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<インタビュー>彗星の如くSNSに登場した次世代アーティスト・JASPĘRに迫る



 2021年8月に突如SNSに登場した次世代アーティスト・JASPĘRが、同年12月22日に最新デジタルシングル「Hello」を配信リリースした。

 JASPĘRは、これまでTikTokをメインにオールジャンルのカバー動画やオリジナル曲を投稿。なかでも、ハッピーが伝染するポップなフューチャーベース曲になっているのが、「Hello」だ。この曲は、昨年11月末にTikTokで曲の一部を先行公開した後、インフルエンサーによるダンス動画が投稿されたのをきっかけに、UGC動画が急増した。TikTok再生回数は700万回再生を突破。「Hello」は、ティーンをメインに国境を超えて海外のリスナーにまで届き、世界中を今ハッピーなカラーに染めつつある。

 これまでに短期間で4曲をリリースしてきたJASPĘRに、自身のことから、「Hello」のことまでを広く語ってもらった。

「僕と同じように苦しんでいる人たちに逆の立場で力になれたら」

――本日はJASPĘRさんのことから、最新曲「Hello」のことまで、うかがいたいと思っています。まず、アーティスト活動を始めるにあたって、JASPĘRという名前を付けた理由から教えていただけますか。

JASPĘR:JASPERっていう石があるんですけど、その石を持っていると精神面を安定させてくれるみたいなんですよ。自分が苦しい時期にいろんなアーティストさんの曲を聴いて気持ちが楽になったり、前向きになったりしたことがあったので、JASPERっていう名前がそのときすごくいいなと思って。今度は僕がその石みたいになって、僕と同じように苦しんでいる人たちに逆の立場で力になれたら、という意味を込めてJASPĘRという名前を付けました。

――苦しくなったときに聴いていたのはどんな音楽だったんですか?

JASPĘR:洋楽だったり邦楽だったり、ジャンル関係なくいろんな曲を聴いていました。

――JASPĘRさんのTikTokのアカウントでは、BTSからジャスティン・ビーバーまでさまざまなアーティストの方の曲をカバーしていたので、本当にジャンル関係なく、いろいろな曲に興味をお持ちなんだなと感じました。

JASPĘR:僕の曲もジャンルに縛られたくなくて、そのときの気分で作っているところがあって。いろんなジャンルを聴いていることは、自分の曲作りにも影響しているかなって思います。


――JASPĘRさんの曲は、恋愛に例えたり、ゲームをモチーフにしたり、その曲で伝えたい大切なことを比喩的に表現しているように思います。

JASPĘR:そうですね。僕はゲームとかがすごい好きで。そういう僕の好きなものに例えて歌詞を書いているんですけど、聴いている人によってこれはこういう意味なのかなって考えてもらえるようにしています。いろんな人にも伝わるメッセージ性というか。


▲「Silent feat.うぴ子」ミュージックビデオ

――1stデジタルシングル「Lune」、2ndデジタルシングル「Heal」とは異なって、前作の「Silent feat.うぴ子」からは、ご自身で歌詞を書いていますね。

JASPĘR:「Lune」、「Heal」はこういった曲を作りたいとか入れたいキーワードとかを伝えた上で曲を作っていただいたんです。でも、やっぱり自分で書いたほうが自分の気持ちをストレートに伝えることができるのかなって思い始めて。なので、作詞に挑戦してみました。

――前作までは比較的チル系の曲でしたが、最新曲の「Hello」はガラリと変わってポップな曲だったので、何か心境の変化があったのかなと思ったんですが。

JASPĘR:そうかもしれないですね。さっきお伝えしたように活動し始めたときは苦しい時期だったので、僕と同じく苦しい感情を持っているリスナーの皆さんに対して希望を与えられるような曲を作りたいと思っていました。でも、「Hello」は作っていたときがちょうどオリンピックの時期で。テーマもオリンピックなんです。いろんな人種が集まって自分がやってきたことを平等の立場からリスペクトしてひとつの目標に向かって競い合っているのがすごいいいなと思って。その頃ニュースがオリンピックでいっぱいだったので、そこから自分自身がハッピーな気持ちになりやすかったんです。今回は、「Lune」とかとはまた違う感じで聴いている人たちに元気を与えられる曲にしたいと思いましたね。毎回曲をリリースするたびに、自分の今の状況や感情が反映されている気がします。

――「Hello」のアートワークに描かれている場所は渋谷ですが(笑)。

JASPĘR:大きなテーマはオリンピックなんですけど、実はハロウィンもイメージしていて。渋谷のハロウィンでも、コスプレをする人たちの見た目はみんな違うじゃないですか。いろんな人種に例えたときに、オリンピック=ハロウィンっていうのが頭に思い浮かんだので、ハロウィンの様子を入れました。

――なるほど。渋谷のハロウィンの様子だったんですね!

JASPĘR:僕はホラー映画がすごい好きなんですけど、歌詞には、ホラー映画によく出てくるエイリアンだったりゴーストだったり、僕の好きな言葉を入れました。

――そしてついに待望のミュージックビデオも公開されました。イラストは、ボカロP・Chinozoさんの「グッバイ宣言」を手がけたアルセチカさんによるもの。動画は、6人組エンタメユニット・すとぷりのMVを多数担当されている映像クリエイターの、えるいーさんによるもの。ネットシーンで活躍中のクリエイターさんが担当しています。お二人にはどのような要望を?

JASPĘR:それぞれのクリエイターさんにはアメリカンホラーな感じだったり、好きな色使いだったり、キャラのイメージだったり、まず僕が好きなものをお伝えしました。実際に曲を聴いていただいてから作っていただいた作品に、さらに細かい要望をお伝えして、「Hello」のミュージックビデオが完成しました。


▲「Hello」ミュージックビデオ

――TikTokでは、先行公開の音源を聴いたインフルエンサーの方がダンス動画を投稿したのをきっかけに、「Hello」がTikTok上で広がりを見せました。リリース前にたくさんの人が曲を聴いてくれたことについてはどう思いましたか?

JASPĘR:現代っぽいなっていう。僕がTikTokで曲の一部を先行公開する目的はリリース前にちょっと聴いてもらうことにあるんです。実際に公開した音源がインフルエンサーさんとかに使ってもらえて、そこからバズる現象が起こるのは、今はTikTokだけだと思います。Twitterとか他の媒体でも曲の一部を公開して拡散することはできると思うんですけど、TikTokは、曲を使って聴いている人がダンスとか曲を使った歌詞動画とかを自分のコンテンツとして出していくんです。その作品が拡散されていくのは自分にとってもすごいいいことだし、聴いている人もこんな曲があるんだって先に知ることができる。お互いwin-winというか。いいシステムだなって思っています。


――「Hello」が、TikTokで話題になることは予想していたんですか?

JASPĘR:ぶっちゃけそこはすごい狙いました(笑)。僕の今の曲を聴いていただいている方たちは女子中学生とか女子高校生とかのティーン層で、最近は、海外の方もすごい増えているんです。「Lune」をリリースするちょっと前から、TikTokで何が流行っていて、どういった曲が人気なのかを毎日調べて。ポップでキャッチーで一度聴いたら頭から離れない曲をどこかで作りたいと思っていたんです。例えば、1番と2番のサビは同じ歌詞になっているんですけど、あえて歌詞を変えずにずっと繰り返すことで頭に残るように意識しました。

――分析した上で完成した曲だったんですね。そういえば、「Lune」もTikTok上でルーンダンスが生まれ、話題になっていましたね。

JASPĘR:でも「Lune」は、どっちかって言うと聴かせる曲調なので、ダンス向けではなくて。ダンスとか拡散力を求めるんだったらもっとポップでわかりやすいメロでキャッチーな曲を作ったほうが若い子には刺さるのかなと思ったんです。これまでの曲があったからこそ、「Hello」を作ることができたのかなと思います。


▲「Lune」ミュージックビデオ

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