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中川翔子 『綺麗ア・ラ・モード』インタビュー
中川翔子 約1年ぶりに登場!
元旦のDVDリリースに始まり、初のフルアルバムから全国ツアー。さらにはアメリカでのコンサート出演と、2008年も歌手、アーティストとしてフルスロットルの活躍をみせるしょこたんこと、中川翔子にインタビュー! 3か月連続シングルリリースと勢いに乗るしょこたんの、2008年の印象的なエピソードから【貪欲会】や個展、最近の趣味についてまで………。隅々まで語ってもらいました。
みんなのおかげでまたひとつ分かった
--夏にはアメリカでもライブを行ったようですね。
中川翔子:【Anime Expo 2008】ってイベントに出演したんですけど、全部アメリカ人なので全然違う世界だし言葉も分からない。しかも今年からノキアシアターっていう大きい会場になってしまったので、本当にプレッシャーというか。逃げたい、帰りたいのに帰れない!って感じでした(笑)。でも日本から来てくれた方たちが頑張って盛り上げてくれたので、最終的には満員になるくらい盛り上がって良かったです。
--アメリカで印象的だったことは?
中川翔子:コスプレなどの文化を本当に楽しんでるところですね。ウェスティンホテルがコスプレだらけになっちゃったり、種類も日本と違って大きい武器を持ってる人が多かったりとか、土地が広いだけあって心も広いって感じでした。あと、サイン会が1日に何回もあったんですけど、殆どの方の名前が“デイヴィッド”だったのが印象的でした(笑)。
--また、夏は日本でも様々なイベントなどに出演しましたね。
中川翔子:この夏、歌をうたう場所に出させてもらう機会がめちゃめちゃ多くて混乱しました。コンサートと一緒で歌う前って毎回「ダメだ………」って絶望しちゃうんですけど、ステージに上がると「イェーーイ!」ってなれるから不思議な空間だなあ、と。
--歌手、アーティストとしての活動も2年以上が経ちましたね。
中川翔子:最初は1枚で満足!くらいに思ってたんですけど、やっぱり最初のコンサートが人生のビッグバンでした。本番直前まで怖くてしょうがなかったのに、みんな色んなところから来てくれて、一生懸命応援してくれて。みんなに逢える楽しみが、怖さよりも大きくなってきました。
歌のお仕事に出会ってからこんなに人生が変わるとは思ってなかったので、何があるか分からないですよね。毎回、歌のステージがある度にファンの方から教わってます。
--9月に久々の【貪欲会】では集まったファンのために、手書きの絵を夜通し描いていました。そうしたしょこたんの変わらぬ貪欲さがあるからこそ、安心してファンでいられるところがあると思いますよ?
中川翔子:申し訳ないくらい応援してくれているのに、【貪欲会】が1年以上ぶりになっちゃったのが………。人数もできるだけたくさん呼びたいんですけど、そうするとひとりずつしゃべれなくなっちゃったりとか、本当に難しくて。でも、男の子も女の子も同じくらい貪欲で、それぞれ自由にその場を楽しんで友達になったり、みんなの場の使い方が凄く嬉しくて、本っ当に大好きですよ!
--コスプレも本当にバラエティに富んできましたよね。
中川翔子:アニメのコスプレだけじゃ飽き足らなくなって、私とかマネージャーのコスプレもいるし、胃薬のコスプレとか(笑)。それをやりたくてやっている感じ、場を楽しもうとするから周りの人たちと仲良くなったりするし。この間も『空色デイズ』の時に出逢ったふたりが結婚したんですけど、報告してくれるのが凄く嬉しいんですよ。
--ファンの方も工夫をし始めて、ただイベントに行くだけじゃない意気込みを感じます。
中川翔子:ステージの何時間も前からみんなで練習したりとか、普通コンサートにひとりで来ると他の集団に入っていくのって難しいと思うんですけど、そうやってどんどん仲良くなっていって。ネットの力も凄いと思うんですけど、この団結力は何だろう!って思います。オフ会もどんどんやっているみたいなんで、どんな話をしているのか見てみたいですね。
--そして9月、“meg rock×グレンラガン×中川翔子”というタッグでシングル『続く世界』を完成させました。
中川翔子:グレンラガンの主題歌を歌えることが嬉しくて楽しみで、もの凄く期待をしてました! 『空色デイズ』やグレンラガンのファンも期待してくれていましたし、みんなの意識が凄いメラメラしてるのが伝わってきて。曲も全国ツアーで一緒に回ってきてくれたバンドさんが生演奏で作ってくれたし、PVもアメリカで撮っちゃったし、って全力で挑んだ感じがします。
それに“続く世界”っていうタイトルが決まった時も、本や絵のタイトルみたいで「素晴らしい!」って。歌詞は哀しみの真っ只中だけど、そこから『空色デイズ』に繋がるっていう時間軸があって、そう思うと凄く、凄く考えさせられますよね。そして川崎のイベントで歌った時、全員で空をパンチしながら歌って、哀しいんだけどそれも受け止めて乗り越えていけるような曲なんだって気づけて、みんなのおかげでまたひとつ分かったような気がしました。
Interviewer:杉岡祐樹
宇宙でコンサートしたいですね!
--常にファンと一緒に成長していってるんですね。
中川翔子:いつもパワーをもらってばっかりなので、恩返ししなきゃって思ってます。全国ツアーも最初は震えるくらい緊張してたんですけど、地方を回っていく度に「こんなに貪欲な人たちが待っててくれたんだ!」って。名古屋でヌンチャク振る約束したから途中で買ってきてもらったり、「ボールも投げたい!」とかコンサートもどんどん進化していって、ファンの人もどんどん貪欲になってきて、最終公演は本当に忘れられない1日になりました。
Wアンコールに歌った『calling location』も、哀しいと思っていたら「この楽しい瞬間を忘れたくないよね!」って笑顔で歌えるんだって気づけて。このツアー、このアンコールがなかったらアメリカのコンサートも絶対できなかったと思うし、全部が力になってるんだ、全部忘れたくない!って思えるようになったんです。
--しょこたんのコンサートはアイドルのようにファンから掛け声が上がることもあれば、ロックライブのように盛り上がったりと、色んな楽しみ方ができるんですよね。
中川翔子:盛り上げ方とか分からないんですけど、みんなが合いの手を考えてくれてるのも楽しいし、どんどん仲良くなれるじゃないですか!? ………もうみんなと一緒に住みたいくらい(笑)。ネガティブとポジティブが極端に入れ替わるんですけど、可愛い曲もロックな曲、どっちもいっぱい歌いたいんです。
あと、meg rockさんとの出会いが大きくて、今は友達としても凄く仲良しだし、歌詞で教えてもらったこと。自分でも知らなかった自分に気付けたし、「こう思ったら楽なんだ!」ってことも教えてくれました。ロックの正しい歌い方とか全然分からないですけど、歌詞の大切さが歌う度に強くなってきて、引っ張っていってくれているのがmegさんなんだって思います。この間、昔のマクロスを観ていて思ったんですけど、歌が人を変えちゃうのを見て「あ、そうかも!」って。
--では将来はリン・ミンメイのように戦艦に乗って歌いたい?(笑)
中川翔子:宇宙でコンサートしたいですね!
--また、8月には“続く世界”というタイトルで個展も開いたんですよね?
中川翔子:アメリカ行く前に個展をやるって言われて、「いや、無理です!」って(笑)。でも「じゃあ場所押さえたけどバラすしかないね」って言われて、やりたい気持ちと無理って気持ちとが………。やっぱり個展をやるなら油絵しかないって思ったんですけど、やったこともないし道具もない。とりあえず世界堂でバーッと一式揃えたんですけど、凄い高かったのが悔しくて、「これは描かないと勿体無い!」って(笑)。
飾るつもりじゃなかった絵もいっぱいあったし、でもだからこそその場で脳みそがそのまま出たばっかり、みたいな絵を観てもらえて嬉しかったです。キャンバスに描くことでこれも生きた証そのものになるから楽しいし、これからも描きたいって思いますね。
--中には“とし子”なる強烈な作品もありましたね。
中川翔子:お年寄りのグループがとし子の前でざわざわしてたのが印象的でした(笑)。
--そういえば最近は漫画も描いているんですよね?
中川翔子:目の前に色んな物事がやってきて、ひとつひとつのハードルは高いんですけど、嵐の渦中にいるみたいで楽しいですね。もっと気持ちにゆとりを持って取り組めたら良いなって思うんですけど、やっぱり趣味も大事にしなきゃって思うし。何よりコンサートや貪欲会で逢える皆さんにパワーをもらって、「あ、また色んなことを頑張ろう」って思えるので。
だから最近はますますひとりで引きこもるケースが多くて、夜中にアニメを観て絵を描いてっていうのが楽しいんですけど、20代前半の時って若者同士で遊びに行ったりとかをまったくしていないのが心配にもなります(笑)。
--プライベートでは最近、一眼レフも購入されましたよね?
中川翔子:今まで写メで撮ることが一番簡単に生きた証を残せるって思ってたんですけど、一眼レフデジカメという良いものがあるんだなって。猫を撮るのも楽しいし、アイドルの写真集を撮ってみたいですね! 南の島で青い空と海、緑があって夕焼けがあってっていう中で白いビキニの女の子を撮るのが夢です。
あと、空や月を撮って油絵にしたいっていうのもあるんですけど、時間があんまりなくて。弾丸でもいいからまた旅に行きたいなって思いました。趣味が増えると視野が広がりますよね。
Interviewer:杉岡祐樹
「綺麗になることは強くなること」
--そして10月、3か月連続リリース第3弾『綺麗ア・ラ・モード』を発売しますが、こちらもまた新たなチャレンジとなる楽曲になりました。
中川翔子:松本隆さんと筒美京平さんというふたりのネ申が私のために組んで曲を書いて下さったので、ふたりの歴史を汚しちゃいけない!って責任感もありました。バラードなんですけど難しくて、レコーディングの時も大変だったんですけど、筒美さんが「歌う度にどんどん好きになって、気持ちよくなってくるから」って仰ってくれて、その通りかもしれないですね。
重み、深みがあって、はっきりイメージを打ち出す歌じゃないんですけど、女の子が綺麗になる瞬間って色々あるし、この歌に対する気持ちもどんどん変わっていくだろうと思います。どんどん綺麗になっていく若い子から、歌謡曲を好きな方々まで、色んな世代の方に聴いてもらえると嬉しいですね。
--では歌う上で心がけたことなどは?
中川翔子:力の配分とか伸ばすところとか、全部難しかったです。松本さんが「この歌詞は力を入れすぎない方がいい」と仰ってくれて、嬉しさとか綺麗になっていく気持ち………。「綺麗になることは強くなること」って松本さんが仰っていて、全国ツアーのこととか思い出してゾクゾクして、「今、色んなことが変わっていってるな」ってことを思い出しながら歌いました。
--PVも大人な雰囲気の、LOOKのCMの映像に近い感じですね。
中川翔子:今現在の自分と「こうなりたい」と思うドレスを着た自分。「歳を取るの怖い!」とか「寿命って短いから先に進みたいくない!」って気持ちが非常に強いんですけど、綺麗になったり強くなったり色んな物事を知って成長していきたいって気持ちも同じくらいあるんです。前に進みたいって気持ちが強くなって、先の未来も見てみたいし。ネ申様たちが深くて良い曲を下さって、「さあついてこい!」って言われているような、早く追いつかなきゃって目標ができました。
--また、カップリングには80年代の名曲『約束』のカバーも収録されていますよね。
中川翔子:元々は原日出子さんの曲だって知らなくて、松本さんや筒美さんの曲だってことも知らなかったんですけど、すっごい大好きな曲だったのでカバーできて嬉しいです。この時代だからこその歌詞だと思うし、今だったらメールや携帯があるからこうはならないですよね。「今だったら2年も待たないだろうね」って松本さんも仰ってました(笑)。
最後の展開が意外だったんですけど、それよりも2年間待ち続ける辛さや哀しさが凄く印象的で。原曲よりもキーを上げたんですけど、その雰囲気が消えないように想いを込めて歌いました。
--原日出子さんがこの楽曲を発売された81年には、しょこたんはまだ生まれていませんでした。いつか『綺麗ア・ラ・モード』もカバーしてもらえると嬉しいですよね。
中川翔子:あ、それ凄く良いですね! そうなってくれたりしたら凄く嬉しいです。いつの時代、どの世代の女の子も綺麗になりたいって思ってるだろうし、いつの時代になっても変わらない深みがあるんです。だからもっと上手に歌いたいなって思うし、残る歌になって欲しいと思います。
--そして今後ですが、歌手としての目標などはありますか?
中川翔子:やっぱりアニソンを歌う人になりたいですね。アニメと共に残ってくれるし、アニソンからパワーをもらっているので、いっぱい歌う人になりたいって夢はずっとあるんです。あと、特撮のヒロインにもなりたいです! アニメでも特撮でも、変身することがしたいですね。
--個人的には『しょこたん☆かばー』シリーズの続編にも期待してます。
中川翔子:アイドル編と魔女っ子編をどうしてもやりたいんですよ! 曲数も増やしたいって、ずっとソニーの柳さんにチクチク言ってるんですけど(笑)。
ソニー柳:5曲じゃ物足りないっていうんですよ(笑)。
中川翔子:15曲が良い! 選びきれなくて悩んじゃうから、いっぱい選びたいんです。
--本当にやりたいことがいっぱいあるんですね。
中川翔子:いっぱいありますね! 今年は歌う機会がいっぱいあって、大きく人生が変わった凄い年だったと思うんです。だからこの1年をパワーにして、来年も新たな人たち、新たな歌ともいっぱい出会って、色んなことを楽しみながら挑戦したいです。
Interviewer:杉岡祐樹
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