Billboard JAPAN


Special

<インタビュー>小池徹平&愛希れいか、【Sound Inn S meets billboard classics ミュージカルスターズ シンフォニーポップス コンサート】への意気込みを語る



インタビュー

 毎回一組のアーティストと、日本を代表する編曲家・ミュージシャン達が、その日限りのアレンジでセッションをし、上質なサウンドにこだわり続けている音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)が、シンフォニーとボーカリストの組合せで、やはり上質な音楽を響かせ、これまで多くの音楽ファンを魅了して来た「billboard classics」とのコラボレートが実現。それが【Sound Inn S meets billboard classics ミュージカルスターズ シンフォニーポップス コンサート】だ。小池徹平、佐藤隆紀(LE VELVETS)、愛希れいか、桜井玲香、東啓介というミュージカルスターが一堂に会し、東京フィルハーモニー交響楽団に、日本を代表するスタジオミュージシャンを加えた豪華なサウンドで、一夜限りのステージを創っていく。音楽監督に斎藤ネコを迎え、映画・ミュージカル・アニメーションの厳選ナンバーを美しく創造的なアレンジで魅せる。そんなコンサートの見どころ、意気込みを、出演者の中から小池徹平、愛希れいかに登場願い、音楽監督・斎藤ネコ、そして『Sound Inn S』のプロデューサであり、このステージのプロデュースも手掛けるTBSの服部英司と共に語ってもらった。

billboard×『Sound Inn S』の良さを生かしたコンサート

――このコンサートはどんなきっかけで始まった企画なのでしょうか?

服部英司:billboardの方々が『Sound Inn S』を観て下さっていて、興味を持ってくださっているという情報をキャッチして、昨年すぐに会いに行きました。「billboard classics」という、シンフォニーとボーカリストの組み合わせで多くの名コンサートを創っている確固たるブランドで、『Sound Inn S』は日本を代表する編曲家とミュージシャンがアーティストとセッションをする番組です。そのセッションにはストリングスやホーンセクションも欠かせない重要な部分なので、双方の良さをうまく組み合わせると、面白いエンタメが生まれるのでは? という発想から生まれたコンサートです。番組的には、シンフォニーとご一緒するというのはなかなか想像できないことなので、シンフォニーとよくお仕事をされている斎藤ネコさんに、音楽監督という形で参加していただきました。

――小池徹平さん、佐藤隆紀(LE VELVETS)さん、愛希れいかさん、桜井玲香さん、東啓介さんというミュージカルスターの共演という内容は、やはりシンフォニーといえば、というところからの発想なのでしょうか?

服部:そうですね。やっぱりシンフォニーがいて、大きいオーケストレーションを楽しむ、合うジャンルといえば、ステージミュージックや映画のサウンドトラックだと思いますので、チャレンジしてみようと思いました。まず「曲」というよりも「人」ありきで内容を考えて、今回5人の素敵なアーティストが出演してくださいますので、そこから「その人が何を歌いたいか?」「今届けるべき曲は?」というところを詰めていきました。それぞれの方が出演したミュージカルで披露した曲はもちろん、【ミス・サイゴン】とか【レ・ミゼラブル】のミュージカルといえばこの曲という超有名楽曲も、5人のアーティストに「実際に演じた経験がなくても歌っていただけますか?」という打診をして、快諾していただけました。

――ネコさんアレンジの曲もありますが、曲ごとに大御所から若手まで、色々なアレンジャーの方が参加していて、それをネコさんがまとめる感じですか?

服部:そうです。ネコさんにはアレンジャーのとりまとめ役と指揮をお願いしました。ネコさんからの提案で、服部克久さん、中村八大さん、宮川泰さん、前田憲男さんといった、日本の大衆音楽史を彩ったレジェンドの方々のスコアが残っている曲は、それを使おうということになりました。みなさん『Sound Inn S』ともゆかりが深く、残念ながら亡くなってしまいましたが、その譜面を通してこのコンサートに参加していただきます。

斎藤ネコ:『Sound Inn S』では数年前まで服部先生も、前田先生も指揮をしていて、私も勉強させていただきました。今回はそんな偉大な先人の方々からバトンを受け取ったような気持ちで臨みたいと思います。もちろん若手の方にもお願いをしていて、愛希さんの「私だけに」のアレンジをお願いした大嵜慶子さんは、今回のバンドメンバーでもあり、数々のミュージカルの音楽監督もされていて、小池さんが歌う「宇宙は見えるところまでしかない」のアレンジを担当している園田涼さんもバンドメンバーで、プレイヤーとしてポップスからミュージカル、フルオーケストラとの共演経験もあるので頼もしい存在です。私も愛希さんが歌う「On My Own」や、小池さんのナンバーでは「Soul of A Man」他のアレンジを担当させていただきました。

▲斎藤ネコ

――小池さんはこのメンバーでシンフォニーとコンサートをやると聞いた時は、最初どんな印象を持ちましたか?

小池徹平:今回ご一緒させていただくアーティストの方とは、ミュージカルでの共演経験はないのですが、逆に知らないからこそのワクワク感がすごくあります。

服部:ここ数年、こういう色々な方が集結して、色々な曲を歌うコンサートって増えていると思いますが、小池さんもそういうコンサートに出演されていますよね。

小池:そうですね。去年もミュージカル俳優のみなさんとトークライブとセッションを楽しむイベントに出演したり、こういうコンサートやイベントが増えていると思います。それぞれのファンの方も、それまで見たことがない役者の演技や歌、キャラクターに触れることで「あ、この人ってこんな素晴らしかったんだ」って新しい発見があったり、そういうことでみなさんの心がウキウキしてくれればなって思います。今回もすごく楽しみにしています。

愛希れいか:私もすごく楽しみです。

▲ブロードウェイミュージカル【キンキーブーツ】2019年公演より


披露予定の楽曲について

――お二人が歌う楽曲について聞かせていただいてもいいですか?

愛希:私は、「On My Own」と「私だけに」と、(桜井)玲香と「Journey to The Past」を一緒に歌わせていただきます。

――仲良しコラボですね。

愛希:玲香とは以前ミュージカル【フラッシュダンス】で共演させていただいて、親友役をやってそのまま親友になりました(笑)。今回も出演が決まってLINEでやりとりをして「なにがいい?」って相談しました。

――愛希さんというとやはりミュージカル【エリザベート】の「私だけに」ですが、愛希さんにとってこの曲はどんな存在ですか?

愛希:一番好きな曲で、一番難しい曲です。何万回練習してもうまくいかなくて、納得いったことが一度もありません。それくらい奥が深いんだと思い知らされています。実は今回この曲を歌うか歌わないかということを、すごく話し合いました。でも、やはりオーケストラの豪華な演奏でこの曲を歌いたいという気持ちであったり、その一方で、秋に【エリザベート】の再演が決まっているので、先に歌っていいのだろうか?とか。色々な感情が交じり合ってすごく悩みました。それと私、実はコンサートで歌う経験がこれまでにあまりなくて、1月に山崎育三郎さんのコンサート(【THIS IS IKU~CONGRATULATIONS~】)で歌わせていただい経験がほぼ初めてで、どちらかというと苦手意識が強いかもしれません。芝居があってこその歌だと思っているので、芝居の部分がなくなってしまうと“自分”として歌わなければいけないので、緊張してしまいます。だからアーティストさんってすごいなって思います。でもこういう機会もなかなかないですし、すごくメッセージ性も強い曲で勇気をもらえる曲だと思うので、歌おうと決めました。芝居の中で歌うのと全然違うと思います。

▲ミュージカル【エリザベート】/写真提供:東宝演劇部

斎藤:最初から歌手だって思って歌えば大丈夫です。

愛希:そうですね。頑張ります。

――【レミゼラブル】といえば「On My Own」も、愛希さんですね。

愛希:すごく緊張していますが、昔、ニューヨークにレッスンに行った時にすごく練習した曲なんですが、ちょっとドキドキです。

斎藤:「On My Own」好きなんですよ。アレンジを担当させていただいて、これは舞台と違う素朴な感じで、そっと歌っていただければ。

愛希:そっと、ですね。わかりました!

服部:ミュージカルでは役として歌うもので、そこから歌だけを切り出してやる時には、演出側もいつも悩みます。ポップスとかロックはもちろん自分として、自分の人生を少し乗せて思いを届けるもの。でもミュージカルの曲は、どっちの気持ちでやってくださいと言ったらいいのか、いつも迷います。特に「On My Own」のようなストーリー性が強い曲の時は悩みます。結局本人に任せるというところに落ち着いたりもしますが、ご自身の人生と、その劇中の役と、完全には重ならないかもしれないけど、少しでも重なるところを見つけてもらえると歌いやすいのかもしれません……と思ったり、なかなか答えがみつからないです。

小池:僕もミュージカル【キレイ】の中で一番好きな「宇宙は見えるとこまでしかない」を歌わせていただくのですが、セリフが入っている繊細な歌で、役になりきって複雑な感情で歌っていたので、芝居なしで歌うとすごく恥ずかしい気がしています。

――「揺るがぬ真実」(ミュージカル【デスノート THE MUSICAL】より)は、力強い曲ですが、サビがすごくメロディアスで、一度聴くと覚えてしまいますね。

小池:【デスノート THE MUSICAL】自体が結構ロック調なので、この曲もゴリゴリ歌で心理戦を仕掛けるイメージです。(フランク・)ワイルドホーンさんが作る楽曲はすごくハマっていますが、とにかく体力を消耗するんです(笑)。でも歌い切った後の気持ちよさというか、パワー出し切ったぞ、みたいな余韻がすごく気持ちいい曲です。

――それこそ、その役だからこそ歌えるという感じの曲ですよね。

小池:役として気持ちが入っているので、逆に構えないでいいというか。

愛希:うん、本当にそう思います。

小池:普通に歌うとなると「ちゃんと歌わなきゃ」とか余計な考えが出てくるんですよね。

愛希:すごく緊張しちゃいます。

小池:楽しむことよりも、冷静になりすぎてしまったり…。でも弾き語りで歌ったり、色々なところで披露しているので、今回も園田涼さんのアレンジで楽しみながら歌いたいです。

――そして小池さんといえば、2016年と19年に出演したミュージカル【キンキーブーツ】が、秋に再演されることが決定していますが、やはり「The Soul of A Man」は大切にされている曲ですよね。

小池:自分の中ですごく大事にしている、ちょっと特別感のある楽曲です。今までもこういうコンサートに出演する際に「歌いたい楽曲ありますか?」って聞かれたら、一番にこの曲が浮かんでいました。でも、なんかこう「今はやめておこう」っていう気持ちになっていました。自分の中で控えめにしていたというか、押さえていたっていうのがあって。でも一昨年(三浦)春馬くんのパフォーマンスを収録した映像(【Kinky Boots Haruma Miura Tribute movie】)が公開されたり、今年3回目の上演が決まって、スタッフと話し合って、今回、自分の中でも整理がついて、約一年半ぶりこの曲を歌おうと思いました。清々しい気持ちで、気持ちよく歌いたいなって思いました。

服部:すごくストレートなロックで、このミュージカルの楽曲を手がけたシンディ・ローパーの才能の凄さを、改めて感じさせてくれる曲です。劇中で歌うときよりも、もう少しリッチで感情的に高ぶるようなロックストリングスを入れたい、という話をネコさんとしています。基本はみなさんソロでやっていただきますが、この曲は原曲はコーラスが三声で入っているので、コーラス部分は、出演者の皆さんにお手伝いをお願いしました。

愛希:すごく嬉しいです。大好きな曲なんです。この曲もそうですが、今回のコンサートは自分も大好きなミュージカルナンバーがたくさん並んでいます。

――ご自身が歌う曲以外で、他のキャストの方が歌う曲で、思い入れが強い曲とか、これ歌いたかった!というナンバーはありますか?

愛希:私は、小池さんとご一緒したことはないのですが、小池さんが出演している舞台はほとんど観させてもらっていて、ミュージカル【1789 -バスティーユの恋人たち-】は3回観に行きました。

小池:すごいな…(笑)。

愛希:でも【デスノート THE MUSICAL】だけ観ることができていなくて、なのでここで聴けるのがすごく嬉しいです。

小池:僕は、東啓介さんが歌う「僕こそ音楽 / Ich Bin, Ich Bin Musik」(ミュージカル【モーツァルト!】より)が大好きで、すごくテンション上げてくれる曲ですよね。この曲と愛希さんが歌う「On My Own」が続くんですよね?激アツゾーンだ(笑)

愛希:ここ頑張ります(笑)。

小池:【Dear Evan Hansen】もめっちゃ好きなミュージカルなので、「Waving Through A Window」が聴けるのも嬉しい。これも東さんですよね。

愛希:「Waving Through A Window」本当にいい曲ですよね。私も楽しみです。

――コロナ禍で舞台が中止になったり、延期になったり、表現をする活動が制限された2年余りですが、表現者としてどんな心持ちで過ごしていたのでしょうか?

小池:ほかの役者の方もそうだったと思いますが、僕も舞台がなくなりました。どこに怒りや悔しさ、不安をぶつけていいかわからない状況でしたが、僕は家族がいるので、その大切さというか、身近な支えてくれる人たちのありがたみをより感じた時間でした。どんな状況でも子供は日に日に成長するし、当たり前の日常に支えられたなっていう思いがすごくあって。ZOOMミーティングだけでも、みんなと繋がっている、みんな一緒なんだと思えたし、みんな各々感じているものを共有することの大切さを痛感しました。とにかく芝居がしたい! って思いました。

愛希:思いました! 今までこんなに思ったことないくらい。不思議な感覚ですよね。最初の頃は、怒りや悲しみより、本当に「どうしたらいいんだろう」という感情しかありませんでした。舞台やライヴ、自分がやっていることが不要不急という捉えられ方をしてしまって…。でも少しずつ動き出して、稽古もリモートでやるようになって、有観客でできた時の感動が忘れられなくて、届けたい!という持ちがより強くなっていきました。でもまだまだ不安は消えないので、1日1日、ひとつひとつのことを、より全力で取り組むようになりました。

――お客さんの中にも、今回久しぶりにコンサートに参戦するという方も多いと思います。

小池:生のオーケストラの素晴らしい音に包まれて、僕達の歌で少しでも元気になってもらえると嬉しいです。

服部:シンフォニーならではの音圧を楽しんでいただきたいです。

斎藤:音圧といえば、オーケストラコンサートって、ともすると最初から最後まで重厚で濃厚な感じになってしまいますが、今回はバンドも入っていてリズムを活かす曲も多く、とにかく歌を立てる、スムーズに伝えることを大事にしていきます。だからオーケストラの音がバーンと鳴ってなくても「あ、なんかあの人休憩している」って思わないでくださいね。

小池:絶対思わないです(笑)。

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