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<インタビュー>ジャック・ハーロウが語るリル・ナズ・Xとの共演/新作の豪華コラボから受けた刺激、“真実”を語ることの重要性

インタビュー

 ジャック・ハーロウが全世界待望の2ndアルバム『Come Home the Kids Miss You』をリリースした。Billboard JAPANでは、彼がリル・ナズ・Xと共演した【第64回グラミー賞授賞式】の数日後、新作のリリースを間近に控えたタイミングでインタビューを実施。先行シングル「First Class」の全米1位獲得やグラミー賞の華々しいステージなど、急速にスターダムを駆け上がる彼の1年間について、そして、ドレイクやファレルら豪華アーティストたちが参加した新作や今後の展望について、話を訊いた。

ーー【メット・ガラ】は楽しめましたか?

ジャック・ハーロウ:楽しかった。普段よりちょっと夜更かしすることになったけど、今はもう元気だよ。

ーーソロとして初の全米1位獲得、リル・ナズ・Xとの【グラミー賞】でのパフォーマンスなど、今年に入ってすでに多くの功績を残していますが、過去1年間で「こんなことが起こるなんて信じられない」と思った瞬間は?

ジャック:正直、数え切れないほどある。カニエとのこと、ドレイクとのこと、2曲目の全米1位。リル・ナズ・Xとの「インダストリー・ベイビー」で初めて1位を獲得してからまだ数か月しか経っていない。すべてがうまい具合に軌道に乗っているけど、それは頑張りのおかげだと思う。とても喜ばしいことだし、常にフォーカスしていて、もっと様々なものを手にしたいと思っている。

ーー【グラミー賞】でのパフォーマンスは貴重な体験になったと思いますが、どんな想いを持ってリル・ナズ・Xとの共演に臨みましたか?

ジャック:リル・ナズ・Xには本当に感謝している。自分を呼んでくれなくてもよかったわけだし、彼が出演すれば(主催者も)満足だったろうし。特に意識していたのは、出演パートで存在感を発揮することだった。彼と一緒にステージに立つのはものすごくタフなことだよ。彼は根っからのエンターテイナーで、ラウドで、パワフルで、アイコニックな存在だから、自分の存在をきっちり示さなければと考えながら挑んだよ。

ーー彼とのコラボは、その後のあなたの作品にどのようなインスピレーションをもたらしましたか?

ジャック:最もインスパイアされたのは、曲を一緒にパフォーマンスしたことだった。あれは完全にアリーナ向きの曲で、自分の音楽の多くはとてもインティメイトな内容だから、もっとビッグな曲を作ろうという刺激を受けたね。



▲LIL NAS X & JACK HARLOW「Dead Right Now」、「MONTERO (Call Me By Your Name)」、「Industry Baby」


ーーそして数日後には、ニュー・アルバム『Come Home the Kids Miss You』がリリースされますが、今の心境は?(※インタビュー実施はリリース前)

ジャック:興奮している。クレイジーなほど高揚しているよ。準備はできているし、世界に聴いてもらうのが待ち切れない。音楽にすべてを語ってほしいんだ。

ーーたしかに、新作についてあまり多くをシェアしていない印象ですね。

ジャック:自分が好きなアーティストの多くはサプライズの要素を持っている。それに初めて(一気に)聴くほうがエキサイティングだよね。おそらくツイートはこれまで以上にしているけれど、内容に関してはほとんどベールに包まれたまま。それはみんなに一つの作品として聴いて欲しいからなんだ。

ーー今作を制作するうえで掲げていた目標はありますか?

ジャック:今回のほうが実際のプロセスに関わっていた気がする。音楽のサウンド、プロダクション面の微調整をかなり行ったし、自分のソング・ライティングを高めようとしたんだ。どれだけ作品のことを気にかけているかを世界に見せたかった。今作を通じて、自分の音楽性のレベルをさらに引き上げることに成功したと感じているよ。

ーー制作期間はどれぐらいかかりましたか?

ジャック:1年ちょっとかな。

ーーパンデミック中も制作に取り掛かっていたんですね。

ジャック:どちらかというとそれは前作かな。パンデミックの始まりと終わりが正確にいつとも言えないし。

ーーたしかにそうですね。デビュー作のときに比べ、今作に対する期待度はかなり高いと思いますがプレッシャーは?

ジャック:感じているのは興奮だけだよ。

ーープレッシャーはまったくない?

ジャック:普段から自分自身にはめちゃめちゃプレッシャーをかけているよ。

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ーーアルバムからは「Nail Tech」と「First Class」が先行リリースされていて、後者ではファーギーの「Glamorous」をクレバーにサンプリングしていますね。

ジャック:子供の頃からファーギーのことが大好きだったから、彼女の曲をサンプリングするのに相応しい瞬間を待っていたんだ。そして2022年がまさにそのときで、人々が聴きたいと思っているときだと感じたんだ。



▲「Nail Tech」MV


▲「First Class」MV


ーー数時間前にはアルバムにドレイク、ファレル、ジャスティン・ティンバーレイク、リル・ウェインが参加していることが発表されましたが、コラボレーターにはどのようなことを求めますか?

ジャック:作品にこだわりを持っていること、そして、きちんと成果を出してくれること。どうでもいいと思っている人には参加してほしくないよね。

ーー全員あなたの先輩で、中には憧れの存在もいますよね。

ジャック:自然な流れだった。そのことに後から気づいて、レジェンドしか参加してないじゃないかって。

ーー彼らとのレコーディングで印象深かった思い出はありますか?

ジャック:全員あるけど、特にファレルとのレコーディングはすごく興奮した。自分が求めていた“ファレル・プロダクション”そのものを提供してくれたから。単にビートを提供してもらうのではなく完全なコラボにしたかったから、曲にも参加してもらっている。すごくエキサイティングだった。

ーーデュア・リパの名前を冠した曲についても教えてください。

ジャック:本人は参加していないけど、曲は聴いてもらった。気に入ってくれたみたいで、賛同してくれたよ。とても驚いていたけどね。曲に彼女の名前をつけたと伝えたら、最初はナーバスになっていたけど、曲を聴いたら「あぁいいじゃん」って。



▲「Dua Lipa」


ーーちなみにドリー・パートンとのコラボも噂があったようですが。

ジャック:今回は実現しなかったけど、まだまだ時間はあるし、いずれは実現させたいと思っているよ。

ーーなぜ彼女とコラボしたいと思ったのですか? お父さんがカントリー・ファンだと聞きました。

ジャック:そうなんだ。彼女の音楽を聴いて育ったし、とても才能があると思う。それに斬新なアイディアだよね。その情報がリークしたことが気にくわなかったんだけど、実は自分でうっかり喋っちゃってたみたいなんだ。みんなを驚かせたかったんだけど。

ーーアルバム収録曲で最も誇りに思っているのは?

ジャック:「Lil Secret」はとても気に入っている。すごく正直な曲だから。

ーーあなたの楽曲は正直でストレートな内容なものが多いですよね。

ジャック:それが自分にとっての要点であるような気がしている。そもそも音楽をやっている理由というか。真実味は自分の武器の一つだと思っていて、人々が「ジャック・ハーロウを際立たせているものは何か?」と訊いたら、自分が正直であるということが理由の一つなんだと思う。

ーーその衝動はどこからきているのだと思います?

ジャック:音楽は自分を理解してもらうため、自分を表現するためのツールだと感じていて、真実を語っているとき、自分が真実だとわかっている場所から表現できているほど、自分の音楽にワクワクする。リスナーもそれを求めていると思うんだ。そういうアーティストに人々は熱狂する。自分が好きなアーティストも全員、ありのままの姿を見せている。

ーーでは、アルバム・タイトル『Come Home the Kids Miss You』の意味について教えてください。

ジャック:このフレーズを自分の投稿のコメント欄で見るようになって、クールだなと思ったんだ。というのもアルバム制作中、地元のルイビルから離れて過ごすことが多かったから、自分の状況と重なるものがあってしっくりきたんだ。この音楽の時代をうまく要約しているタイトルになっている。

ーー地元へ向けた意味合いが大きいんですね。

ジャック:なるべくオープンに解釈してもらいたいと思っているけど、それがタイトルを正当化している理由の一部ではある。

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ーーあなたは音楽界に自分の名を刻むことに意欲的です。今作のリリースを受けて、自分のヒップホップ界における立ち位置はどのように変化すると思いますか?

ジャック:自分がこれからもずっとシーンに残り続けるというのは否定できないことだ。長いあいだ、良質な音楽を提供し続ける存在で、今後もずっとチェックするべき存在だと知ってもらえると思う。

ーーヒップホップの普遍性やタイムレスな作品に仕上げることついてはどう感じていますか?

ジャック:大半はプロダクションにかかっていて、タイムレスであるべきだし、同時にリリックの中身も重要だ。必ずしも深い内容である必要はないと思ってる。リアルで偽りがなければいい。曲というのは、ある特定の瞬間を捉えたものであり、それを巧みにできればタイムレスになりうる。自分の曲には今後どのように熟成するのか興味深いものもあるけど、20年後にもその魅力を保ち続けるとわかっている曲もある。それはすごくいい気分だよ。

ーー今でも愛聴している鉄板のヒップホップ盤は?

ジャック:カニエの『レイト・レジストレーション』。自分のサウンドに多大な影響を与えたし、特に最初の5曲はアルバムのサウンドを方向づけていて、よく参考にしている。自分の新作でも、最初の5曲で作品のサウンドの雰囲気を決定づけているんだけど、これは『レイト・レジストレーション』にインスパイアされたものだ。それにいいストーリーがたくさん詰まっている。みんな忘れがちなのは、(ヒップホップは)ストリーテラーのためのスポーツだということ。勝ち上がっていくには、よりいいストーリーを語らなければならない。カニエは、このアルバムで素晴らしい物語を語ったと思うね。

ーーそして彼の最新作『Donda 2』では、収録曲「Louie Bags」にフィーチャーすることになりました。

ジャック:まさに夢が叶ったという感じだよ。彼は背中を押してくれる存在で、「もっとだ、もっと、もっとハードに、もっとハードに書け」って言ってくれた。

ーーカニエやドレイク、エミネムなど憧れの人に会った際に、あなたのほうからアドバイスを求めることは?

ジャック:彼らの好きな音楽や曲作りについて訊いたり、ストレートに「あなたから見て、よりいいアーティストになるために自分はどうすればいいですか?」「どうすればさらにレベルを上げることができますか?」と正直に訊くんだ。相手が真摯に話してくれるというのは本当に光栄なこと。その答えを聞く機会は誰にでも与えられるものではないから。

ーーあなたが才能を磨くことにオープンだからこそ、彼らも親身になってくれるのかもしれないですね。

ジャック:その考え方は好きだね。彼らにも共感できる部分があるのかもしれない。似ているタイプなのかも。

ーーヒップホップ以外のジャンルも取り入れていくことに興味はありますか?

ジャック:何に対してもオープンでいたいと思っている。自分を特定のカテゴリーに押し込めたくない。だから可能性はあると思うよ。

ーー少し話を変えて、TikTokとの付き合い方についても聞かせてください。現在の音楽業界に与える影響は多大で、あなたのブレイク曲「Whats Poppin」をチャートやメインストリームへと押し上げるきっかけにもなりました。

ジャック:興味深いよね。今は何が流行っているかはキッズが教えてくれる。それが気に入らないというアーティストたちもいるけど、時代は常に変化している。iTunesが登場したとき、それに反対したアーティストもいたけど、iTunesはすぐさま不可欠な存在となった。自分は無理にバズらせることはしないけど、曲に合わせてちょっと踊るぐらいだったら全然やるよ(笑)。曲の良し悪しはリスナーが教えてくれると思うんだ。

ーーアルゴリズムなどは関係なく、曲が良ければ自然とバズるという感覚でしょうか?

ジャック:あぁ、自分にはそう見えているよ。



▲「Whats Poppin」MV


ーーわかりました。新作を引っさげたツアーも楽しみですね。

ジャック:マジで楽しみにしてる!

ーーコロナの影響でツアーをできない期間も長かったですし。

ジャック:去年の秋にツアーをやったけど、やはり新曲があるのとないのとでは全然違うんだ。もうすでにパフォーマンスするのが飽きてきている曲もあるから、早く新曲がプレイしたい。ライブで披露することを想定して制作した新曲もいくつかあるから、ステージ映えすると思うしね。

ーー日本でもライブが観れることを楽しみにしています。

ジャック:そう祈っている。

ーーちなみに、これまで日本に来たことはありますか?

ジャック:ないんだ。アジア自体に行ったことがないから。でもアジアに行くとなったら、必ず日本にも行くよ。

ーー音楽以外の話題では、銀幕デビューを飾ることも決定しています。

ジャック:そう、『White Men Can't Jump』という映画のリメイクに主演する予定で、すごく楽しみにしている。次のステップを踏むのを心待ちにしているんだ。演技は絶対にできると信じてきたことで、すでに準備を始めている。とても情熱を注いでいるプロジェクトなんだ。

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