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<インタビュー>NOA これまでのイメージを覆す新曲「It Ain't Over」の裏側に強力クリエイターそしてG-DRAGONの存在



NOAインタビュー

 日本語・英語・韓国語を巧みに扱い、ジャンルレスそしてボーダーレスな音楽発信を続けるNOAが新曲「It Ain’t Over」をリリースした。医療の資格と就職を保証する首都医校、大阪医専、名古屋医専の2022新TV-CMのために書き下ろした本曲は、これまでのNOAのアーティスト像を覆す、新しい楽曲だ。最注目ビートメイカーのKMをプロデューサーに迎え、BTSやStray Kidsの日本語作詞を手掛けるKM-MARKITとともに共作詞したことで、ソリッドでドープなサウンド、そして決意が感じられる歌詞が、ファン層の拡大を期待させる。

 自身にとっても“新しい挑戦”になったという最新曲について、22歳の誕生日に開催したファンミーティング【NOA SPECIAL FAN MEETING 2022】でつかんだもの、そして憧れの存在であるG-DRAGONが与えた影響などについて、話を聞いた。

――3月13日に行われた2年ぶりの有観客ファンミーティングはいかがでしたか?

NOA:やっぱり2年ぶりということで、どんな感じなんだろうって、正直あのステージに立つ前までは未知の世界でした。実際にファンの前に立ってみると、改めてアーティストとして大切なことに気づかされたというか。あと、(オーディエンスから)いただくエネルギーみたいなのもあって、僕も余韻がすごかったですね。

――普段パソコンで作られてる楽曲が当日は生バンドで演奏されていたので、配信で聞くのとは違う楽しみもありました。

NOA:アレンジも少し変えて工夫もしたので、僕もバンドと一緒にやれて、すごく楽しかったですね。バンドメンバーとパフォーマンスするのは3回目だったんですけど、仲が本当によくて、お互いにいろんなことをシェアしながら作っていったので、すごく楽しかったです。

――ステージからオーディエンスはどんなふうに見えましたか?

NOA:みんなの表情がもっと見たいっていう思いは正直ありました。でも、マスクをしてても、みんなニコニコしているのが見えるぐらい、楽しんでくれていたので、僕はそれだけで十分嬉しかったです。

――新曲「It Ain't Over」は、ファンも驚くような新しいNOAさんに出会える曲だと思います。過去の曲もキャッチーなものでしたが、今までと違う重低音が新鮮で、とてもカッコよかったです。

NOA:ありがとうございます。僕にとっても今回は新たなことに挑戦した1曲になりました。歌詞もトラックも、全て自分で作ったものですが、KMさんやKM MARKITさんの力を借りて、それをもっと大きなものにすることができました。制作しながら刺激をたくさん受けて、制作期間もずっと楽しかったので、お二人には感謝しかないです。

――歌詞も曲もベースはNOAさんが作られたんですね?

NOA:そうです。トラックから全部、最初に僕が作って、それをKMさんに送りました。KMさんがアレンジした一発目のデモを聞いたときは、カッコよすぎて何も言えず……。僕が作ったデモはKMさんにアレンジしていただいたものと少し雰囲気が違ったんです。そのギャップにびっくりしましたね。「あの曲がこんなふうになるんだ!」って。よりCMにぴったりな雰囲気に仕上がりました。

――お二人とは面識はあったんですか?

NOA:今回が初めてでした。でも、お二人の存在は知っていて、KMさんの音楽をずっと聞いてたので、僕の作品を通してどういったコラボレーションができるのかなって、一人のファンとして楽しみにしていました。KMさんとは「俺はこう進めるけどいい?」っていうような、意見のやり取りをさせてもらえて、たくさん勉強もさせてもらいました。またご一緒したいです。

――今回、首都医校、大阪医専、名古屋医専のCM用に書き下ろしされたとのことですが、どういったことをこの曲に込めようと思いましたか?

NOA:今のこの大変な状況のなか、未知の世界に挑むんじゃなくて、自分の目の前にある状況に進むことは、かなり決心のいることだと思うんです。「僕なりに伝えられるメッセージって何だろう?」って考えて、曲のタイトルにもなった“終わりなんてない”っていう言葉が答えとして思い浮かびました。今までは、少しでも誰かの背中を押せたらいいなっていう思いのもと、曲を書いてきたんですけど、今回は突き進むための、勢いを加速させるための何かを伝えたかったので、歌詞もアグレッシブな面から考えていきました。

 最初、ヴァースは一人の若者として社会や未来に立ち向かうときに感じる葛藤を軸に書いてたんですけど、少し後になってから、SNSがあるこの時代、意見を言うことに賛成や反対、批判が必ず付いてくるから、そういったことに対する意志の強さや覚悟を乗せたくなったんです。なので、前半は自分目線なんですけど、後半に向けて「みんな行くぞ!」みたいな感じを表したかったので、最後は“僕達”とか“We”っていう言葉に変えています。

――最初にカセットの音が入っていますが、これを入れた意図は?

NOA:ちょっとドラマチックにさせたかったというか、カセットのカチャっていう音と共に何かが始まる感じを表現したくて。最初の段階でこのカセット音は入れていて、KMさんも残したまま戻してくださったので、「このままでいこう!」と決心できました。最初、僕がボソボソっとしゃべってる部分もそのままで。あれも全然、意図的にやったんじゃなくて、レコーディング前の声ならしの時に、「さ、やるか」みたいな感じで独り言で言ったフレーズなんですよ。

――歌詞というよりも、パッと自然に出たものだから、歌詞には載ってないっていうことですね。ちなみに、そこは<You gotta say what you need, man.>で合っていますか?

NOA:そうです。思ってるものをちゃんと言おうっていう意味です。ほんとにこれはもう、何も考えずに、ふと出てきたワードでした。でも、あとから聞いて、曲とも合ってるし、これはこれでいいなと思って残しました。

――Dopeという単語がすごく似合う曲だと思います。歌っているときも、そういうアグレッシブでクールなムードで臨みましたか?

NOA:余裕もあるカッコよさをイメージしていました。ガツガツ行くよりかは、「もう余裕でしょ」みたいな、力みすぎない雰囲気を曲に持たせたかったんです。その雰囲気を出すために、自分の中に溜まっていたものを怒りに変えてみたり、ちょっとしたルードっぽさを意識しましたし、他のアーティストさんのそういう曲を聞いてインスピレーションを受けたりもしましたね。

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――普段は怒りを溜め込むタイプですか? それとも、ちゃんと発散するタイプですか?

NOA:そこまで怒るタイプではなくて、何事においても冷静さを保とうとは思ってます。その冷静さが余裕にもつながるでしょうし。なので、そういう余裕のある自分を目標にして、自分をそういう一人のキャラクターとしてこの曲を書きました。

――ミーゴスのような掛け声も入ってて、それも今までのNOAさんにはなかった部分だと思います。

NOA:これも全部アドリブで、最近はミーゴスみたいなアドリブを入れがちなんです(笑)。こういう曲だとアドリブでその曲のテンションが出せるので、最初はちょっとラフで力を抜いてるようなアドリブが終盤ではもっと強まったりしています。それも一つの表現だと考えて、取り入れてみました。

――ファンの方たちはNOAさんの新しいアーティストの一面が見えるこの曲を、どう受け取ると思いますか?

NOA:キャラクターで考えれば、最近だと「True Colors」の真逆だと思うので、そのインパクトが強いかもしれないですね。ただ、もっといろんな人たちにこの曲が伝わったらいいなと思っているので、そういった意味では、ダンスミュージックを聞いてる人やヒップホップ好きな方にも、スピーカーで大音量にして聞いてもらえたら嬉しいです。

――ミュージックビデオもカッコいい作品に仕上がっていそうですね(取材はMV公開前に実施)。

NOA:ミュージックビデオもアーティスト写真も、今回は全てにおいて、新たな挑戦というか、新たな一面を見せれたと思っています。そこはたぶん、ファンの皆さんもびっくりするんじゃないかなと。自分で言うのもアレですが、今回シーンごとに服装やセットを変えていて、それぞれ新しくて違う見せ方ができたと思っています。


――ステージではダンサーを連れてガッツリ踊るタイプも余裕のあるクールなダンスも、どちらも行けますね。

NOA:そうですね。それにダンサーの方々に、この曲でたくさん踊ってほしいっていう思いがすごくあります。僕の曲で踊っている映像をインスタとかでアップしてくれるダンサーさんたちをよく見ているので、この曲で踊ってくれるのを楽しみにしています。

――今回は“背中を押す”というよりは、“みんなで一緒に進んで行こう”というメッセージが込められた曲ですが、そういうゴールに向かって前を向いて歩いていけるような、肯定力を上げてくれた作品は今までありましたか?

NOA:いっぱいありますし、表向きにそう発信してない作品からでも、そういう部分をキャッチすることがあるんですけど、僕、ほんとにG-DRAGONさんが大好きで、自信が持てないときとか、ちょっと気分を上げたいときは、いつもG-DRAGONさんのライブ映像を見たり曲を聞いたりしていました。なので、G-DRAGONさんの音楽、ミュージックビデオ、映像からは、いつも肯定感を上げてもらってますね。G-DRAGONさんの、ああいう余裕があるカッコよさを研究するために、今回より一層聞いていました。映画だと『はじまりのうた』ですね。音楽の素晴らしさとか、観た後に「なにか作りたい」って絶対に思わせてくれる映画なので、ちょっと気持ちが沈んでるときは、この映画を観て気分を上げてます。

――この映画、人気ですよね。

NOA:音楽も素敵で、いつもテンションを上げてくれる映画です。自分がカッコいいって思うアーティストさんのミュージックビデオとかライブを観ると、こうなりたいとか、こういうことをしたいって影響されるので、気になるものは欠かさず見てるかもしれない。それこそファンミーティングの準備期間の間も、いろんなアーティストのライブ映像を見て研究していました。

――自分の中にある憧れを自分が表現するのは難しくなかったですか?

NOA:実は17~18歳のときは今より強気だったというか、それこそ「余裕っしょ」みたいな感じだったんです。それが年を取って、ちょっと落ち着いたので、そこを改めて思い出すというか、その時の自分を引っ張ってきました。全く感じたことのない感情でもないですし、この曲を書きながら、自分自身も変わったというか、自信がついた部分もあります。完成したミュージックビデオを見ても、自分の表情や表現の仕方に自信がついたのかなって、ちょっと感じましたね。

 「It Ain't Over」では、落ち着いてる自分よりも、立ち向かっていく覚悟がある自分を出したかったので、昔の自分と再会するじゃないですけど、自分を見直す機会になったので、制作自体がすごくいい経験になりました。

――今よりも強気だった時期は、ちょうど韓国で練習生だったときなので、クリエイティブで自信に満ちている人たちが周りに多くいる環境だったから、もっとアグレッシブな気持ちがあったのかもしれないんですね。

NOA:それもあると思います。いつも誰かと競争だったし、自分たちが一番になるっていう思いで、僕達グループはみんな結束していたので、それが当時の自分を作ってたのかなとも思いますね。友達曰く、今は落ち着いちゃったみたいです。でも、落ち着いたことで冷静にいろんなことを考えられるので、この曲を通して、当時の自分を呼び戻したとしても、今の自分は逆にそれをうまくコントロールできると思います。

――先ほどG-DRAGONの名前がちらっと出ましたが、NOAさんに多大な影響を与えたBIGBANGがカムバックするというニュースが出ていますよね。ファンとしてはどんな思いですか?

NOA:たしか、僕の2日後に新曲リリースですよね(4月5日に新曲「Still Life」が配信)。「やっと戻ってきてくれた!」っていう思いもありますし、すでに公開されている写真を見ると、BIGBANGの世界観だなって。どのアーティストさんもカムバックするってなると、「今の流行りはこういう音楽だから、こういう感じなんだろうな」って予想できたりするんですけど、BIGBANGはトレンドを作っていくので、全く予想ができなくて、どんな曲になるのかすごく楽しみだし、改めてそのすごさも感じてます。

――昨年の3か月連続リリースのインタビューでは、ブラック・アイド・ピーズのアルバム『ジ・エンド』(2009)やジェイ・Zの『マグナ・カルタ...ホーリー・グレイル』(2013)を聞き返しているとおっしゃっていましたが、ここ最近また掘り起こしてる作品はありますか?

NOA:最近はけっこう最新の曲を主に聞いてまして、「It Ain't Over」の研究もかねてラップやヒップホップを聞くことが多かったです。昔からずっと聞いてはいたんですけど、ランニングするときに聞く曲はここ最近ヒップホップばっかりなんですよね。そこに自分が求めてるものがあるのかなと思って。最新曲から昔の定番曲が混ざったSpotifyのヒップホップのプレイリストを聞きながら、「あ、この曲久しぶり!」って楽しんでます。

――日本でも、AwichやZORN、JP THE WAVYなど、ヒップホップやラップ界隈がすごく盛り上がってきてるので、今回の「It Ain't Over」で新しいリスナーに知ってもらえそうですね。

NOA:そうですね、同じエネルギーを持った方たちに届いてくれればって思います。

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