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<インタビュー>JASPĘR、マルチクリエイターとして総指揮を取る新プロジェクト「Despair to Hope」とは



 解放感に満ち溢れたポップなフューチャーベースのナンバー「Hello」がTikTokトレンドおすすめや人気急上昇、Spotifyバイラルチャート上位選出を果たしたTikTok発のアーティスト・JASPĘRが、3月から作詞とミュージックビデオの監督を自身で手がける3か月連続リリースプロジェクト「Despair to Hope」を始動した。その記念すべき第1弾は、まさにメロウな音色が心に染み渡る、目が見えない女の子を主人公にした「Mellow」。そして、続く第2弾となったのは、大切な人が突然亡くなるショックな出来事がラウドミュージックに昇華されている「Firefly」だ。

 JASPĘRは、これまで‟苦しみの中にいる人たちの支えになりたい”というコンセプトをもとに無機質なオートチューンのかかった歌声とエレクトロ要素のあるチルサウンドから自身の世界観を確立してきた。一方で、「Firefly」は、バンド編成での演出になったミュージックビデオも含めて、JASPĘRの既存イメージを大胆に覆すほどの仕上がり。

 Billboard JAPANでは、「Hello」の配信リリースインタビューをおこなって以来、2度目のインタビューとなった今回。「Firefly」を中心に3か月連続リリースの企画についてJASPĘRに話を訊いた。

“絶望を希望に”ー新プロジェクト「Despair to Hope」とはー

――「Hello」の配信リリースインタビュー以来となりますが、まずは、3か月連続リリースプロジェクト「Despair to Hope」のコンセプトから教えてください。

JASPĘR:絶望を希望に、というのがコンセプトです。自分がJASPĘRとして伝えたい想いをまとめたいなと思って今回このプロジェクトを作りました。

――3曲ともジャンルが分かれているそうですね。

JASPĘR:いろんな絶望からの希望を伝えたくて、それぞれジャンルを分けた感じです。

――JASPĘRさんの楽曲はその時々のご自身の心境が反映されているとのことでしたが、今回の3曲についても同様ですか?

JASPĘR:そうですね。割とこのプロジェクトに入る前の自分の心境だったり今伝えたい想いをまとめました。


▲「Mellow」ミュージックビデオ

――第1弾はこれまでのJASPĘRさんの楽曲のイメージにつながる「Mellow」。そして第2弾の「Firefly」は、突然のラウドミュージック。これまでのJASPĘRさんの柔らかいイメージを打ち破るような曲で、サウンド的にも視覚的にも衝撃的でした。前回のインタビューでは、いつかラウド系をやりたいとお話されていましたが、まさかこんなに早く実現するとは(笑)。

JASPĘR:そうですね。スパンが短すぎましたね(笑)。前回もお伝えしたと思うんですけど、僕は最初海外でラウド系のバンドだったり、ちょっと激しめなロックの曲をずっと聴いてきて。そこからギターを始めて音楽にのめり込んでいきました。なので、このタイミングで僕の原点に立ち返って曲を作りたい想いが強かったんです。このプロジェクトの中でも、「Firefly」は特にJASPĘRそのままだなって思っています。

――さらにミュージックビデオはバンド編成での演出になっています。

JASPĘR:僕は本当にすごいバンドが好きで、今までもバンドをやってきました。この曲に関しては、ひとりよりかは、今までやってきたバンドとして見られたかったので、バンド編成にしました。

――バンドでボーカルを担当するのは初めてですか?

JASPĘR:はい。もともとずっとバンドでもギターを弾いていたので。

――アーティスト活動を開始した時期が昨年の8月と考えると、とても早い段階でのイメージ転換ですよね。

JASPĘR:そうですね。多分聴いてくれた方は驚いちゃうかもしれないです。ただそれ以上に、これが本当の僕なんだよって伝えたかったんです。

――そうなんですね。「Firefly」はどのような心境をもとにしてできあがったんですか?

JASPĘR:どの曲にも割と自分の実体験が入っているんです。でも、特に今回の「Firefly」は一番自分の出来事とリンクしていて。実は昨年、僕の大切な人が突然亡くなっちゃったんです。そのときの心境だったり想いとかをこの曲に詰め込んだ感じです。

――激しめのサウンドだからこそ、絶望という感情がリアルに伝わってきました。

JASPĘR:音楽で僕のやりたかったジャンルが今回一番伝えたかったメッセージと合っていたので、激しめの曲になりました。

――ちなみに「Firefly」は蛍という意味だと思いますが、その曲名にした理由は何だったんですか?

JASPĘR:そうですね。蛍って暗闇で光っていてパッと見たら、突然消えちゃったりするじゃないですか。そんな蛍の姿は、今回の曲で表現している突然消えちゃう命とリンクしていると思ったんです。

――なるほど。

JASPĘR:蛍の儚い感じとかをイメージしながら曲を膨らませていきました。

――ミュージックビデオはどのように作っていったんでしょうか。

JASPĘR:バンドシーンの背景だったり世界観だったりを一つひとつ作ってもらっている人と打ち合わせしていったんですけど、キャストさんがほぼ演技未経験だったこともあって、キャストさんには僕が細かい指示を出したりしながらミュージックビデオを作っていきました。なかでも、煙草のシーンにはこだわりました。


▲「Firefly」ミュージックビデオ

――煙草はキーアイテムになっていましたね。

JASPĘR:大好きだった人が唯一残してくれたものを考えたとき、僕は物よりも匂いが残ると思っているんですけど、その中でも煙草が思い浮かんだんです。例えば、大好きだった人がずっと煙草を吸っていて、その人が急に亡くなっちゃったあと、他から煙草の匂いがしてきたらその大好きだった人をすごい思い出すと思うんですよ。それで、ミュージックビデオも親友の唯一残してくれたものを前向きに引き継いでいくストーリーにしてみました。

――たしかに、ミュージックビデオでは最後、非喫煙者でこの先も生き続ける女の子が煙草を吸うシーンで終わっていましたもんね。自分のカラーを主張した「Firefly」は、JASPĘRさんのジャンルの幅の広さを改めて実感させてくれる1曲になったと思うんですが、例えばご自身のジャンルを表すとしたら何になるのでしょう。

JASPĘR:多分ジャンルはなくて。やっぱり僕にしか作れないジャンルというか。JASPĘRっていうジャンルを目標として曲を作っているのかもしれないですね。

――JASPĘRっていうジャンルを?

JASPĘR:はい。その時々で伝えたいメッセージを合いそうなジャンルに合わせて曲を作っていくので、そういった面ではジャンルがないとも言えるし僕だけのジャンルとも言えるかなって思います。

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――アーティストとして活動してきた期間で、気持ちの変化などはありますか?

JASPĘR:アーティスト活動をしていて、自分で歌詞を書くことはすごい重要な作業だなって感じるようになりました。歌詞を直接読むだけだとわからないかもしれない。でも、僕が歌詞に込めた想いをもし僕と同じように捉えてくれた人がいたらって考えると、作詞にはすごい魅力があるなって。あと、今回監督をしている中で思ったのは、自分が書いた歌詞は自分で映像化したほうが一番ストレートに伝わるんだなってことですね。

――どうしたら想いをいかに伝えることができるのかをいろんな視点から考えた上で「Firefly」が生まれたんですね。

JASPĘR:そうですね。

――第3弾もどんな楽曲になるのか、今から楽しみです。

JASPĘR:ありがとうございます。次の曲も全部自分が作詞してミュージックビデオも監督する曲になっています。今後は、他のアーティストさんのミュージックビデオも監督してみたいなと思っています。

――JASPĘRさんであれば、「Firefly」のように、それもすぐに実現してしまうのでしょうね。では、「Firefly」をリリースしたあとにどんな反応をもらえたら嬉しいですか?

JASPĘR:「Hello」とか普段あげているカバー動画とかから知ってくれたファンの方たちの中で、バンドをあまり聴かない子は多いのかなと思っているので、「Firefly」を通して「バンドってこんなかっこいいんだ」とかそういう反応をもらえたらすごい嬉しいです。

――今、曲を聴いてくれている人たちに新しい音楽を知ってもらおうと。

JASPĘR:そうですね。僕はバンドが好きなんだよっていうのも多少感じてくれたら嬉しいです。

――あとはラウドミュージックっていうところで音楽ファンの方たちも「Firefly」をきっかけにJASPĘRさんを知るかもしれませんね。

JASPĘR:それはそれですごい嬉しいですね。逆に「Firefly」を知ってくれた人たちが「Hello」とか「Mellow」とかを聴いてくれることで、「こんな曲もやっているんだ」って思ってくれたら嬉しいです。

――「Firefly」がJASPĘRさんの活動の中でのひとつの起爆剤になることを期待しています。

JASPĘR:「Firefly」は、スクリームとか入っていて今までのJASPĘRの印象とはだいぶ違うものになったので、スクリームいらないって言う人もいるかもしれないです。でも、僕としてはそれも感想の一つとして捉えるように考えています。賛否両論ある中で、僕の曲をすごい気に入ってくれたり共感してくれたりする人がひとりでもいてくださる限り、これからも曲作りをやっていく意味は自分にあるかなって。

――最後になりますが、JASPĘRさんが今実現したいと思っていることについて聞かせてください。

JASPĘR:はい。もともと僕はずっと音楽活動をしてきた中ですごいアニメが大好きで、いつかアニメのオープニングとかエンディングとかを担当するのがひとつの夢だったので、近々、それを実現できるようなアーティストにステップアップできたらいいなと思います。

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