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<インタビュー>Ms.OOJA「歌うこと以外に執着できるものがなかった」--キャリア10年を振り返る

Ms.OOJAインタビュー

 圧倒的な歌唱力を駆使し、せつない恋愛ソングから毎日をポジティヴな気分にさせる楽曲、さらには昭和の名曲カバーなど、さまざまなタイプの作品を発表しているMs.OOJA。2021年でメジャーデビュー10年を迎え、この1年は7か月連続の配信シングルのリリースなど、これまで以上に精力的な活動で注目を集めた彼女が、その総括として3枚組全49曲収録となるベスト盤『10th Anniversary Best ~私たちの主題歌~』を完成させた。彼女のヴォーカリストとしての歩みを感じられるのはもちろん、聴き手の人生ドラマにも寄り添い続けてきた「主題歌」ばかりであったことに気付かされる内容。それらの楽曲に込めた思い、またアニバーサリー・イヤーの締めくくりを飾る自身初の日本武道館単独公演に関しても聞いた。

――2021年からメジャーデビュー10周年を記念して、これまで以上に精力的な活動を続けていらっしゃいますね。

Ms.OOJA:この10年を振り返ると、葛藤していた時期もあったのでしょうけど、周囲のさまざまな提案を取り入れながら、楽しく辿り着けたような気がします。10周年を迎えた、この1年はその総決算というか。これまで培ってきたことを、すべて表現できた気がします。とても濃密で充実した1年間になりましたね。

――10年前に想像していた未来像と現在にギャップはありますか?

Ms.OOJA:10年前と現在で、自分自身あんまり変わっていない気がしますね。ただ、デビュー当初は、もっとスターダムに登っていて、夢のような生活が待っていると思っていましたが(笑)。その代わりに、10年間コツコツと積み上げてきたものがある。決して派手な成果ではないのかもしれないけれど、確実に大きなものを得ながらここまで活動できたのではないかと思いますね。

――その10年の着実な歩みが、今回のベスト盤『10th Anniversary Best ~私たちの主題歌~』に集約されている訳ですね。

Ms.OOJA:その通りです。私の10年がこの作品に詰まっていますね。

――以前発表されたベスト盤のサブタイトルが「あなたの主題歌」でしたが、今回は「私たち」になりましたね。

Ms.OOJA:5年前に発表したベスト盤はミニマムな構成で、言わば私の「自己紹介」的な意味合いが強かったんです。でも、今回は3枚組の構成で収録曲を考えている過程において、この10年はファンの皆さんと共に歩んできた時間だったと改めて感じることができました。その思いを込めて「私たちの」というタイトルにしたんです。

――実際にドラマなどの「主題歌」になっている楽曲も多いですが、他の楽曲に関しても「主題歌」を作るようなイメージで制作するのですか?

Ms.OOJA:楽曲制作している段階では、そういうことはいっさい頭にないんです。発表されて、みなさんの耳に届いた瞬間に、それぞれの楽曲にリスナーの方々が異なる、私の想像を超えるような物語(ドラマ)を重ねてくださっていることを、このコロナ禍でおこなった配信ライブを通じて知ることができました。つまり、人生の傍にMs.OOJAの楽曲が寄り添っていたということに気付かされたのです。結果、自分が制作した楽曲に対する視点も少しずつ変化していったというか。音楽って、人に寄り添いながら進化していくものと感じるようになりましたね。つまり、聴いてくださるみなさんが「主題歌」にしてくださったのです。

――では、そんな3枚組ベスト盤の内容について、伺わせてください。ディスク1では、シングル曲をセレクトしています。

Ms.OOJA:発表した楽曲が多くてセレクトは大変でしたが、それぞれの時代を代表する楽曲を収録したつもりです。

――冒頭を飾るのは、デビュー曲「It’s OK」。発売から11年が経過して、この楽曲に関して改めて思い出すことはありますか?

Ms.OOJA:2010年にメジャーデビューが決定して、年末にレコーディングしたんです。それまでは、地元のアパレル店で働きながら、デビューの道を探していました。だから、デビューが決まった時は、純粋な嬉しさがあった反面、これまで支えてくださった多くの人への感謝、慣れた場所を離れていくことの不安も絡みあって、泣きながら歌って完成させたことを思い出します。


――2012年に発表した「Be…」は、ドラマの主題歌に起用され、これでMs.OOJAさんを知る人が大きく増えるきっかけを与えた楽曲になりました。

Ms.OOJA:この楽曲は、レコーディング当日まで何度も作り直して完成させたもの。追い詰められて制作した結果、自分の代表曲だと胸を張って言えるものになりましたね。

――今聴いても、メロディや歌詞の放つ輝きは褪せることはないですね。

Ms.OOJA:普遍的なメッセージのこもった楽曲だと思います。だから、ライブでも必ず披露しているのですが、未だに歌うのが難しいというか。嫌になるくらい緊張してしまいます(苦笑)。この楽曲を聴きたいと足を運んでくださる方も多くいらっしゃいますし、ちゃんと満足いただける状態でパフォーマンスしないといけない思いが強いですから。

――この楽曲をきっかけに、一時期は「ラヴソングの歌い手」と呼ばれることもありましたね。

Ms.OOJA:確かに。この楽曲をリリースしてから数年はそう呼ばれることが多くなりましたね。実際ラヴソングのカバーアルバムも発表していましたし。でも個人的には、そう呼ばれることにギャップを感じていた部分がありました。デビュー当時は「翼の折れた天使たち」というキャッチフレーズもいただいていて、もっとリスナーの方々を応援するようなメッセージ・ソングを届けたいという思いがあったんです。活動を重ねていくごとに徐々にそういう思いがこもった楽曲が増えていったような気がします。

――最近になってはコラボ曲も話題になっています。コブクロの小渕健太郎さん、布袋寅泰さんなど、そうそうたるミュージシャンとの方々と共演。また、名古屋でインディーズ時代から交流の深いAK-69さんとのコラボレーションも注目を集めていますね。

Ms.OOJA:AK-69さんは、私にとって永遠のキー・パーソンです。デビューのきっかけもAKさんを通じて、現在のレーベルの方に声をかけていただきましたし。名古屋で活動していた頃から、ずっとその背中を追いかけながらここまでやってきたような気がします。常にエンターテインメントを見せてくれる人で、刺激を与え続けてくれる。これまでの自分には共演できるような実力が不足していると感じていたのですが、10年活動してきてようやくその自信がついて、私の原点と言える楽曲を一緒に完成させることができましたね。


――10年かけて、ようやく肩を並べるようになるって、感慨深いですね。

Ms.OOJA:先日AKさんとラジオ番組で共演させていただいたんですけど、10年以上前から同じステージで立っていた人と、こうやって共演できるのは感慨深いという話をしていたところなんです。

――10年以上もシーンの最前線で活動できている方も、なかなかいないですしね。

Ms.OOJA:17歳の時に歌手を目指し、20代に入ってメジャー進出、それから10年経過しても、音楽(歌うこと)に対する執着心がある。というか、歌うこと以外に執着できるものがなかった。だからこそ、ここまで諦めずに辿り着けたのかなと思います。

――その不屈の精神が、布袋さんや小渕さんなどとの共演へと繋がっていく訳で。

Ms.OOJA:布袋さんや小渕さんとの共演を含め、諦めないで歌い続けていたからこそ、実現できたこと。諦めない心ってひとつの「才能」なのではないかって、今は思うのです。また、それこそが自分に与えられた唯一で最大の「武器」なのかなって。

――どんな状況でも諦めずに、常に新しいドアを開き続けてきたこれまでを、最新曲「Open Door」で表現されているのかなと思いました。

Ms.OOJA:常に自分で扉を叩いて開いてきた部分もありますけど、それは多くの人の支えもあったからこそできたこと。この楽曲では、その感謝の気持ちを、自分らしいやり方で表現できたと思います。


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