乗効果が効果を上げてビッグヒットに繋がった楽曲と、ノンタイアップながらビッグヒットとなったニューカマーによる楽曲が混在した2022年上半期。既存のアプローチではアクセスできないマーケットの急速な広がりを感じさせる、非常に興味深いチャート結果となっている。


「シンデレラボーイ」Saucy Dog


Text by 礒崎誠二

  • 2022年上半期Billboard JAPAN総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”
  • #1
    残響散歌
    Aimer
  • #2
    ベテルギウス
    優里
  • #3
    一途
    King Gnu
  • #4
    ドライフラワー
    優里
  • #5
    なんでもないよ、
    マカロニえんぴつ
  • #6
    逆夢
    King Gnu
  • #7
    シンデレラボーイ
    Saucy Dog
  • #8
    水平線
    back number
  • #9
    Butter
    BTS
  • #10
    Cry Baby
    Official髭男dism


Aimer
インタビュー抜粋

「たくさんの方にこの曲を聴いていただけて、ただただ嬉しいです。これからもまだまだ音楽を追求して経験した事のないステージに立ち続けたいですし、聴いて下さる一人ひとりの方へ、この声が出る限り歌を届け続けたいです。」ーーAimer

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HOT Albums

SixTONESが『CITY』で2年連続で総合AL首位 Ado/乃木坂46が続く

 2022年度上半期の総合アルバム・チャート“HOT Albums”で、SixTONESの『CITY』が首位を獲得した。

 SiXTONESのセカンド・アルバムであり、2022年1月5日にリリースされた同作は、初週に472,954枚を売り上げてCDセールス1位、そしてPC等によるCD読み取り回数を示すルックアップでも1位と、フィジカル関連の2指標で首位を獲得した。その後、CDセールスは順位を落としていったが、ルックアップは5月中旬までトップ10圏内と上位をキープし続けた。また、CDセールスも順位は落としたと言えども、50位以上をキープしている。結果的に上半期累計では、562,717枚でCDセールスとルックアップで共に1位を獲得した。



▲ 「SixTONES – 2ndアルバム “CITY” nonSTop digeST」


 総合2位にチャートインしたのはAdoの1stアルバム『狂言』。2021年に大ヒットした「うっせぇわ」を含む全14曲が収録された本作は上半期累計でCDセールスが242,033枚で4位、ルックアップが3位、そしてダウンロード数33,221DLで2位を記録した。こちらもCDセールスは順位を落としていっているが、ルックアップ指標ではリリース以降トップ10圏内をキープし続けている。また、ダウンロード指標ではリリースから4週連続で首位を獲得しているほか、通算14週でトップ10入りを果たすロングヒットとなっている。



▲ 「うっせぇわ」MV / Ado


 総合3位には乃木坂46の『Time flies』がCDセールス2位、ルックアップ20位、ダウンロード19位を記録してチャートインしている。デビュー10周年を記念した初のベスト・アルバムである本作は2021年12月15日にリリースされ、初週で281,946枚を売り上げてCDセールス1位、ルックアップ2位、そしてダウンロード数2,179DLと3指標で好スタートを切っていた。

 『CITY』『Time flies』に次いでCDセールスで3位を記録したのはJO1の『KIZUNA』で、総合では5位にチャートインした。一方、ダウンロード指標では、YOASOBIの『THE BOOK 2』がダウンロード数37,670DLで1位を記録していて、総合では4位にチャートインしている。『THE BOOK 2』『狂言』に続くダウンロード3位には宇多田ヒカル『BADモード』(28,765DL)がチャートイン。同作は2022年1月19日に配信が開始され、同26日公開の“Download Albums”で1位に初登場し、その後、2月23日にCDが発売されると再びダウンロードでも順位を上げた。『BADモード』は上半期累計でCDセールス143,403枚を売り上げて12位、ルックアップでも9位を記録していて、ダウンロードと合わさる形で総合6位にチャートインしている。

Text by Haruki Saito

  • 2022年上半期Billboard JAPAN総合アルバム・チャート“HOT Albums”
  • #1
    CITY
    SixTONES
  • #2
    狂言
    Ado
  • #3
    Time flies
    乃木坂46
  • #4
    THE BOOK 2
    YOASOBI
  • #5
    KIZUNA
    JO1
  • #6
    BADモード
    宇多田ヒカル
  • #7
    LOVE ALL SERVE ALL
    藤井 風
  • #8
    Mixed Juice
    ジャニーズWEST
  • #9
    Mr.Children 2015-2021 & NOW
    Mr.Children
  • #10
    Mr.Children 2011-2015
    Mr.Children


SixTONES ジェシー
コメント

「僕たちのアルバム『CITY』が1位になったと伺い、本当にうれしい気持ちでいっぱいです。ありがとうございます!『CITY』というアルバムは“街”や“時間”などをコンセプトとしたアルバムで、ファーストアルバムとはまた違ったSixTONESの魅力が詰まった、面白い作品になっていると思います。SixTONESとして頑張ってきた音楽が、こうして評価頂ける事は非常に光栄な事ですし、同時に今後もより一層の努力をしていきたい、という気持ちの引き締めにもなりました。これからも、もっともっと多くの人たちにSixTONESの音楽を届けられるよう、頑張っていきたいと思います!」ーーSixTONES・ジェシー

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Artist 100

YOASOBI、昨年度総合首位逸の雪辱を果たす

 2022年上半期Billboard JAPANトップ・アーティスト・チャート“Artist 100”で、YOASOBIが総合首位を獲得した。

 昨年度年間では下半期でBTSに逆転されたYOASOBIだったが、“HOT 100”に8曲、“HOT Albums”に2タイトルをチャートイン。ストリーミング1位、ダウンロード3位、動画再生6位、CD 12位、ラジオ21位、Twitter 18位、カラオケ6位と、特にストリーミングとダウンロードが牽引し、総合首位となった。これら8指標のうち、Chart insight plusを用いた下図のとおり、“HOT 100”におけるストリーミング指標推移と当アーティスト楽曲が露出された地上波番組の視聴率合算棒グラフが近似していることがわかる。上半期で最も視聴率合算が高かった2021年12月6日週の、高視聴率(≒露出効果が高かった)番組トップ3は『新・情報7daysニュースキャスター』『シューイチ』『ニュースウォッチ9』で、ストリーミング・ポイントもピークとなった。


YOASOBI


 同じように総合2位となった優里も見てみよう。“HOT 100”には5曲、“HOT Albums”には1タイトルがチャートイン。カラオケ1位、ストリーミング2位、ダウンロード5位、動画再生8位、CD 27位、ラジオ45位、Twitter 36位と、YOASOBI同様ストリーミングとダウンロードが牽引していることに加え、カラオケ指標が総合順位を押し上げている。一方、Chart insight plusのストリーミング推移をみると、YOASOBIとは異なり、今年2月以降のストリーミング推移と視聴率合算グラフが近似しなくなっている。最もストリーミング・ポイントが高かったのは22年1月10日週で、今年度上半期期間における露出番組の合算視聴率では第3位の週にあたる。その週で視聴率が高かった番組トップ3は『シューイチ』『ミュージックステーション2時間SP』『めざましテレビ(1月13日放送回)』だった。


優里


 “HOT 100”同様、複数曲のチャートインが上位入りの必須条件である“Artist 100”でも、ニューカマーの健闘が目立ち、総合6位にAdo、7位にVaundy、11位にSaucy Dog、12位にマカロニえんぴつ、13位に藤井 風、19位にBE:FIRSTが並んでいる。本人露出が少ないAdoとVaundyのChart insight plusにおけるストリーミング図をみると、ストリーミング推移と視聴率合算棒グラフが近似していることが明らかだ。また、Adoの楽曲は週ごとに継続的に使用されているためにストリーミングのポイントをコンスタントに上げているが、Vaundyは断続的な使用に留まり、それがストリーミング・ポイントの増減の大きさの一因となっている。最もストリーミング・ポイントと視聴率合算が高い週は双方とも一致し、Adoは1月24日週で、トップ3は『シューイチ』『ドクターホワイト(Ado主題歌起用)』『Nスタ』、Vaundyは2月21日週で『シューイチ』『めざましテレビ(2月21日放送回)』『ZIP!(2月21日放送回)』だった。


Ado


Vaundy

 以上のことから、地上波における楽曲の露出がプロモーション効果としては有効であることが分かった。本人の露出は必ずしも必要ではなく、かつ音楽番組での露出である必要もないが、継続的な露出がアーティストの認知を広げ、ファンダムの活性化に繋がる傾向にあるようだ。ただし、一方の反例として、優里のストリーミング推移が番組露出との相関を外れてきていることから、地上波露出がビッグヒットのための絶対条件ではないことも示しており、認知を広げる新たなサイクルが生まれつつあることも確かだろう。そして、そのサイクルをキャッチすることが、昔ほどの訴求力が無くなったと言われて久しい地上波の活性化に繋がることを翻って示しているとも言えるだろう。

Text by 礒崎誠二

  • 2022年上半期Billboard JAPANアーティスト・チャート“Artist 100”
  • #1
    YOASOBI
  • #2
    優里
  • #3
    BTS
  • #4
    King Gnu
  • #5
    Official髭男dism
  • #6
    Ado
  • #7
    Vaundy
  • #8
    back number
  • #9
    あいみょん
  • #10
    Aimer


YOASOBI
インタビュー抜粋

「めちゃくちゃ嬉しいです。去年は上半期で首位だったけど、年間では2位ですごく悔しかったので。この半年間で音源のリリースは「ミスター」だけなので、びっくり嬉しいみたいな感じです。今までに比べると、みんながYOASOBIに触れてくれる機会は決して多いわけではなかったし、そんななかでもたくさん聴いてくれたというのは本当に嬉しいなと。」ーーYOASOBI・Ayase

「私も驚き嬉しいって感じで。アルバムのチャートを見ると今でも『THE BOOK』も『THE BOOK 2』も入っていて、たくさんの方に長く聴いていただいているんだなという実感があって、嬉しい気持ちでいっぱいです。」ーーYOASOBI・ikura

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