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<インタビュー>I Don’t Like Mondays.がTVアニメ『ONE PIECE』で初のアニメ主題歌に挑戦――現実の世界でも使える「何か」を残したい



 4人組バンドI Don’t Like Mondays.が、TVアニメ『ONE PIECE』の新主題歌として新曲「PAINT」を書き下ろし、新主題歌となって第一回目の放送日である1月9日に配信リリースした。国民的アニメのオープニングを飾るこの曲は、アイドラらしいギターリフを全面的にフィーチャーする一方で、疾走感を保ったまま目まぐるしく変化するリズムや、ボーカルYUのハイトーンボイスを生かした突き抜けるようなメロディなど、新たな試みにも果敢にチャレンジしている。また、不確かで常に揺れ動く世界にあっても自分の「軸」を持つことの大切さを歌う歌詞は、これまでいくつもの困難を乗り越えてきた彼らが歌うからこそ、リアリティをもって我々の心に深く響くのだろう。初のアニメ主題歌に挑んだ4人に、その制作エピソードについて語り合ってもらった。

自分たちの表現領域が広がったことを実感する

――まずは新曲「PAINT」がTVアニメ『ONE PIECE』の新主題歌に起用されたこと、アニメ主題歌を初挑戦したことについて率直な心境からお聞かせください。

YU(Vo):今もまだ夢のようで、実際に放送されるまでは信じられないです(笑)。ただ、「主題歌を取れるチャンスかもしれないから、曲を作ってみたら?」と言われたときは、僕は嬉しさよりも不安やプレッシャーの方が大きかったですね。それに見合う曲ができるのか、出来たとしても、そこに乗せる歌詞が僕に書けるのか?というのが、最初の段階では全く見えていなかったので。


▲I Don't Like Mondays. / PAINT (TVアニメ「ONE PIECE」主題歌)

SHUKI(D):シンプルに嬉しかったです。が、その一方で「I Don't Like Mondays.(以下、アイドラ)」としてのアプローチの仕方についてはいろいろ考えましたね。僕ら全員、『ONE PIECE』を読んで育ったまさにドンピシャな世代ですし、まずは一ファンとしてその作品を壊したくない。その上で、アイドラらしさをどう出していくかを試行錯誤しました。

CHOJI(G):『ONE PIECE』の歴代の主題歌ももちろん聞いていましたが、やっぱり派手な音が入っていたり、歌詞も前向きな内容だったりしたので、俺らアイドラのサウンドとは全然違うじゃん……って(笑)。そこをどういうふうに寄せていくかはめちゃくちゃ考えました。

KENJI(B):でも、実際に曲を作っていく段階ではもう「迷い」はなかったよね。アニメ主題歌として、例えば尺は2分にしなければならないなどの「縛り」はあったけど、そんなに作りにくくはなかったかな。

CHOJI:こうして完成したものを改めて聴くと、自分たちの表現領域が広がったことを実感するしね。実は昨年12月に配信リリースした「美しき世界」は、この「PAINT」が出来た後に生まれた曲なんですよ。そういう意味でも、自分たちをアップデートさせる機会を与えてもらって感謝の気持ちでいっぱいですね。


▲I Don’t Like Mondays.「美しき世界」

――『ONE PIECE』の世界観とアイドラの世界観を、具体的にはどう融合させていったのでしょうか。

YU:最初に『ONE PIECE』のタイトルが画面にバーンと出てきて、背景には海が広がって……みたいな、主題歌らしいイメージは割と早い段階からメンバーと共有していましたね。海賊船が風を切って進んでいくような、疾走感のある楽曲をストレートに作りたかったし、そこにあえて変化球を入れようとは思わなかった。

KENJI:展開を増やしてエモい曲調にしたいという気持ちもあったよね。2分という主題歌の尺の中で次々と場面が変わっていく映像であることも、今までずっと観てきたから分かっていたし。



KENJI


SHUKI:それに、「アイドラらしさ」の象徴であるギターサウンドをフィーチャーするため、ギターリフが印象的な楽曲という方向性もすぐに決まりました。



SHUKI


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思い描いていた未来とは全然違う道を歩んでいる

――歌詞についてはいかがですか?

YU:もちろん『ONE PIECE』の世界観を踏襲しつつ、それだけで終わってしまうものにはしたくなくて。アニメの世界から戻ってきた観客に、現実の世界でも使える「何か」を残したいという気持ちはありました。例えば僕が『ONE PIECE』を好きなのは、主人公のルフィが食べた「ゴムゴムの実」が最強のアイテムではないところなんです。むしろルフィよりも遥かに強いキャラがたくさんいるため、何度も挫けそうになるところが『ONE PIECE』の魅力だと思っています。そこに共感する人がたくさんいるからこそ世界的な人気アニメになったわけだし、そこに焦点を当てた歌詞にしようと思いました。

――確かに、“例えそれが負けた犬の無様な遠吠えだって いっそ可憐に吠えてみせるよ”というフレーズには、勝負の世界で勝てなかった人、負けてしまった人に対するYUさんの温かい眼差しを感じます。

YU:普段、僕はオリンピックなどを楽しむタイプの人間ではないんですけど(笑)、昨年開催された東京オリンピック・パラリンピックを何の気もなしに観たらものすごく感動したし、勇気をもらったんです。表彰台に立ってメダルをもらえるアスリートはほんの一握りで、その影には必死で努力をしてきた人がたくさんいる。そういう人たちの人生だって、この先も進んでいくのだということに思いを馳せていたときに、ちょうどこの曲の歌詞を書いていたので、それがおそらく反映されているのだと思いますね。



YU


――それと、“右も左もグチャグチャに 荒れた海のような時代”というフレーズは、コロナ禍で世界が右と左に分断され、これまでの価値観が通用しなくなった今の状況を歌っているのかなと思いました。

YU:おっしゃる通りです。コロナ禍で世界中が混乱し、今まで「これが正解」と思っていたことが次々と崩れていく様を目の当たりにしたので、そのことは歌詞の中に絶対反映させたいと思っていました。

――サビ終わりの“己の地図を描いてゆけ”というラインも、不確かで常に揺れ動く世界にあっても自分の「軸」を持つことの大切さを歌っているなと。

YU:まさに。逆に言えば、これまで信じてきたものが崩れていく世界では、信じられるものって自分の中にある信念や情熱だけなのかもしれないなと。僕にとってのそれは、言うまでもなくアイドラだけど、おそらくみんなそれぞれ信じているものがあって、それを糧に道を切り開いていくしかないと思うんです。ルフィだってそうですよね。「海賊王に俺はなる」と言って始まった彼の旅は、自分の信じた道を切り開いていくものでもあって。


▲Documentary : PAINT

――“今いる居場所が 理想とは違っても 僕は僕を超えていくんだ”というラインも印象的ですが、YUさん自身もそういう経験をしたことがありますか?

YU:そんな経験の連続ですよね(笑)。そもそも僕は、ミュージシャンとして何か成し遂げようと思っていたわけじゃなくて、そういう意味では思い描いていた未来とは全然違う道を歩んでいるんですよね。でも、それって誰もが経験してきたことなんじゃないかなと。側から見てどれだけ成功しているように見えても、それが理想の姿だったのかは本人に聞いてみなければ分からない。まだまだ成長したい、上を目指していきたいと思って奮闘している人も大勢いる。そのことについても曲に盛り込みたかったんです。

――“時に頼り合えるような 存在に支えられ”というフレーズは、『ONE PIECE』のテーマである「夢への冒険・仲間たちとの友情」を象徴しています。YUさんはどんなときに「頼り合えるような存在に支えられている」と感じますか?

YU:それはもう、常に感じています。仲間やスタッフがいるからこそ、今の自分の活動が成り立っている。それってバンドをやっている僕だけじゃなくて、ソロのシンガーソングライターでも同じだと思うんです。人間、一人でやれることって本当に限られていて、側から見たら「あの人、一人でめっちゃ頑張っているな」と思う人であっても、仲間がいたりパートナーがいたりしなければ成し遂げられないことがたくさんある。それもやっぱり『ONE PIECE』が僕に教えてくれたことだなと、今回改めて思いました。

――年が明けましたが、2022年はどんな年にしたいですか?

CHOJI:アイドラにとって最高傑作といえる楽曲が出来たので、それをさらに超えていきたいですね。



CHOJI


KENJI:きっと『ONE PIECE』きっかけで僕らを知ってくれる人も、きっとこれからどんどん増えていくと思うんですけど、その人たちをこれからまたさらに虜にできるような楽曲を作りたいですね。

SHUKI:今までで一番、世間からの反応が大きいのは分かっているので、自分たちの軸はしっかりと持ちながら、どこまで飛距離を伸ばせるかがこれからの勝負だと思っています。

YU:そうだね。今の自分に想像できる曲を出し続けるだけだと、きっと自分たちがつまらなくなってしまうと思う。“僕は僕を超えていくんだ”という歌詞じゃないけど(笑)、今後どれだけ自分が自分を超えていけるか楽しみです!



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